JPS6328923Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、椅子の座部の傾斜角度が簡単に変更
できてしかも確実に維持することができる傾動装
置に関するものである。

従来から椅子の座部の傾動装置は種々のものが
知られているが、従来のものは何れも構造複雑で
あり、しかも調節操作が煩雑であつた。

そこで本考案は、座部の底面に円孔を設け、こ
の円孔に挿通させた脚柱の上端を座枠に傾動可能
に支持させると共に該脚柱の側面に板状の固定金
具を突設して該金具に長孔を開設し、一方、座枠
の下面に一対の係止金具を立設して該各係止金具
に透孔を開設し、さらに一方の係止金具の側面に
一対の側片を突設して該側片間に操作レバーの先
端を支持軸を介して枢着せしめ、前記一対をなす
係止金具に固定金具を挾ませて各透孔並びに長孔
に締付棒を挿通させると共に該締付棒の一端は操
作レバーの支持軸より外側に位置するように該操
作レバーに枢着せしめ、また他端部に係止金具の
側面に係合する係止部材を取付けた構成より成
り、操作レバーを引下げた状態で座枠を前後に傾
斜させ、その傾斜状態を操作レバーを引上げるこ
とで各係止金具により固定金具を圧接固定させる
ようにして、座部の傾斜角度を自由に、かつ極く
簡単に設定すると共に、傾斜させた状態を確実に
保持させることができる傾動装置を提供するもの
である。

以下に本考案の一実施例を図面と共に説明す
る。図において１は左右側壁面２，２を有して上
面が椅子の座部Ａ下面に取付けられる座枠であ
り、該座枠１の底面中央に円孔３が開設してあ
る。さらにこの円孔３を横断する位置で左右側壁
面２，２に軸孔４，４が対設されている。５は上
端に横断状に貫通孔６を設けた脚柱であり、該脚
柱５は上端を円孔３から座枠１内へ突入させて、
貫通孔６と前記軸孔４，４とに支持軸７を挿通さ
せて座部Ａを前後方向に傾動可能に支持させる。

８は脚柱５の側面に突設した平板状の固定金具
であり、前記支持軸７を中心とする曲率半径の長
孔９を開設している。

１０，１０′は座枠１の下面に立設した一対の
係止金具であり、前記固定金具８を挾持し得る間
隙を設けて夫々取付片部１１，１１を座枠１の円
孔３の傍に固着させている。該係止金具１０，１
０′の側面に前記長孔９に連通する通孔１２，１
２′を開設し、さらに一方の係止金具１０′の左右
側端に側片１３，１３を突設して透孔１４，１４
を対向位置に開設している。なお、固定金具８の
両側面並びに係止金具１０，１０′の対向側面に
夫々滑り止め用のローレツト１５が平行状に設け
てある。

１６は操作レバーであり、先端に断面コ字形を
なす締付金具１７を固設している。該締付金具１
７の両側片１８，１８に対向状に夫々軸孔１９を
開設し、前記側片１８，１８を前記係止金具１
０′の側片１３，１３の内側に重ね合わせ、透孔
１４，１４並びに軸孔１９，１９と連通させて支
持軸２０を挿通して枢着させる。

２１は前記長孔９及び通孔１２，１２′に挿通
させる締付棒であり、長手方向の略中央に支持軸
２０を飛び越えるための段部２２を傾斜状に形成
し、さらに前端に直交状に支持杆２３を固設し、
後端に回転ピン２４を挿通させると共に該後端側
に設けたねじ部２５にナツト２６，２６を二重ナ
ツトとして螺止させる。該締付棒２１は支持杆２
３の両端を前記締付金具１７の両側片１８，１８
に軸孔１９，１９より外側に設けた軸孔２７，２
７に枢着させる。

