JPS6332852B2 - - Google Patents
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- JPS6332852B2 JPS6332852B2 JP14644580A JP14644580A JPS6332852B2 JP S6332852 B2 JPS6332852 B2 JP S6332852B2 JP 14644580 A JP14644580 A JP 14644580A JP 14644580 A JP14644580 A JP 14644580A JP S6332852 B2 JPS6332852 B2 JP S6332852B2
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Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
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- C21D8/02—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips
- C21D8/0205—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips of ferrous alloys
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- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
本発明は、作動ロールの周速が上下で異なる条
件で熱間圧延を施すことを特徴とするリジングの
発生が少なく、加工性の優れたフエライト系ステ
ンレス薄鋼板の製造方法に関するものであり、更
に従来フエライト系ステンレス鋼板の製造法にお
いては必要不可欠と考えられていた熱延板焼鈍を
Alの多量添加により不必要とする技術を提供す
るものである。 フエライト系ステンレス薄鋼板は、プレス加工
するとリジングと称せられる縞状の凹凸が発生
し、プレス加工後の美観が著しく損われる。この
フエライト系ステンレス鋼に特有なリジングの発
生原因は、<110>晶帯軸をもつ結晶粒が熱延によ
り圧延方向に延伸粒として残り、それ以降の製造
工程を経てもその影響が残存するためであると考
えられている。 本発明は熱間圧延工程で生成するこの延伸粒を
熱延工程で実質的にリジングに影響しない程度ま
で破壊することにより、リジングの少ないフエラ
イト系ステンレス薄鋼板を製造する方法を提供す
ることを第1の目的とするものである。 フエライト系ステンレス薄鋼板は熱延板焼鈍後
冷延されるが、この熱延板焼鈍は、再結晶による
熱延組織を破壊し、リジング特性を向上させるこ
とと、熱延冷却過程で形成された硬い相をフエラ
イト+炭窒化物に分離させることで冷延性及び絞
り性を向上させる点に冶金的意味があると考えら
れているが、本発明はAlを多量に添加すること
により、熱延仕上−捲取工程でγ相をフエライト
+炭窒化物に分解させることにより、熱延板焼鈍
を行なうことなく絞り性を向上させ、前述の異周
速熱延と組合わせることにより、リジングが少な
く且つ絞り成形性のすぐれたフエライト系ステン
レス薄鋼板を熱延板焼鈍なしで製造する方法をも
提供することを別の目的とするものである。 以下本発明を詳細に説明する。 本発明の対象となる鋼はC:0.12%以下、Cr10
〜20%を含有するフエライト系ステンレス鋼で、
SUS430鋼がその代表的なものであるが、更に加
工性を高めるために極低C、N化及びTi、Nb、
B、Nb添加を行なつた17Cr鋼およびこれに靭
性、特に溶接部の靭性を高めるためにMnを2.0%
以下で添加した極低C、N−高Mn−Ti添加17Cr
鋼、耐食性を高めるためにMo:0.5〜3%添加し
たSUS434に代表される高耐食性フエライト系ス
テンレス鋼である。 本発明においてAlを0.08%〜0.5%含有したフ
エライト系ステンレス鋼スラブを出発材として熱
延板焼鈍なしで薄鋼板を製造する場合は、出発素
材中のCは0.03%以上含有することが望ましい。
これは熱間加工中にオーステナイト相を存在させ
ることにより、熱延中の再形晶の促進、スラブ加
熱時の粒異常成長防止をはかり、熱延終了後の鋼
板に若干の硬い相を残留させ、リジング特性を向
上させるためである。 一般にフエライト系ステンレス薄鋼板は、熱間
圧延温度に加熱されたスラブから連続熱間圧延機
による熱間圧延、熱延板焼鈍を経て一回または中
間焼鈍をはさむ二回以上の冷延焼鈍工程により製
造される。ところで、従来の連続熱間圧延機にお
ける作動ロールの周速は上、下ロールともほぼ等
周速で圧延されていたが、この様な等周速ロール
で熱間圧延された熱延板は、フエライト結晶粒が
展伸した層状組織を呈しており、特に板厚中心層
ではその傾向が強く、リジング性に対して不利な
組織となつている。本発明者等はこの層状組織を
効果的に破壊あるいは減少せしめれば、リジング
性を抜本的に改善することが可能であると判断
し、層状組織の破壊方法について種々検討を行つ
た結果、周速の異なる作動ロールを用いて熱間圧
延を行なうことによりリジング性が著しく改善さ
