JPS633592Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自転車用カンテイレバーブレーキ、詳
しくは１対の固定部材にブレーキシユーをもつた
リンクをそれぞれ揺動自由に支持したカンテイレ
バーブレーキに関する。

従来、此種カンテイレバーブレーキは、操作容
易な軽い操作力でも、ブレーキシユーによる大な
る所定の増幅された制動力が得られるようにする
ため、第５図のごとくリンク３１の固定台座１へ
の枢支中心Ｏに対するブレーキシユー７のリムＢ
への圧接面迄の距離と、リンク３１の作動ワイヤ
W₂取付部迄の距離との此、所謂アーチ比を大き
くしていた。

そのため、前記リンク３１の作動ワイヤW₂の
取付部側が、固定台座１を取付けたホークＡの横
方向に大きく飛び出して、外物に当り易く危険性
が高い問題があると共に、自転車の転倒時に激突
作動して固定台座１が彎曲変形してしまう問題が
あつた。

本考案の目的は、リンクのアーチ比を減少化し
ても、操作容易な軽い操作力で、ブレーキシユー
による大なる所定の制動力を得ることが可能で、
リンクがホークの横方向外方に延び出す量を最小
限にでき、安全性を高くできると共に、自転車の
転倒時にリンクが激突作動して固定台座が破損す
るのを確実に防止できる自転車用カンテイレバー
ブレーキを提供する点にある。

本考案の構成は、１対の固定台座に、中間部に
ブレーキシユーをもつたリンクの基端部をそれぞ
れ枢支軸を介して揺動自由に支持したカンテイレ
バーブレーキであつて、前記リンクの先端部に回
動部材を前記枢支軸と同方向の支持軸を中心に回
転自由に支持すると共に、中間部を操作ワイヤに
連結し、両端を固定部材に係止した作動ワイヤ
の、前記操作ワイヤへの連結部と、前記固定部材
への係止部との間に位置する途中部分を、前記回
動部材の外周に掛設したことを特徴とするもので
ある。

以下、本考案ブレーキの実施例を図面に基いて
説明する。

図面において、１，１はフレームのホークＡ，
Ａに固定する２個一対の固定台座で、これら固定
台座１，１には内面にねじをもつた筒軸２，２を
突設していて、該筒軸２，２にリンク３，３を揺
動自由に枢支している。

前記リンク３，３は、両ホークＡ，Ａに沿う略
上向きの部材の上部から互いに反対方向に延出す
る略横向きの部材を連結して、それぞれ下端部を
前記筒軸２の突出端部に套嵌し、かつ内面ねじに
締付ボルト４を螺合して揺動自由に取付け、かつ
リターンスプリング５により、両リンク３，３が
互いに離間する逆方向に付勢すると共に、両リン
ク３，３の先端部には、インナーワイヤW₁を固
定したキヤリア６に逆Ｖ字状に支持した作動ワイ
ヤW₂の下部を連結している。そして、前記リン
ク３，３の長さ方向中間部には、頭部にブレーキ
シユー７，７の取付部を貫通させた固定ボルト
８，８を設けて、ナツト９，９の螺締により、ブ
レーキシユー７，７の取付部をリンク３，３に対
し圧接固定し、ブレーキシユー７，７をリムＢに
対向するごとく設けている。

しかして、本考案は、基本的には前記リンク
３，３の先端部に回動部材１０，１０を取付け、
一端を固定部材１１に係止した前記作動ワイヤ
W₂を掛設すべく成すのである。

第１及び第２図に示したものは、前記回動部材
１０，１０として滑車を用いたのであつて、前記
固定部材１１を、横向きの部材と、その横方向中
間部に上向きに突設した部材とにより形成して、
自転車における前記ホークＡ，Ａの上位の例えば
ホーク肩（図示せず）に取付け、上向きの部材
に、前記インナーワイヤW₁に対するアウターワ
イヤW₃の下端部を固定して、固定部材１１の下
位にインナーワイヤW₁を連結したキヤリア６を
配置すると共に、横向きの部材の両端部に、前記
作動ワイヤW₂の両端部を係止して、該作動ワイ
ヤW₂を、この両端部から下向きに延ばして前記
回動部材１０，１０に掛設した後、上向きにして
キヤリア６に支持させる一方、前記リンク３，３
の固定台座１，１への枢支中心Ｏ，Ｏに対する、
ブレーキシユー７，７のリムＢへの圧接面迄の距
離と、リンク３，３の先端部に設けた前記回動部
材１０，１０の作動ワイヤW₂掛設部迄の距離と
のアーチ比を、従来のものにくらべて小さい、例
えば２分の１倍の寸法関係に形成したのである。

