JPS6330808Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自動車のボデーにトリムボードを取付
けるためのクリツプに関する。

従来の技術 従来、トリムボードをボデーに取付けるには、
一例として、トリムボードの取付孔に装着した金
属クリツプをボデーの取付孔に装着した合成樹脂
のブツシユに押し込んでいた。これは金属の弾力
性を利用したものであつて、取付け、取外しが比
較的容易に行なえるものではあるが、金属クリツ
プがさびやすく、トリムボードの外観を損うこと
が多い。

これを解決すべく、別の例として、軸先端に錨
形の脚を設け、軸後端にある二重フランジによつ
てトリムボードに取付けるようにした合成樹脂製
のクリツプが提案された。このクリツプはトリム
ボードに取付けられた後、その錨形の脚をボデー
の取付孔に挿入するようになつており、脚はボデ
ー内で広がつてその内面に係合するので、クリツ
プがボデーから抜けるのを確実に防止する。しか
しながら、これは保守作業のときにトリムボード
を外そうとするときに欠点となる。クリツプを引
抜こうとするときに、錨形の脚が大きな抵抗を示
し、トリムボードを破損することがあつた。

そこでこれを解決すべく、実公昭56−12404号
公報には、トリムボード側に取付けられるように
なつている合成樹脂製の雄部材と、ボデー側に取
付けられるようになつている合成樹脂製の雌部材
とを包含し、この雌部材が、前記雄部材の軸部を
受け入れる軸線方向の盲孔と、この盲孔の底面か
ら軸線方向に突出した拡大頭部とを有し、前記雄
部材の軸部の先端には、前記頭部を受け入れるよ
うに軸線方向に延び且つ前記拡大頭部と嵌合する
周溝が内面に形成された端孔が設けられたクリツ
プが記載されている。このクリツプは、その結合
が容易であり、また取外しも容易であるので好ま
しいものである。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら、上記クリツプにおいても、雌部
材に設けられたボデー係止爪がたわみにくいため
ボデーの取付孔のエツジで係止爪が削られ、係止
機能を弱める欠点があつた。また、ボデーの取付
孔はパンチ加工の際の向きによつて、正パンチ方
向と逆パンチ方向とがあり、正パンチ方向では挿
入及び係止が滑らかで安定しているのに対し、逆
パンチ方向ではその挿入がかたく途中で留まつた
状態で係止することがあり、完全な固着が得られ
ず、またこのため雌部材のフランジとボデー面と
の密接が損なわれシール効果を期待できない欠点
があつた。

従つて本考案の目的はボデーへの取付時係止爪
が削られることがなく、逆パンチ方向でも確実に
取付けることのできる２部品クリツプを提供する
にある。

問題点を解決するための手段 かかる目的を達成するため、本考案によるクリ
ツプは、雌部材のボデー取付け用係止爪が雌部材
本体に対して半径方向外側にスリツトを介して取
付けられており、雄部材の軸部は、雌雄両部材の
連結時において前記係止爪に対応する部分が小径
にされて雌部材の盲孔の内面との間に隙間が形成
されており、雄部材の前記小径軸部部分と該部分
に連続する先端方向の軸部部分との間に段差部が
形成されており、雌部材の盲孔には前記段差部に
係止する半径方向内側に突出した突起が形成され
たことを特徴としている。

実施例 以下本考案の実施例について図面を参照しなが
ら説明する。第１図はトリムボード１をボデー２
に取付けるため、本考案によるクリツプ３を用い
た様子を示しており、本考案によるクリツプ３は
合成樹脂製の雄部材４と合成樹脂製の雌部材５と
で成る２部品クリツプである。雄部材４はトリム
ボード１に形成された取付孔６（第１図ａも参照
のこと）を介してトリムボードに固着され、雌部
材５はその本体がボデー２の取付孔に挿入される
ことによりボデー２に固着され、雄部材４は雌部
材５に挿入されることにより相互に連結される。

第２図ａ〜ｃは雄部材４の詳細を示している。
該雄部材４は連結軸１０を有し、この軸１０の一
端には第１のフランジ１１が設けてある。この第
１フランジ１１から内方に隔たつて第１のフラン
ジ１１よりも直径の大きな第２のフランジ１２が
設けてある。これらのフランジ間の距離はこのク
リツプを取付ける取付板、たとえば第１図ａに示
すトリムボード１の厚みに合わせられる。しかし
ながら、他の厚さのボードにも適合するよう、第
２フランジ１２の直径方向に対向する個所に１対
の突出部１３，１３を設けるのが好ましく、これ
によりやや厚いボードであつても第２フランジ１
２の撓みによつて該ボードを支持することができ
る。

