JPS6337154Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、リベツトの挿入孔を有する複数の
部品を押圧部材で加圧して圧入嵌合する圧入機に
おいて、圧入嵌合時の相対的位置ずれを防止して
位置決めするとともに、圧入嵌合後にリベツトが
挿入された状態を得ることができるように構成し
て、作業性の向上を図るようにした圧入位置決め
装置に関する。

従来、それぞれにリベツトの挿入孔が設けられ
た複数の部品、たとえばリングギヤとデフギヤケ
ースにおいて、デフギヤケースをリングギヤに圧
入嵌合する場合、単にリングギヤ上にデフギヤケ
ースを載置した仮組みの状態のままで、押圧部材
によつてデフギヤケースを押し下げてリングギヤ
に圧入嵌合させると、両部品の嵌合面に形成され
ている切削痕（ツールマーク）や両部品の焼入硬
度差によつて、両部品が円周方向に相対移動し、
リベツト挿入孔が位置ずれして両部品の圧入嵌合
後にリベツトを挿入し得なくなる状態を生じる。

そのために、両部品が仮組みされることで、同
一軸線上において上下に対向する複数のリベツト
挿入孔のうちの一組のリベツト挿入孔に対して、
位置決めピンを嵌挿して位置決めしたのち、デフ
ギヤケースを押し下げてリングギヤに圧入嵌合
し、しかるのちに、リベツト挿入孔にリベツトを
挿入するようにしている。

したがつて、圧入の前後にリングギヤ上にデフ
ギヤケースを仮組みするための作業と、複数のリ
ベツト挿入孔にリベツトを挿入する作業とが必要
になり、作業性が悪い上、作業工数上の問題があ
る。

この考案は上記従来の問題に鑑みなされたもの
で、仮組みとリベツトの挿入とを圧入嵌合前に行
なつた複数の部品を、リベツトを脱抜することな
く簡単に位置決めし、これによつて位置ずれする
ことなく圧入嵌合し得る圧入位置決め装置を提供
することを目的とする。

以下、この考案の実施例を図面にしたがつて説
明する。

第１図において、１は圧入機で、そのベース１
ａの上面に受台２が設けられ、該受台２上に複数
の部品、たとえばリングギヤＡとデフギヤケース
Ｂが仮組みされた状態で載置される。

圧入機１のフレーム１ｂ上に圧入用シリンダ装
置３が取付けられている。該圧入用シリンダ装置
３は上記仮組みされたリングギヤＡとデフギヤケ
ースＢの軸線と同一軸線上に対向して上方に位置
しており、そのピストンロツド３ａの下端に押圧
部材４が取付けられ、押圧部材４の上端に横方向
に延出して押え板４ａが設けられている。そし
て、押圧部材４はフレーム１ｂに取付けられた案
内保持腕５に上下方向に移動自在に嵌挿されてい
る。

したがつて、圧入用シリンダ装置３の作動によ
つて、押圧部材４は、案内保持腕５を案内に上下
方向に移動し、その下降時においてデフギヤケー
スＢを押し下げてリングギヤＡ内に圧入する。

６は位置決め部材を示す。この位置決め部材６
は、シリンダ６ａと該シリンダ６ａのピストンロ
ツド６ｂ先端に取付けられた位置決めピン６ｃと
からなり、上向きに配置された位置決めピン６ｃ
が受台２の上方に突出自在になつており、突出時
にリングギヤＡのリベツト挿入孔A₁と、このリ
ベツト挿入孔A₁に同一直線上で対向するデフギ
ヤケースＢのリベツト挿入孔B₁に嵌挿されて位
置決めを行なう。

７はリベツト保持部材で、上記位置決め部材６
の軸線上の上方に対向して設けられている。ま
た、リベツト保持部材７は下端にリベツト受面７
ａを形成しており、上記案内保持腕５に取付けら
れた案内筒８に上下動自在に嵌合されるととも
に、その上側に連設したロツド９は、案内筒８の
キヤツプ８ａを貫通して上方に延設され、上端に
当接部材９ａを取付けている。そして当接部材９
ａを上記押圧部材４の押え板４ａの下方に対向さ
せている。

１０はスプリングを示し、このスプリング１０
はロツド９の外周を螺旋状に周回した状態でリベ
ツト保持部材７とキヤツプ８ａとの間に介装さ
れ、常時、リベツト保持部材７を下降させる方向
にばね力を付勢している。

上記構成において、まず第２図で示すように、
リングギヤＡとデフギヤケースＢとを仮組みし、
これら両者Ａ，Ｂのリベツト挿入孔A₁，A₂，
B₁，B₂にリベツト１１を挿入した状態で両者Ａ，
Ｂを受台２上に載置する。

この場合、リベツト保持部材７下端のリベツト
受面７ａはその上側に連設したロツド９の上端に
設けた当接部材９ａにより下降端位置が規制さ
れ、リベツト挿入孔A₁，B₁に挿入されているリ
ベツト１１の上端面に対し多少の隙間を有してい
る。

