JPS6336423Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は変速操作装置のセレクトリターン装
置、詳しくはコントロールレバーのセレクト操作
によつて回動するコントロールロツドに、該コン
トロールロツドの回動で複数のシフトフオークシ
ヤフトと選択的に係合するセレクトインナレバー
を設けた変速操作装置のセレクトリターン装置に
関する。

（従来の技術） 従来この種変速操作装置のセレクトリターン装
置は、例えば特公昭47−46736号公報に記載され
ているごとく、コントロールロツドに取付けたセ
レクトインナレバーに概略断面Ｖ形状をなすカム
溝を形成すると共に、該カム溝の最深部にスプリ
ングで付勢されたボールを弾接状に嵌合させるご
とくしている。

斯くして変速操作装置の変速操作時で、前記セ
レクトインナレバーの回動による任意シフトフオ
ークシヤフトのセレクト時に、前記インナレバー
の回動に伴い前記ボールをスプリングに抗し前記
カム溝の斜面に沿つて最深部から後退させること
により、前記スプリングに前記ボールをカム溝の
最深部側に付勢する弾発力を生じさせ、セレクト
解除後に前記スプリングの弾発力で前記ボールを
カム溝の最深部に移動位置させることにより、前
記セレクトインナレバーを中立位置に復帰保持さ
せるごとくしている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが前記従来のセレクトリターン装置で
は、前記セレクトインナレバーに形成した概略断
面Ｖ字形状のカム溝に、前記ボールが嵌合してい
るため、前記セレクトインナレバーを中立位置に
保持しているときに、変速装置側から伝達される
振動が、前記ボールを介して前記カム溝の各斜面
にダイレクトに伝わり、前記セレクトインナレバ
ー、更には所定の慣性マスを持つコントロールレ
バーが揺れ動くという問題があつた。

そこで、第４図に示すごとく、前記セレクトイ
ンナレバー６のカム溝７を、所定長さとした平滑
な底面７ｂと、該底面７ｂの両側から斜め方向に
向けて延びる斜面７ｃ，７ｃとから形成し、前記
セレクトインナレバー６によるセレクト操作時
に、前記各斜面７ｃ，７ｃに沿つて前記ボール８
を移動させることにより前記スプリングに弾発力
を付与するごとくなすと共に、前記セレクトイン
ナレバー６を中立位置に保持しているときには、
前記ボール８を前記カム溝７の底面７ｂに位置さ
せることにより、変速装置側で発生する振動が、
前記セレクトインナレバー乃至前記コントロール
レバーに伝わるのをなくすことを考えたのであ
る。

ところが自動車のエンジンを停止するようなと
きには、前記セレクトインナレバー６のカム溝７
と前記ボール８との間に大きな振動が発生するの
であり、従つて例え前記のごとき構造を採用する
にしても、前記ボール８と前記カム溝７の各斜面
７ｃとの間で衝突が生じて異音が発生するのであ
り、又前記セレクトインナレバー６の操作時に
も、前記カム溝７の各斜面７ｃと前記ボール８と
の間で衝突音が発生し、最終的な解決策とはなら
なかつたのである。

本考案は以上のごとき問題点に鑑みて考案した
もので、その目的は、前記セレクトインナレバー
によるセレクト操作時、又はセレクトインナレバ
ーを中立位置に保持しているとき、前記カム溝と
ボールとの間で衝突を生じたりするのをなくし
て、異音が発生したりするのを確実に防止するこ
とができるセレクトリターン装置を提供すること
にある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は前記目的を達成するために、前記セレ
クトインナレバーにカム溝を形成すると共に、前
記コントロールロツドを支持するケースに、前記
カム溝に嵌合するボールと、該ボールを前記カム
溝の最深部に弾接させて前記セレクトインナレバ
ーをセレクト方向中立位置に復帰させるスプリン
グとを設け、かつ前記カム溝の断面形状を前記ボ
ール８の半径より大きな曲率からなる湾曲面とし
たのである。

（作用） しかして前記セレクトインナレバーによるセレ
クト操作時には、前記ボールを前記カム溝の湾曲
面に沿つて後退させることにより、前記スプリン
グに弾発力を付与するごとくなし、またセレクト
解除後には、前記スプリングの弾発力で前記ボー
ルを前記カム溝の湾曲面に沿つて最深部側に移動
位置させることにより、前記セレクトインナレバ
ーを中立位置に復帰保持させるごとくなしたので
あり、前記カム溝と前記ボールとの接点を常に１
箇所として、衝突箇所をなくすことにより、異音
の発生並びに変速装置側で発生した振動の前記コ
ントロールレバーへの伝達を確実に阻止するごと
くしたのである。

