JPS6321538B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、竪型粉砕装置に係り、特に大径ロー
ラと小径ローラにより粉砕することによつて粉砕
効率を高めることを目的とした粉砕装置に関す
る。

竪型粉砕装置による粉砕のメカニズムの中で原
料の粉砕前の粒子径と粉砕ローラの直径との関係
は粉砕効率の重要な因子とされており、原料を粉
砕ローラと粉砕テーブルとの間に噛み込んで圧
縮、剪断粉砕する場合に、粗粒子に対しては大径
のローラが用いられている。これは小径ローラを
使用する場合には粉砕装置の粉砕能力が低下した
り、又装置本体が異常振動を起こして機械的弊害
を生ずる原因となるからであり、従来から竪型粉
砕装置の粉砕ローラとしては、専ら大径ローラが
使用されていた。

しかしながら、一般に粉砕の対象となる原料
は、種々の粒子径を有する集合体であり、その粒
子径構成が粗粒子から細粒子まで略一定の分布を
なしている。そのため大径ローラのみで連続粉砕
した場合は、中粒子程度以下のものに対して粉砕
エネルギーが有効に伝播せず、装置には中粒子程
度の原料が粉砕されずに大量に残つてしまうた
め、再度これを循環して再粉砕しなければならず
エネルギーロスが大きくなるという問題があつ
た。

また、竪型粉砕装置にて回収された精粉は、第
１図に示すように、チユーブミルにより得られた
精粉に比較して細粒子の量が相対的に少なく従来
の大径ローラのみでの竪型粉砕装置では、効果的
に細粒子精粉を得ることができなかつた。尚、第
１図中、実線は従来の竪型粉砕装置によつて粉砕
した場合の精粉粒度分布を、点線はチユーブミル
によつて粉砕した場合の精粉粒度分布を夫々示し
たものである。

本発明は、上述の観点に立つてなされたもので
あり、その目的とするところは、竪型粉砕装置の
粉砕テーブル上に１次粉砕を行う大径ローラと、
この大径ローラの外側に２次粉砕を行う小径ロー
ラとを夫々配設し、大径ローラにより粗粉砕を行
なつた後に、小径ローラで微粉砕を行なうことに
よつて細粒子で構成される精粉を効率よく回収で
きるようにした竪型粉砕装置を提供するものであ
る。

以下添付図面に示す実施例に基づいて本発明を
詳細に説明する。

第２図乃至第５図に示す竪型粉砕装置におい
て、本体ケーシング１の内側下部には、粉砕テー
ブルの駆動部２が配設されており、この駆動部２
の駆動軸には円盤状の粉砕テーブル４が連結され
ている。尚、駆動部２は外部の駆動モータ３によ
り粉砕テーブル４が水平面状を回転するように駆
動する。この粉砕テーブル４は中心部から外周に
向かつて上方に傾斜しており、その上面７には内
側に大径ローラ５用の内側溝部８が、又その外側
に小径ローラ６用の外側溝部９が夫々リング状に
形成されている。又、内側溝部８と外側溝部９と
の間の円周上及び外側溝部９の外周には、粉砕テ
ーブル４を貫通するブレードリング１０，１１が
夫々形成されており、粉砕テーブル４の下方から
吹き上げてくる熱風、又は冷風がブレードリング
１０，１１を通過して粉砕テーブル４の上方に吹
き上げられるようになつている。尚、内側のブレ
ードリング１０は円周上に等間隔に穿設されたス
リツトにより構成され、また外側のブレードリン
グ１１はケーシング本体１の内壁にリング状に固
定された多数のブレード羽根により構成されてい
る。

一方、上記内側溝部８内に嵌まつた状態で回転
する大径ローラ５と外側溝部９に嵌まつた状態で
回転する小径ローラ６とは、粉砕テーブル４の左
右対称位置２箇所に夫々１対ずつ設けられてい
る。これらのローラ５，６は、第６図に示すよう
にその中心部がシヤフト１２により連結されると
共に、このシヤフト１２の中央部が粉砕テーブル
４上のベツドの厚さ変動に対応してローラ５，６
が揺動可能となるようにシヤフト１２と直交する
方向に設けられた軸受部１３，１３によつて支持
されている。又、この軸受部１３，１３は前記シ
ヤフト１２とは直角方向に延びるケーシングアー
ム１４によつて保持されている。尚、軸受部１
３，１３はテーパの付いた筒体で構成されてお
り、これによつてシヤフト１２の中央部を連結し
ている連結シヤフト１５を回動自在に支持すると
共に、シヤフト１２の前後方向の動きを規制して
いる。又、ケーシングアーム１４の両端部には、
第６図に示すように凸状の嵌合部１６が形成され
ており、この嵌合部１６は第２図及び第４図に示
すように、ケーシング本体１の外側に突設された
圧加装置用収納ケース１７の内壁に設けられた凹
状のガイド部１８に上下動可能に嵌め込まれてい
る。圧加装置は油圧シリンダ１９と、先端に形成
されたリング状係止部２１によつてケーシングア
ーム１４の端部を保持する圧加ロツド２０とによ
り構成され、２本の圧加ロツド２０でケーシング
アーム１４の両端を夫々保持し油圧シリンダ１９
によりケーシングアーム１４の両端を下方に圧加
することによつて上記２個のローラ５，６を粉砕
テーブル４の上面７に押し付け、その間に圧加力
を生じさせることができる。