れることがわかつた。周速を変える方法として
は、上下ロールの径が一定の場合は、ロールの回
転数を上下ロールで変えることにより可能であ
り、上下ロールの径が異なる場合には、上下ロー
ルの回転数を一定としても良い。 ロールの周速が一定でロール径のみ異なる場合
(異径ロールの組合わせで片ロールのみ駆動させ
る場合に相当する条件)も、上下ロールとも等径
でかつ上下ロールの周速がほぼ等しい通常の圧延
方法と比較するとリジング低減効果は大きいが、
異周速圧延した場合の効果と比較すると効果が少
ないことが判つた。 このような異周速圧延を素材の片面のみ1回以
上の高速ロール側で圧延した場合には、通常の圧
延と比較するとリジング特性は著しく向上する
が、深絞り性の指標と考えられるランクオード値
(以下r値と略記する)が若干低下することが判
明した。しかしながら素材の片面が少なくとも1
回以上高速ロール側のロール及び低速ロール側の
ロールで圧延された場合は、リジングは同一面の
み高速ロール側で圧延した場合と同等又はそれ以
上に向上し、r値は普通圧延した場合と同等又は
それ以上の向上があることが見い出された。その
冶金的理由についてはわからないが、片面のみの
異周速圧延と比べてより多くのすべり系が働き、
結果として、リジング性、r値の向上に結びつい
たものと考えている。 このような異周速圧延をSolAl0.08%〜0.5%、
C0.03%以上含有したフエライト系ステンレス薄
鋼板の製造に適用した所、熱延板焼鈍を行なうこ
となく冷延し、最終焼鈍を行うことで、リジング
性、r値の著しくすぐれた薄鋼板が得られた。し
かしAlが0.08%未満の場合、このような方法で製
造した本発明者の実験結果では、リジングは通常
の圧延方法と比べで良好であつたが、冷延性が著
しく悪く、得られた製品のr値も1.10以下で絞り
成形性が悪かつた。 Alを多量に添加すると、熱延板焼鈍なしでも
r値がすぐれでいる理由は次のように考えてい
る。通常のSUS430鋼を通常の方法で熱間圧延を
行なうと、熱延板はオーステナイトが変態して生
じた著しく硬度の高い、かたい相とフエライト、
炭窒化物から構成され、この硬い相は、冷延性を
阻害し、最終焼鈍でもフエライトと炭窒化物への
完全分離が行なわれず、著しくr値を低下させ、
降伏点を高め、伸びを若干減少させる。しかしな
がらこのようなSUS430鋼に多量のAlを添加して
もC量が0.03%を超えると、スラブ加熱中にはオ
ーステナイトが存在して、フエライト単相のステ
ンレスと異なり粒の異常成長を防止し、熱間圧延
中もフエライトとオーステナイトの2相が共存し
ているため、フエライト単相と比べて熱延中の再
結晶がより進行し、リジング特性を劣化させる層
状組織の発達を抑えることが出来る。熱延の仕上
捲取工程においてはAlの作用効果によりこのオ
ーステナイト相はフエライト+炭化物にかなりの
部分が分離する為、熱延のままの状態で冷延性を
阻害するかたい相が少ないため、熱延板焼鈍なし
で冷延が可能となり、最終焼鈍工程においてはフ
エライト+炭窒化物へ完全分離するため、r値が
向上する。r値向上のもう一つの理由は、鋼中に
含有しているNが多量に含まれているAlのため
にN as AlNの形で固定され、無害化されるた
めと考えられる。 次に本発明者等が行なつた実験例を示す。 C0.05%、Si0.40%、Mn0.30%、Cr17.2%、
Al0.03%及び0.2%、残部Feからなるフエライト
系ステンレス鋼の25mm厚の粗圧スラブを熱延用素
材とし、ロール径比で0〜50%、異周速率で1〜
50の範囲で変えた試験を行なつた。素材の加熱温
度を1200〜800℃の温度範囲で、1パスの圧下率
は、第1図に示す如く、異周速比率によつて図の
範囲内に納まるようにして実験した。ここで異周
速率は次の式で定義した。異周速率=(V2−V1/V2) ×100%(但しV2は高速ロールの周速、V1は低速
ロールの周速を示す。)この範囲を著しく逸脱し
た場合は、素材が曲がつたり、ロールと圧延素材
間でスリツプが生じ好ましくない。このようにし
て熱延した素材は板厚3.7mmとした。ついでこの
熱延板を熱延板焼鈍を行なうことなく冷延後、
0.7mmの薄鋼板とし、840℃の温度で最終焼鈍を行
なつた。一方850℃の温度で2時間熱延板焼鈍後
冷延を行ない、840℃の温度で最終焼鈍を行なう
工程でも処理した。 こうして得られた薄鋼板から圧延方向に平行な
引張り試験片を切り出し、20%の引張歪を与え
て、引張方向に直角方向の板表面の凹凸を表面相
度計で測定してリジング高さとした。又深絞り性
はランクフオード値を測定して良否の判定を行つ
た。その結果を第2図に模式的に示したが1パス
の圧下率が20%以上で高い程又異周速率が5%以
上好ましくは10%以上高い程リジング性が改善さ
れることがわかつた。リジング平均高さはAlの
含有量によつて殆んど影響を受けなかつたが、熱
延板焼鈍なしの工程で処理した場合の異周速率と
リジング高さについての相対的な関係は熱延板焼
鈍有の工程と同一であつたが、リジングの絶対値
が大きかつた。異周速率0%即ちロールの周速は
上下ロールとも同一でロール径のみ異なる条件で
圧延した場合ロール異径率={(D0−D)/D0}×
100%(但しD0:大径ロール径、D:小径ロール