（実施例） 以下本考案にかかる変速操作装置のセレクトリ
ターン装置の図面の実施例によつて説明する。

図中１はミツシヨンケースであつて、該ケース
１に上方に延びるコントロールレバー２を前後な
いし左右方向に揺動自由に支持すると共に、前記
ケース１内にはコントロールロツド３を回動及び
軸方向摺動可能に支持する一方、前記コントロー
ルロツド３の軸端と前記コントロールレバー２の
下端部とを連動部材４を介して連動連結してお
り、前記コントロールレバー２の左右方向への揺
動操作により、前記コントロールロツド３を回動
させてセレクト操作を行い、また前記コントロー
ルレバー２の前後方向への揺動操作により、前記
コントロールロツド３を軸方向に摺動させてシフ
ト操作を行うごとくしている。

また前記ミツシヨンケース１の内部で、前記コ
ントロールロツド３の近くには、該ロツド３に対
し直交状に延びる３本のシフトフオークシヤフト
５ａ，５ｂ，５ｃをそれぞれ摺動可能に支持し
て、これら各シフトフオークシヤフト５ａ，５
ｂ，５ｃには、それぞれシフトヘツド５ｄ，５
ｅ，５ｆを取付ける一方、この各シフトヘツド５
ｄ，５ｅ，５ｆには、前記コントロールロツド３
に設けたセレクトインナレバー６を選択的に係合
可能な係合溝５ｇをそれぞれ形成している。

斯くして前記コントロールレバー２のセレクト
操作で前記コントロールロツド３を回動させて、
該ロツド３に設けた前記セレクトインナレバー６
を前記シフトヘツド５ｄ，５ｅ，５ｆの１つの係
合溝５ｇに選択的に係合させ、この状態で前記コ
ントロールレバー２をシフト操作することによ
り、前記シフトフオークシヤフト５ａ，５ｂ，５
ｃの１つを摺動させて、変速装置を所定の変速段
に切換操作するごとくしている。

しかして前記のごとき変速操作装置において、
前記セレクトインナレバー６を常にセレクト方向
中立位置に復帰保持させるセレクトリターン装置
を、次のごとく形成したのである。

即ち、前記セレクトインナレバー６の一側面に
カム溝７を形成すると共に、前記ケース１の前記
インナレバー６近くに、一側を前記カム溝７側に
向けて開口させたハウジング１０を取付け、該ハ
ウジング１０に２個のボール８を内装し、この外
部側のボール８を前記ハウジング１０の開口部か
ら前記カム溝７に嵌合させるごとくなす一方、前
記ハウジング１０内に前記ボール８を前記カム溝
７側に付勢するスプリング９を設け、前記セレク
トインナレバー６のセレクト操作時に、前記ボー
ル８を前記カム溝７により前記スプリング９に抗
し前記ハウジング１０の内方に後退させて、前記
スプリング９に弾発力を付与し、このスプリング
９の弾発力により、セレクト解除時に前記ボール
８を介し前記インナレバー６を中立位置側に復帰
させるごとくなすのである。

前記カム溝７は、前記ボール８と弾接する弾接
面に前記ボール８の半径よりも大きな曲率からな
る湾曲面７ａを形成するのであり、斯くすること
により前記セレクトインナレバー６によるセレク
ト操作時、前記ボール８と前記カム溝７との接点
を常に１箇所とし、前記ボール８と前記カム溝７
の他の部分との衝突をなくし、これらボール８と
カム溝７との間で異音が発生したりするのを阻止
すると共に、前記インナレバー６を中立位置に保
持しているとき、変速装置側で発生した振動の前
記コントロールレバー２への伝達を阻止するので
ある。

本考案のセレクトリターン装置は以上のごとく
構成したもので、前記コントロールレバー２の揺
動操作により前記コントロールロツド３を回動さ
せて、前記セレクトインナレバー６を第２図に示
す中立位置から、例えば第３図に示すごとく、シ
フトフオークシヤフト５ｂ上に設けたシフトヘツ
ド５ｅにセレクト操作するときには、前記インナ
レバー６の揺動に伴い前記ボール８が、前記カム
溝７の湾曲面７ａにより押圧されて、前記ハウジ
ング１０の内方に後退され、このことにより前記
ハウジング１０に内装するスプリング９が圧縮さ
れて、該スプリング９に前記ボール８を前記カム
溝７の湾曲面７ａ側に押圧する弾発力が付与され
るのである。