次にこのように構成された本考案装置の作用を
説明する。第５図実線のように操作レバー１６を
略水平に引上げた状態では支持杆２３、支持軸２
０、回転ピン２４が夫々略水平に並んでいる。こ
の状態では支持杆２３が支持軸２０に対して最も
遠い位置にあり、相対的に回転ピン２４は支持軸
２０に最も近づく。このとき、支持軸２０と回転
ピン２４の距離が最小となり、係止金具１０は回
転ピン２４により、また係止金具１０′は支持軸
２０を介して側片１３，１３により互いに固定金
具８を押圧する向きに圧接され、固定金具８を圧
接し、座枠１と脚柱５を一体状に連結固定する。
このとき係止金具１０，１０′の復元力が回転ピ
ン２４と側片１３，１３に作用するも、第５図実
線の状態で支持軸２０より支持杆２３が高い位置
にあるため前記復元力は操作レバー１６を同図に
おいて反時計方向に回転させる力に変換されるこ
とになり、締付棒２１の段部２２が支持軸２０に
係合してこの状態が保持される。なお、上記締付
状態を保持する手段は締付棒２１と支持軸２０の
係合に限定されるものでなく、例えば操作レバー
１６と座枠１の下面が係合するように構成しても
よい。

そして、第４図に示すように締付棒２１が長孔
９の下端に位置したときは座枠１が前傾した状態
が保たれている。この状態で操作レバー１６を第
５図実線位置から鎖線位置へ下げてやれば支持杆
２３が支持軸２０を支点とする弧状の軌跡を描き
ながら矢示するように移動し、締付棒２１を同図
左方へ移動させて係止金具１０と回転ピン２４と
の間に余裕を生じさせ、係止金具１０，１０′と
固定金具８とが密接して固定している状態を解除
するから、座枠１を所望の角度に後傾させること
ができる。このようにして座枠１を所望角度に傾
斜させた状態で鎖線位置にある操作レバー１６を
引上げて実線位置へ戻してやることで締付棒２１
を同図右方へ引寄せ、回転ピン２４を係止金具１
０に圧接させ固定金具８と係止金具１０，１０′
とを各側面で圧接させ、さらにローレツト１５に
よつて滑り止めをなさしめて前記した座枠１の傾
斜位置を固定保持させることができる。そして、
座枠１の傾斜角度は長孔９の上端から下端に至る
範囲で自由に設定して任意角度にて確実に固定さ
せることができる。

以上に述べたように本考案の椅子における座部
の傾動装置は構造簡単でかつ操作し易いものであ
り、その操作は操作レバーを下げた状態で座部を
所望の角度に傾斜させ、その傾斜状態にて操作レ
バーを引上げ復帰させれば、その状態を保持させ
ることができ、しかも傾斜角度を任意に設定する
ことができるといつたように優れた操作性を有す
るものである。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例に係わるもので第１図は
椅子の斜視図、第２図は要部の斜視図、第３図は
同上の分解斜視図、第４図は同上の側面断面図、
第５図は同上の作用説明図である。 １……座枠、５……脚柱、８……固定金具、９
……長孔、１０，１０′……係止金具、１４，１
４……透孔、１６……操作レバー、１８，１８…
…側片、２０……支持軸、２１……締付棒、Ａ…
…座部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 脚柱の上端を座部の下面に固設した座枠に傾動
   自在に枢着させると共に該脚柱の側面に板状の固
   定金具を突設して該金具に長孔を開設し、一方、
   座枠の下面に固定金具の板厚より若干広い間隔を
   隔てて一対の係止金具を立設して該各係止金具に
   透孔を開設し、さらに一方の係止金具の側面に一
   対の側片を突設して該側片間に操作レバーの先端
   を支持軸を介して枢着せしめ、前記一対をなす係
   止金具に固定金具を挾ませて各透孔並びに長孔に
   締付棒を挿通させると共に該締付棒の一端は操作
   レバーの支持軸より外側に位置するように該操作
   レバーに枢着せしめ、また他端部に係止金具の側
   面に係合する係止部材を取付けて構成したことを
   特徴とする椅子における座部の傾動装置。