径)が増す程リジング特性は向上する傾向を示し
たが、異周速圧延と比較するとその効果は小さ
い。 次にr値の測定結果について述べる。Al0.03%
を含むフエライト系ステンレス鋼スラブから熱延
板焼鈍なしの工程で処理した場合の製品のr値は
異径、異周速圧延の条件にかかわらず平均1.10以
下であつたが、熱延板焼鈍有の工程で処理したも
の及び、Al0.2%を含んだ材料では熱延板焼鈍な
しで処理したものはいづれもr値は1.2以上と良
好であつたが、第3図に模式的に示す如く、異周
速率が増加するとr値が低下することがわかつ
た。この実験では圧延素材の片面は常に周速の速
い側に接するように圧延した場合の結果を示した
ものであるが、圧延素材の片面が少なくとも1パ
ス以上周速の速いロールと周速の遅いロールで圧
延されるよう圧延ロールの周速配分を行なつた圧
延を行うことにより、r値は普通圧延と同等以上
に向上し、リジングは同一面のみ周速の速いロー
ルと接した圧延方式の場合と同等以上の良好な結
果が得られた。 以上の知見に基づき複数台の圧延機群からなる
連続熱間圧延機の仕上段階で複数台の圧延機で圧
延素材の片面が高速ロール側で1回、低速ロール
側で1回及び、一台の圧延機のみを異周速熱延出
来るようにして熱間圧延を行なつたところ、リジ
ング特性が著しく改善され、片面が高速ロール及
び低速ロールで圧延された場合には、r値も通常
の圧延と比べて全く損色ないことが確認できた。
又Alを多量に含んだSUS430鋼の場合には、熱延
板焼なしの場合でも、得られた製品のr値及びリ
ジング特性はきわめて良好であつた。 ここで、この異周速圧延を熱間圧延工程に用い
た場合のリジング性改善に対する作用効果につい
て説明する。 通常の熱延では第4図Aに示すように中立点は
上下ロール間で対称の位置に存在する。この場
合、材料板厚の表面部はロールに拘束されたすべ
り変形が進行し板厚中心部はロールの拘束は受け
ない圧縮変形となり、変形は板厚方向で対象な変
形となり、材料の塑性フローは図に示したように
なる。そのため熱延後の板厚中心部は<110>晶
帯軸をもつ結晶粒が圧延方向に延伸粒として残留
する。これに対して異周速圧延を行う場合は、第
4図bに示した如く中立点の位置が上下ロール間
でずれるため、材料の板厚方向で非対象なすべり
変形になり、材料は図に示すような塑性フローを
とり、板厚内部までロールで拘束された剪断応力
が及ぶようになり、このため<110>晶帯軸をも
つ結晶粒が効果的に破壊され、製品のリジング特
性が向上されることになる。 次に本発明の構成要件の限定理由について述べ
る。 熱間圧延方法は本発明の中核をなすものであ
り、リジング性に最も悪影響をおよぼす層状組織
をロール周速の異なる上下一対の作動ロールを用
いて破壊しリジング改善に導く。従つて、複数台
の圧延機から構成される連続熱延機においては、
このような異周速圧延は、少なくとも1台の圧延
機で行なえばリジング低減効果は発揮されるが、
複数台で行なえばより効果的である。この場合圧
延素材の片面は少なくとも高速側のロールで1パ
ス、低速側のロールで1パス以上圧延すること
が、r値、リジング両者を向上させるためには必
要である。異周速率は5%以上、異周速圧延の圧
下率は20%以上であれば効果がある。その際、圧
延機のパワーがなければ、複数のパスで圧下率が
20%以上となるように熱間圧延しても本発明の効
果が得られることは勿論である。異周速率は、5
%以上あれば効果は発揮されるが、より一層のリ
ジング改善効果を要する場合には、これを10%以
上とすればよい。その際、異周速率は高いほど好
ましいけれども、50%を超えて高くすると、材料
や圧延条件にもよるが、圧延材がロールに巻付い
たり、圧延ロール表面の損傷がひどくなる等の問
題を生じる。従つて、異周速率は50%以下に限定
される。一方、異周速圧延を行うときの圧下率
は、20%以上で高いほど好ましいけれども、80%
を超える圧下率を適用する熱間圧延を行うと、材
料や圧延条件にもよるが、圧延材がロールに巻き
付いたり、破断したり或は圧延ロール表面の損傷
がひどくなる等の問題を生じる。従つて、圧下率
は80%以下に限定される。異周速圧延技術とAl
の多量添加により、熱延板焼鈍なしの製造プロセ
スでリジング及びr値のすぐれたステンレス薄鋼
板を製造出来るが、Alの添加量の下限を0.08%と
したのは、これ未満では、リジング特性は向上さ
れるがr値が悪いためであり、Alの添加量は多
い程r値は向上するが、0.5%を越えるとその効
果は飽和するので経済的な理由から上限を0.5%
とした。Alを多量に添加した場合も、熱間圧延
中はフエライトとオーステナイトの2相共存領域
にあることが望ましいのでC+N≧0.03%が好ま
しい。 直接圧延の場合を除いて通常は熱延のためのス
ラブ加熱を行なうが、加熱温度が高すぎると結晶
粒が粗大化し、粗いバンド組織を発生し易すくリ
ジング性を阻害するので1200℃以下がよい。熱間
圧延中に層状組織を破壊するためには再結晶を起
こさせる必要があり、900℃以下の温度から熱間
圧延を開始した場合は、熱間圧延工程での再結晶
は殆んど期待できない。通常スラブ加熱温度は熱
延開始温度とほぼ等しいことから、スラブ加熱温
度は900℃以上が良い。以上の理由からスラブ加