トリムボード１の取付孔６は第１図ａに示すよ
うに連絡スリツト７でつながつた大小の孔８，９
から成り、雄部材４を取付けるには、第１フラン
ジ１１を大孔８に通してからスリツト７をすべら
せて小孔９内に連結軸１０を位置させ、第１、第
２のフランジ１１，１２でトリムボード１をはさ
むようにして雄部材４を留める（第１図参照）。
したがつて、第１フランジ１１の直径は大孔８よ
りも小さく、小孔９よりも大きくし、第２フラン
ジ１２は大孔８よりも大きい直径とする。

第２フランジ１２からは軸部１５が延びてい
る。この軸部１５は根元部分で小径にされその後
大径にされて先端に行くにつれて先細に形成され
ている。小径部分１６は雌部材４の盲孔（後述）
の内壁との間に隙間を形成する。また大径部分１
７の直径は盲孔の内径に等しいかやや小さく形成
され小径部１６と大径部１７との間に段差部１８
が形成されている。軸部１５の先端には、該先端
から根元に向けて軸方向に延びる端孔１９が形成
され、この端孔１９の内面には周溝２０が形成さ
れている。

雌部材５の詳細が第３図ａ〜ｄに示されてい
る。雌部材５は弾丸形状の本体部２２とこの本体
部２２の端部に一体的に形成されたフランジ２３
とを備えている。この雌部材５にはフランジ２３
の中央から本体部２２に向けて盲孔２４が設けら
れ、この盲孔２４の底面からは軸方向に延びる突
起２５が形成されその頭部２６は雄部材４の軸部
１５の端孔１９の周溝２０に嵌入するよう拡大さ
れている。従つて、雄部材４の軸部１５を雌部材
５の盲孔２４に挿入すると拡大頭部２６が軸部１
５の端孔１９を通つて周溝２０に嵌合して雌雄両
部材４，５を相互に連結する。この連結のため、
周溝２０の内径と拡大頭部２６の外径をほぼ同一
にし、軸部１５の端孔１９の内径を拡大頭部２６
よりやや小さくするのが好ましい。

雌部材５の盲孔２４の内面には、雄部材４の軸
部１５を挿入した時その段差部１８に相当する位
置であつて直径方向に対向する２個所に突起２８
が形成されている。このため、雄部材４の軸部１
５を雌部材５の盲孔２４に挿入すると軸部１５の
段差部１８が突起２８に係合してこの部分でも雄
部材と雌部材との結合が得られるようになつてい
る。

雌部材５の本体部２２の外側には、直径方向の
対向する２個所に係止爪２９，２９が形成されて
いる。この係止爪２９はフランジ２３の下面と協
働してボデー２（第１図）に雌部材５を固定する
ためのものである。フランジ２３の下面は吸盤状
に形成され、係止爪２９によつて固定されたとき
ボデー２に密着し取付孔をシールするようになつ
ている。係止爪２９，２９は、盲孔２４の内面の
突起２８，２８に直交する直径方向の２点に位置
しており、この係止爪２９と雌部材の本体部２２
との間にはスリツト３０が設けられている。この
ため、係止爪２９は内方へのたわみが容易になさ
れ、雌部材５をボデーへ取付ける際の挿入作業が
きわめて容易になされる。

第４図ａ，ｂは雄部材４の軸部１５が雌部材５
の盲孔２４に挿入されて両部材が相互に連結され
た様子を示す。この図から明らかなように、雄部
材４は雌部材５に対して２個所で連結される。そ
の一つは、雄部材の軸部１５の端孔１９（ひいて
は周溝２０）と雌部材の突起２５（ひいては拡大
頭部２６）との係合である。他の一つは、雄部材
軸部１５の段差部１８と雌部材盲孔２４の２個所
の突起２８との係合である。従つて、両部材の連
結力は十分に高く維持され２点で連結されるので
斜め方向に抜け力が加わつてもその連結が外れな
い。従つて、車の振動などでガタついても連結が
外れることがない。しかし、雄部材４（若しくは
トリムボード１）を強い力で雌部材５（若しくは
ボデー２）に対して真直ぐに引き抜けばその連結
を外すことができる。

