JPS6328412B2 - - Google Patents

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JPS6328412B2
JPS6328412B2 JP58219591A JP21959183A JPS6328412B2 JP S6328412 B2 JPS6328412 B2 JP S6328412B2 JP 58219591 A JP58219591 A JP 58219591A JP 21959183 A JP21959183 A JP 21959183A JP S6328412 B2 JPS6328412 B2 JP S6328412B2
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JP
Japan
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blood cells
red blood
leukocyte separation
substance
container
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Application number
JP58219591A
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JPS59103669A (ja
Inventor
Tooru Kuroda
Yoshinori Takenaka
Nobuaki Tsuda
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication of JPS6328412B2 publication Critical patent/JPS6328412B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、血液、体液またはこれらを処理して
得られる血球浮遊液から白血球、リンパ球を選択
的に捕捉、採取するための白血球の分離フイルタ
ーに関するものである。 近年、血液学、免疫学の進歩に伴ない、血液の
成分輸血、白血球の機能検査、白血球の表面抗原
の検査、リンパ球のサブポピユレーシヨンの比率
測定等を行ない、各種疾患の治療、診断等に応用
されている。さらにヘルパーT細胞やサプレツサ
ーT細胞などのサブセツトに分類、分離する試み
などが広く各地の病院、研究機関で行なわれ始め
ている。 このような目的に使用可能な従来の白血球、リ
ンパ球の捕捉・採取技術としては、赤血球凝集剤
を用いる方法、遠心分離法、繊維への粘着力を利
用する方法等がある。 さらに詳しく述べると、赤血球凝集剤を用いる
方法は血液にデキストランやヒドロキシエチルス
ターチなどの赤血球凝集剤を加え、一定時間放置
後に白血球に富んだ上清を得る方法であり、遠心
分離方法は血液を遠心分離して白血球に富むバツ
フイーコートを採取する方法、比重1.077の液体
に血液を重層後、遠心分離を行ない、リンパ球層
を回収する密度勾配遠心分離方法等である。繊維
への粘着力を利用する既知の方法は、繊維に単
球・顆粒球を付着させ、生理食塩水、リン酸緩衝
生理食塩水等により付着した血球を回収する方
法、凝集剤や遠心分離器の使用により白血球に富
む分画を得、その後この白血球分画をナイロン、
ガラスウール等の繊維を詰めたカラムに入れ、37
℃に保温し30分位放置した後リンパ球を回収する
方法である。 しかし、これらの方法は、採取した白血球、リ
ンパ球分画に赤血球、血小板の混入が多いという
大きな欠点を持つていた。赤血球、血小板の混入
が多いと、白血球、リンパ球を用いた各種検査に
対して測定誤差の大きな原因となり、また、混入
量が多過ぎると検査不能に陥ることもしばしば起
こり、大きな問題であつた。 個々の方法について述べると、赤血球凝集剤を
用いる方法では、赤血球が白血球の数倍から十数
倍混入し、血小板になると白血球の数十倍も混入
する。遠心分離法のうち、バツフイーコートを使
用する方法では、赤血球、血小板の混入は白血球
の数倍から十数倍あり、密度勾配遠心分離法で
は、血小板はリンパ球の数倍以上ある。赤血球は
リンパ球の1/10以下にできるが、患者血液等一部
の赤血球の比重が小さくなつている場合には、赤
血球がリンパ球の数倍から十数倍になつてしまう
ことが多かつた。また、操作が煩雑であり、かつ
分離するのに長時間を要するため、得られた白血