熱温度は1200℃〜900℃が好ましい。連続熱間圧
延機においてはスラブが加熱炉から出て粗圧延機
及び仕上圧延機を通り所定の厚さに圧延され捲取
られるが、粗圧延開始温度は1200〜900℃で良い
が、仕上圧延機入側では第2図、第3図の知見か
ら低温程好ましい。 以下実施例を用いて本発明の効果を具体的に説
明する。 実施例 1 表1に示す成分の厚さ25mmのフエライト系ステ
ンレスの粗圧スラブを1200〜800℃の各温度に30
分加熱後、表2に示す熱間圧延条件で4パスで
3.7mmの熱延板に圧延した。ついでそれを850℃×
6hrの箱焼鈍後及び熱延板のまま箱焼鈍を行わな
いで1回の冷間圧延を行なつて厚さ0.7mmとし、
840℃×3分の最終焼鈍を行なつて製品とした。
この製品のリジング特性とr値を測定し、結果を
第5図に示した。 第5図aは熱延板焼鈍を行なつた工程の通常熱
延、等径異周速熱延、異径、異周速熱延、異径等
周速熱延した場合の製品のリジング特性を示した
もので通常熱延の場合と比べて本発明で示した如
く異周速熱延(等径異周速熱延、異径周速熱延)
は通常の熱延と比べて著しくリジングが改善され
ていた。ロールの周速は一定でロール径のみ異な
つている異径等周速熱延は、普通熱延と比較する
とリジングはかなり改善されているが、異周速熱
延と比較すると改善効果が少ない。 第5図bは、熱延板焼鈍を行なつた工程の異周
速熱延の組合わせ条件とリジング、r値の関係を
示したもので、異周速熱延はロールの組合わせ条
件に関係なく普通熱延材と比べて良好であるが、
r値は、片面のみ高速ロール側で熱延された場合
は普通熱延材と比べて若干劣化するが、高速ロー
ル側と低速ロール側で熱延した場合には普通圧延
と同等以上のr値を示している。 第5図cは熱延板焼鈍なしの工程材の製品のr
値、リジングと成分(Al)、熱延条件の関係を示
したもので、本発明で示した如くAlを多量に含
有したものを、異周速熱延したものは、r値、リ
ジングともにAl添加なしで通常熱延したものと
比べて著しく改善されていた。 実施例 2 表3に示す成分の厚さ200mmのフエライト系ス
テンレススラブを1100℃の温度で2時間加熱後4
パスで20mm厚とした。ついで6台の連続仕上熱延
機で熱延を行なつたが、仕上熱延機入側の温度は
950℃、仕上熱延終了温度は850℃、捲取温度は
670℃とした。仕上熱延における異周速熱延条件
を表4に示した。ついで実施例1と同様な方法に
より、厚さ0.7mmの製品とし、リジング性及びr
値を調べ第4表にまとめて示した。 表から明らかな如く従来法と比べて本発明に従
つて処理した場合はリジングが著しく改善される
ことがわかる。 以上の説明から明らかなように、本発明の特徴
はリジング性に最も影響を与える熱延板の層状組
織を、その生成段階に実質的にリジング性に影響
を与えないよう、異周速熱延を施し破壊しひいて
はAlの多量添加によりr値を向上させ、熱延板
焼鈍なしでもr値、リジング性のすぐれたフエラ
イト系ステンレス薄鋼板を製造するところにあ
る。
件で熱間圧延を施すことを特徴とするリジングの
発生が少なく、加工性の優れたフエライト系ステ
ンレス薄鋼板の製造方法に関するものであり、更
に従来フエライト系ステンレス鋼板の製造法にお
いては必要不可欠と考えられていた熱延板焼鈍を
Alの多量添加により不必要とする技術を提供す
るものである。 フエライト系ステンレス薄鋼板は、プレス加工
するとリジングと称せられる縞状の凹凸が発生
し、プレス加工後の美観が著しく損われる。この
フエライト系ステンレス鋼に特有なリジングの発
生原因は、<110>晶帯軸をもつ結晶粒が熱延によ
り圧延方向に延伸粒として残り、それ以降の製造
工程を経てもその影響が残存するためであると考
えられている。 本発明は熱間圧延工程で生成するこの延伸粒を
熱延工程で実質的にリジングに影響しない程度ま
で破壊することにより、リジングの少ないフエラ
イト系ステンレス薄鋼板を製造する方法を提供す
ることを第1の目的とするものである。 フエライト系ステンレス薄鋼板は熱延板焼鈍後
冷延されるが、この熱延板焼鈍は、再結晶による
熱延組織を破壊し、リジング特性を向上させるこ
とと、熱延冷却過程で形成された硬い相をフエラ
イト+炭窒化物に分離させることで冷延性及び絞
り性を向上させる点に冶金的意味があると考えら
れているが、本発明はAlを多量に添加すること
により、熱延仕上−捲取工程でγ相をフエライト
+炭窒化物に分解させることにより、熱延板焼鈍
を行なうことなく絞り性を向上させ、前述の異周
速熱延と組合わせることにより、リジングが少な
く且つ絞り成形性のすぐれたフエライト系ステン
レス薄鋼板を熱延板焼鈍なしで製造する方法をも
提供することを別の目的とするものである。 以下本発明を詳細に説明する。 本発明の対象となる鋼はC:0.12%以下、Cr10
〜20%を含有するフエライト系ステンレス鋼で、
SUS430鋼がその代表的なものであるが、更に加
工性を高めるために極低C、N化及びTi、Nb、
B、Nb添加を行なつた17Cr鋼およびこれに靭
性、特に溶接部の靭性を高めるためにMnを2.0%
以下で添加した極低C、N−高Mn−Ti添加17Cr
鋼、耐食性を高めるためにMo:0.5〜3%添加し
たSUS434に代表される高耐食性フエライト系ス
