JPS6319618B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は緯糸貯留装置特に回転ドラムに緯糸
を巻き付けて緯糸を貯留する形式の緯糸貯留方法
とその装置に関するものである。

安価な織物製品を一般に供給するための一手段
として織機をより一層高速回転をすることが要望
されている。そして、織機の高速運転化を図るた
めには、織機に付設される各種の装置がより一層
単純でしかも高性能化される必要性がある。かか
る見地から、緯糸貯留装置についてもより一層高
性能なものの開発が現在強く要望されている。

この発明はかかる要望に応えんとするものであ
つて、従来回転ドラム形式の緯糸貯留装置に必要
とされたドラム貯留部へ緯糸を巻き付けるための
機構や該巻き付けられた緯糸を適正に解舒させる
ための解舒用機構等の複雑な機構をなくして全体
として装置自体を簡略にすることにより、その分
だけ装置の故障を少なくし、しかも高速で回転ド
ラム貯留部に緯糸を確実に貯留し、且つそこから
安定して引出されることの出来る回転ドラム形式
の緯糸貯留部装置を提供しようとするものであ
る。

即ちこの発明の要旨とするところは、軸受され
た回転筒体（スピンドル）先端に緯糸貯留円筒部
（緯糸貯留ドラム）を取付け、測長装置から引出
された緯糸を上記スピンドル内から貯留ドラム内
側に導き、更に該貯留ドラムの周面の一点から貯
留ドラム表面側に緯糸を導出させて、解舒側ヤー
ンガイドとの間にバルーンを形成させることによ
り貯留ドラムの貯留部に糸を巻き付けてやるもの
である。

尚、以下の記載においては説明の便宜上解舒方
向側を先端側といい、緯糸測長装置側即ち緯糸挿
入側を後端側という。

以下添付の図面に基づいて更に詳細にこの発明
の緯糸貯留方法とその装置について説明する。

第１図に示す様に織機フレームＦには中空筒状
のスピンドル支持部材１のフランジ部がボルト１
１で取付固定されている。スピンドル支持部材１
の筒内にはボールベアリング１３及びニードルロ
ーラーベアリング１４等の軸受を介して軸芯長手
方向に緯糸導通孔３１が透通形成されたスピンド
ル３が回転可能に挿通支承されている。このスピ
ンドル３は、その先端側が上記スピンドル支持部
材１から露出しており、この露出部外周には先端
側に筒径より大径のフランジ部５１を有するワー
ブ５が取付けられている。このワーブ５の後端側
は、該支持部材外周を離間被覆する様に開口され
ており、該後端側外周面にはスピンドル３を回転
させるためのベルト９が張架されている。

そして、上記ワーブ５のフランジ部５１には、
先端側が開口した中空状の回転ドラム７がボルト
１２によりスピンドル３と同心的に取付けられて
いる。そしてこの回転ドラム７の周面の所定位置
にはアイレツト１０が透通形成されており、緯糸
導通孔３１を通つて回転ドラム７内に導かれた緯
糸Ｙがドラム７外周面に導かれる様になつてい
る。

更に、回転ドラム先端には貯留部７１の外径よ
り大径のバルーン形成部７３が形成されている。

上記アイレツト１０を通つてドラム外周面に導
き出された緯糸Ｙは回転ドラムの先端、更にスピ
ンドル３の延長線方向に設けられたヤーンガイド
YG及びクランパＣを通つて図示しないメインノ
ズルに至る。この場合においてワーブ５に張架さ
れたベルト９により回転ドラム７が回転をした場
合には、アイレツト１０から回転ドラム７外周に
出された緯糸Ｙは振り回され、ヤーンガイドYG
とアイレツト１０との間で遠心力によりバルーン
を形成する。ところで、このバルーンは空気抵抗
を受けるため回転ドラムの回転速度より遅れる。
したがつて、この遅れた分だけ回転ドラム７の緯
糸貯留部７１に緯糸Ｙが巻き付けられるのであ
る。この場合であつても緯糸は引き続きバルーン
を描いている。この状態の下においても測長ロー
ラ５０から一定の速度で緯糸Ｙがスピンドル内に
連続的に供給されている。したがつて緯糸は既に
形成されたバルーンの遠心力でもつて更に先端側
方向にたぐりよせられているので回転ドラム貯留
部７１への巻付量は増大する。このため回転ドラ
ム７の表面は梨地クロムメツキ等の緯糸がすべり
易い様な処理が施されることが好ましい。

