JPS633531Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車のシートの前後方向の摺動自
在に支承し、かつ、所望の位置にロツクし得るよ
うに構成されたシートアジヤスタに関するもので
ある。

第１図はシートアジヤスタの一例の平面図、第
２図は同側面図、第３図は第１図のＡ−Ａ断面図
である。これらの図に示されているように、シー
トアジヤスタは一般にロワレール１を自動車車体
（図示せず）の前後方向に、車室の床面に固定し、
このロワレール１には長手方向に多数のロツク孔
２を列設する。

上記のロワレール１によつて、シート（図示せ
ず）を担持するアツパレール３がボール、ローラ
（共に図示を省略）を介して摺動自在に案内して
いる。

上記のアツパレール３に対して、ロツクプレー
ト４のブラケツトの役目をするアツパプレート５
を固定し、ロツクプレート軸６によりロツクプレ
ート４を回動自在に枢支する。このロツクプレー
ト４にロツク用爪４ａを形成し、ロツクプレート
４の回動に伴つて前記のロツク孔２に自在に係脱
せしめ得るように構成する。７は上記のロツクプ
レート４に係合方向の回動力を付勢するように設
けたスプリングである。

第４図は上記と異なるシートアジヤスタの断面
図で、前掲の例における第３図に対応する図であ
る。第４図のシートアジヤスタは第３図のシート
アジヤスタと類似の構成であるが、次記の点が異
つている。

即ち、第３図のシートアジヤスタのロツクプレ
ート軸６は、ロワレール１のロツク孔２を設けた
面とほぼ同一の面に配設してあるが、これに比較
して第４図のシートアジヤスタのロツクプレート
軸６は、ロワレール１のロツク孔２を設けた面よ
りも寸法ｌだけ離して配設してある。

上記の両者の長短について説明する。自動車車
体が急加速又は急減速を受けたとき、シートを担
持するアツパレール３はレール長手方向の慣性力
を受け、この慣性力はロツクプレート４のロツク
爪４ａとロツク孔２との係合によつて支承され
る。自動車が急ブレーキ又は衝突によつて減速方
向に衝撃を受けた場合、上記の係合部は大きい衝
撃荷重を受けてロツク用爪４ａがロツク孔２から
外れる虞れがある。第５図はその説明図である。
矢印Ｂはアツパプレート５に軸支されたロツクプ
レート４が受ける慣性力の方向を示し、矢印Ｃは
上記の慣性力を係止するロツク用爪４ａがロワレ
ール１から受ける反力を示している。この場合、
ロワレール１のロツク孔２を設けた面とロツクプ
レート４の回転中心であるロツクプレート軸６と
の上下方向距離ｌが大きいほどロツクプレート４
に大きいモーメントが掛かり、このためロツク用
爪４ａがロワレール１のロツク孔から外れようと
する。アツパプレート５には舌片状のロツク支持
部５ａが形成されていて、ロツク用爪４ａは上記
ロツク支持部５ａの側面５_a-1に当接する。これ
によりロツク爪４ａの脱出を防ぐ作用を生じる
が、上記の側面５_a-1が荷重の方向矢印Ｂ（レール
長手方向と一致する）に対して垂直な面であるた
め充分な脱出防止効果が得られない。

上記の荷重を受けてロツクプレート４のロツク
用爪４ａが次第に変形して第１図に示したギヤツ
プｇが拡大するとますますロツク爪４ａが外れ易
くなる。

上記のように作用する場合、第４図のシートア
ジヤスタは第３図のシートアジヤスタに比して寸
法ｌが大きいため、ロツク用爪４ａが外れ易い。
第３図のシートアジヤスタは第４図のシートアジ
ヤスタに比してロツク用爪４ａが外れにくいが、
図から容易に理解されるように、各構成部材をこ
の図の状態に組み合わせてからロツクプレート軸
６のカシメ作業をすることが非常に困難である。
このため組立工数が増加するという不具合があ
り、また一方では設計面においてロツクプレート
軸６の配設位置について設計の自由度が小さいと
いう不便がある。

本考案は上述の事情に鑑みて為され、その目的
とするところはロツクプレート軸の設置位置に関
する設計的自由度を大きく保つて、しかもロツク
プレートが大きい慣性力を受けてもロワレールか
ら外れる虞れの無いシートアジヤスタを提供する
にある。

