JPS6316555Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、携帯時に、ノブが鞘内に口金が胴
内にそれぞれ没入していることを特徴とするノツ
ク式シヤープペンシルに関する。

従来のノツク式シヤープペンシルは、芯を繰り
出すために常にノブが鞘の後端より突出している
構成となつており、しかも先の尖つた口金は胴の
先端に一体的にねじ止めされているものがほとん
どであつた。したがつてノブが突出していること
により、ポケツト等に携帯した場合にノブが押さ
れたりする恐れがあり、一方先の尖つた口金が胴
の先端に一体的にねじ止めされていることによ
り、口金の先端の尖つた部分で携帯時に衣服を破
いたり怪我をしたりといつたことや、又落とした
りして口金の先端を破損して使用不可能にしたり
といつた欠点があつた。しかもノブおよび口金が
外部に露出しているために外観を大変損ねるとい
つた種々の欠点を有していた。そこでこれらの問
題点を改良したものとして、胴と鞘を回転させる
ことによりノブおよび口金が出没するノツク式シ
ヤープペンシルが考案されたが、従来の構成は、
芯を保持するチヤツクを前部に固着した前パイプ
と、該前パイプと分離された後パイプとからな
り、しかも前述したように互いに伸縮させられる
ために内部に収納した予備芯の長さに対して予備
芯タンクの長さが変化させられ、次に述べるよう
な重大な欠陥を生じた。

(1) チヤツクに保持されて筆記状態になつている
芯と予備芯とが長手方向に縦列となり、筆記中
の芯の後端と予備芯の前端とが当接した状態で
携帯状態にしようとした場合には、予備芯の後
端が消しゴムの端面を押し上げてノブが完全に
収納されないことが起こる。

(2) しかも上記した(1)の状態でノブが完全に収納
されないばかりかノブが完全に後退した状態よ
りさらに押されるように作用した場合には、予
備芯タンク内の芯を折損してしまうことが起
る。

(3) 上記した(2)の状態が起こると、予備芯タンク
内の芯の適正な数量を越えてしまうという結果
が生じるため、あらかじめ連続筆記が可能なよ
うに、つまり芯の追従が確実に行われるように
設定した本数より多くなつて芯の追従ができな
くなり、芯づまりを起こす。

上記した(1)・(2)・(3)の重大な欠陥を解消すべく
鋭意検討した結果、前パイプの後端にすりばち状
の内鍔を設けて、前パイプ内のみで予備芯を収納
することにより、従来の欠点をすべて解消したノ
ツク式シヤープペンシルを提供することを目的と
したものである。

