JPS6330846B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、樹脂複合材等のプレス成形方法に関
し、特に成形材料を成形加工しやすく、生産性を
倍増できる樹脂複合材等のプレス成形方法に関す
る。

最近、ガラス繊維、カーボン繊維等を樹脂材に
混合したり、含浸したりして形成したシート状の
樹脂複合材をプレス成形加工し、鉄鋼製品にかわ
つて使用されている。しかし、これまでの樹脂複
合材等のプレス成形方法は、従来の板金加工と同
じようにしてプレス成形しているもので、そのプ
レスストロークと時間との関係のプレス成形サイ
クル線図は第１図のようなもので、材料投入Ａ、
金型閉鎖Ｂ、加圧成形Ｃ、離型金型開放Ｄ、製品
取り出しＥ等の工程で行つているものである。樹
脂複合材製品を自動車等に使用すれば、一体成形
による組立工程の低減や軽量化等が図れるが、プ
レス成形サイクルタイムの長いのが欠点である。
樹脂複合材の改良研究が進展しており、成形時間
の短縮化がはかれるが、樹脂材料特有の軟化流動
性、急速硬化性等の時間的制約から、プレス成形
サイクルタイムの大幅な短縮は困難である。特
に、成形材料の流動時間を短かくすることは、複
雑なキヤビテイへの充填を困難とし、成形作業が
困難となるので、成形材料の流動時間を十分に確
保し、しかも成形時間を短縮しなければならない
ものである。ところが、プレス成形サイクル線図
を分析すると、加圧成形時間は全所要時間の約２
分の１程度で、残りの時間は材料の投入や製品の
取り出し、金型の閉鎖や開放等の非加圧成形に使
用されていて、プレス成形装置の実質の加圧成形
効率は低いものである。したがつて、加圧成形工
程と非加圧成形工程とを分離して併行すれば、生
産性を倍増することが期待できるが、金型を移送
しなければならないため、成形材料の流動充填時
間を長くできず、成形が困難となる欠点がある。
また、加圧成形工程と非加圧成形工程とを分離す
ることも知られているが、大ストロークのプレス
装置で加圧成形しているもので、さらに装置が高
価となるものであつた。

本発明は上記のような点に鑑みたもので、加圧
成形工程と非加圧成形工程とを分離してそれぞれ
併行し、加圧工程を行う主プレス装置を大出力、
小ストロークの油圧プレス装置とし、非加圧工程
を行う補助プレス装置を小出力、大ストロークの
装置に形成して設備費の削減がはかれて、しかも
従来方式のプレス成形サイクルタイムをほぼ２分
の１程度に短縮できて生産性を倍増できるととも
に、成形材料の金型への流動充填時間をできるだ
け長くできて成形性の向上がはかれる、高速高生
産の樹脂複合材等のプレス成形方法を提供するに
ある。

以下、本発明を実施例にもとずいて説明する。

第２図は本発明を実施するための製造装置の一
実施例で、主プレス装置１の前後に補助プレス装
置２，３をそれぞれ配置したものである。主プレ
ス装置１は、第１図のプレス成形サイクル線図に
おける加圧成形専用のもので、上フレーム４に所
要の大出力、小ストロークの加圧シリンダ５を配
設し、スライド６を下フレーム７側に昇降自在と
している。スライド６と下フレーム７との間に
は、ガラス繊維やカーボン繊維等を所定の熱硬化
性樹脂材に混合したり、含浸したりしてシート状
に形成した樹脂複合材の成形材料８を前後の補助
プレス装置２，３で所定通り型締めして背低くと
なつた金型装置９を所定の位置に装着して、成形
材料８を所定通り加圧し、加圧保持して所望の製
品１０を成形できるようにしている。補助プレス
装置２，３は、主プレス装置１に対して面対称状
に構成していて、それぞれ主プレス装置１の加圧
成形中に成形材料８の投入、金型装置９の型締
め、成形材料８の金型装置９への流動充填、製品
１０の取り出し等の加圧成形以外の非加圧成形を
行うもので、下フレーム１１の側部に所要の小出
力、大ストロークの昇降シリンダ１２，１３をそ
れぞれ配設し、クランプ装置１４，１５で離脱自
在に上金型１６を固着する梁状の上フレーム１７
を昇降自在としている。金型装置９の下金型１８
は、ボルスタ１９に塔載して下フレーム１１の所
定位置に配置して、上フレーム１７から上金型１
６をはずして下金型１８と一対とした金型装置９
をボルスタ１９に塔載した状態で、上記のように
主プレス装置１に油圧シリンダ等の移送装置（図
示せず）で返還可能に移送できるようにしてい
る。ボルスタ１９の四隅のコーナー部には、サー
ボシリンダの平衡支持装置２０を配設していて、
上金型１６を平衡に降下して下金型１８に精度よ
く型締めするように支持するとともに、上金型１
６を平衡に支持した状態で主プレス装置１に移送
するようにしている。なお、平衡支持装置２０に
クランプを設け、上金型１６を離脱可能に固着し
てもよいものである。平衡支持装置２０は、第３
図のように所定の出力の油圧シリンダ２１とこれ
に一体化した制御装置２２と、剛性復原ロツド２
３等で形成していて、制御装置２２のパルスモー
タ２４の駆動でサーボバルブ２５を作動して垂設
した油圧シリンダ２１のロツド２６を所定量昇降
し、油圧シリンダ２１のロツド２６のストローク
を、剛性復原ロツド２３を介してサーボバルブ２
５に帰還するようにして、油圧シリンダ２１のロ
ツド２６を入力パルス数に比例した所定量だけ正
確に移動するもので、上金型１６をそれぞれ球面
支持等の四点支持して所定のプログラムコントロ
ール方式等で高精度に昇降自在に位置制御、速度
制御等ができるようにしている。図示していない
が、金型装置９は、スチームや熱油等の熱媒体を
通過して、所定の温度に保持するようにするもの
である。２７は、金型装置移送用の移送レールで
ある。なお、主プレス装置、補助プレス装置につ
いて、ガイド部の温度修正や偏心荷重に対する補
強等については省略しているが、適宜に公知装置
のように行なえてスライドのずれ、傾き等を防止
できるものである。