球がダメージを受け、白血球の機能低下および生
存率の低下がみられることが多い。繊維への血球
の粘着力を利用する従来の方法では、赤血球、血
小板共リンパ球、顆粒球の数倍から十数倍になつ
てしまうことが多かつた。 本発明者らは上述の問題に着目し、白血球、リ
ンパ球を捕捉、採取する方法において、採取され
た白血球、リンパ球に対してその他の成分の赤血
球、血小板の混入を非常に少なくすることを目的
に鋭意研究した結果、水に対し0.3mg/min・cm3
から1.0mg/min・cm3の溶解速度で溶解する物質
を繊維状物質表面にコートした白血球分離材を容
器に納めた分離フイルターを使用すると、上記目
的が達成されることを見出し、本発明を完成する
に至つた。 すなわち、本発明は、繊維状物質表面に水に対
し0.3mg/min・cm3から1.0mg/min・cm3の溶解速
度で溶解する物質をコートした白血球分離材が容
器に納められてなることを特徴とする白血球分離
フイルターである。 以下、本発明の構成について詳細に説明する。 本発明の繊維状物質とは、平均直径に比べて長
さが非常に長いものを言い、平均直径(D)とは、そ
のものゝ重さをxg、長さをycm、密度をρg/cm3
とすると
【式】で定義され る。上記繊維状物質の平均直径は、特に限定され
ないが、白血球を効率よく捕捉するためには、平
均直径が10μmより小さいものが好ましく、さら
に捕捉された白血球を回収することまで考える
と、平均直径が7〜10μmのものが好ましい。繊
維状物質の素材としては、白血球に害を与えず、
水に対し0.3mg/min・cm3から1.0mg/min・cm3
溶解速度で溶解する物質がコートされる物質であ
れば特に限定されないが、たとえばポリアクリロ
ニトリル、ポリエステル、ポリアミド、セルロー
スアセテート、キユプラアンモニウム法レーヨン
等の合成繊維、半合成繊維、再生人造繊維、綿等
の天然繊維等が挙げられる。 本発明において、上記繊維状物質の表面にコー
テイングする物質は、水に対し0.3mg/min・cm3
から1.0mg/min・cm3の溶解速度で溶解する物質
であることが必要である。 こゝで言う溶解速度とは、以下に述べる測定方
法によつて得られる数値であると定義する。 測定には、第1図ないし第3図に示される容器
19を使用するが、第1図は該容器の正面図、第
2図は側面図、第3図は平面図である。この容器
19は、内径が縦イ30mm、横ロ61mm、深さハ15mm
であり、両側面の中央、内底から高さニ5mmのと
ころに内径ホ2mmの流水管20が取り付けられて
いる。 該容器の内側底面に被測定物質の被膜(表面積
18.3cm2)を形成する。被測定物質は、200mg使用
し、均質な被膜を作る。 この被膜の形成方法は特に限定されないが、た
とえば10g/dlの濃度に調製された被測定物質の
水溶液2mlを前記容器に入れ、底面全体に広げ、
蓋を外した状態で37℃のふ卵器中で充分乾燥する
ことによつて形成することができる。この場合、
被膜が割れ易い物質については、室温で乾燥する
等、条件をマイルドにし、均質な被膜を作るよう
にする。 次に定面に被膜を形成した容器を第4図に示さ
れる装置にセツトする。図中、21は底面に被膜
を形成した容器、22は水の入つたビーカー、2
3はポンプ、24は振とう機を表わす。 まず、容器21中にビーカー22より30℃の水
をポンプ23によつて5ml/minの流量で送り、
容器21から溶出してきた被測定物質をサンプリ
ングし、経過時間に対する溶出量を測定する。こ
の際、容器21は水平に保ち、振とう器24によ
つて常に振とうしておく。振とうの方法は、水平
運動であつて水の流れの方向yに対して1秒当り
3cmの1往復動作(y=1.5cos2πt〔cm〕、tは時
間〔sec〕)、流れに対して垂直方向xに対して1
秒当り2cmの2往復動作(x=−sin4πt〔cm〕、t
は時間〔sec〕)が同時に与えられる8の字運動を
行なわせた。容器21から溶出した被測定物質
は、たとえば4分毎(20ml毎)にサンプリング
し、その時間に対する溶出パターンを描く。 このようにして描いた被測定物質の溶解パター
ンは、第5図のようになり、曲線aは溶解速度の
速いものであつて、b、cの順に溶解速度は遅く
なつている。本発明においては、この溶解パター
ンのうち、直線性の良い部分を選び、溶出時間が
8分の時点での一定表面積(18.3cm2)をもつ被測
定物質の溶出量から物質の溶解速度を定義した。
すなわち、(溶解速度)=(溶出時間が8分の時の
