JPS6332281Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は建物の屋根上に積載された雪を融雪
し、この融水を居室内に配設されたドレンパイプ
を介して排出する融雪構造に係り、更に詳しく
は、建物の屋根上に排水溝を横設してこの排水溝
から建物の居室内を通してドレンパイプを垂設
し、しかもこのドレンパイプの周囲を化粧板材で
構成された筒体で巻装した建物の融雪構造に関す
る。

従来多雪地域において建物の屋根上に積載され
た雪を除くには、人為的な雪下し作業によること
が多く行なわれていた。

しかし、この方法であると除雪された雪が建物
周囲に落下し積み上げられるので、地上で再度の
除雪作業を要した。しかも、多雪地域といえども
市街化が進み建物周囲にはそれほど広い落雪場所
を確保できなくなつてきており、そこで近年で
は、屋根上の積雪を電気等の熱源によつて融雪し
たり、又大径のドレンやダクトを介して建物空間
内に落雪させる。いわゆる無落雪工法と呼ばれる
方法が採用されてきたが、上記の融雪や落雪方法
は、発熱源を屋根面上に組み込むという特殊な施
工を要したり、ドレやダクト表面の結露を排除す
る為大がかりな断熱処理を施し、若しくは換気装
置を付設したりしていた。又ドレンやダクト内の
凍結が原因で排水が不可能となり、融雪装置の機
能を果さない場合などがあつた。

更に落雪音によつて居住者の安眠を妨害された
り、ドレンやダクトが露出されて建物の内外観の
意匠を害するなど、各様の問題が生じていた。

そこで本考案は、上記問題点を解決する為に建
物の屋根上で積雪を融解し、屋根上に設けられた
排水溝でこの融水を集めて居室内を通るドレンパ
イプを介して排出する融雪構造において、このド
レンパイプの周囲を化粧板材からなる筒体で巻装
し、室内温度とドレンパイプ内の温度差を段階的
に低減せしめて、ドレンパイプ表面の結露発生を
防ぐとともに、ドレンパイプ内に凍結を生じさせ
ないなど優れた建物の融雪構造を提供するもので
ある。

以下、添付図面を参照しつつ本考案の一実施例
を具体的に説明する。

第１図は、本考案に係る融雪構造が施工された
建物の正面図である。

図中Ｒは建物の屋根で、この屋根Ｒは排水溝１
に向つて水勾配をとつた陸屋根である。排水溝１
は、屋根Ｒの中央もしくは一方側部に、その溝の
長手方向に水勾配を配して横設されている上方開
口の溝である。この排水溝１の底部にドレンパイ
プ２が上記排水溝１と連通するように居室内に垂
設されている状態を示している。

第２図は、本考案の融雪構造を施工した建物の
一部省略縦断面図である。

屋根Ｒは、排水溝１に対して一定の屋根勾配を
有するように屋根パネルｒを敷設し、その上面に
彩色石綿板やカラー鉄板等の屋根材ｒ１を葺いて
構成されるものである。そして屋根パネルｒ下の
梁ｒ２には、一定長の釣木ｒ３の上端を釘打ちし
その下端には二階天井板３を係止させて居室上部
に該天井板３を張設している。

又必要に応じて該天井板３の裏面、すなわち天
井裏にはグラスウールｇ等を敷きつめて断熱効果
を確保する。

一方排水溝１は、屋根材ｒ１からの融水を収集
するように上方が開口しているもので、その溝底
部１ａは長手方向に亘つて勾配が設けられ、しか
もこの勾配の最下底部には孔１ｂを穿設してい
る。孔１ｂにはドレンパイプ２の先端部が嵌め込
まれて、この排水溝１とドレンパイプ２が連通さ
れる。

しかもドレンパイプ２は二階天井板３、二階床
４，一階天井板５，一階床６（第３図参照）等を
貫通し、一及び二階の居室内を通して垂設され、
最終的には土中や排水桝に連設されている。

尚ドレンパイプ２は排水溝から一階床６の下ま
で連続したパイプでもよいし、途中適宜な長さの
パイプを継合させたものでもよい。

この様に垂設されたドレンパイプ２の周囲を、
筒体７で巻装する。この筒体７は、化粧板等から
なる板材の長尺方向の端縁を適宜な手段により接
合して構成される中空体で一、二階を一本の連続
筒体としてもよいし、若しくは一、二階を別個の
筒体に構成しておき、設置時に連続させるもので
もよい。