しかして、上記のように構成した製造装置のプ
レス成形方法を第４図〜第６図にもとずいて説明
する。

第４図のように上フレーム１７を上昇して上金
型１６を開放した補助プレス装置２に、所定の温
度に予熱した成形材料８を投入する。昇降シリン
ダ１２，１３を同期して上金型１６を下降し、所
定位置でクランプ装置１４，１５を開いて上金型
１６を上フレーム１７より離脱して平衡支持装置
２０に静かに塔載する。平衡支持装置２０は、図
のように上記の作動原理にもとずいて所定のプロ
グラム制御のパルス指令にしたがい、上金型１６
を平衡に位置制御、圧力制御しながら型締めする
ものである。成形材料８は軟化状態なので、上金
型１６等の自重程度の荷重制御で成形材料８をキ
ヤビテイ２８に流動充填でき、また平衡支持する
ので、偏らず均一に流動充填できるものである。
この間、主プレス装置１では、第４図のように他
の補助プレス装置３で上記のようにして平衡支持
して所定通り型締めした金型装置９を静かに所定
の大出力の加圧シリンダ５で加圧し、加圧保持し
て成形材料８を所定の形状にプレス成形するもの
である。この加圧成形の際にも、平衡支持装置２
０を介して上金型１６を所定の平衡状態に保持し
て位置制御、圧力制御していくので精度よく成形
できるものである。補助プレス装置２の金型装置
９は、上記の主プレス装置１の加圧成形が終了
し、加圧成形した金型装置９を他の補助プレス装
置３に搬出するとき、同時に主プレス装置１に搬
入して装着可能とした移送装置で第５図のように
主プレス装置１に移送する。この金型装置９の移
送中でも、平衡支持装置２０で上金型１６を平衡
に継続して支持しながら、成形材料８をキヤビテ
イ２８に流動充填していくものである。したがつ
て、金型移送中においても補助プレス装置内と同
じように成形材料をキヤビテイに流動充填でき、
工程分離によつて流動充填時間を短縮して硬化を
促進することなく、金型への流動充填時間をでき
るだけ長くできて、たとえ複雑なキヤビテイでも
隅々迄充填でき、主プレス装置での成形を容易に
できるものである。また、移送装置を異常に高速
で、膨大な出力となるのを回避でき、小出力で円
滑に始動、停止できて移動できるものである。主
プレス装置１に装着した金型装置９は、第６図の
ように上記と同様に加圧成形する。一方主プレス
装置１から搬出し補助プレス装置３に装着した金
型装置９は、平衡支持装置２０で上金型１６を平
衡に所定の速度で持ち上げ、所定位置で上金型１
６をクランプ装置１４，１５で上フレーム１７に
固着して上金型１６を上昇し、ノツクアウト装置
（図示せず）で製品１０を下金型１８から離型し
て製品１０を取り出し、次の成形材料８を上記し
たように金型装置９に投入して所定通り型締めす
るものである。このようにして、補助プレス装置
２，３を交互に使用し、主プレス装置１で順次加
圧成形していくものである。したがつて、プレス
成形サイクルタイムは、非加圧成形時間を削除で
きて、成形材料や成形加圧条件にもよるが、通常
主プレス装置のプレス成形サイクルタイム相当に
できて、従来方式の約２分の１程度に短縮でき、
生産性を倍増できるとともに、均一な肉厚の製品
を精度よく製造できるものである。