尚、圧加力はケーシングアーム１４両端の油圧
シリンダ１９，１９の調整により適宜変えること
ができ、例えば第７図に示すように、原料の種類
及び／又は粒径等に応じて各ローラ５，６と粉砕
テーブル４の溝部８，９との間に形成されるベツ
ド厚さＨ，H′を調整することによつて行うこと
ができる。一般的には、大径ローラ５のベツド厚
さＨは、小径ローラ６のベツド厚さH′に比べて
やや大きく設けられている。尚、上記圧加装置
は、各ケーシングアーム１４の両端部近傍に夫々
設けられており、ケーシング本体１の外側に設け
た収納ケース１７内に夫々収納されている。大径
ローラ５は、第６図に示すようにその外周が硬質
鋼からなるライナ２２で構成されており、スラス
トラジアル軸受２３を介して回転自在にシヤフト
１２に取付けられている。このスラストラジアル
軸受２３は、粉砕時におけるローラ５の過酷な条
件に対処するために、シヤフト受部２４との接触
面がテーパ状に形成されている。尚、小径ローラ
６も前述の大径ローラ５と同様の構成からなつて
いる。

尚、第３図中符号２５は、粉砕テーブル４の下
面に熱風、又は冷風を強制的に送り込むための送
風ダクト、符号２６は粉砕テーブル４の下面数箇
所に取付けられた掻板であり、粉砕テーブル４と
一緒に回転し、ブレードリング１０，１１から溜
部２７に落ちてくる大粒子及び中粒子の粉砕物を
輸送管２８内に掻き集めるものである。また符号
２９は前記輸送管２８の先端が連結され、原料供
給と共に中粒子程度に粉砕された粉砕物を循環さ
せて再び粉砕装置内に供給するための原料供給
管、符号３０は内部に拡散翼３１を有し原料供給
管２９から供給される原料を粉砕テーブル４の略
中心に均一に落下させるための先細り状案内部で
ある。更に符号３２は微粉砕された細粒子の粉砕
物を系外に回収するための吸引ダクト、符号３３
は細粒子のみを選択するためのセパレーター羽根
であり、油圧モータ３４の駆動により回転する。

従つて、以上のような構成からなる竪型粉砕装
置によつて各種の固体鉱物等を粉砕する場合、原
料供給管２９から粉砕テーブル４の中央部に供給
される原料は、駆動装置２によつて回転する粉砕
テーブル４の遠心力作用で第７図中矢印Ａで示す
ように外方に向かつて移動して内側溝部８に落ち
込み、大径ローラ５との間で１次粉砕され、主と
して大粒子の粉砕が行われる。この１次粉砕は、
鉱物等の原料が脆性材料である為に一瞬にして破
壊され、大部分が中粒子及び細粒子に粉砕され
る。これら粗粉砕された中粒子、細粒子及び未粉
砕の大粒子の鉱物は、更に粉砕テーブル４の遠心
力によつて外方に移動していくが、大径ローラ５
と小径ローラ６との間に開設されたスリツト状の
ブレードリング１０から吹き上げてくる熱風によ
つて分級作用を受け、第７図中矢印Ｂで示すよう
に、大粒子は、上昇する熱風に抗してブレードリ
ング１０内に落下し、輸送管２８を介して再びケ
ーシング本体１内に供給される。一方、細粒子は
第７図中矢印Ｃで示したように熱風により吹き上
げられ、熱交換を受けながら装置内を上昇し、吸
引ダクト３２に吸引されて系外に回収される。ま
た中粒子はブレードリング１０からの熱風により
程良く流動化し、第７図中矢印Ｄで示したように
遠心力によりブレードリング１０を飛び越えて粉
砕テーブル４の外側溝部９内に達し、この溝部９
上を回転する小径ローラ６との間で２次粉砕が行
なわれる。この２次粉砕においては、１次粉砕に
比して被粉砕物の粒径が小さく、またローラの径
も小さいために、小径ローラ６と中粒子との接触
面積が大径ローラ５と大粒子との間における接触
面積より小さく、被粉砕物が小径ローラ６からの
圧加力を有効に受けて細粒子に粉砕される。この
粉砕によつて細粒子となつた被粉砕物は、第８図
に示すように粉砕テーブル４の外方へ螺旋軌跡３
５を描きながら移動し、第７図に示すように外側
ブレードリング１１の下方から吹き上げてくる熱
風によつて再度熱交換を受け、細粒子は熱風と共
に本体内を上昇し、吸引ダクト３２によつて系外
部に回収される。また未粉砕の中粒子は、ブレー
ドリング１１を通過して粉砕テーブル４の下面溜
部２７に落下し、前記内側ブレードリング１０か
ら落下した大粒子と共に掻板２６によつて輸送管
２８内に集められ、再びケーシング本体１に供給
される。