又ドレンパイプ２に巻装するには、あらかじめ
化粧板材の端縁部を接合して構成された筒体中に
該パイプ２を挿入して垂設してもよいし、すでに
垂設された該パイプ２の周囲に化粧板材の端縁を
順次接合して筒体を構成するものでもよい。

しかもこの筒体７は、中空の化粧大黒柱として
意匠的な役割を果す造作物となる。

この様なドレンパイプ２と筒体７の両者を直接
接触させることなく離しておけば、ドレンパイプ
２内を流下する融水によつて直接には居室内温度
が奪われず、すなわちドレンパイプ内の融水によ
る居室内温度の低減は間接的で、かつ段階的に行
なわれるにすぎない。

更に筒体７でドレンパイプ２を巻装する際、筒
体７の上端を二階天井板３に、下端を一階床６に
それぞれ密接させ、一階居室と二階居室を仕切る
一階天井板５及び二階床４においても筒体７と密
接させておけば、ドレンパイプ２の周囲は居室内
の空気と遮断され、ドレンパイプ２内の温度によ
り居室内温度が直接影響を受けることが少ない。

しかも筒体７の上、下端及び中間が天井板や床
板と密接しているので筒体７自体も堅固に設置さ
れることとなる。

第３図は、本考案における他の実施例を示す一
部省略縦断面図で、該ドレンパイプ２を、それよ
り大径のカバーパイプ８で包囲したものである。

すなわち、ドレンパイプ２とカバーパイプ８は
上記筒体７の内部で二重管構造となつている。こ
の二重管構造により、居室内における温度低減は
間接的かつ段階的となり、しかも該パイプ２内を
融水が流下する際生じる騒音も遮断されることと
なる。尚カバーパイプ８はドレンパイプ２の全長
に亘つて包囲しなくとも、その一部の長さを包囲
するものでもよい。

又カバーパイプ８は、管体を二つに縦割りした
半円筒体において、この二つの半円筒体でドレン
パイプ２を挾み、半円筒体同志を接合させるもの
でもよい。９は筒体７内において、ドレンパイプ
２を固定支持する為の補強板である。この補強板
９は、筒体７内の適宜な箇所に張設されて、中空
状の筒体７を補剛する。１０は筒体７の側面に開
設された点検口である。この点検口１０は、平常
は点検口蓋１０ａで閉口されており、ドレンパイ
プ２からの漏水点検やカバーパイプ８の増設若し
くは補強板９の張設、取外しなど必要時に開口す
る。

第４図は、第３図のＡ−Ａ線断面図である。

すなわち、ドレンパイプ２がカバーパイプ８で
包囲され、しかもその周囲を筒体７で巻装し、こ
の筒体７内に補強板９を張設した状態を示してい
る。

以上説明したように、本考案の融雪構造では、
ドレンパイプが居室内を通るものでも、ドレンパ
イプ周囲と居室内の空気とは少なくとも二重に遮
断されるもので両者の温度差は段階的となり、ド
レンパイプ表面に結露を発生させることもない。

しかもドレンパイプ中の落雪や融水流下による
騒音も居室内に響くこともなく、又筒体によつて
ドレンパイプが巻装されるので外部からドレンパ
イプが露見することもないなど居室内の美感を維
持出来る。

更にこの筒体を大黒柱などの造作物として配置
すれば、ドレンパイプが居室内に垂設されても居
住者に何ら違和感を与えることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る融雪構造が施工された
建物の正面図、第２図は、本考案に係る融雪構造
の一部省略縦断面図、第３図は、本考案における
他の実施例の一部省略縦断面図、第４図は、第３
図のＡ−Ａ線断面図である。 １……排水溝、２……ドレンパイプ、７……筒
体、８……カバーパイプ、９……補強板、Ｒ……
屋根。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 建物の屋根上に排水溝を横設し、この排水溝か
   ら居室内を通してドレンパイプを垂設し、該ドレ
   ンパイプの周囲を筒体で巻装したものであつて前
   記筒体と前記ドレンパイプとを直接接触させるこ
   となく離し、且つ筒体の上端を天井板に、筒体の
   下端を床に夫々密接させたことを特徴とする建物
   の融雪構造。