また回転ドラム７の先端には、緯糸貯留部７１
より大径のバルーン形成部７３が設けられている
が、これは、回転ドラム７先端即ちバルーン形成
部が緯糸貯留部７１の径と等しいときには、バル
ーン部分がくびれやすく、所謂多重バルーンが発
生し緯糸が緯糸貯留部７１に巻付く量が少なくな
るからである。更に緯糸貯留部７１からバルーン
形成部７２と境目７２はゆるやかなテーパー状と
しておいてやれば、緯糸貯留部７１に巻かれる緯
糸が所定の間隔をもつて巻かれることとなり、緯
糸が重なつて巻付けられるといつたことが防止で
きる。これに対して緯糸貯留部７１とバルーン形
成部７３との境目部分にこのテーパー部分がなか
つたり、あるいはテーパー角度が急勾配であつた
りすると、緯糸貯留部７１に巻かれる緯糸は該境
目部分に多く巻かれて、緯糸が重なり合い爾後の
解舒に支障をきたすことになる。

次に織機と回転ドラムの回転が同期している場
合には、織機の運転始動・停止時に、回転ドラム
７の回転数が低下又は停止するため、回転ドラム
に緯糸を確実に巻付けることができない。そこで
第３図に示す様に回転ドラムの外周を離間被覆す
る様なカバー１５を取付けておいてやり、該カバ
ー１５と回転ドラム外周との間にエアガイド１５
０を形成し、該エアガイド１５０内に噴気流を送
り込んで、この噴気流によつて緯糸を回転ドラム
７周りを回転飛走させて緯糸貯留部７１に巻付け
させる様にしてやつても良い。そうすれば回転ド
ラム７の回転初期においても緯糸は上記環状噴気
流の補助を受けて確実に回転ドラムの緯糸貯留部
７１に巻き付けられることになる。この噴気流の
噴射方向は回転ドラム７の回転方向と反対の方向
に設定しておいてやることはいうまでもない。そ
してこのエアガイド１５０を流れる噴気流は織機
始動前に送り込まれ、回転ドラム７が正常運転に
達した場合には消滅するようにしてやる。勿論正
常回転後即ち緯糸貯留中にもこの噴気流を送り込
む様にしてやつても良い。この場合には、噴気流
の流れ方向が回転ドラムの回転方向と逆になつて
いるので噴気流により糸に抵抗を与えることがで
き回転ドラム７の回転速度を抑えることができ、
回転ドラム７の回転速度を適正に維持させること
ができる。

尚、測長ローラ５０から供給される緯糸が上記
回転ドラム７に巻取られるためには、回転ドラム
７の回転数は緯糸貯留部７１の周速が緯糸の供給
速度より大になる様に設定してやることが必要で
ある。

更に、回転ドラム７の回転速度が大きくなると
緯糸の貯留部７１への巻付張力が大きくなり、そ
のため解舒抵抗も大きくなる。したがつて上記回
転ドラム７の回転速度を爾後の解舒抵抗を小さく
するために適正な回転速度に設定しておく必要が
ある。この場合には上記したエアガイド１５０を
流れる噴気流を回転ドラム７の正常回転中も流れ
る様にしておいてやれば容易に適正な回転速度を
得ることができる。したがつて回転ドラム７の回
転が織機の回転と同期しない形式のものであつて
も、上記エアガイド１５０を形成して、回転ドラ
ム７の正常回転中に噴気流をエアガイド１５０内
に送り込む様にしてやつても良い。また緯糸の種
類が異なるとバルーンの形状も異なるものであ
る。即ち太い糸では空気抵抗より遠心力の方が大
となるため、細い糸に比較してバルーンの遅れが
少ないためバルーンのくびれは少ないものであ
る。したがつて糸種によつてバルーンの高さ（バ
ルーン径）を適宜調整して緯糸が緯糸貯留部７１
に巻付き易い様にしてやる必要もある。

この様な形式の緯糸貯留装置によれば、従来の
ドラムが回転して緯糸を該ドラムに巻付け、更に
ドラム外周に巻付けられた緯糸を順次解舒側に送
り出してやるといつた形式の緯糸貯留装置に比
べ、回転ドラムへの緯糸の巻付け機械が極めて簡
単である。しかも、解舒側に回転ドラムに巻付け
られた緯糸を送り出すための特別の機構も不用で
ある。