この考案の構成を図面に基づいて説明すると、
第１図において、胴１の六角部１Ａと内部胴２の
六角鍔２Ａを互いに係合させ、かつ胴１より突出
した内部胴２のねじ部２Ｂに先金３を螺合するこ
とにより内部胴２は胴１に固着されている。内部
胴２の凹部２Ｃに遊嵌された螺旋カム４の前部に
はカバーワツシヤー５が外嵌され、該カバーワツ
シヤー５にねじ環６を螺着して、内部胴２の凹部
２Ｃと螺旋カム４との透き間をなくして構成され
ている。螺旋カム４に固着された中パイプ７の円
筒部７Ａには鞘８が固着されている。螺旋カム４
の前端には第２図に示すように左向き高さ4.5mm
に傾斜された案内面４Ａの幅L₁が円周180゜にわた
つて形成されており、該案内面４Ａに連結具９の
突起９Ａが内部胴２の貫通溝２Ｄを挿通して遊嵌
されている。連結具９の前部には芯ホルダー１０
を内蔵した口金１１が先金３より3.5mm突出して
螺合され、先金３の内段３Ａと口金１１の外段１
１Ａとの間には口金スプリング１２が設けられて
いる。口金１１の内部にはチヤツク１３に外嵌さ
れた締リング１４が遊嵌され、さらにチヤツク１
３の後部にはチヤツクホルダー１５が固着されて
いる。チヤツクホルダー１５の後部は数分割され
て弾性を有して構成され、該チヤツクホルダー１
５の後部に設けられた凹溝１５Ａに前カム１６の
内鍔１６Ａを嵌合し、チヤツクホルダー１５の後
端に駒１７が圧入されている。前カム１６の突部
１６Ｂは第３図に示すように内部胴２の貫通溝２
Ｄに遊嵌され、内部胴２の外鍔２Ｅと前カム１６
の外段１６Ｃとの間にはチヤツクプスリング１８
が設けられ、さらに前カム１６の内面１６Ｄには
前パイプ１９が固着されている。該前パイプ１９
の後端に構成された内鍔１９Ａは、内方に折り曲
げられてすりばち状に構成され、内鍔１９Ａの内
径は１本の芯が通過可能に構成されている。なお
内鍔を別部品で構成し、前パイプの後端に固着し
ても何ら問題はない。この前パイプ１９内に予備
芯が収納されている。前カム１６の後端と後カム
２０の前端は第４図の展開図に示すように、前カ
ム１６の後端には左前方傾斜面１６Ｅと垂直面１
６Ｆを、後カム２０の前端には同じく右後方傾斜
面２０Ａと垂直面２０Ｂがそれぞれ構成されてお
り、カム高さL₂は約12mmに設定され、カム幅L₃
は前カム１６の円周360゜のうちの円周180゜にわた
つて構成されている。さらに後カム２０の外段２
０Ｃと中パイプ７の内段７Ｂとの間にはチヤツク
スプリング１８より弱い弾発力の鞘スプリング２
１が設けられ、前カム１６の後端と後カム２０の
前端とが当接されている。後カム２０のキー溝２
０Ｄには中パイプ７の内方突起７Ｃが遊嵌され、
後カム２０の後部には後パイプ２２が固着されて
いる。後パイプ２２の後部内側には消しゴム２３
が後部外側にはノブ２４がそれぞれ嵌合され、ノ
ブ２４の後端に設けられた係止鍔２４Ａは鞘８の
後端８Ａより７mm離れて構成されている。

つぎにこの考案の作用を説明すると、第１図の
状態より携帯しようとした場合には、まず鞘８を
左に回転させると中パイプ７が共に左に回転す
る。中パイプ７の左回転に伴つて螺旋カム４およ
び後カム２０も共に左に回転する。しかし連結具
９の突起９Ａおよび前カム１６の突部１６Ｂは内
部胴２の貫通溝２Ｄに遊嵌されているために連結
具９および前カム１６は回転できない。したがつ
て螺旋カム４および後カム２０が左に回転する
と、チヤツクスプリング１８の弾発力により連結
具９の突起９Ａは螺旋カム４の案内面４Ａにそつ
て後退し、前カム１６も連結具９と共に後退す
る。同時に後カム２０は鞘スプリング２１の弾発
力により、後カム２０の右後方傾斜面２０Ａが前
カム１６の左前方傾斜面１６Ｅにそつて前進す
る。ただし予備芯は前パイプ１９内のみに収納さ
れているために後カム２０および後パイプ２２が
前進しても、予備芯が後パイプ２２に当接して前
進し、チヤツク１３に保持された芯２５と当接し
て芯２５が折損したり後カム２０および後パイプ
２２が前進ができないといつた事は全く起こらな
い。そして鞘８が180゜左に回転すると、連結具９
の突起９Ａが螺旋カム４の案内面４Ａの谷部４Ｂ
に当接して係止され、鞘８の左回転が停止させら
れる。この時連結具９は4.5mm後退して、連結具
９に螺合されている口金１１が先金３の先端より
１mm没入する。前カム１６が4.5mm後退すると、
前カム１６にそつて前進する後カム２０は12mm−
4.5mm＝7.5mm前進可能であるが、後カム２０は７
mm前進したところでノブ２４の係止鍔２４Ａが鞘
８の後端８Ａに当接して前進が停止され、第５図
に示した携帯状態となる。つぎに第１図の筆記状
態に復帰させるには、鞘８を右に180゜回転させれ
ば上記した作動と全く逆に作動して第１図の筆記
状態となる。この筆記状態で筆記が行われ芯を繰
り出す場合には、ノブ２４をノツクすると後カム
２０・前カム１６・チヤツク１３へと順次ノツク
力が伝達されるが、口金１１は口金スプリング１
２によつて後方に弾発されているために前進する
ことはなく、通常のノツク式シヤープペンシルと
同様に芯が繰り出される。又予備芯を補充する時
には、後パイプ２２よりノブ２４および消しゴム
２３を外せば、前パイプ１９内の内鍔１９Ａを通
過して前パイプ１９内に予備芯が収納される。

