JPS6324073Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、二輪車または三輪車等の車輛にお
ける二人乗り用シートの取付構造に関するもの
で、詳しくは、シート底板が合成樹脂で形成され
る二人乗り用シートの取付構造に関するものであ
る。

従来より、二輪車又は三輪車の二人乗り用シー
トの取付構造として、シート底板の前後方向の中
央部を車体フレームに設けたロツク機構によつて
車体フレームに固定する方式のものが知られてい
る。

ところで、従来ではシート底板には鋼板が使用
されていたが、最近では、軽量化が図れ、しかも
成形の自由度が高いことから、合成樹脂の使用が
研究されるようになつた。ところが、合成樹脂で
形成したシート底板は、鋼板で形成したものと比
較して剛性が低く、したがつて前述のような方式
の取付構造を採用する場合には、搭乗者が着座し
た時にシートの後部が浮き上がらないような工夫
が要求される。

この考案は、前記事情を考慮して提案されたも
ので、底板が合成樹脂で形成される二人乗り用シ
ートにおいて、シートの前後方向の中央部をロツ
ク機構によつて車体フレームに固定する方式とし
た場合でも、搭乗者が着座した時のシート後部の
浮き上がりを防止でき、しかも車体フレームへの
組付けに面倒な手間を要しないシートの取付構造
を得ることを目的とするものである。そしてその
特徴は、シート底板の前部および後部に対向して
シートレールに設けられた前後のクロスメンバの
うち、前側のクロスメンバにシート取付用係止部
材を、また、後側クロスメンバに車体後方に延び
る突片を取り付け、一方、シート底板の前部に前
記シート取付用係止部材に車体後方より差し入れ
られて係合する係止腕を、また、シート底板の後
部に車体前方に開口する開口部と前記突片の下面
に当接する係止面を有する窪部を設け、シートを
前方にスライドさせ前記係止腕を前記シート取付
用係止部材に係合させると、前記窪部が開口部よ
り前記突片に嵌まるとともに係止面が突片の下面
に当接して重なることによつて、シート後部の上
方への移動を拘束するようにしたところにある。

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図は、本考案が適用される自動二輪車の車
体フレーム１と、該車体フレーム１上に固定され
る二人乗り用シート２の分解斜視図を示してい
る。

前記車体フレーム１は、エンジンの組付性の向
上、フレーム自体のコンパクト化等を図ることか
ら、エンジンを支持する片側のダウンチユーブ１
ａをボルト等で着脱可能としたもので、ハンドル
等の操舵機構を枢支するヘツドパイプ１ｂの上端
から車体後方に向けて一対のメインパイプ１ｃ，
１ｃが延出し、それぞれのメインパイプ１ｃ，１
ｃの後部からさらに車体後方に向けてシートレー
ル１ｄ，１ｄが延出した構成になつており、前記
一対のシートレール１ｄ，１ｄ上にシート２が載
せられる。両シートレール１ｄ，１ｄは、その前
端、中央、後端の３ケ所でそれぞれクロスメンバ
１ｅ，１ｆ，１ｇにより相互接続されており、前
端のクロスメンバ１ｅの上面には車体幅方向に延
びてパイプ（クロスパイプ…シート取付用係止部
材）３が架設され、後端のクロスメンバ１ｇの上
面には先端を後方にかつ若干上方に向けて突出さ
せた鋼板製の突片４が溶接されている。

前記二人乗り用シート２は、第２図に示す如
く、合成樹脂で一体成形されたシート底板５と、
該シート底板５上に積層されたクツシヨン材６
と、該クツシヨン材６の外表面を被覆したカバー
７とから構成されている。

前記シート底板５は、第３図〜第５図に示すよ
うに、その後端側に前記突片４と係合する窪部５
ａが形成され、かつ前後方向の中央部に前記シー
トレール１ｄに固設されたロツク機構（図示略）
によつて係止される係合片５ｂ，５ｂが形成さ
れ、かつ前端側に前記クロスパイプ３と係合する
係止腕５ｃが形成されている。

