JPS6317639Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、ドリルなどの工具内を切削液などの
流体を貫流させ、刃先から流出させることにより
刃先の冷却および切削部から切粉の排除をするク
ーラント工具ホルダの改良に関し、特にモールス
テーパなどのテーパシヤンクを有する切削工具を
保持するためのクーラント工具ホルダに係るもの
である。

〈従来技術〉 従来このような工具ホルダにおいては、第１図
に示すように、ホルダ本体Ｈのテーパ穴へテーパ
シヤンクＤ１を有する切削工具Ｄを挿入して使用
するが、テーパ部の密着力のみによつて保持され
ているため、工作機械の主軸Ｓへこのホルダ本体
Ｈを装着し給油ピンＰを位置決め給油ブロツクＢ
へ係合したときに、流れ込む給油流体の圧力が切
削工具Ｄのテーパ部へ加わるので、第２図に示す
ように大径側の断面積をＳ１、小径側の断面積を
Ｓ２とすると、給油流体の圧力Paは（S1−S2）×
Paという推力となつて切削工具Ｄへ作用するこ
とになる。従つてテーパ部の密着力が弱い場合や
給油流体の圧力が高い場合には、加工中に工具が
抜け落ちて工作物や機械に損傷を与えたり、作業
者に損傷を与える危険性を有しているものであつ
た。

〈考案の目的〉 この考案は前述のような従来の欠点を解消して
工具の抜け止め機構を付加させた安全性の高いク
ーラント工具ホルダを提供するものである。

〈考案の構成〉 本考案の特徴とする構成は、切削工具内を切削
液などの流体を貫流させて刃先から流出させて刃
先の冷却および切削部から切粉の排除をするクー
ラント工具ホルダにおいて、テーパシヤンクの小
径端近くの外周へ軸線と交差する方向の係合溝を
形成した工具を挿入するテーパ穴を有するホルダ
本体の、マニピユレータ用フランジに形成したキ
ー溝内へ前記テーパ穴へ貫通するねじ穴を穿設
し、このねじ穴へ前記工具の係合溝へ係合するね
じを螺合した抜け止め機構を有することを特徴と
している。

〈実施例〉 以下本考案の実施例を示す図面に基づいて説明
していく。第３図および第４図に示すように、こ
の考案による工具ホルダは、一端に工作機械の主
軸端Ｓへ装着する本体テーパシヤンク１１と中間
に工具交換用フランジ１２とこのフランジ１２に
続いて小径の円筒部１３と円筒部１３端面から内
部へテーパ穴１４とを有し更にフランジ１２の周
囲２箇所へ形成したキー溝１５，１５′とこのキ
ー溝１５内でホルダ本体１の軸線に直交して貫通
したコツタ穴１６とこのキー溝１５内でテーパ穴
１４へ貫通したねじ穴１７とを有するホルダ本体
１と、このホルダ本体１の円筒部１３外周へ軸受
２，２′を介して回転自在に装着した給油ハウジ
ング３と、給油ハウジング３の側方縦穴３１へ内
蔵した給油ピン装置４と、給油ハウジング３内径
と円筒部１３外周との間に形成された環状空間へ
装着したシール装置５と抜け止め用のねじ６とか
ら構成されている。

更に切削工具Ｄの抜け止め機構について第４図
から説明する。工具ＤのテーパシヤンクＤ１端に
はタングＤ２を形成しており、更にこのテーパシ
ヤンクＤ１の小径端近くの外周には軸線と交差す
る方向のＲ溝Ｄ３を形成している。そして第４図
のようにホルダ本体１内へ挿入したときに、Ｒ溝
Ｄ３位置はホルダ本体１のねじ穴１７と見合う位
置にくるように設定されており、装着後ねじ６を
作動させＲ溝Ｄ３内へ先端を突出させ抜け止め機
構を構成している。

