JPH0345964Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、エアジエツトルーム等の織機に使用
する緯糸貯留装置におけるバルーン規制装置に関
する。

従来の技術 エアジエツトルーム等のように高速で製織する
織機では緯糸貯留装置で緯糸を測長貯留し、供給
する。

このような緯糸貯留装置として、ドラム周面に
緯糸を巻付け貯留する所謂ドラム式緯糸貯貯留置
がある。

考案が解決しようとする問題点 上述のようなドラム式緯糸貯留装置から高速で
緯糸を解舒すると、緯糸がバルーニングし、安定
に緯入れできないという問題がある。また、緯糸
がバルーニングによる遠心力で引つ張られるの
で、この遠心力に打ち勝つためにメインノズルの
圧縮空気の圧力を増す必要があり、それとともに
流量も増し、緯糸の大きな力が掛るために緯糸切
れが生じ易くなる。また、メインノズルの負荷が
増し、圧縮空気消費量が増し、不経済であるとい
う問題もある。

上述のような問題を解決するべく、従来からド
ラム式緯糸測長貯留装置におけるバルーン規制装
置として、種々のものが提案されている。

例えば、実開昭56−68759号公報には、ドラム
式緯糸測長貯留装置の外周部に、截頭円錐状に成
形したバルーン規制板を設けることが開示されて
いる。しかしながら、この装置では、ドラムの外
周面とバルーン規制板の内周面との間に形成され
る円錐状の空間部で複雑なバルーンが形成され、
緯糸がバルーン規制板の内周面に一様に強く押付
けられて線接触し、引出し抵抗が依然として大き
いという問題がある。

また、実開昭57−138992号公報には、コイル状
に形成したバルーン規制体を設けることが開示さ
れている。しかし、このバルーン規制体では、コ
イルを形成しているワイアの間に緯糸が出つ張つ
た状態のバルーンが生じ、その出つ張り量が規制
されていないことと相俟つて、緯糸の引き出し抵
抗が増大するという問題がある。

本考案は、種々の緯入れ状態に対してドラム式
緯糸測長貯留装置におけるバルーンの発生を良好
に規制でき、緯糸の引き出し抵抗を増大しない織
機の緯糸貯留装置におけるバルーン規制装置を提
供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 本考案においては、上述の従来装置に付随する
問題点を、織機の緯糸貯留装置と同緯糸貯留装置
上の緯糸の引出し方向に間隔をあけて配置した緯
糸ガイドとの間にバルーン規制装置を設け、該バ
ルーン規制装置は緯糸引出し方向に間隔をあけた
少なくとも２つの円形リング部を含み、緯糸貯留
装置から離れて位置するリング部の内径は緯糸貯
留装置側のリング部の内径より小さくなつてお
り、リング部の外周をカバーにより連結し一体化
しており、該カバー内面は該リング部の内周面に
接触する仮想円錐面より外側に脹らんでいること
を特徴とする織機の緯糸貯留装置におけるバルー
ン規制装置により解決して、上記目的を達成す
る。

実施例 以下、本考案の実施例を示す添付図面を参照し
て本考案を詳細に説明する。

第１図において、中空の回転軸１８を一対の軸
受２０によりハウジング１９に回転可能に支持し
ている。回転軸１８の右側先端近傍に中空の緯糸
巻付け部材１６を取付けている。また、回転軸１
８の右側先端には軸受２３により固定板１１を支
持し、該固定板１１が回転軸１８に対し相対回転
可能としている。

回転軸１８にプーリ２２を止着し、該プーリ２
２にベルト２１を巻掛けている。織機のクランク
軸（図示せず）に同期してベルト２１がプーリ２
２を駆動することにより、緯糸巻付け部材１６は
織機のクランク軸に同期して回転する。一方、固
定板１１は、軸受２３を介して支持されているた
め、回転軸１８の回転に拘わらず実質的に停止状
態にある。緯糸巻付け部材１６の回転領域の周囲
を囲むようにカバー１７がハウジング１９に固着
されており、緯糸巻付け部材１６の回転時に作業
者が負傷しないようにしている。

固定板１１には、巻取ドラム２６および測長部
材１２が取付けられている。測長部材１２は該巻
取ドラム２６の半径方向に移動可能であり、ナツ
ト１３により固定板１１に固定可能である。巻取
ドラム２６はほぼ円筒状をしており、その軸線方
向に所定のタイミングで移動可能な２つの解舒制
御部材１４および巻付け制御部材１５を有してい
る。

回転軸１８の中空孔から緯糸巻付け部材１６を
通り供給された緯糸１は、巻取ドラム２６および
測長部材１２の回りに巻付けられ測長され、同時
に貯留される。前述した解舒制御部材１４は巻取
ドラム２６および測長部材１２に巻付けられた緯
糸の解除を制御し、一方、巻付け制御部材１５は
巻取ドラム２６および測長部材１２の回りに巻付
ける緯糸の軸線方向への移行を制御する。

