JPS6322003Y2

JPS6322003Y2 -

Info

Publication number: JPS6322003Y2
Application number: JP16258682U
Authority: JP
Priority date: 1982-10-27
Filing date: 1982-10-27
Publication date: 1988-06-17
Also published as: JPS5966510U

Description

【考案の詳細な説明】本考案は、スローアウエイチツプに係り、特に
チツプブレーカ溝を改良することにより荒削り用
に好適するようにしたものである。

従来、この種のスローアウエイチツプは、切屑
処理の点から各種のチツプブレーカ溝が提案さ
れ、実用に供されている。

しかしながら、生産性の追求、難削材の出現等
により、さらに改良されたチツプブレーカ溝を有
するスローアウエイチツプの開発が要望されてい
る。

本考案は、上述の点に鑑みなされたもので、荒
削り用のスローアウエイチツプとして、切削抵抗
が小さく、しかも切屑処理の信頼性が高くなるこ
とを意図したものである。

以下、本考案スローアウエイチツプの一実施例
について、図を参照しながら説明する。

第１図乃至第３図において、１は、中央取付け
穴２を有する６角形板状のスローアウエイチツプ
であり、６角形を呈する一方の面には、チツプブ
レーカ溝３が全周囲にわたつて形成されている。
そして、図示の場合では、鋭角をなすコーナー部
分が、切削上のノーズ部分４を構成する。

前記チツプブレーカ溝３は、第３図で明示され
ているように、切刃稜５から中央ボス面６に向つ
て、ランド部分７、傾斜面８、拘束面９、切上り
面１０を連設した第２の傾斜面１１、および第２
の拘束面１２がそれぞれ形成されている。

また、中央ボス面６の頂角部分には、例えばそ
の高さが、中央ボス面６および第２の拘束面１２
の略中間位にある突起部分１３が、前記第２の傾
斜面１１に接続するようにノーズ部分４に向つて
凸設されている。

このようにして構成された本考案のスローアウ
エイチツプ１は、拘束面９を中間にして例えばα
＝17゜、β＝20゜の傾斜角を有するような２段階の
傾斜面８，１１が形成されていることから、刃先
強度の低下を防ぎながら切削抵抗を小さくできる
ものである。これは、１段の傾斜角で傾斜面を採
れば、切削抵抗を小さくできる反面、刃先強度が
弱くなることからである。そして、特に拘束面９
を介在させたのは、切屑の接触により切屑カール
を強制するものであり、これを乗越える場合に
は、第２の傾斜面１１が機能するものである。し
たがつて、切削時には、傾斜面８，１１の一方が
切屑に接触することになり、結果的には切屑接触
面積が少なくなつて工具寿命が長くなる。

また、第２の傾斜面１１には、切上り面１０を
介して、第２の拘束面１２が設けられているため
特に大きな送り又は切込みの場合でも対処できる
ものである。これは、切屑が、拘束面１２に接触
して折断乃至カールさせられるからである。ま
た、これが不充分な場合には、拘束面１２および
中央ボス面６間に波形境界１４が形成されている
ため、これにより対処できるものである。

さらに、中切削の領域においては、中央ボス面
６の頂角部分から凸設された突起部分１３が機能
して、切屑処理を円滑にする。この場合、本実施
例では、突起部分１３の高さが、中央ボス面６お
よび第２の拘束面１２の略中間位にあるため、前
述した荒削りでも特に障害になることはない。ま
た、中央ボス面６は、前記ランド７よりも幾分低
位にあることが、すくい角の構成から好ましいも
のである。

第４図は、WNMM432を基本形状とした本考
案品Ａ、従来品Ｂ、比較品Ｃにおける切屑処理の
有効範囲を比較したものである。このときの被削
材はS48Cで、切削速度を100ｍ／minとした。