物質の溶出量mg)÷(8min×18.3cm2)〔mg/min・
cm3〕(たゞし、測定方法は前記した方法による)
と定義する。 上記のような溶解速度において、水に対し0.3
mg/min・cm3から1.0mg/min・cm3で溶解する物質
(以下、赤血球付着阻止物質と呼ぶ)によつて、
赤血球や血小板の白血球分離材への付着を抑制す
る効果が得られるのであるが、その理由は、繊維
状物質表面上の該物質が徐々に流出しているため
に、赤血球や血小板が繊維状物質に付着し難くな
るためと考えられる。 溶解速度が0.3mg/min・cm3よりも遅い物質で
は、繊維状物質から流出する量が微量すぎて上記
効果が乏しく、溶解速度が1.0mg/min・cm3より
も早い物質では、繊維状物質からすぐに流出して
しまうために、繊維状物質が未コートの状態とな
つてしまう。 水に対する溶解速度が1.0mg/min・cm3より早
い物質でも、繊維状物質表面に大量にコートした
り、分離する血液が少量であつたり、流速を速く
したり、温度を下げたりすれば、赤血球や血小板
を白血球分離材に粘着するのを防ぐことができ
る。すなわち、赤血球や血小板が白血球分離材と
接触する間だけ繊維状物質表面にコートした物質
が血液中に溶け出していれば、赤血球や血小板は
繊維状物質表面に粘着し難くなるからである。し
かし、実際には繊維状物質表面のコート物質の厚
みには限度があること、また血液の流速を上げる
場合には白血球が洩れ易くなり、白血球の回収率
が悪くなること等から、赤血球付着阻止物質の溶
解速度は1.0mg/min・cm3以下が必要である。 また溶解速度が0.3mg/min・cm3より遅い物質
でも、流速を上げたり、物理的な振動を与えた
り、温度を上げたりして繊維状物質表面上のコー
ト物質を血液中に溶け出し易い状態にしてやれ
ば、赤血球や血小板が白血球分離材に付着し難く
なる。しかし、実際には流速を上げたり、物理的
な振動を与えると、白血球が洩れ易くなつて白血
球回収率が下がり、また、温度を過剰に上げると
血液が変性してしまうため、溶解速度は0.3mg/
min・cm3以上が必要である。 繊維状物質にコートするための赤血球付着阻止
物質の素材としては、白血球に対して害を与えな
いものであれば特に限定されないが、たとえばゼ
ラチン、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリ
ビニルアルコール、ポリメチルエーテル等が挙げ
られる。特にゼラチン、カゼイン等の蛋白質は、
白血球に悪影響を与え難いという点で優れてい
る。 繊維状物質に赤血球付着阻止物質をコートする
方法は、特に限定されないが、たとえば白血球分
離操作を行なう直前に、赤血球付着阻止物質の等
張溶液を該繊維状物質表面に接触させることによ
つてコートすることができる。すなわち、繊維状
物質表面への赤血球付着阻止物質の付着量は、少
なくとも単分子層以上あればよく、必ずしも吸着
していなくてもよい。該付着量は、血液量、洗浄
量、流速等の使用条件により適宜選定する。ま
た、あらかじめ繊維状物質表面に赤血球付着阻止
物質を付着させ、乾燥しておいたものを使用する
こともできる。たゞし、白血球分離材と血液等が
接触する際には、繊維状物質表面上のコート物質
がウエツト状態になつている方が好ましい。 本発明の白血球分離フイルターは、上記白血球
分離材が容器に納められてなるものである。この
場合、白血球分離材は充分ほぐされた状態である
ことが好ましい。容器の中に入れる白血球分離材
の嵩密度は、乾燥した状態で0.04g/cm3以上
0.4g/cm3以下が好ましい。嵩密度が低すぎると白
血球を充分捕捉することができなくなり、収率が
悪くなる。また、嵩密度が高過ぎると白血球の捕
捉は十分されるが、回収率が悪くなつたり、赤血
球が残り易くなつたりする弊害がでてくる。特に
好ましい嵩密度の範囲は0.04g/cm3以上、0.25g/
cm3以下である。 本発明の白血球分離フイルターは、たとえば第
6図のように構成される。すなわち、白血球分離
材1が液体の入口2、出口3を持つた耐水容器4
に収められて構成される。メツシユ5,6は、白
血球分離材1が容器4の外に洩れ出すのを防ぐた
めにある。 次に、本発明の白血球分離フイルターを用いて
白血球を分離する方法について、例を挙げて説明
する。第7図の例において、7は本発明の白血球
分離フイルターであり、この白血球分離フイルタ
ー7内の白血球分離材は、繊維状物質に赤血球付
着阻止物質をコートし、乾燥状態にしてあるもの
を用いた場合として説明すれば、先ず、ポンプ8