上記の目的を達成するため、本考案のシートア
ジヤスタは、車室の床に固定されてその長手方向
にロツク孔を列設されたロワレールと、上記のロ
ワレールに沿つて摺動自在に案内されてシートを
担持するアツパレールと、上記アツパレールに固
着されたアツパプレートと、上記のアツパプレー
トに回動自在に枢支されて前記のロツク孔に係合
するロツク爪を一体的に形成されたロツクプレー
トとからなるシートアジヤスタにおいて、前記ア
ツパプレートのロツク支持部がロツク爪に対向し
ている面を、アツパレール及びロワレールの長手
方向と垂直な面に対して傾斜させた形状としたこ
とを特徴とする。

次に、本考案の一実施例を第６図について説明
する。第６図は、第５図に示した従来形シートア
ジヤスタに本考案を適用して改良したシートアジ
ヤスタのアツパプレート５を抽出して描いた説明
図である。

５ａは前述のロツク支持部であり、仮想線で示
した５_a-1は比較のために示した従来形のロツク
支持部の側面形状を表わしている。この従来形ロ
ツク支持部の側面５_a-1は既述のごとく荷重の方
向矢印Ｂ（レール長手方向）に対して垂直をなし
ている。

本実施例のロツク支持部の側面５_a-2（実線で
示す）は、前記の垂直面５_a-1に対して傾斜を付
した形状に構成する。

上記の傾斜の方向は、ロツクプレート４（図示
せず）の端面が矢印Ｅのごとく側面５_a-2に押し
つけられたとき、この斜面によつて矢印Ｆのごと
くロワレール１に向かう分力を発生する方向に形
成する。

本実施例は以上のように構成してあるので、第
７図に示すようにロツクプレート４がアツパプレ
ート支持部５ａの側面５_a-2に当接して矢印Ｅ方
向の力を及ぼしたとき、上記の側面５_a-2が慣性
力の方向と垂直な面（図示せず）に対して傾斜し
ているため、矢印Ｆのごとくロツク用爪４ａをロ
ワレール１に向けて押しつける方向の分力を発生
する。

上記の分力により、ロツク用爪４ａはロワレー
ル１のロツク孔２の中で嵌入する方向の力を受
け、ロツク孔２からの脱出が防止される。このよ
うに、ロツク支持部５ａがロツク爪４ａに対向し
ている側面５_a-2を、アツパレール３及びロワレ
ール１の長手方向と垂直な面に対して傾斜させる
ことにより、その斜面の作用でロツク用爪４ａの
脱出が防止されるので、ロツクプレート軸６の設
置位置を厳しく制約しなくてもロツク用爪４ａが
慣性力によつてロツク孔２から脱出する虞れが無
い。ロツクプレート軸６の設定位置に関する自由
度が大きくなると設計が容易になり、組立作業を
容易ならしめるような構造とすることが可能とな
る。

以上詳述したように、本考案を適用するとロツ
クプレート軸の設置位置に関する自由度を大きく
することができ、しかもロツクプレートが大きい
慣性力を受けてもロワレールのロツク孔から脱出
する虞れが無い。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は従来形シートアジヤスタの
一例を示し、第１図は平面図、第２図は側面図、
第３図は第１図のＡ−Ａ断面図である。第４図は
上記と異なる従来形シートアジヤスタの断面図で
ある。第５図は従来形シートアジヤスタにおける
作動説明図である。第６図および第７図は本考案
のシートアジヤスタの一実施例を示し、第６図は
アツパプレートを抽出して描いた外観図、第７図
は作用説明図である。 １…ロワレール、２…ロツク孔、３…アツパレ
ール、４…ロツクプレート、４ａ…ロツク用爪、
５…アツパプレート、５ａ…アツパプレートのロ
ツク支持部、５_a-1…従来形ロツク支持部の側面、
５_a-2…本考案の一実施例のロツク支持部の側面、
６…ロツクプレート軸、７…スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自動車の車室の床に固定されてその長手方向に
   ロツク孔を列設されたロワレールと、上記のロワ
   レールに沿つて摺動自在に案内されてシートを担
   持するアツパレールと、上記のアツパレールに固
   着されたアツパプレートと、上記のアツパプレー
   トに回動自在に枢支されて前記のロツク孔に係合
   するロツク爪を一体的に形成されたロツクプレー
   トとからなるシートアジヤスタにおいて、前記ア
   ツパプレートのロツク支持部がロツク爪に対向し
   ている面を、アツパレール及びロワレールの長手
   方向と垂直な面に対して傾斜させた形状としたこ
   とを特徴とするシートアジヤスタ。