JPH0115456Y2

JPH0115456Y2 -

Info

Publication number: JPH0115456Y2
Application number: JP1984146526U
Authority: JP
Priority date: 1984-09-27
Filing date: 1984-09-27
Publication date: 1989-05-09
Also published as: JPS6161116U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、スローアウエイチツプを組込んだ正
面フライスに係り、特に、中切込み、高送りがで
きるように切刃構成を改善したものである。

（従来の技術）従来、この種の正面フライスは、クランプホル
ダーなどと異なり、スローアウエイチツプにチツ
プブレーカ溝を形成していないのが普通である。
そして、チツプブレーカ溝を形成したスローアウ
エイチツプが本体内に組込まれたものとしては、
例えば、特公昭47−51309号公報、実公昭58−
21608号公報等にみられるものが開示されている。

（考案が解決しようとする問題点）しかしながら、これらの公報にみられるもの
は、チツプブレーカ溝が研削砥石によつてとぎ込
まれるもので、製造上量産性に問題があるもので
あつた。また切削上でも必ずしも満足できるもの
ではなかつた。

すなわち、前者の公報にみられるものでは、ス
ローアウエイチツプの頂角部分には、互に反対方
向にひらいた台形傾斜面が設けられ、しかもチツ
プブレーカ溝がこの台形傾斜面の鈍角交叉による
稜線に沿つているため、切込み量を大きくとるこ
とができず、また正面切刃稜側では、チツプブレ
ーカ溝によつてその一部が切欠されているため、
仕上げ面粗さが悪くなることからである。また、
後者の公報にみられるものでは、同様に正面切刃
稜側では、チツプブレーカ溝によつてその一部が
切欠され、仕上げ面粗さが悪くなるからである。
さらに、本質的には、ネガ形式の五角形チツプを
組込むため、軸方向すくい角がネガとなり切削抵
抗などの点で好ましくないものであつた。

このようなことから、本考案の正面フライスで
は、チツプブレーカ溝が圧粉体成形時に独立的な
関係で型押しできるような構成を採り、また、中
切込み、高送りの用途に好適するようにしたもの
である。

（問題を解決するための手段）本考案の正面フライスは、表裏面の各辺に沿つ
て巾狭のフラツトランドを残すようにしたチツプ
ブレーカ溝が両端止り溝で独立的に形成されるス
ローアウエイチツプを組込んだものである。ま
た、スローアウエイチツプの頂角部分には、表裏
面側からそれぞれ逃げ角が付与されるようにした
チヤンフア面が形成され、しかも外周切刃稜に隣
接する側のチヤンフア面が正面側切刃稜を構成す
る。したがつて、正面切刃稜における軸方向すく
い角は正角を構成して切れ味を良好にする。さら
に、チヤンフア面同士の交叉稜が本体の軸方向に
対する直交する方向線に対して逃げ角βを構成す
るようにしたものである。

（作用）本考案の正面フライスは、チツプブレーカ溝を
備えたスローアウエイチツプを組込むことによ
り、軸方向および半径方向のすくい角を実質的に
正角として機能させたものである。

また、外周切刃稜の長さを大きくとれる構成と
して各辺に沿つたチツプブレーカ溝を独立的な関
係で形成したものである。この結果、中切込み
（ma×13mm）、高送り（ma×1.4mm／刃）の切削
加工および難削材加工に適用できるものである。

（実施例）以下、本考案正面フライスの一実施例につい
て、図を参照しながら説明する。

第１図において、１は正面フライスの本体であ
り、その取付け溝２内では、スローアウエイチツ
プ３が適宜の主段例えば図示しないロケータ、
楔、締付けねじなどで位置決め固定される。

そして、このスローアウエイチツプ３は、第３
図で明示されるように、略三角形板状をなしてお
り、被削材４に対しては、コーナー角Ｃで、軸方
向のすくい角が正角をなすものである。したがつ
て、頂角部分に形成されるチヤンフア面５，５
は、互に表裏面側からそれぞれ逃げ角αが付与さ
れるように隣接して形成され、その中間部位に
は、交叉稜６が形成される。そして、本体１内に
組込まれたときには、外周切刃稜７に隣接するチ
ヤンフア面５，５が、正面側の切刃稜５ａを構成
するとともに、その軸方向のすくい角が正になつ
て、前記交叉稜６が正面側の逃げ角βを構成す
る。この場合、正面側の切刃稜５ａは、本体１の
軸方向に対して直交する方向にあるものである。

この結果、スローアウエイチツプ３は、被削材
４に対するコーナー角ＣがＣ＝Ａ＋βによつて設
定される。この場合、スローアウエイチツプ３
は、三角形板状を呈することからＡが30゜となり、
逃げ角βが一般的には、4゜＜β＜20゜の範囲内で
選択される。また、外周切刃稜７における半径方
向のすくい角は、第２図の切屑８の発生状況で判
るように、両端止り溝からなるチツプブレーカ溝
９の形成に伴つて、実質的には、正角γを構成
し、切れ味、切削抵抗の減少等で良結果をもたら
す。この場合、チツプブレーカ溝９は外周切刃稜
７に対して巾狭例えば0.1〜0.3mm巾のフラツトラ
ンド１０を介して形成されるものである。したが
つて、このチツプブレーカ溝９は、両端止り溝形
式からスローアウエイチツプ３の外郭形状を変え
ないようにその内側で凹みを形成するものであ
る。すなわち、チヤンフア面５，５に対しては、
前述した特公昭47−51309号公報および実公昭58
−21608号公報にみられるものとは異なり切欠き
を付与しないように両端止り溝で互に独立する関
係に離れて位置するものである。これは、刃先稜
の保護からである。なお、外周切刃稜７に対して
は、第２図で示されるように逃げ角θが与えられ
るようになつている。