また前記コントロールレバー２によるセレクト
解除時には、前記スプリング９の弾発力により前
記ボール８が前記カム溝７の湾曲面７ａを押圧し
ながら、該湾曲面７ａの最深部に至り、従つて前
記ボール８とスプリング９により前記インナレバ
ー６、つまり前記コントロールレバー２が第２図
に示すセレクト方向中立位置に復帰保持されるの
である。

斯くして前記コントロールレバー２によるセレ
クトインナレバー６の揺動操作で第３図に示すセ
レクト操作が行われ、またセレクト解除時には前
記スプリング９の弾発力により前記ボール８を介
して前記インナレバー６が中立位置に復帰される
のであるが、このセレクト操作時及びセレクト解
除時に、前記ボール８は前記カム溝７の平滑な湾
曲面７ａに沿つて移動されるのであり、従つて前
記ボール８とカム溝７との間で衝突は起こらず、
この結果、異音が発生したりすることはないので
ある。

また前記セレクトインナレバー６が、第２図に
示すごとく中立位置に保持されているとき、前記
ボール８は前記カム溝７における湾曲面７ａの最
深部に位置されるのであり、従つて例えエンジン
停止時など前記インナレバー６のカム溝７と前記
ボール８との間に大きな振動が生じても、該ボー
ル８は前記カム溝７の平滑な湾曲面７ａに沿つて
移動されることとなつて、このボール８とカム溝
７との間では接点が常に１箇所となるため、前記
ボール８と前記カム溝７の他の部分との衝突が起
こらず、異音が発生することもないし、また変速
装置側が小さく振動しても、該振動は前記カム溝
７の平滑な湾曲面７ａで吸収され、前記コントロ
ールレバー２側には伝達されないのである。

（考案の効果） 以上説明したごとく本考案にかかる変速操作装
置のセレクトリターン装置では、セレクトインナ
レバーにカム溝を形成すると共に、コントロール
ロツドを支持するケースに、前記カム溝に嵌合す
るボールと、該ボールを前記カム溝の最深部に弾
接させて前記セレクトインナレバーをセレクト方
向中立位置に復帰させるスプリングとを設け、か
つ前記カム溝の断面形状をボールの半径よりも大
きな曲率からなる湾曲面に形成したから、前記セ
レクトインナレバーによるセレクト操作時、また
前記インナレバーをセレクト方向中立位置に保持
しているとき、前記ボールとカム溝との接点は常
に１箇所となり、他の部分で衝突が生じたりする
のを阻止できて、異音が発生したりするのを確実
に防止できるし、しかも変速装置側で発生する振
動がコントロールレバーに伝達されるのも確実に
防止でき、全体として快適な運転操作が行えるに
至つたのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる変速操作装置のセレク
トリターン装置を示す断面図、第２及び第３図は
同要部の拡大断面図であつて、第２図はセレクト
インナレバーの中立状態を、また第３図はセレク
トインナレバーによるセレクト状態を示す図面、
第４図は本考案に至る過程を説明する図面であ
る。 １……ケース、２……コントロールレバー、３
……コントロールロツド、５ａ乃至５ｃ……シフ
トフオークシヤフト、６……セレクトインナレバ
ー、７……カム溝、８……ボール、９……スプリ
ング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コントロールレバー２のセレクト操作によつて
   回動するコントロールロツド３に、該コントロー
   ルロツド３の回動で複数のシフトフオークシヤフ
   ト５ａ…と選択的に係合するセレクトインナレバ
   ー６を設けた変速操作装置において、前記セレク
   トインナレバー６にカム溝７を形成すると共に、
   前記コントロールロツド３を支持するケース１
   に、前記カム溝７に嵌合するボール８と、該ボー
   ル８を前記カム溝７の最深部に弾接させて前記セ
   レクトインナレバー６をセレクト方向中立位置に
   復帰させるスプリング９とを設け、かつ前記カム
   溝７の断面形状を前記ボール８の半径より大きな
   曲率からなる湾曲面としたことを特徴とする変速
   操作装置のセレクトリターン装置。