固定アーム２７の孔２７ａ（第２図）にボルト
２４を貫挿し、ナツト２５を締結してカバー１７
に固定アーム２７を取り付けている。固定アーム
２７に、溶接、接着またはねじ止めによりバルー
ン規制装置２８を一体的に固着して、緯糸貯留装
置から緯糸引出し方向に間隔をあけてバルーン規
制装置２８を設けている。

バルーン規制装置２８は緯糸引出し方向に間隔
をあけた２つの円形リング部２８ａ，２８ｂを含
み、緯糸貯留装置から離れて位置するリング部２
８ｂの内径は緯糸貯留装置側のリング部２８ａの
内径より小さくなつている。リング部２８ａ，２
８ｂの先端は緯糸を傷けないように丸めてあり、
リング部２８ａ，２８ｂの外周をカバー２８ｅに
より連結し一体化している。なお、図示したカバ
ー２８ｅはリング部２８ａ，２８ｂの内周面に接
触する仮想円錐面（二点鎖線Ｃにより示す）と逆
方向に傾斜した円錐状内面２８ｃおよび円錐面２
８ｃに連なる垂直面２８ｄからなり、カバー２８
ｅの内面は仮想円錐面Ｃより外側に脹らんでい
る。

符号３０，３２はガイド、３１はグリツパを示
す。

前述のように巻取ドラム２６に巻付けられ測長
された緯糸１は、該巻取ドラム２６から解舒さ
れ、バルーン規制装置２８を経て、ガイド３０へ
向けて送り出される。この際に、緯糸１がバルー
ンニングすると、緯糸１はバルーン規制装置２８
の間隔をあけたリング部２８ａ，２８ｂの内周面
に接触し、バルーンの接触圧は緩和され、しかも
カバー２８ｅの内周面２８ｃでバルーンが過大に
なることが規制される。従つて、異常なバルーン
形成が防止され、円形形状のバルーンに近付き、
緯糸１はバルーン規制装置２８にひつかかること
なく、安定して緯入れされる。

なお、上述した緯糸測長貯留装置は固定ドラム
式であるが、本考案はドラム回転式の緯糸測長貯
留装置にも適用することができる。また、カバー
２８ｃは、その内周面がリング部の内周面に接触
する仮想円錐面より外側に脹らんでいればよく、
図示した形状に限られるものではない。また。リ
ング部の数は３つ以上であつてもよい。

考案の効果 本考案によれば、リング部によりバルーンに
接触し、隣接するリング部間の窪みでバルーンの
接触圧を緩和し、しかもカバーの内周面でバルー
ンが過大になることを規制するので、異常なバル
ーン形成が防止でき、円形形状のバルーンに近付
き、緯糸がひつかかることなく、バルーンを適正
な状態に押えることができ、安定した緯糸の緯入
れが行える。

バルーニングによる遠心力が押えられるのでメ
インノズルに掛る負荷が小さくなり、メインノズ
ル圧力が低下でき、空気流量も減少し、エネルギ
ー消費の経済性が向上する。また、圧縮空気の圧
力、流量が低減できるので、緯糸に作用する負荷
が低減し、緯糸切れが減少して、更に安定な緯入
れが可能になる。

更に、カバーを図示したような形状とすること
により、緯糸の進行方向に拡開する内周面２８ｃ
で緯糸を第１図に一点鎖線で示すように案内する
ことになり、バルーン規制効果とともに糸送り効
果も生じ、一層有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る織機の緯糸貯留装置にお
けるバルーン規制装置の一実施例の断面側面図、
第２図は第１図に示したバルーン規制装置の側面
図、第３図は第２図の正面図である。 １１…固定板、１２…測長部材、１４…解舒制
御部材、１５…巻付け制御部材、１６…緯糸巻付
け部材、２６…巻取ドラム、２８…バルーン規制
装置、２８ａ，２８ｂ…リング部、２８ｃ…円錐
状内面、２８ｄ…垂直面、２８ｅ…カバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 織機の緯糸貯留装置と同緯糸貯留装置上の緯糸
   の引出し方向に間隔をあけて配置した緯糸ガイド
   との間にバルーン規制装置を設け、該バルーン規
   制装置は緯糸引出し方向に間隔をあけた少なくと
   も２つの円形リング部を含み、緯糸貯留装置から
   離れて位置するリング部の内径は緯糸貯留装置側
   のリング部の内径より小さくなつており、リング
   部の外周をカバーにより連結し一体化しており、
   該カバー内面は該リング部の内周面に接触する仮
   想円錐面より外側に脹らんでいることを特徴とす
   る織機の緯糸貯留装置におけるバルーン規制装
   置。