尚、両方のブレードリング１０，１１の開口面
積及び風量バランスは、供給される熱風あるいは
冷風の温度、風量、ガス性状等と被粉砕物の比
重、粒径、水分等の性状によつて、適宜決定され
る。

また、上記実施例では、大小で１対をなすロー
ラが粉砕テーブルの左右位置に２個配設された場
合について説明したが、本発明では２個に限定さ
れるものではなく必要に応じて、その数を変更し
てもよいことは勿論である。

以上説明したように、本発明に係る竪型粉砕装
置によれば、粉砕テーブル上に１次粉砕を行う大
径ローラと、２次粉砕を行う小径ローラとを配設
し、大径ローラと小径ローラとで粗粉砕と微粉砕
とを順次行うようにしたから、従来のように大径
ローラのみで粉砕していた場合に比べて粉砕効率
がよくなつた他、エネルギーロスを少なくするこ
とができる。また、１次粉砕後の被粉砕物を大径
ローラと小径ローラとの間に設けたブレードリン
グ上を通過させ、ブレードリングからの吹上流で
分級した後に２次粉砕を行うようにしたから１次
粉砕と２次粉砕とをより効果的に行うことができ
る。

更に、大径ローラと小径ローラとはシヤフトに
連結され、粉砕テーブルのベツドの厚さに追随し
て揺動可能となつているので、被粉砕物の噛み込
み等による機械的トラブル及び粉砕力の低下等を
防止することができる。

尚、本発明は石灰石、セメント原料、セメント
クリンカその他の鉱物の粉砕に広く利用すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、竪型粉砕装置とチユーブミルにより
得られた精粉の粒度分布、第２図は本発明に係る
竪型粉砕装置の部分斜視図、第３図は竪型粉砕装
置の全体図、第４図は粉砕装置の平面図、第５図
は粉砕装置の側面図、第６図は粉砕ローラの斜視
図、第７図は、粉砕テーブル上面の１次粉砕と２
次粉砕の状態を示す説明図、第８図は、被粉砕物
の移動軌跡を示す説明図である。 ４…粉砕テーブル、５…大径ローラ、６…小径
ローラ、７…上面、８，９…溝部、１０，１１…
ブレードリング、１２…シヤフト、１３…軸受
部、１４…ケーシングアーム、１９…油圧シリン
ダ、２０…圧加ロツド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 粉砕テーブルの上方に配置される大径ローラ
   と、その外側に配置される小径ローラとをシヤフ
   トにより連結すると共に、このシヤフトの中央部
   を軸受部によつて揺動可能に支持し、かつ、この
   軸受部を保持するケーシングアームの両端を圧加
   装置により下方に圧加することによつて上記２個
   のローラを粉砕テーブル上面に押し付け、その間
   に生ずる圧加力によつて原料を粉砕するようにし
   たことを特徴とする竪型粉砕装置。 ２ 粉砕テーブルの上面には、内側に大径ローラ
   用の溝部が、又その外側に小径ローラ用の溝部が
   夫々リング状に形成されると共に、内側溝部と外
   側溝部との間、及び外側溝部の外周にはブレード
   リングが夫々形成されてなり、粉砕テーブル上面
   の略中央部に供給された原料を大径ローラ及び小
   径ローラによつて順次粉砕するようにしたことを
   特徴とする竪型粉砕装置。