従来、大出力、大ストロークの加圧シリンダを
配設したプレス成形装置を使用してプレス成形し
ていたが、本実施例では、上記のように加圧成形
工程の主プレス装置を必要最小程度の小ストロー
ク、大出力の構造とし、非加圧成形工程の補助プ
レス装置を必要最小程度の小出力、大ストローク
の構造としているので、製品の生産性を倍増でき
るにもかかわらず、主プレス装置の価格は従来に
比して約２分の１程度になり、補助プレス装置も
簡単な構造のものであるから安価なもので、製品
の生産性を倍増できるにもかかわらず、設備費は
従来のものに比して安価なものであり、また成形
用のシリンダの容量を小さくできるため、油の圧
縮量が少なくなり、応答性、位置決め精度の向上
がはかれ、加工精度を高められるものである。こ
れらのことは、大型で大きなストロークを必要と
する製品の成形ほど顕著となるものである。

また、上記実施例では、平衡支持装置を金型装
置とともに一貫して移送して、主プレス装置、補
助プレス装置の位置制御や速度制御等を行なえる
ようにしているため、プレス制御が簡単となり、
精度よく成形でき、また四点支持のパルスサーボ
方式としているので、金型を高精度に姿勢制御で
きて、製品の肉厚を薄く、均一にできて品質を高
めることができるものである。なお、平衡支持装
置は、油圧シリンダ方式に限定することなく、電
動シリンダやオイルジヤツキ等とすることもでき
るものである。

また、上記の実施例では、主プレス装置の前後
方向に補助プレス装置を配置して設置間隔を少な
くし、金型装置の搬入と搬出とを同時に行なつ
て、主プレス装置のプレス成形サイクルタイムを
できるだけ短縮するようにしたが、金型装置を
別々に移送してもよいものであり、またクイツク
チエンジ等の金型交換装置を用いて金型移送して
もよいものである。また、同時に複数個の製品を
成形するようにすることもできるものである。

また、成形材料は熱硬化性樹脂に限ることな
く、熱可塑性樹脂であつてもよく、またガラス繊
維等の強化したものに限ることなく、本成形方法
が適用できて利点が生じる材料であればよいもの
である。

以上のように本発明にあつては、加圧成形工程
と併行して非加圧成形工程を行うので、従来方式
のプレス成形サイクルタイムをほぼ２分の１程度
に短縮できて生産性の倍増がはかれるとともに、
加圧工程を行う主プレス装置を大出力、小ストロ
ークの装置に形成し、非加圧成形工程を行う補助
プレス装置を小出力、大ストロークの装置に形成
して設備費の削減がはかれ、移送中に上金型を平
衡支持装置で下金型に平衡に支持できて型締めす
ることができ、移送中も成形材料を金型装置に継
続して流動充填するので、成形材料の金型への流
動充填時間をできるだけ長くでき、成形性の向上
がはかれるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例のプレスストロークと時間との
関係のプレス成形サイクル線図、第２図は本発明
の一実施例の製造装置の一部省略した概略側面
図、第３図は同上の平衡支持装置の作動説明用
図、第４図〜第６図はそれぞれ同上の各成形工程
を説明するための概略説明用側面図である。 １……主プレス装置、２，３……補助プレス装
置、８……成形材料、９……金型装置、１０……
製品、１６……上金型、２０……平衡支持装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 主プレス装置を金型装置の型締め状態から加
   圧成形する大出力、小ストロークの油圧プレス装
   置に形成し、補助プレス装置を金型装置に成形材
   料を装着して型締めしたり、上記主プレス装置で
   加圧成形した金型装置を離型して成形品を取り出
   したりするようにした小出力、大ストロークの装
   置に形成して、主プレス装置に補助プレス装置を
   隣接してプレス成形可能に配設するとともに、主
   プレス装置と補助プレス装置との間にボルスタを
   往復自在に配設してボルスタに金型装置の下金型
   を取着し、かつ下金型に上金型を型締め近くで平
   衡に位置制御して支持するサーボシリンダ等の平
   衡支持装置を搭載し、補助プレス装置で下金型上
   に成形材料を投入し下金型の上方に下降した上金
   型を平衡支持装置で平衡に支持しながらボルスタ
   を主プレス装置へ移送し、この移送中も継続して
   成形材料を金型装置の閉塞キヤビテイに流動充填
   していつてプレス成形するようにしたことを特徴
   とする樹脂複合材等のプレス成形方法。