テンレス鋼である。 本発明においてAlを0.08%〜0.5%含有したフ
エライト系ステンレス鋼スラブを出発材として熱
延板焼鈍なしで薄鋼板を製造する場合は、出発素
材中のCは0.03%以上含有することが望ましい。
これは熱間加工中にオーステナイト相を存在させ
ることにより、熱延中の再形晶の促進、スラブ加
熱時の粒異常成長防止をはかり、熱延終了後の鋼
板に若干の硬い相を残留させ、リジング特性を向
上させるためである。 一般にフエライト系ステンレス薄鋼板は、熱間
圧延温度に加熱されたスラブから連続熱間圧延機
による熱間圧延、熱延板焼鈍を経て一回または中
間焼鈍をはさむ二回以上の冷延焼鈍工程により製
造される。ところで、従来の連続熱間圧延機にお
ける作動ロールの周速は上、下ロールともほぼ等
周速で圧延されていたが、この様な等周速ロール
で熱間圧延された熱延板は、フエライト結晶粒が
展伸した層状組織を呈しており、特に板厚中心層
ではその傾向が強く、リジング性に対して不利な
組織となつている。本発明者等はこの層状組織を
効果的に破壊あるいは減少せしめれば、リジング
性を抜本的に改善することが可能であると判断
し、層状組織の破壊方法について種々検討を行つ
た結果、周速の異なる作動ロールを用いて熱間圧
延を行なうことによりリジング性が著しく改善さ
れることがわかつた。周速を変える方法として
は、上下ロールの径が一定の場合は、ロールの回
転数を上下ロールで変えることにより可能であ
り、上下ロールの径が異なる場合には、上下ロー
ルの回転数を一定としても良い。 ロールの周速が一定でロール径のみ異なる場合
(異径ロールの組合わせで片ロールのみ駆動させ
る場合に相当する条件)も、上下ロールとも等径
でかつ上下ロールの周速がほぼ等しい通常の圧延
方法と比較するとリジング低減効果は大きいが、
異周速圧延した場合の効果と比較すると効果が少
ないことが判つた。 このような異周速圧延を素材の片面のみ1回以
上の高速ロール側で圧延した場合には、通常の圧
延と比較するとリジング特性は著しく向上する
が、深絞り性の指標と考えられるランクオード値
(以下r値と略記する)が若干低下することが判
明した。しかしながら素材の片面が少なくとも1
回以上高速ロール側のロール及び低速ロール側の
ロールで圧延された場合は、リジングは同一面の
み高速ロール側で圧延した場合と同等又はそれ以
上に向上し、r値は普通圧延した場合と同等又は
それ以上の向上があることが見い出された。その
冶金的理由についてはわからないが、片面のみの
異周速圧延と比べてより多くのすべり系が働き、
結果として、リジング性、r値の向上に結びつい
たものと考えている。 このような異周速圧延をSolAl0.08%〜0.5%、
C0.03%以上含有したフエライト系ステンレス薄
鋼板の製造に適用した所、熱延板焼鈍を行なうこ
となく冷延し、最終焼鈍を行うことで、リジング
性、r値の著しくすぐれた薄鋼板が得られた。し
かしAlが0.08%未満の場合、このような方法で製
造した本発明者の実験結果では、リジングは通常
の圧延方法と比べで良好であつたが、冷延性が著
しく悪く、得られた製品のr値も1.10以下で絞り
成形性が悪かつた。 Alを多量に添加すると、熱延板焼鈍なしでも
r値がすぐれでいる理由は次のように考えてい
る。通常のSUS430鋼を通常の方法で熱間圧延を
行なうと、熱延板はオーステナイトが変態して生
じた著しく硬度の高い、かたい相とフエライト、
炭窒化物から構成され、この硬い相は、冷延性を
阻害し、最終焼鈍でもフエライトと炭窒化物への
完全分離が行なわれず、著しくr値を低下させ、
降伏点を高め、伸びを若干減少させる。しかしな
がらこのようなSUS430鋼に多量のAlを添加して
もC量が0.03%を超えると、スラブ加熱中にはオ
ーステナイトが存在して、フエライト単相のステ
ンレスと異なり粒の異常成長を防止し、熱間圧延
中もフエライトとオーステナイトの2相が共存し
ているため、フエライト単相と比べて熱延中の再
結晶がより進行し、リジング特性を劣化させる層
状組織の発達を抑えることが出来る。熱延の仕上
捲取工程においてはAlの作用効果によりこのオ
ーステナイト相はフエライト+炭化物にかなりの
部分が分離する為、熱延のままの状態で冷延性を
阻害するかたい相が少ないため、熱延板焼鈍なし
で冷延が可能となり、最終焼鈍工程においてはフ
エライト+炭窒化物へ完全分離するため、r値が
向上する。r値向上のもう一つの理由は、鋼中に
含有しているNが多量に含まれているAlのため
にN as AlNの形で固定され、無害化されるた
めと考えられる。 次に本発明者等が行なつた実験例を示す。 C0.05%、Si0.40%、Mn0.30%、Cr17.2%、
Al0.03%及び0.2%、残部Feからなるフエライト
系ステンレス鋼の25mm厚の粗圧スラブを熱延用素
材とし、ロール径比で0〜50%、異周速率で1〜
50の範囲で変えた試験を行なつた。素材の加熱温
度を1200〜800℃の温度範囲で、1パスの圧下率
は、第1図に示す如く、異周速比率によつて図の
範囲内に納まるようにして実験した。ここで異周
速率は次の式で定義した。異周速率=(V2−V1/V2) ×100%(但しV2は高速ロールの周速、V1は低速
ロールの周速を示す。)この範囲を著しく逸脱し
た場合は、素材が曲がつたり、ロールと圧延素材