により、容器9内の生理的溶液10を白血球分離
フイルター7に送り、白血球分離フイルター7内
の白血球分離材表面をウエツト状態にする。次
に、導入口11を容器12に入れ替え、血液13
を白血球分離フイルター7に送る。この白血球分
離フイルター7において白血球が選択的に捕捉さ
れ、血漿、赤血球、血小板は殆んど捕捉されずに
白血球分離フイルター7を通過し、容器14に送
られる。さらに導入口11を容器9に戻し、生理
的溶液10を白血球分離フイルター7に流すこと
により、血漿、赤血球、血小板は洗い流され、白
血球分離フイルター7内には血漿、赤血球は殆ん
ど残留せず、血小板も僅かしか残らない。すなわ
ち、ほゞ純粋に白血球だけが捕捉されている。な
お、図中15は白血球分離フイルターの出口であ
る。 次に、第8図の例は、白血球の表面抗原を測定
する場合や、リンパ球の亜分画を測定する際に必
要なリンパ球のみを採取するための装置であり、
単球、顆粒球は前もつて単球、顆粒球の分離フイ
ルター16によつて捕捉されて取り除かれ、リン
パ球が白血球分離フイルター7にほゞ純粋に捕捉
される。図中、17は容器、18はシリコンゴ
ム、19は白血球分離フイルター7の入口であ
る。 このように簡便に純粋に白血球だけがフイルタ
ーに捕捉できる技術は今までになく、本発明の白
血球分離フイルターを用いることによつて始めて
可能になつた。この後、物理的衝撃等を与えなが
ら白血球分離フイルター7内に捕捉されている血
球を回収すると、収率良く白血球が回収され、白
血球に対する赤血球、血小板の混入率は非常に低
い。 一般に、繊維を詰めたフイルターを用いて白血
球を分離しようとするとき、血液を流し、その
後、生理的溶液でフイルターを洗浄することによ
つて、かなり多くの赤血球を洗い流すことができ
る。しかし、もともと血液中には、赤血球が白血
球の1000倍位含まれているため、フイルター内に
残る赤血球は少量であつても、白血球の数倍から
数十倍のオーダーになつてしまう。本発明の白血
球分離フイルターによれば、白血球分離フイルタ
ー内に残存する赤血球は、白血球の数分の一から
数十分の一以下まで減らすことができる。これ
は、赤血球付着阻止物質が適当な溶解速度を持つ
ているため、繊維状物質表面から赤血球付着阻止
物質が常にわずかずつ流出し、変形能の大きい赤
血球は繊維状物質表面に付着し難くなるからであ
る。一方、白血球は変形能が小さく粘着能も高い
ため、繊維状物質のクロスした部分や繊維状物質
表面に捕捉されるものと考えられる。 次に、赤血球付着阻止物質の水に対する溶解速
度と白血球分離における混入赤血球との関係につ
いて述べる。 第9図は水に対する溶解速度と混入赤血球濃度
との関係を示すグラフである。実験は以下に述べ
る方法で行なつた。 実験に用いた物質はゼラチン、カゼイン、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ
メチルビニルエーテル、糖等で、分子量の違うも
のや繊維状物質にコートした後、架橋して用いた
ものもある。繊維状物質としては、平均直径が
8.2μmのポリアクリロニトリル繊維を用い、これ
をよく開繊して直径10mm、長さ25mmの容器に
0.26g詰めてフイルターとした。各種物質のコー
ト方法は、各種物質の3.5%等張溶液(粘度が高
くなり過ぎる物質については2.5%等張溶液)を
作り、この溶液をフイルターに5ml/minの流速
で5分間循還することによつて行なつた。 白血球分離操作は、上記のフイルターに37℃の
血液を5ml、1ml/minの流速で流し、次に生理
食塩水20mlを5ml/minの流速で流し、赤血球を
洗浄した。その後、2mlの生理食塩水を急速に流
し、フイルター内に捕捉されていた白血球を回収
した。この回収液中の赤血球濃度を混入赤血球濃
度として縦軸にとり、前記した方法で測定した物
質の溶解速度を横軸にとつたのが第9図のグラフ
である。 なお、第9図において、Aはゼラチン(水に不
溶化)、Bはポリビニルアルコール(重合度
1200)、Cはゼラチン(分子量11万)、Dはポリメ
チルビニルエーテル、Eはゼラチン(分子量6
万)またはポリビニルピロリドン(分子量36万)
またはカゼイン、Fはポリビニルアルコール(重
合度500)、Gはゼラチン(分子量3万)、Hは糖、
ゼラチン(分子量4〜7千)、Iはポリビニルピ
ロリドン(分子量4万)を用いたものを示す。 第9図から明らかなように、水に対する溶解速
度が0.3mg/min・cm3から1.0mg/min・cm3の範囲
