JPS6342027Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、液圧伝動走行車輌の操作入力軸を強
制的にその中立位置に位置決めするようにした保
持装置に関する。

一般に、液圧伝動装置に用いるポンプ、モータ
は、高性能を要求されるため、内部漏れの少ない
構造のものが採用される。そのため、車輌が停止
して機関が回転していると、変速操作レバー等の
僅かな動きで液圧伝動装置の操作入力軸がその中
立位置から不本意に僅かに回動され、その結果車
輌が滑り出すといういわゆるクリーピング現象を
おこす。そして、このクリーピング現象をブレー
キで無理に停止させようとすると、流体圧の過剰
な増大を招き、それによつて流体圧機構に破損を
もたらすことになる。そこで、上記クリーピング
現象を防止するために、本出願人は先に実願昭56
−110655号として、第５図に示すような、液圧伝
動装置Ａの操作入力軸ｂのアーム部材ｃに平面部
c′を形成し、また、液圧伝動装置ａ本体に固定さ
れた支持部材ｄに配設されたバネ部材ｅにより押
圧機構ｆを構成して、該押圧機構ｆを前記アーム
部材ｃの平面部c′に接触させることにより前記操
作入力軸ｂを強制的に中立位置に戻すようにした
液圧伝動走行車輌の操作入力軸自動中立復帰装置
を提案したが、このものでは、操作入力軸ｂを中
立位置方向に復帰し得るものの、操作リンク系に
おけるガタおよびヒステリシスの存在、更には中
立位置近傍において最もバネ力が弱くなるという
バネ部材ｅのバネ特性等に起因して、操作入力軸
ｂを正確に中立位置に保持することが困難とな
り、変速操作レバーをそのガイドの中立位置に戻
しても、操作入力軸ｂが固定したアーム部材ｃが
中立位置に戻らず、前述したクリーピング現象を
生じてしまう虞れが生じた。

そこで、本考案は、液圧伝動装置の操作入力軸
に固定したアーム部材と液圧伝動装置本体に固定
したプレート部材間に、中立位置において嵌合す
るデテント機構を構成し、更に変速操作部と上記
アーム部材との連結部に所定量の遊隙機構を介在
し、操作入力軸の中立位置近傍において上記デテ
ント機構により操作入力軸を強制的に中立位置に
確実に位置付けるように構成し、もつて前述した
欠点を解消した液圧伝動走行車輌の操作入力軸中
立保持装置を提供することを目的とするものであ
る。

以下、第１図ないし第５図に沿つて、本考案に
よる実施例を説明する。

例えば農用トラクタのような液圧伝動走行車輌
１は、第１図に示すように、前後の車輪２で懸架
された機体３を有していて、該機体３の前部には
エンジン５が搭載され、その中程にはハンドル
６、変速操作レバー７等の操作系が配設され、そ
してその後部には座席９が設けられている。ま
た、上記機体３の後方下部には液圧伝動装置１０
およびトランスミツシヨン１１が設けられてい
る。上記液圧伝動装置１０は前記変速操作レバー
７によつて作動される、レバーリンク１２、支点
リンク１３そして作動リンク１６等よりなる操作
リンク系と、それに接続する本考案に係る中立保
持装置を有するアーム部材１７を介して作動され
るようになつている。上記アーム部材１７は、第
２〜４図に示すように、その一端がアーム固定ボ
ルト１９により液圧伝動装置１０本体の側部に突
出された操作入力軸２０に固定されており、また
アーム部材１７のもう一方の端部は、前記した操
作リンク系末端の作動リンク１６に螺着されたア
ジヤスタ部材２１にピン２２を用いて連結されて
いて、第４図ａ，ｂに詳示するように、ピン２２
はアーム部材１７に開設されたピン穴２３に所定
量のガタＢを許容するように嵌合されている。そ
して、上記アーム部材１７の中間部分には、第３
図ｂに詳示するように、たとえば溶接等でボス部
材２５が固着されており、その内部にはたとえば
ボール等の嵌合部材２６と該嵌合部材２６を後述
するプレート部材２９に向けて突出するように付
勢するスプリング２７が配設されている。更に、
液圧伝動装置１０本体側には、該本体側に対して
取付位置を調整し得るように複数個のボルト３０
によつてプレート部材２９が固定されていて、該
プレート部材２９に前述した嵌合部材２６が嵌合
する穴部３１が設けられている。こうして、上記
スプリング２７で付勢された嵌合部材２６と上記
プレート部材２９の穴部とでアーム部材１７を介
して操作入力軸２０を中立位置に保持するデテン
ト機構３２が構成され、該デテント機構３２と、
前記したアジヤスタ部材２１とアーム部材１７と
のガタをもたせた連結構造とによつて本考案に係
る操作入力軸２０の中立保持装置が構成されるよ
うになつている。

