JPS6329041B2

JPS6329041B2 -

Info

Publication number: JPS6329041B2
Application number: JP58245359A
Authority: JP
Inventors: Junji Tazoe
Original assignee: Toa Corp
Current assignee: Toa Corp
Priority date: 1983-12-28
Filing date: 1983-12-28
Publication date: 1988-06-10
Also published as: JPS60141913A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は、曲面をもつ鉄筋コンクリート構造物
の製作・据付方法に係り、より詳しくは、曲面を
もつ鉄筋コンクリート構造物を、その曲面部が鉛
直方向に直立するように製作することによつて、
該構造物の製作を容易にすると共に、更に該構造
物を水中で回転させることにより正規な姿勢に戻
して、所定の位置に据付けるようにした曲面をも
つ鉄筋コンクリート構造物の製作・据付方法に関
するものである。

近年、海上空港や人工島、産業廃棄物処理場な
ど大規模の埋立計画が推進されているが、これら
は立地条件の制約を受け、大水深海域に建設する
ような計画が多くなつてきている。また、海洋空
間の内、特に利用の集中する沿岸海域については
水深50ｍ以浅のほとんど全域にわたり拡大されて
いくことが予想される。水深50ｍ以浅の海域は、
我が国においてはほとんど外洋に面し、海象条件
の厳しいところである。このような海域での護
岸、岩壁、防波堤など堤体としての構造物は、耐
波性があるもので、しかも急速、大量施工が必要
であるから大型重量構造物となる。これらの構造
物にはコンクリート重力式構造物が有効な構造形
式と考えられている。しかし、海象条件の厳しい
海域での施工を考えたとき、通常形式の構造物で
は、堤体幅が著しく増大することが多くなる。こ
のため、比較的狭い幅で安定を保ち得る構造形式
のものとして、第１図に点線で示したように、上
床版１及び底版２を斜面に形成して上方に傾斜さ
せることにより堤体幅を狭くするようにした鉄筋
コンクリート構造物が提案されている。該構造物
には、その内部に複数の貫通孔３が上床版１及び
底版２に沿つて設けられ、また紙面に直角な堤体
の長さ方向にも同様に複数の貫通孔が並列配置さ
れている。従つて、これら上方に傾斜した貫通孔
３により波力が弱められると共に、波力の鉛直成
分が該構造物を下方に押しつける役割を果すた
め、安定性の高い堤体を構成することができる。
なお、図において、４は該構造物の本体部分、５
はマウンド、６は海底である。しかし、このよう
に、上床版１及び底版２を斜面に形成して上方に
傾斜した貫通孔３を設けても、相当に天端高を高
くして貫通孔３の傾斜を大きくしないと、越波が
多くて港内の静穏度が確保できず、またあまり天
端高を高くして貫通孔３の傾斜を大きくしすぎる
と逆に波力が堤体に強く当つて堤体に破損の生ず
るおそれがあり、また緩傾斜のままで十分な天端
を確保するためには結局堤体幅が広くなつてしま
うという問題点がある。

そこで、前記上床版１及び底版２に曲面部を設
けることにより上述の問題点を解消できることを
見出したが、この場合両者が曲面部を有するた
め、該構造物が大型重量構造物であることとも相
俟つて、上床版１及び底版２が上下に位置する正
規な姿勢で製作するのが難しく、かつ据付までに
多くの煩雑で危険な作業が必要となるという問題
点があつた。

本発明は、このような問題点を解消した、曲面
をもつ鉄筋コンクリート構造物の製作・据付方法
を提供することを目的とするものである。この目
的を達成する本発明は、上床版と底版の間に少な
くとも２段の貫通孔を有し、かつ上床版が曲面部
を有する鉄筋コンクリート構造物を、該曲面部が
鉛直方向に直立するように製作する工程と、次い
で該構造物を、上床版及び底版の位置が上下とな
るように水中で回転させる工程と、所定の位置に
据付ける工程とからなり、前記構造物の回転工程
は、前記２段の貫通孔のうちの底版側の貫通孔に
のみ水を充填して浮力差を利用して行なうように
したことを特徴とするものである。

以下、本発明の実施例を図を参照して説明す
る。

第１図、第２図において、上床版１及び底版２
は、斜面部７に連続して曲面部８を有し、上床版
１と底版２の間には隔壁９を介して貫通孔３が上
床版１及び底版２に沿つて設けられて、鉄筋コン
クリート構造物が形成されている。該構造物に
は、第２図に示すように、その長さ方向にも複数
の貫通孔３が並列配置されている。なお、１０は
互いに対向する側壁で平面状に形成され、また端
面１１，１２には、貫通孔３が開口している。