間でスリツプが生じ好ましくない。このようにし
て熱延した素材は板厚3.7mmとした。ついでこの
熱延板を熱延板焼鈍を行なうことなく冷延後、
0.7mmの薄鋼板とし、840℃の温度で最終焼鈍を行
なつた。一方850℃の温度で2時間熱延板焼鈍後
冷延を行ない、840℃の温度で最終焼鈍を行なう
工程でも処理した。 こうして得られた薄鋼板から圧延方向に平行な
引張り試験片を切り出し、20%の引張歪を与え
て、引張方向に直角方向の板表面の凹凸を表面相
度計で測定してリジング高さとした。又深絞り性
はランクフオード値を測定して良否の判定を行つ
た。その結果を第2図に模式的に示したが1パス
の圧下率が20%以上で高い程又異周速率が5%以
上好ましくは10%以上高い程リジング性が改善さ
れることがわかつた。リジング平均高さはAlの
含有量によつて殆んど影響を受けなかつたが、熱
延板焼鈍なしの工程で処理した場合の異周速率と
リジング高さについての相対的な関係は熱延板焼
鈍有の工程と同一であつたが、リジングの絶対値
が大きかつた。異周速率0%即ちロールの周速は
上下ロールとも同一でロール径のみ異なる条件で
圧延した場合ロール異径率={(D0−D)/D0}×
100%(但しD0:大径ロール径、D:小径ロール
径)が増す程リジング特性は向上する傾向を示し
たが、異周速圧延と比較するとその効果は小さ
い。 次にr値の測定結果について述べる。Al0.03%
を含むフエライト系ステンレス鋼スラブから熱延
板焼鈍なしの工程で処理した場合の製品のr値は
異径、異周速圧延の条件にかかわらず平均1.10以
下であつたが、熱延板焼鈍有の工程で処理したも
の及び、Al0.2%を含んだ材料では熱延板焼鈍な
しで処理したものはいづれもr値は1.2以上と良
好であつたが、第3図に模式的に示す如く、異周
速率が増加するとr値が低下することがわかつ
た。この実験では圧延素材の片面は常に周速の速
い側に接するように圧延した場合の結果を示した
ものであるが、圧延素材の片面が少なくとも1パ
ス以上周速の速いロールと周速の遅いロールで圧
延されるよう圧延ロールの周速配分を行なつた圧
延を行うことにより、r値は普通圧延と同等以上
に向上し、リジングは同一面のみ周速の速いロー
ルと接した圧延方式の場合と同等以上の良好な結
果が得られた。 以上の知見に基づき複数台の圧延機群からなる
連続熱間圧延機の仕上段階で複数台の圧延機で圧
延素材の片面が高速ロール側で1回、低速ロール
側で1回及び、一台の圧延機のみを異周速熱延出
来るようにして熱間圧延を行なつたところ、リジ
ング特性が著しく改善され、片面が高速ロール及
び低速ロールで圧延された場合には、r値も通常
の圧延と比べて全く損色ないことが確認できた。
又Alを多量に含んだSUS430鋼の場合には、熱延
板焼なしの場合でも、得られた製品のr値及びリ
ジング特性はきわめて良好であつた。 ここで、この異周速圧延を熱間圧延工程に用い
た場合のリジング性改善に対する作用効果につい
て説明する。 通常の熱延では第4図Aに示すように中立点は
上下ロール間で対称の位置に存在する。この場
合、材料板厚の表面部はロールに拘束されたすべ
り変形が進行し板厚中心部はロールの拘束は受け
ない圧縮変形となり、変形は板厚方向で対象な変
形となり、材料の塑性フローは図に示したように
なる。そのため熱延後の板厚中心部は<110>晶
帯軸をもつ結晶粒が圧延方向に延伸粒として残留
する。これに対して異周速圧延を行う場合は、第
4図bに示した如く中立点の位置が上下ロール間
でずれるため、材料の板厚方向で非対象なすべり
変形になり、材料は図に示すような塑性フローを
とり、板厚内部までロールで拘束された剪断応力
が及ぶようになり、このため<110>晶帯軸をも
つ結晶粒が効果的に破壊され、製品のリジング特
性が向上されることになる。 次に本発明の構成要件の限定理由について述べ
る。 熱間圧延方法は本発明の中核をなすものであ
り、リジング性に最も悪影響をおよぼす層状組織
をロール周速の異なる上下一対の作動ロールを用
いて破壊しリジング改善に導く。従つて、複数台
の圧延機から構成される連続熱延機においては、
このような異周速圧延は、少なくとも1台の圧延
機で行なえばリジング低減効果は発揮されるが、
複数台で行なえばより効果的である。この場合圧
延素材の片面は少なくとも高速側のロールで1パ
ス、低速側のロールで1パス以上圧延すること
が、r値、リジング両者を向上させるためには必
要である。異周速率は5%以上、異周速圧延の圧
下率は20%以上であれば効果がある。その際、圧
延機のパワーがなければ、複数のパスで圧下率が
20%以上となるように熱間圧延しても本発明の効
果が得られることは勿論である。異周速率は、5
%以上あれば効果は発揮されるが、より一層のリ
ジング改善効果を要する場合には、これを10%以
上とすればよい。その際、異周速率は高いほど好
ましいけれども、50%を超えて高くすると、材料
や圧延条件にもよるが、圧延材がロールに巻付い
たり、圧延ロール表面の損傷がひどくなる等の問
題を生じる。従つて、異周速率は50%以下に限定
される。一方、異周速圧延を行うときの圧下率
は、20%以上で高いほど好ましいけれども、80%
を超える圧下率を適用する熱間圧延を行うと、材