本実施例は以上のような構成を有するので、第
２図に示した中立位置Ｎから変速操作レバー７を
ガイド３３に沿つてたとえば前進方向Ｆに揺動操
作すると、前述した操作リンク系およびアーム部
材１７を介して操作入力軸２０は矢示Ｆ方向に回
動され、液圧伝動装置１０が作動し、走行車輌１
は変速操作レバー７の揺動角度に対応した速度で
前方に向つて走行を開始する。この時、デテント
機構３２の嵌合部材２６はプレート部材２９の穴
部３１から離脱されて、プレート部材２９の上面
を軽く転動あるいは摺動される。後進の際は前述
と逆に、操作レバー７を後進方向Ｒに揺動操作す
ればよい。このような走行状態から変速操作レバ
ー７を中立位置Ｎに戻すと、前述したようにアー
ム部材１７は操作リンク系を介してその中立位置
Ｎ近傍に戻されるが、この際、アーム部材１７が
操作リンク系のヒステリシス等に起因して正確に
中立位置に復帰されていなくても、たとえば第４
図ｃに示すように嵌合部材２６がプレート部材２
９の穴部３１に嵌合し得る許容範囲内にあれば、
操作リンク系、更に詳細にはアジヤスタ部材２３
に設けたピン２２とアーム部材１７に開設したピ
ン穴２３が所定のガタＢを有しているので、アー
ム部材１７はデテント機構３２の嵌合部材２６が
プレート部材２９の穴部３１へ転動嵌入すること
により、正確に中立位置Ｎに位置決めされる。従
つて、アーム部材１７に連結されている操作入力
軸２０も正確にその中立位置に回動され、走行車
輌１に何らクリーピング現象が生じなくなる。

以上説明したように、本考案によれば、変速操
作部７を操作して操作入力軸２０を回動し液圧伝
動装置１０を作動するように構成した液圧伝動走
行車輌１において、前記操作入力軸２０に固定し
たアーム部材１７及び液圧伝動装置１０本体に取
付位置を調節自在に固定したプレート部材２９の
いずれか一方にスプリング２７によつて付勢され
る嵌合部材を、また他方に該嵌合部材２６が嵌合
し得る穴部３１を設け、これらスプリング２７、
嵌合部材２６及び穴部３１にて、該嵌合部材２６
が穴部３１に嵌合する位置を前記液圧伝動装置１
０の中立位置に対応するデテント機構３２を構成
し、また前記変速操作部７とアーム部材１７との
間に、所定量の相対移動を許容する遊隙機構Ｂを
介在し、前記デテント機構３２のスプリング２７
が、中立位置近傍にある前記アーム部材１７を前
記遊隙機構Ｂに基づき前記嵌合部材２６が穴部３
１に嵌合するように強制的に移動してなるので、
操作リンク系のヒステリシス等の存在に拘らず、
また長期使用により操作リンク系に多少の狂いや
ガタが生じても、変速操作レバー７の中立位置Ｎ
への操作によりアーム部材１７がその中立位置近
傍に回動操作されれば、デテント機構３２の作動
によりアーム部材１７ひいては操作入力軸２０は
正確に中立位置Ｎに自動的に位置決めされ、走行
車輌１にクリーピング現象を生じなくなる。また
その際、操作リンク系とアーム部材１７との連結
部に設けた遊隙機構Ｂの存在により、変速操作レ
バー７の中立位置Ｎがガイド３３に設けた中立位
置Ｎの表示とズレを生ずることなくなり、オペレ
ータに何ら操作上の異和感を抱かせなくなる。

また、プレート部材２９を、液圧伝動装置１０
本体に取付け位置を調節自在に固定したので、ア
ーム部材１７従つて液圧伝動装置１０の正確な中
立位置に対応するように、デテント機構３２の位
置決め位置を調整でき、かつ遊隙機構Ｂの存在と
相俟つて、液圧伝動装置１０の作動中に、変速操
作レバー７を所定位置に保持した状態で、アーム
部材１７をデテント機構Ｂによりプレート部材２
９に一体に保持した状態で該プレート部材２９を
液圧伝動装置１０が完全に停止するように調整し
て、極めて容易に正確な中立位置Ｎに強制復帰す
るようにセツトすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の操作入力軸中立保持装置を適
用し得る液圧伝動走行車輌の側面図、第２図は本
考案に係る操作入力軸の中立保持装置の詳細を示
す正面図、第３図ａはその部分拡大図であり、ま
た第３図ｂはそのＡ−Ａ断面図である。そして第
４図は作動を示す図で、ａは側面図、ｂは低面
図、ｃは拡大断面図、第５図は既案例を示す側面
図である。 １……液圧伝動走行車輌、７……変速操作部
（レバー）、１０……液圧伝動装置、１７……アー
ム部材、２６……嵌合部材、２７……スプリン
グ、２９……プレート部材、３１……穴部、３２
……デテント機構、Ｂ……（所定量の）遊隙機構
（ガタ）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 変速操作部を操作して操作入力軸を回動し液圧
   伝動装置を作動するように構成した液圧伝動走行
   車輌において、 前記操作入力軸に固定したアーム部材及び液圧
   伝動装置本体に取付位置を調節自在に固定したプ
   レート部材のいずれか一方にスプリングによつて
   付勢される嵌合部材を、また他方に該嵌合部材が
   嵌合し得る穴部を設け、これらスプリング、嵌合
   部材及び穴部にて、該嵌合部材が穴部に嵌合する
   位置を前記液圧伝動装置の中立位置に対応するデ
   テント機構を構成し、 また前記変速操作部とアーム部材との間に、所
   定量の相対移動を許容する遊隙機構を介在し、 前記デテント機構のスプリングが、中立位置近
   傍にある前記アーム部材を前記遊隙機構に基づき
   前記嵌合部材が穴部に嵌合するように強制的に移
   動してなる、 ことを特徴とする液圧伝動走行車輌の操作入力
   軸中立保持装置。