しかして、以上の構成において前記インナーワ
イヤW₁を引上げ操作すると、作動ワイヤW₂によ
り回動部材１０，１０を介して各リンク３，３が
リターンスプリング５，５の附勢力に抗して互い
に接近作動され、各リンク３，３に設けたブレー
キシユー７，７がリムＢに対し圧接作動される。

以上の如くインナーワイヤW₁による制動操作
時、該ワイヤW₁を所定の引上操作力で操作する
と、作動ワイヤW₂の両端部が固定部材１１に係
止されているため、回動部材１０，１０によりリ
ンク３，３を揺動作動させる力は前記操作力の２
倍に増幅されることになり、リンク３，３のアー
チ比が小さくとも、リムＢに対するブレーキシユ
ー７，７の制動力を十分に大きくでき、しかもイ
ンナーワイヤW₁を所定の操作ストロークに亘り
操作すると、回動部材１０，１０の作動ストロー
クは前記操作ストロークの２分の１倍に減幅され
ることになり、リンク３，３のアーチ比が小さく
ともリムＢに対するブレーキシユー７，７の制動
ストロークを十分小さい値に保持できる。

即ち、インナーワイヤW₁を操作レバー（図示
せず）により引上げ操作する操作系の寸法を変え
ることなく、かつ、リンク３，３によりブレーキ
シユー７，７を固定する固定系の寸法を変えるこ
となく、リンク３，３のアーチ比を小さくして
も、操作力、操作ストローク及び制動力、制動ス
トロークを、いずれもアーチ比の大なる従来にお
ける所定値とほゞ同値（アーチ比が２倍のときは
同値）にできる。

従つて、手慣れた容易な制動操作で、確実に制
動作動させられながら、リンク３，３がホーク
Ａ，Ａの横方向外方に延び出す量を最小限にで
き、その突出量を少なくして外物に対する危険が
なくなり、しかも自転車転倒時にリンク３，３が
激突作動する恐れがなくなつて、前記固定台座
１，１が彎曲変形する事故を防止できるのであ
る。

尚、以上の説明は作動ワイヤW₂の両端部を、
キヤリア６の上部両側において固定すべくした
が、第３図のごとく、キヤリア６の下位に固定部
材１１を設けて、該部材１１の両側に作動ワイヤ
W₂の両端部を設けると共に、該ワイヤW₂を、こ
の両端部から下方に延ばして回動部材１０，１０
に内側から外側上向きに彎曲状に掛設して、上端
部をキヤリア６に支持させるごとくしてもよい。

尚以上の説明は、前記回動部材１０として滑車
を用いたが、第４図のごとく両側にワイヤ支持部
１２，１２をもつた揺動体を形成して、その中心
部を枢支すると共に、前記作動ワイヤW₂として
針金材の如く剛性の大なるものを用い、キヤリア
６及び固定部材１１から各別に末拡がり状に垂下
させてその各下端部をワイヤ支持部１２，１２に
係止または固定すべくしてもよい。

以上の如く本考案は、中間部にブレーキシユー
をもち、基端部を枢支軸を介して１対の固定台座
にそれぞれ揺動自由に支持した各リンクの先端部
に回動部材を前記枢支軸と同方向の支持軸を中心
に回転自由に支持すると共に、中間部を操作ワイ
ヤに連結し、両端を固定部材に係止した作動ワイ
ヤの、前記操作ワイヤへの連結部と、前記固定部
材への係止部との間に位置する途中部分を、前記
回動部材の外周に掛設したから制動操作時制動操
作力の２倍の作動力で各リンクを滑車により揺動
させられ、リンクのアーチ比が小さくともブレー
キシユーのリムに対する制動力を十分大なる値に
でき、従つて容易な操作で確実に制動できなが
ら、リムがホークの横方向外方に延び出す量を最
小限にでき、人体に対する危険をなくすることが
できると共に、自転車の転倒時に激突作動して固
定台座が彎曲変形する事故を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す正面図、第２図
は要部の断面側面図、第３図は本考案の他の実施
例を示す正面図、第４図は回動部材の他の実施例
を示す説明図、第５図は従来例を示す説明図であ
る。 １……固定台座、３……リンク、７……ブレー
キシユー、１０……回動部材、W₂……作動ワイ
ヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. １対の固定台座に、中間部にブレーキシユーを
   もつたリンクの基端部をそれぞれ枢支軸を介して
   揺動自由に支持したカンテイレバーブレーキであ
   つて、前記各リンクの先端部に回動部材を前記枢
   支軸と同方向の支持軸を中心に回転自由に支持す
   ると共に、中間部を操作ワイヤに連結し、両端を
   固定部材に係止した作動ワイヤの、前記操作ワイ
   ヤへの連結部と、前記固定部材への係止部との間
   に位置する途中部分を、前記回動部材の外周に掛
   設したことを特徴とする自動車用カンテイレバー
   ブレーキ。