料や圧延条件にもよるが、圧延材がロールに巻き
付いたり、破断したり或は圧延ロール表面の損傷
がひどくなる等の問題を生じる。従つて、圧下率
は80%以下に限定される。異周速圧延技術とAl
の多量添加により、熱延板焼鈍なしの製造プロセ
スでリジング及びr値のすぐれたステンレス薄鋼
板を製造出来るが、Alの添加量の下限を0.08%と
したのは、これ未満では、リジング特性は向上さ
れるがr値が悪いためであり、Alの添加量は多
い程r値は向上するが、0.5%を越えるとその効
果は飽和するので経済的な理由から上限を0.5%
とした。Alを多量に添加した場合も、熱間圧延
中はフエライトとオーステナイトの2相共存領域
にあることが望ましいのでC+N≧0.03%が好ま
しい。 直接圧延の場合を除いて通常は熱延のためのス
ラブ加熱を行なうが、加熱温度が高すぎると結晶
粒が粗大化し、粗いバンド組織を発生し易すくリ
ジング性を阻害するので1200℃以下がよい。熱間
圧延中に層状組織を破壊するためには再結晶を起
こさせる必要があり、900℃以下の温度から熱間
圧延を開始した場合は、熱間圧延工程での再結晶
は殆んど期待できない。通常スラブ加熱温度は熱
延開始温度とほぼ等しいことから、スラブ加熱温
度は900℃以上が良い。以上の理由からスラブ加
熱温度は1200℃〜900℃が好ましい。連続熱間圧
延機においてはスラブが加熱炉から出て粗圧延機
及び仕上圧延機を通り所定の厚さに圧延され捲取
られるが、粗圧延開始温度は1200〜900℃で良い
が、仕上圧延機入側では第2図、第3図の知見か
ら低温程好ましい。 以下実施例を用いて本発明の効果を具体的に説
明する。 実施例 1 表1に示す成分の厚さ25mmのフエライト系ステ
ンレスの粗圧スラブを1200〜800℃の各温度に30
分加熱後、表2に示す熱間圧延条件で4パスで
3.7mmの熱延板に圧延した。ついでそれを850℃×
6hrの箱焼鈍後及び熱延板のまま箱焼鈍を行わな
いで1回の冷間圧延を行なつて厚さ0.7mmとし、
840℃×3分の最終焼鈍を行なつて製品とした。
この製品のリジング特性とr値を測定し、結果を
第5図に示した。 第5図aは熱延板焼鈍を行なつた工程の通常熱
延、等径異周速熱延、異径、異周速熱延、異径等
周速熱延した場合の製品のリジング特性を示した
もので通常熱延の場合と比べて本発明で示した如
く異周速熱延(等径異周速熱延、異径周速熱延)
は通常の熱延と比べて著しくリジングが改善され
ていた。ロールの周速は一定でロール径のみ異な
つている異径等周速熱延は、普通熱延と比較する
とリジングはかなり改善されているが、異周速熱
延と比較すると改善効果が少ない。 第5図bは、熱延板焼鈍を行なつた工程の異周
速熱延の組合わせ条件とリジング、r値の関係を
示したもので、異周速熱延はロールの組合わせ条
件に関係なく普通熱延材と比べて良好であるが、
r値は、片面のみ高速ロール側で熱延された場合
は普通熱延材と比べて若干劣化するが、高速ロー
ル側と低速ロール側で熱延した場合には普通圧延
と同等以上のr値を示している。 第5図cは熱延板焼鈍なしの工程材の製品のr
値、リジングと成分(Al)、熱延条件の関係を示
したもので、本発明で示した如くAlを多量に含
有したものを、異周速熱延したものは、r値、リ
ジングともにAl添加なしで通常熱延したものと
比べて著しく改善されていた。 実施例 2 表3に示す成分の厚さ200mmのフエライト系ス
テンレススラブを1100℃の温度で2時間加熱後4
パスで20mm厚とした。ついで6台の連続仕上熱延
機で熱延を行なつたが、仕上熱延機入側の温度は
950℃、仕上熱延終了温度は850℃、捲取温度は
670℃とした。仕上熱延における異周速熱延条件
を表4に示した。ついで実施例1と同様な方法に
より、厚さ0.7mmの製品とし、リジング性及びr
値を調べ第4表にまとめて示した。 表から明らかな如く従来法と比べて本発明に従
つて処理した場合はリジングが著しく改善される
ことがわかる。 以上の説明から明らかなように、本発明の特徴
はリジング性に最も影響を与える熱延板の層状組
織を、その生成段階に実質的にリジング性に影響
を与えないよう、異周速熱延を施し破壊しひいて
はAlの多量添加によりr値を向上させ、熱延板
焼鈍なしでもr値、リジング性のすぐれたフエラ
イト系ステンレス薄鋼板を製造するところにあ
る。
【表】
【表】
【表】
○の条件が本発明の熱延条件、1、4は比較の熱延条
件
件
【表】
【表】
【表】
○本発明方法 熱延条件の符号の意味は
実施例2に同じ
実施例2に同じ
第1図は異周速率と、その異周速率をとつて圧
延するに必要な最低圧下率の関係を示す図、第2
図は異周速率とリジングの関係を示す模式図、第
3図は異周速率とr値の関係を示す模式図、第4
図は熱延方法の相違による塑性フローの差異を示
す図、第5図aは圧延様式とリジングの関係を示
す図、第5図bは圧延様式とr値、リジングの関
係を示す図、第5図cは熱延板焼鈍なし工程材の
圧延様式とリジング、r値の関係を示す図であ
る。
延するに必要な最低圧下率の関係を示す図、第2
図は異周速率とリジングの関係を示す模式図、第
3図は異周速率とr値の関係を示す模式図、第4
図は熱延方法の相違による塑性フローの差異を示
す図、第5図aは圧延様式とリジングの関係を示
す図、第5図bは圧延様式とr値、リジングの関