以上説明したように、本考案は前部にチヤツク
を固着した前パイプと、後部にノブを嵌合した後
パイプを前後に伸縮可能に構成し、胴と鞘を回動
させることにより前パイプと後パイプが伸縮する
とともに、ノブおよび口金が突出した時ノブのノ
ツク力が後カムと前カムを介してチヤツクに伝達
されるノツク式シヤープペンシルの前パイプ内に
予備芯を収納させ、更に前パイプの後部に芯が１
本のみ通過可能なすりばち状の内鍔を設けた点に
特長がある。

このことにより、携帯時にノブおよび口金が没
入するので外観が非常に向上するとともに、ノブ
および口金が突出して前パイプと後パイプが伸長
しても長手方向に芯が縦列することがなく、従つ
て突出したノブおよび口金が没入する時に使用中
の芯の後端と予備芯の前端が当接することによつ
て生じる、芯折れやノブの没入を妨げる恐れが全
くないものである。更にノブおよび消しゴムを外
せば従来のノツク式シヤープペンシルと同様に簡
単に予備芯が収納でき、従来の口金およびノブが
出没するノツク式シヤープペンシルに比べてすぐ
れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のノツク式シヤープペンシル
の筆記状態を示す縦断面図、第２図は螺旋カムの
案内面を示す展開図、第３図は第１図のＡ−Ａ線
を示す横断面図、第４図は第１図における前カム
と後カムの当接状態を示す展開図、第５図はこの
考案のノツク式シヤープペンシルの携帯状態を示
す縦断面図である。 １……胴、１Ａ……胴１の六角部、２……内部
胴、２Ａ……内部胴２の六角鍔、２Ｂ……内部胴
２のねじ部、２Ｃ……内部胴２の凹部、２Ｄ……
内部胴２の貫通溝、２Ｅ……内部胴２の外鍔、３
……先金、３Ａ……先金３の内段、４……螺旋カ
ム、４Ａ……螺旋カム４の案内面、４Ｂ……螺旋
カム４の谷部、５……カバーワツシヤー、６……
ねじ環、７……中パイプ、７Ａ……中パイプ７の
円筒部、７Ｂ……中パイプ７の内段、７Ｃ……中
パイプ７の内方突起、８……鞘、８Ａ……鞘８の
後端、９……連結具、９Ａ……連結具９の突起、
１０……芯ホルダー、１１……口金、１１Ａ……
口金１１の外段、１２……口金スプリング、１３
……チヤツク、１４……締リング、１５……チヤ
ツクホルダー、１５Ａ……チヤツクホルダー１５
の凹溝、１６……前カム、１６Ａ……前カム１６
の内鍔、１６Ｂ……前カム１６の突部、１６Ｃ…
…前カム１６の外段、１６Ｄ……前カム１６の内
面、１７……駒、１８……チヤツクスプリング、
１９……前パイプ、１９Ａ……前パイプ１９の内
鍔、２０……後カム、２０Ａ……後カム２０の右
後方傾斜面、２０Ｂ……後カム２０の垂直面、２
０Ｃ……後カム２０の外段、２０Ｄ……後カム２
０のキー溝、２１……鞘スプリング、２２……後
パイプ、２３…消しゴム、２４……ノブ、２４Ａ
……ノブ２４の係止鍔、２５……芯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前部にチヤツク１３を固着した前パイプ１９
   と、後部にノブ２４を嵌合した後パイプ２２を前
   後に伸縮可能に構成し、前パイプ１９と後パイプ
   ２２の伸縮と連動して移動するように前カム１６
   と後カム２０を構成し、胴１と鞘８を回動させる
   ことにより前パイプ１９と後パイプ２２が伸縮す
   るとともに、ノブ２４および口金１１が突出した
   時ノブ２４のノツク力が後カム２０と前カム１６
   を介してチヤツク１３に伝達されるように構成し
   たノツク式シヤープペンシルにおいて、前パイプ
   １９内に予備芯を収納するとともに、前パイプ１
   ９の後部に芯２５が一本のみ通過可能なすりばち
   状の内鍔１９Ａを設けて構成したことを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載のノツク式
   シヤープペンシル。