第５図ａ，ｂ及びｃは、雄部材の変形例を示し
ている。この例では、雄部材４′の第２フランジ
１２′に突出部が形成されず、突出部の替りとし
て第２フランジ１２′の両側縁部が第５図ａに示
されるように第１フランジ１１に向けて反つた形
状にされている。これにより、突出部が設けられ
たのと同様に、連結軸１０の高さより低い厚さの
ボードから該高さよりやや厚いボードであつても
第２フランジ１２′の撓みによつて該ボードに支
持され、ガタ付くことがなくなる。トリムボード
１に雄部材４′を取付けた様子を第５図ｃに示す。
この図に示されるように雄部材４′はボード１に
確実に取付けられる。なお、第２フランジの形状
の点を除いては前記実施例と同様であるので説明
を省略する。

考案の効果 本考案のクリツプによれば、雌部材のボデー取
付けのための係止爪が雌部材本体に対して半径方
向外側にスリツトを介して取付けられており、雄
部材の軸部は、雌雄両部材の連結時において前記
係止爪に対応する部分が小径にされて雌部材の盲
孔の内面との間に隙間が形成されており、雄部材
の前記小径軸部部分と該部分に連続する先端方向
の軸部部分との間に段差部が形成されており、雌
部材の盲孔には前記段差部に係止する半径方向内
側に突した突起が形成されているので、係止爪は
挿入の際に内側に容易に撓んで、取付けボデーの
取付孔のエツジによつて削られることがなくな
り、逆パンチ方向の取付孔であつても途中で留ま
ることなく取付けられ、雌雄両部材の連結のため
の力は弱くてもよく、しかもその連結の強度は極
めて高い。従つて、車の振動等によつて両部材が
ガタついてもその連結が外れることがなくなる。
しかし、雄部材を雌部材の軸線に沿つて真つ直ぐ
に引き抜けば、簡単にその連結を外すこともでき
るという利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるクリツプを用いてトリム
ボードをボデーに連結した様子を示す正面図、第
１図ａはトリムボードの取付孔を示す図、第２図
ａ〜ｃは雄部材を示す図であり、同図ａは正面
図、同図ｂは半断面側面図、同図ｃは同図ｂのｃ
−ｃ線断面図、第３図ａ〜ｄは雌部材を示す図で
あり、同図ａは半断面正面図、同図ｂは側断面
図、同図ｃは同図ｂのｃ−ｃ線断面図、同図ｄは
底面図、第４図ａは連結状態のクリツプの部分断
面正面図、第４図ｂは連結状態のクリツプの部分
断面側面図、第５図ａ，ｂ及びｃは雄部材の変形
例を示しており、同図ａは雄部材の半断面側面
図、同図ｂは正面図、同図ｃは連結状態のクリツ
プの側面図である。 １……トリムボード、２……ボデー、３……ク
リツプ、４……雄部材、５……雌部材、６……ト
リムボードの取付孔、１５……雄部材軸部、１８
……段差部、１９……端孔、２０……周溝、２２
……雌部材本体部、２４……盲孔、２５……突
起、２６……拡大頭部、２９……係止爪、３０…
…スリツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トリムボード側に取付けられるようになつてい
   る合成樹脂製の雄部材と、ボデー側に取付けられ
   るようになつている合成樹脂製の雌部材とを包含
   し、この雌部材が、雄部材の軸部を受入れる軸線
   方向の盲孔と、該盲孔の底面から軸線方向に突出
   した拡大頭部とを有し、雄部材の軸部の先端に
   は、拡大頭部を受入れるように軸線方向に延び且
   つその拡大頭部と嵌合する周溝が内面に形成され
   た端孔が設けられ、雌部材の盲孔へ雄部材の軸部
   を挿入することにより両部材を相互に連結するク
   リツプにおいて、雌部材のボデー取付けのための
   係止爪が雌部材本体に対して半径方向外側にスリ
   ツトを介して取付けられており、雄部材の軸部
   は、雌雄両部材の連結時において前記係止爪に対
   応する部分が小径にされて雌部材の盲孔の内面と
   の間に隙間が形成されており、雄部材の前記小径
   軸部部分と該部分に連続する先端方向の軸部部分
   との間に段差部が形成されており、雌部材の盲孔
   には前記段差部に係止する半径方向内側に突出し
   た突起が形成されたことを特徴とするクリツプ。