にある物質をコートした場合に限つて、混入赤血
球濃度が1000/μ以下になることがわかる。安
定的に1000/μ以下にするためには、溶解速度
が0.4mg/min・cm3から0.9mg/min・cm3の範囲の
物質を用いるのが好ましい。同じ物質、たとえば
ポリビニルピロリドン、ゼラチン等でも分子量の
違いや架橋することによつて、水に対する溶解速
度が速すぎたり、遅すぎたりすると、混入赤血球
減少の効果が薄れることがわかる。 以下、実施例を挙げて説明する。 実施例において用いた血液は、健康な人から採
取した血液1mlに対して5単位のヘパリンを加え
たヘパリン加血液であり、赤血球数は410万/μ
から480万/μ、白血球数は5000/μから
8500/μ(リンパ球が25〜45%)、血小板数は
13万/μから32万/μの範囲に入つているも
のを用いた。 実施例 1 第7図に示す実験装置を用いて白血球の分離実
験を行なつた。直径10mm、長さ25mmの容器に平均
直径8.2μmのポリアクリロニトリル繊維を0.26g
詰め、これに3.5g/dlに調製した水に対する溶解
速度が0.61mg/min・cm3のポリビニルアルコール
(重合度500)の生理食塩水溶液を充填して白血球
分離フイルター7とした。これに人のヘパリン加
血液3mlをポンプ8により1ml/minの流速で流
し、次に生理食塩水を5ml/minの流速で20ml流
し、赤血球を洗い流した。この後、白血球分離フ
イルター7の出口15に生理食塩水2mlを入れた
注射器を取り付け、白血球分離フイルター7内に
捕捉されている白血球を勢いよく流出させた。得
られた回収液を検査したところ、白血球は42%回
収され、混入した赤血球は白血球に対して1/8、
濃度にして400/μであつた。 比較例 1 ポリビニルアルコールの生理食塩水溶液を充填
しなかつたこと以外は、実施例1と同様に実験し
た。その結果、白血球は44%回収されたが赤血球
は白血球の7.6倍、濃度にして25000/μもあつ
た。 実施例 2 3.5g/dlに調製した水に対する溶解速度が0.61
mg/min・cm3のポリビニルアルコールの代わり
に、3.5g/dlに調製した水に対する溶解速度が
0.62mg/min・cm3のゼラチン(分子量6万)を用
いた以外は、実施例1と同様に実験した。その結
果、白血球は38%回収され、混入した赤血球は白
血球に対して1/29、濃度で100/μであつた。 比較例 2 3.5g/dlに調製した水に対する溶解速度が0.61
mg/min・cm3のポリビニルアルコールの代りに、
3.5g/dlに調製した水に対する溶解速度が0.62
mg/min・cm3のゼラチン(分子量6万)を酵素に
より分解し、水に対する溶解速度を1.15mg/
min・cm3(分子量4千〜7千)にしたものを使用
した以外は、実施例1と同様に実験した。その結
果、白血球は40%回収されたが、混入した赤血球
は8倍、濃度で24000/μであつた。 実施例 3 3.5g/dlに調製した水に対する溶解速度が0.61
mg/min・cm3のポリビニルアルコールの代わり
に、3.5g/dlに調製した水に対する溶解速度が
0.57mg/min・cm3のポリメチルビニルエーテルを
用いた以外は、実施例1と同様に実験した。その
結果、白血球は40%回収され、混入した赤血球は
白血球に対して1/5、濃度で700/μであつた。 実施例 4 第8図に示した実験装置を用いてリンパ球の採
取実験を行なつた。白血球の分離フイルター7と
して内径10mm、長さ26mmの容器の中に白血球分離
材0.30g詰めたものを用いた。白血球分離材は平
均直径7.8μmの綿状のポリアクリロニトリル繊維
を7g/dlに調整したカゼイン水溶液にデイツプ
し、その後遠心して余分のカゼインを除き開繊、
真空乾燥して作つた。このカゼインの水に対する
溶解速度は0.43mg/min・cm3であつた。単球、顆
粒球の分離フイルター16としては内径10mm、長
さ75mmの容器に平均直径が20.8μmのポリアミド
繊維0.88gを綿状にして詰めたものを用いた。 まず生理食塩水10をポンプ8により単球・顆
粒球の捕捉フイルター16および白血球の分離フ
イルター7に充填し、その後、導入口11を容器
12に移し37℃に保温した人ヘパリン加血液13
を1ml/分の流速で5ml、単球・顆粒球の捕捉フ
イルター16に送つた。次に、導入口を容器17
に移し、シリコンオイル18を1ml/分の流速で
流し、単球・顆粒球の捕捉フイルター16内に残