係を示す図、第5図cは熱延板焼鈍なし工程材の
圧延様式とリジング、r値の関係を示す図であ
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 フエライト系ステンレス鋼スラブを、上下ロ
ールの異周速率が5%以上50%以下となる条件
で、少なくとも1回、20%以上80%以下の圧下率
を適用する熱間圧延を施すことを特徴とする加工
性のすぐれたフエライト系ステンレス薄鋼板の製
造法。 2 フエライト系ステンレス鋼スラブを、上下ロ
ールの異周速率が5%以上50%以下となる条件
で、20%以上80%以下の圧下率を適用する熱間圧
延を被圧延材の表裏面のそれぞれが少なくとも各
1回高速ロールおよび低速ロールに接する如く複
数パスを以て行うことを特徴とする加工性のすぐ
れたフエライト系ステンレス薄鋼板の製造法。 3 重量で、solAl:0.08〜0.5%を含有するフエ
ライト系ステンレス鋼スラブを、上下ロールの異
周速率が5%以上50%以下となる条件で、少なく
とも1回、20%以上80%以下の圧下率を適用する
熱間圧延を施し、熱延板焼鈍を行うことなく冷間
圧延し、最終焼鈍を行うことを特徴とする加工性
のすぐれたフエライト系ステンレス薄鋼板の製造
法。 4 重量で、solAl:0.08〜0.5%を含有するフエ
ライト系ステンレス鋼スラブを、上下ロールの異
周速率が5%以上50%以下となる条件で、20%以
上80%以下の圧下率を適用する熱間圧延を被圧延
材の表裏面のそれぞれが少なくとも各1回高速ロ
ールおよび低速ロールに接する如く複数パスを以
て行ない、熱延板焼鈍を行うことなく冷間圧延
し、最終焼鈍を行うことを特徴とする加工性のす
ぐれたフエライト系ステンレス薄鋼板の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14644580A JPS5770235A (en) | 1980-10-20 | 1980-10-20 | Manufacture of ferritic stainless thin steel plate excellent in working property |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14644580A JPS5770235A (en) | 1980-10-20 | 1980-10-20 | Manufacture of ferritic stainless thin steel plate excellent in working property |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5770235A JPS5770235A (en) | 1982-04-30 |
JPS6332852B2 true JPS6332852B2 (ja) | 1988-07-01 |
Family
ID=15407801
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14644580A Granted JPS5770235A (en) | 1980-10-20 | 1980-10-20 | Manufacture of ferritic stainless thin steel plate excellent in working property |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5770235A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0264543U (ja) * | 1988-11-07 | 1990-05-15 | ||
JP2020510135A (ja) * | 2016-12-13 | 2020-04-02 | ポスコPosco | リッジング性および表面品質に優れたフェライト系ステンレス鋼およびその製造方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017214624A (ja) * | 2016-05-31 | 2017-12-07 | 新日鐵住金株式会社 | 加工性、耐食性、耐リジング性に優れた鋼板及びその製造方法 |
-
1980
- 1980-10-20 JP JP14644580A patent/JPS5770235A/ja active Granted
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0264543U (ja) * | 1988-11-07 | 1990-05-15 | ||
JP2020510135A (ja) * | 2016-12-13 | 2020-04-02 | ポスコPosco | リッジング性および表面品質に優れたフェライト系ステンレス鋼およびその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5770235A (en) | 1982-04-30 |
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