したがつて、装置全体の機構が簡略化され、装
置全体の重量特に回転部分の重量が軽量化される
と、織機に付設される緯糸貯留装置の高速回転が
要望される今日においては、尚一層の高速回転を
可能にならしめることができる。

更にこの様に装置が全体として簡略化されると
いつたことは、故障を起こす個所もそれだけ減る
ことになり、従来の複雑な機構を有するこの種の
緯糸貯留装置にみられる機構の各部が故障をし、
その都度織機を停台させるといつたことも無くな
り、全体的に織機の稼動率が上ることになるので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の緯糸貯留方法に用いられる
緯糸貯留装置周りを示した側面断面図、第２図
は、この発明の緯糸貯留装置周りを示した側面断
面図である。 １……スピンドル支持部材、３……スピンド
ル、５……ワーブ、７……回転ドラム、１０……
アイレツト、９……ベルト、YG……ヤーンガイ
ド、Ｙ……緯糸、Ｇ……クランパ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 回転ドラムとその緯糸引出し方向所定の位置
   に設けられたヤーンガイドを用い、 連続的に供給される緯糸を略中心部において回
   転ドラム内に導入し、 次いで回転ドラムの周上の１点において該緯糸
   を外周面上に引出し、 更に回転ドラムからヤーンガイドに向つてバル
   ーニングを形成させながら該緯糸を導き、 該バルーニングの回転速度と回転ドラム７の回
   転速度との速度差によつて回転ドラム緯糸貯留部
   ７１に緯糸を巻付けて貯留する ことを特徴とする緯糸貯留方法。 ２ 回転ドラムとその緯糸引出し方向所定の位置
   に設けられたヤーンガイドを用い、 連続的に供給される緯糸を略中心部において回
   転ドラム内に導入し、次いで回転ドラムの周上の
   １点において該緯糸を外周面上に引出し、更に回
   転ドラムからヤーンガイドに向つてバルーニング
   を形成させながら該緯糸を導き、該バルーニング
   の回転速度と回転ドラム７の回転速度との速度差
   によつて回転ドラム緯糸貯留部７１に緯糸を巻付
   けて貯留する形式であつて、 少くとも緯糸の貯留部への巻付け初期におい
   て、上記回転ドラム７外周周りに該回転ドラムの
   回転方向と反対方向に流れる環状噴気流を形成せ
   しめて、緯糸が該環状噴気流の補助を受けて回転
   ドラム緯糸貯留部７１に巻付けられる ことを特徴とする緯糸貯留方法。 ３ 所定の駆動源で回転される内部軸方向に緯糸
   導通孔３１を有するスピンドル３と 該スピンドル先端に同芯的に取付けられた内部
   が上記緯糸導通孔と連通すると共に緯糸貯留部７
   １を有する回転ドラム７と上記スピンドルの解舒
   側延長線方向所定位置に設けられたヤーンガイド
   YGとからなり、 上記回転ドラム７の緯糸貯留部に所定の位置に
   は回転ドラム内部から外周面側に緯糸Ｙを導出せ
   しめるためのアイレツト１０が穿設形成されてお
   り、更に回転ドラム先端部には緯糸貯留部７１よ
   り大径のバルーン形成部７３が設けられている ことを特徴とする緯糸貯留装置。 ４ 所定の駆動源で回転される内部軸方向に緯糸
   導通孔３１を有するスピンドル３と 該スピンドル先端に同芯的に取付けられた内部
   が上記緯糸導通孔と連通すると共に緯糸貯留部７
   １を有する回転ドラム７と上記スピンドルの解舒
   側延長線方向所定位置に設けられたヤーンガイド
   YGとからなり、 上記回転ドラム７の緯糸貯留部に所定の位置に
   は回転ドラム内部から外周面側に緯糸Ｙを導出せ
   しめるためのアイレツト１０が穿設形成されてお
   り、回転ドラム先端部には緯糸貯留部７１より大
   径のバルーン形成部７３が設けられおり、 更に上記回転ドラム７の外周を離間囲繞する如
   くカバー１５が設けられて、該カバーと回転ドラ
   ム外周との間に環状噴気流が送り込まれるエアガ
   イド１５０が画定形成されている。 ことを特徴とする緯糸貯留装置。