さらに、第４図は、略正方形板状のスローアウ
エイチツプ３を組込んだものが示されている。こ
の場合被削材４に対するコーナー角Ｃは、前述し
た略三角形板と同様Ｃ＝Ａ＋βに設定されるが、
正方形板状の場合には、Ａが45゜で、βの範囲が
4゜＜β＜20゜で三角形板状の場合と同様である。
そして、第３図の場合、スローアウエイチツプ３
の内接円が19.05mm、コーナー角Ｃ＝60゜、チヤン
フア５の長さδ＝1.0mm、フラツトランド１０の
巾が0.2mm、フラツトランド１０を含めたチツ
プブレーカ溝９は、その溝巾がＷ＝３mm、曲率半
径がＲ＝3.5mmに設定されたものである。

（切削例）次に、本考案の正面フライスにおける切削例に
ついて説明する。

正面フライスの工具仕様は、刃先外径Ｄ＝
φ200mmで８枚刃形式のものである。適用したス
ローアウエイチツプ３は、第３図にもとづくもの
で、前述した形状・寸法を有する三角形板状のも
のとし、本体１に組込まれたときには、軸方向す
くい角を4゜、半径方向のすくい角を−13゜［チツプ
ブレーカ溝９のところではポジ］に設定した。

そして、S55C（H_B230）からなる被削材（切削
幅181mm）を１枚刃で切削速度ＶをＶ＝116ｍ／
minに設定して乾式切削した。

この結果、切屑の状況変化は第５図に示される
が、チツプブレーカ溝を有しない比較品による第
６図に対し、切屑カールの小径化が明らかになつ
ている。またS55Cの切削抵抗を比較した第７図
でも本考案品のＸ，Ｙ，Ｚ方向における切削抵抗
の軽減が明らかになつている。この場合の切削条
件は、切削速度ＶをＶ＝116ｍ／min、切込みａ
をａ＝３mm、切削幅ｗをｗ＝100mmとしたもので
ある。

（考案の効果）このようにして構成された本考案の正面フライ
スは、以下のような効果を有する。

第１に、中切込み、高送りの切削用途が新規開
拓されたことである。

これは、例えば略三角形板状のスローアウエイ
チツプ３を適用したときには、中切込み
（max13mm）、高送り（max1.4mm／刃）が可能と
なるからである。この場合、切込1.3mmのとき、
送りは通常0.3mm／刃程度であり、また送り1.4
mm／刃のとき、切込みは２mm程度である。

なお、切込み８mm程度の場合には、送り0.6
mm／刃程度が可能である。

第２に、難削材の加工にも適用できることであ
る。これは、チツプブレーカ溝９の存在により、
切削抵抗が約10％程度減少することおよび実質的
な意味で真のすくい角が正角になることからであ
る。なお、チツプブレーカー溝９によるすくい角
は、第３図ｂでは10゜〜20゜の接線角Ｂを有するも
のが示されている。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案正面フライスの一実施例を示
す要部の正面図、第２図は、切屑の発生状況を示
す一部断面図、第３図は、スローアウエイチツプ
を示すもので、ａは、その正面図、ｂは、側面方
向からの一部断面図、ｃは、斜め上方からの一部
側面図、ｄは、斜め下方からの一部側面図、第４
図は、変形例を示す要部の正面図、第５図は、本
考案品による切屑の状況変化を示す説明図、第６
図は、比較品による切屑の状況変化を示す説明
図、第７図は、本考案品および比較品における切
削抵抗の最大値を示す説明図である。１……本体、２……取付け溝、３……スローア
ウエイチツプ、５……チヤンフア面、５ａ……正
面切刃稜、７……外周切刃稜、９……チツプブレ
ーカ溝、１０……フラツトランド。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】本体１の外周部分に設けられた取付け溝２内に
は、略三角形板状又は略正方形板状をなすスロー
アウエイチツプ３が組込まれ、しかもこのスロー
アウエイチツプ３の三角形又は正方形を呈する表
裏面には、チツプブレーカ溝９が備えられるとと
もに、スローアウエイチツプ３の頂角部分の側面
には、表裏面側から互に反対方向に向かうチヤン
フア面５，５がそれぞれ形成されるようにした正
面フライスにおいて、前記チツプブレーカ溝９は、三角形又は正方形
の各辺側に対しては、巾狭のフラツトランド１０
を介して平行に形成され、また頂角部分にあるチ
ヤンフア面５，５に対しては、切欠きを付与しな
いように両端止り溝で互に独立する関係に離れて
位置しており、前記チヤンフア面５，５は、フラツトランド１
０および側面の交叉によつて構成される外周切刃
稜７に隣接する側では、本体１の軸方向に直交す
る関係にある正面切刃稜５ａを構成するととも
に、正面切刃稜５ａにおける軸方向すくい角を正
にし、またチヤンフア面５，５同士による交叉稜
６側では、軸方向に直交する方向線に対し逃げ角
βを構成するように位置していることを特徴とす
る正面フライス。