窪部５ａは、第３図にも示す如く車体前方側に
開口する開口部８ａと、前記突片４の下面に当接
する係止面８ｂを有しており、また係止腕５ｃは
車体前方に突出し前記クロスパイプ３の下をくぐ
る突起部９を有している。そして、シート２をシ
ートレール１ｄ，１ｄ上において車体後方側から
前方にスライドさせていくと、第６図および第７
図に示すように、前記係止腕５ｃが、その突起部
９がクロスパイプ３の下をくぐることによりクロ
スパイプ３に係合し、これと同時に、前記突片４
が、開口部８ａから窪部５ａ内に挿入され窪部５
ａの係止面８ｂが突片４の下面に当接して両者は
重なり合つて係合する。上記２ケ所における係合
によつて、シート前端およびシート後端の上方へ
の移動が拘束される。さらにフレーム１上に載せ
られたシート２は、前述のロツク機構によつて前
後方向および車体の幅方向への移動が拘束されて
車体フレーム１への固定が完了する。

このように、本実施例によれば、シート２をシ
ートレール１ｄ，１ｄに沿つて車体後方側から前
方にスライドさせるという１つの動作で、前部の
係止腕５ｃとクロスパイプ３、後部の窪部５ａが
突片４が同時に係合されるので、組付けが簡単で
あるとともに、運転者一人だけがシート２の前部
分に着座した時に、パツセンジヤーの着座部とな
るシート後部の浮き上がりも防止される。特にこ
の場合、突片４の下面に窪部５ａの係止面８ｂが
当接して両者が重なり合うことによりシート２の
浮き上がりを防止するが、シート２の浮き上がり
方向（上向き）とシート２の抜け方向（後向き）
は一致しないので、たとえば、悪路走行時等にシ
ート２が浮き上がろうとする動きが強くてもその
動きが完全に抑えられ、またシート２が抜けると
いつたおそれがない。また、前述のような構造で
あれば、特に新たに形成する部品はクロスメンバ
１ｇに溶接する突片４だけでよく、従来の車体フ
レーム１に最小限の加工を施すだけで、本考案の
適用が可能となる。

以上説明したように、本考案によれば、シート
を前方にスライドさせるという１つの動作で、シ
ート底板前部の係止腕とシート取付用係止部材、
シート底板後部の窪部と突片が同時に係合され
て、シートレールにシートが固定されるので、組
付けが簡単である。また、前記窪部の係止面が突
片の下面に当接して両者が重なり合うことによ
り、シート前部に運転者一人だけが着座した際に
シート後部の上方への移動が拘束されるが、これ
は、シートが移動する方向（上向き）とシートの
抜け方向（後向き）が一致しないので、シートの
動きが完全に抑えられ、またシートが抜けるとい
つたおそれがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例が適用された自動二
輪車の車体フレームと二人乗り用シートとの斜視
図、第２図は第１図における二人乗り用シートの
縦断面図、第３図は第２図における−線に沿
う断面図、第４図は第２図における−線に沿
う断面図、第５図は第２図における−線に沿
う断面図、第６図および第７図はそれぞれ一実施
例の作用説明図である。 １……車体フレーム、１ｄ……シートレール、
１ｇ……クロスメンバ、２……二人乗り用シー
ト、３……パイプ（クロスパイプ）、４……突片、
５……シート底板、５ａ……窪部、５ｃ……係止
腕、８……係止面、９……突起部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シート底板が合成樹脂で形成され、かつその前
   後方向の中央部がロツク機構によつて車体フレー
   ムのシートレールに固定される二輪車または三輪
   車の二人乗り用シートの取付構造であつて、 シート底板の前部および後部に対向してシート
   レールに設けられた前後のクロスメンバのうち、
   前側のクロスメンバにシート取付用係止部材を、
   また、後側クロスメンバに車体後方に延びる突片
   を取り付け、一方、シート底板の前部に前記シー
   ト取付用係止部材に車体後方より差し入れられて
   係合する係止腕を、また、シート底板の後部に車
   体前方に開口する開口部と前記突片の下面に当接
   する係止面を有する窪部を設け、シートを前方に
   スライドさせ前記係止腕を前記シート取付用係止
   部材に係合させると、前記窪部が開口部より前記
   突片に嵌まるとともに係止面が突片の下面に当接
   して重なることによつて、シート後部の上方への
   移動を拘束することを特徴とする二人乗り用シー
   トの取付構造。