そこで本発明では、該構造物を、第２図に示す
ように、曲面部８が鉛直方向に直立するように、
すなわち対向する側壁１０が上下に位置するよう
に製作する。従つて、曲面部８を有する上床版１
及び底版２が上下に位置するように製作する場合
に較べて、その製作が容易であるばかりでなく、
該構造物を所望の形状に正確にかつ無用の歪を与
えることなく製作することができる。

このように製作した該構造物は、本来鉛直方向
に直立しているべき側壁１０が水平となつた横倒
しの状態になつている。従つて、これを上床版１
及び底版２の位置が上下となる正規な姿勢に戻す
必要があるが、本発明では、この正規な姿勢への
転換を、水中での浮力の差による回転力を利用し
て行なつている。すなわち、上床版１側の貫通孔
を閉鎖し、底版２側の貫通孔に導水する。或い
は、貫通孔が開口する端面全面を、バルブ付導水
管を取付けた蓋で覆い、その導水管を通して底版
２側の貫通孔に導水する。このようにすることに
より、底版２側が上床版１側に較べて重くなり、
浮力の差が生じて、該構造物の回転を容易にし、
該構造物を、上床版１及び底版２が上下に位置す
る正規な姿勢に戻すことができる。

前記構造物は、実際には、下部の本体部分４に
連結一体化される上記構造物となり、例えば次の
ように実施される。

すなわち、該上部構造物及び本体部分４は、
夫々現場の製作ヤードもしくはフローテイングド
ツクで製作される。なお、製作後、直ちに海上へ
出せる点で後者の方式が好ましい。そして、まず
本体部分４を、フローテイングドツクと共に浸水
させて仮設マウンドに据付けたのち、該本体部分
４の上部に、前記のごとく、水中で回転させて正
規な姿勢とした前記上部構造物を載せ、一体化構
造物として完成させる。次いで、該一体化構造物
をクレーン船で浮上させ、上部構造物の前面（端
面１１）に止水蓋を取付けたのち、クレーン船の
介添で水中に吊られた状態で移動し、所定の位置
で正規のマウンド５に据付けられる。

本発明は、上記の構成を具備するもので、本発
明によれば、次のような効果が得られる。

(1) 曲面部を有する上床版と底版の間に少なくと
も２段の貫通孔を有する鉄筋コンクリート構造
物を、その曲面部が鉛直方向に直立するように
製作しているので、該構造物を安定した状態で
製作し得て、その製作が容易であるばかりでな
く、該構造物を所望の形状に正確に、かつ無用
の歪を与えることなく製作することができる。

(2) このように製作した該構造物の、上床版及び
底版の位置が上下となる正規な姿勢への転換
を、底版側の貫通孔に導水することにより水中
での浮力の差による回転力を利用して行なうよ
うにしたので、該構造物が大型重量構造物であ
つても正規な姿勢への転換を容易に行なうこと
ができる。

(3) 該構造物は、曲面部を有する上床版と底版の
間に複数の貫通孔を有しているので、これを堤
体に使用した場合、曲面部の存在により堤体幅
を狭くなし得ると共に、貫通孔により波力を弱
め、かつ波力の鉛直成分が該構造物を下方に押
しつける役割を果すので、安定性の高い堤体と
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明を実施して鉄筋コンクリート
構造物を据付けた状態を示す縦断側面図、第２図
は鉄筋コンクリート構造物をその曲面部が鉛直方
向に直立するように製作した状態を示す斜視図で
ある。１…上床版、２…底版、３…貫通孔、８…曲面
部。

Claims

【特許請求の範囲】

１上床板と底版の間に少なくとも２段の貫通孔
を有し、かつ上床版が曲面部を有する鉄筋コンク
リート構造物を、該曲面部が鉛直方向に直立する
ように製作する工程と、次いで該構造物を、上床
版及び底版の位置が上下となるように水中で回転
させる工程と、所定の位置に据付ける工程とから
なり、前記構造物の回転工程は、前記２段の貫通
孔のうちの底版側の貫通孔にのみ水を充填して浮
力差を利用して行なうようにしたことを特徴とす
る曲面をもつ鉄筋コンクリート構造物の製作・据
付方法。