次に上記構成に基づく動作を説明する。通常状
態においては第３図および第４図に示すように工
具Ｄがホルダ本体１へ装着されている。この状態
で主軸Ｓへ取り付けられ、キー溝１５へ主軸Ｓ側
へ固定されたキーＫが係合すると共に、給油ピン
装置４が位置決め給油ブロツクＢへ係合して内部
通路が工具側まで連通して、切削液あるいは冷却
液などの給油流体が供給可能になつている。そこ
で加工が開始し給油流体がホルダ本体内へ供給さ
れると、給油流体の圧力が第２図に示すように工
具Ｄのテーパ部へ加わるので前述したような推力
が作用する。しかし、前述した抜け止め機構によ
り工具が保持されているため工具は落下すること
がなく、危険性を回避できるものである。

なお、本実施例では、抜け止め機構においてね
じ６をＲ溝Ｄ３底へ押圧しているが、ねじ６のね
じ込み過ぎることを防止するため、ねじ６の頭部
へフランジを設けて工具Ｄをホルダ本体１へ挿入
の際にテーパ面にキズをつけたり、あるいは挿入
できなかつたりすることを防止可能である。ま
た、ねじ６先端とＲ溝Ｄ３底との間に隙間を持た
せて、給油流体の圧力によつて工具Ｄが軸方向に
動いた時、それを検知して機械を停止させるよう
な制御も可能である。

〈考案の効果〉 以上述べたように本考案においては、切削工具
内を切削液などの流体を貫流させて刃先から流出
させて刃先の冷却および切削部から切粉の排除を
するクーラント工具ホルダにおいて、テーパシヤ
ンクの小径端近くの外周へ軸線と交差する方向の
係合溝を形成した工具を挿入するテーパ穴を有す
るホルダ本体の、マニピユレータ用フランジに形
成したキー溝内へ前記テーパ穴へ貫通するねじ穴
を穿設し、このねじ穴へ前記工具の係合溝へ係合
するねじを螺合した抜け止め機構を有するので、
次のような効果を奏するものである。

(1) クーラント工具ホルダに工具抜け止め機構を
付加させたので、安全性が向上したと共に、給
油流体の圧力が高くても充分な工具保持ができ
るものを提供できる。

(2) 工具抜け止め機構をホルダ本体のキー溝内へ
構成したので、工具のコツタ穴、ホルダ本体の
キー溝と同一面上に配置され工具装着時に位置
確認が容易となる。

(3) 工具抜け止め機構をホルダ本体のキー溝内へ
構成したので、キー溝底面は平面であるところ
からねじ穴加工が容易で且つ、加工長さも短く
て済むため、製作コスト上有利となり、又ねじ
の装着も容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の部分断面正面図、第２図は同
じく従来例構造における簡略説明図、第３図はこ
の考案による実施例の部分断面正面図、第４図は
第３図におけるＡ−Ａ部の拡大断面図をそれぞれ
示す。 符号の説明、１……ホルダ本体、１１……本体
テーパシヤンク、１２……フランジ、１３……円
筒部、１４……テーパ穴、１５……キー溝、１６
……コツタ穴、１７……ねじ穴、２，２′……軸
受、３……給油ハウジング、４……給油ピン装
置、５……シール装置、６……ねじ、Ｂ……位置
決め給油ブロツク、Ｄ……工具、Ｄ１……テーパ
シヤンク、Ｄ２……タング部、Ｄ３……Ｒ溝、Ｋ
……キー、Ｓ……主軸。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 工具内を切削液などの流体を貫流させて刃先
   から流出させることにより刃先の冷却および切
   削部から切粉の排除をするクーラント工具ホル
   ダにおいて、テーパシヤンクの小径端近くの外
   周へ軸線と交差する方向の係合溝を形成した工
   具を挿入するテーパ穴を有するホルダ本体の、
   マニピユレータ用フランジに形成したキー溝内
   へ前記テーパ穴へ貫通するねじ穴を穿設し、こ
   のねじ穴へ前記工具の係合溝へ係合するねじを
   螺合したことを特徴とするクーラント工具ホル
   ダ。 (2) 前記ねじが、ねじ込み量を限定する手段を有
   する実用新案登録請求の範囲第１項に記載のク
   ーラント工具ホルダ。