つぎに、シリンダ６ａが作動してピストンロツ
ド６ｂを上昇させ、第３図に示すように位置決め
部材６の位置決めピン６ｃがリベツト挿入孔A₁，
B₁に嵌挿されて両部材Ａ，Ｂの位置決めを行な
う。

この場合、リベツト１１は位置決めピン６ｃに
よつて上方に押し上げられ、リベツト保持部材７
がスプリング１０のばね力に抗して所定位置まで
上昇し、この状態でリベツト１１を保持する。

つまり、リベツト１１はリベツト保持部材７の
リベツト受面７ａと位置決めピン６ｃの上端との
間に挟持保持される。

つぎに、圧入用シリンダ装置３が作動して、ピ
ストンロツド３ａおよび押圧部材４を押し下げ、
押圧部材４の下端面でデフギヤケースＢを押下
し、第４図に示すようにデフギヤケースＢをリン
グギヤＡに圧入嵌合させる。

上記押圧部材４の下降時、押え板４ａが当接部
材９ａを押下するから、リベツト保持部材７が押
し下げられる。この場合、圧入用シリンダ装置３
の押下力がシリンダ６ａの押上力よりも十分に大
きいから、リベツト１１およびピストンロツド６
ｂはシリンダ６ａの押上力に抗して下降し、リベ
ツト１１はリベツト孔A₁，B₁に挿入される。

上記第４図の状態を得たのちに、圧入用シリン
ダ装置３とシリンダ６ａの動作が切換り、両シリ
ンダ３，６ａが復帰し、リングギヤＡ内にデフギ
ヤケースＢが圧入嵌合され、かつリベツト挿入孔
A₁，A₂，B₁，B₂にリベツト１１が挿入されたワ
ークが次工程へ送られる。

なお、上記実施例では圧入と同時にリベツト１
１を押し下げるため押圧部材４に押え板４ａを設
けたが、シリンダ３の作動による押圧部材４の下
降で圧入作業を行なうと同時に位置決めピン６ｃ
を下降させるようにシリンダ６ａを作動させスプ
リング１０のばね力によつてリベツト１１を押し
下げることもでき、こうすれば押圧部材４に押え
板４ａを設けなくてもよい。

以上説明したように、この考案によれば、リベ
ツトにより仮位置決めし、その後で、複数の部品
のリベツト挿入孔に位置決めピンを嵌挿し、その
状態で複数の部品の圧入嵌合を行なうようにして
いることから、複数の部品の位置決めを簡単に行
なうことができることになり、これによつて、相
対的位置ずれさせることなく複数の部品の圧入嵌
合を行なうことができる。

また、仮組み作業と同時に複数のリベツトをリ
ベツト挿入孔に挿入しても、複数の部品の圧入嵌
合時にはリベツト保持部材と位置決めピンとによ
りリベツトを保持することができ、位置決めピン
が下動すればリベツトを再びリベツト挿入孔に戻
すことになり、従来のように圧入後にリベツトを
挿入する必要がなく、作業性を向上させる利点が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る圧入位置決め装置を一
部断面にて示す正面図、第２図はリングギヤとデ
フギヤケースを仮組みしてリベツトを挿入した状
態を示す正面図、第３図は同位置決めピンによる
位置決め時のリベツト保持状態を示す正面図、第
４図はデフギヤケースの圧入嵌合状態を示す正面
図である。 １：圧入機、２：受台、４：押圧部材、６：位
置決め部材、６ａ：シリンダ、６ｃ：位置決めピ
ン、７：リベツト保持部材、７ａ：リベツト受
面、１０：スプリング、１１：リベツト、A₁，
B₁：リベツト挿入孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 リベツト挿入孔をそれぞれ有する複数の部品
   が、リベツトを挿入した状態で載置される受台
   と、 前記受台の上方に配設され前記複数の部品を加
   圧して圧入嵌合させる押圧部材と、 前記受台の上方に突出自在でかつ前記複数の部
   品のリベツト挿入孔に嵌挿される位置決めピンと
   該位置決めピンを上下移動させるシリンダとから
   なり、前記押圧部材の加圧動の前に該位置決めピ
   ンを前記複数の部品のリベツト挿入孔に進入させ
   て該複数の部品の相対的位置決めを行なう位置決
   め部材と、 前記位置決め部材の上方に、該位置決め部材に
   対向して下向きに弾設されており、前記位置決め
   ピンが上動されたとき該位置決めピンとで前記リ
   ベツトを挟持して所定位置まで上昇し、該所定位
   置から該位置決めピンが下動されたとき該リベツ
   トを該位置決めピンとで挟持しつつ該リベツトを
   前記リベツト挿入孔に戻すリベツト保持部材と、 を備えることを特徴とする圧入位置決め装置。