留している血液を白血球分離フイルター7に送り
出した。その後、単球・顆粒球の捕捉フイルター
16を取り外し、白血球の分離フイルター7の入
口19から生理食塩水10を20ml、5ml/分の流
速で送り、白血球の分離フイルター7を洗浄し
た。次に白血球の分離フイルター7を外し、白血
球分離フイルター7の入口19に生理食塩水2ml
を入れた注射器を取り付け、フイルター内の白血
球を勢いよく流出させた。得られた回収液を検査
したところ、リンパ球は18%回収され、リンパ球
に対する混入赤血球は1/5、濃度で180/μであ
つた。 実施例 5 実施例4と同じ実験装置で7g/dlに調製した
カゼインの代わりに、3.5g/dlに調製したポリビ
ニルアルコールを使用した以外は、実施例4と同
様に実験した。本実験で使用したポリビニルアル
コールの水に対する溶解速度は0.77mg/min・cm3
であつた。この実験の結果、リンパ球は16%回収
され、リンパ球に対する混入赤血球は1/4、濃度
で200/μであつた。 実施例 6 第7図に示す実験装置を用いて内径18mm、長さ
100mmの容器に平均直径8.5μmのポリエステル系
合成繊維3.3gを綿状にして詰め、これに、2g/dl
に調製したポリビニルピロリドンの生理食塩水溶
液を充填し、白血球分離フイルターとした。ポリ
ビニルピロリドンの水に対する溶解速度は0.5
mg/min・cm3であつた。この白血球分離フイルタ
ーに人ヘパリン加血液100mlを5ml/分の流速で
流し、次に生理食塩水を10ml/分の流速で200ml
流して赤血球を洗い流した。この後、血漿を含む
生理的溶液100mlを10ml/分の流速で流してフイ
ルターに物理的外力を加えながらフイルター内の
白血球を回収した。回収した液を検査したとこ
ろ、白血球が54%回収され、混入した赤血球は白
血球に対して1/13、濃度で200/μであつた。 実施例 7 繊維状物質として、平均直径が13.5μmのポリ
エステル系合成繊維6gを使用した以外は、実施
例6と同じ条件で実験した。その結果、白血球の
回収率は40%であり、混入した赤血球は白血球に
対して2/5、濃度で800/μであつた。 以上述べたように本発明の白血球分離フイルタ
ーによれば、血球浮遊液から白血球を採取するに
当り、採取した白血球に対して混入する赤血球を
大幅に減らすことが可能となり、また血小板につ
いても少なくすることができるようになつた。ま
た、操作方法も簡便であり、操作時間も短いので
白血球に与える影響も少なかつた。このようにし
て得られた白血球は、各種臨床検査の信頼性を充
分に高めた。
【図面の簡単な説明】
第1図は物質の溶解速度を測定する際に用いる
容器の正面図、第2図は該容器の側面図、第3図
は該容器の平面図、第4図は物質の溶解速度を測
定する際に用いる実験装置を示す図、第5図は代
表的な物質の溶解速度を示すグラフ、第6図は本
発明の白血球の分離材を容器に詰めて構成した白
血球分離フイルターを示す断面模式図、第7図は
本発明の白血球分離フイルターを使用して白血球
分離法を行なう際に用いる装置の一例を示す説明
図、第8図は該装置の他の一例を示す説明図、第
9図は物質の溶解速度とその物質を繊維状物質に
コートして、白血球分離操作を行なつたときの混
入赤血球濃度との関係を示すグラフである。 1……白血球の分離材、2……入口、3……出
口、4……容器、5,6……メツシユ、7……白
血球分離フイルター、8……ポンプ、9,11,
12,14,17……容器、10……生理的溶
液、11……導入口、13……血液、15……出
口、16……単球・顆粒球の分離フイルター、1
8……シリコンオイル、19……入口。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 繊維状物質表面に水に対し0.3mg/min・cm3
    から1.0mg/min・cm3の溶解速度で溶解する物質
    をコートした白血球分離材が容器に納められてな
    ることを特徴とする白血球分離フイルター。 2 水に対し0.3mg/min・cm3から1.0mg/min・
    cm3の溶解速度で溶解する物質がゼラチンおよび/
    またはカゼインである特許請求の範囲第1項記載
    の白血球分離フイルター。 3 繊維状物質の平均直径が10μm以下である特
    許請求の範囲第1項または第2項記載の白血球分
    離フイルター。
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