本考案品Ａの具体的形状は、ランド部分７につ
いては、3゜のポジランドで、その巾を0.35mmとし
た。また、チツプブレーカ溝３については、第３
図でみられるように傾斜面８の傾斜角αを17゜、
傾斜面１１の傾斜角βを20゜とし、切刃稜５から
傾斜面１１に至る巾を0.75mm、拘束面９の巾を
0.2mm、切刃稜５から拘束面１２に至る巾を2.2
mm、中央ボス面６とこれよりも高位にあるランド
部分７の段差量を0.1mm、拘束面９と中央ボス面
６との段差量を0.1mmとした。さらに、突起部分
１３については、中央ボス面６と拘束面９との略
中間高さになるようにして、傾斜面１１の付近ま
で凸出させるようにした。これに対し、比較品Ｂ
は、円弧形の全周ブレーカを有するもので、ラン
ド巾を0.35mm、ブレーカ巾を2.2mmとしたもので
あり、また、比較品Ｃは、突起部分１３および波
形境界１４がなく、その他については形状的に
は、本考案品Ａと同一仕様としたものである。

この結果、本考案品Ａは、第４図で明示されて
いるように切込みｄ＝２〜６mm、送りｆ＝0.3〜
0.6mm／revの範囲で有効な切屑処理性能を示し
た。これに対し、従来品Ｂは、送りが0.4〜0.5
mm／revの範囲で狭いものであつた。また、比較
品Ｃは、送りの下限が0.4mm／revで、３〜６mmの
切込みにおける送りの上限が減少した範囲であつ
た。送りの下限が減少したのは、突起部分１３が
存在しないためであり、３〜６mmの切込みにおい
て送りの上限が減少したのは波形境界１４が存在
しないためである。

第５図は、前述した本考案品Ａおよび従来品Ｂ
について、S48Cを切削したときの切削抵抗（主
分力）を比較したものである。この結果、本考案
品Ａが従来品Ｂに対し切削抵抗（主分力）が約20
％低くかつた。これは、前述した２段階の傾斜面
８，１１の存在によるものである。

なお、第２図で明示されているようにノーズ部
分４の一部を残して、凹み１５によるインクリネ
ーシヨンが付加されるように構成すれば、背分
力、送り分力がともに少なくなり、細物加工や、
馬力の低い機械でも有効利用できるものである。
また、本実施例では、６角形板状のスローアウエ
イチツプ１を図示しているがこれに限らず３角形
板、正方形板等にも適用できるものである。

また本実施例では、ランド部分７については、
一定巾のものが示されているがノーズ部分４で巾
狭になるようにしたもの等の変形も可能である。

本考案は、以上説明したように、チツプブレー
カ溝の構成として、２段すくい角、拘束面、突起
部分などを有効に組合せたものであるから、荒削
り用例えば切削送りを基準とすれば0.3〜0.6mm／
revの領域において有効な切屑処理を行なうもの
であり、また刃先強度、切削抵抗の減少等から作
業性を向上させ、切削寿命の延長も期待できると
いう利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案スローアウエイチツプの一実
施例を示す正面図、第２図は、その側面図、第３
図は、第１図中の−線に沿つて得られる拡大
した一部断面図、第４図は、本考案品Ａ、従来品
Ｂおよび比較品Ｃにおける切屑処理の有効範囲を
比較した説明図、第５図は、本考案品Ａおよび従
来品Ｂにおける切削抵抗（主分力）を比較した説
明図である。３……チツプブレーカ溝、６……中央ボス面、
７……ランド部分、８，１１……傾斜面、９，１
２……拘束面、１０……切上り面、１３……突起
部分、１４……波形境界。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】多角形板状をなし、切削上すくい面を構成する
面には、チツプブレーカ溝３が、その全周囲にわ
たつて形成されるようにしたスローアウエイチツ
プにおいて、前記チツプブレーカ溝３は、切刃稜５から拘束
面９を中間にして、２段階で傾斜する傾斜面８，
１１が形成され、しかもこの傾斜面１１から、中
央ボス面６に隣接した低位にある第２の拘束面１
２に向つて切上り面１０が連設されるとともに、
この第２の拘束面１２および中央ボス面６間に
は、波形境界１４が形成されるようになつてお
り、さらに、中央ボス面６の頂角部分には、突起部
分１３が、前記傾斜面１１に接続するようにノー
ズ部分４に向つて凸設されていることを特徴とす
るスローアウエイチツプ。