JPS6337271Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は芯押出機構と握持用の外筒とを結合
固定する筆記具の芯押出機構固定ユニツトに関す
る。

従来から、例えば、回転カム等の芯押出機構を
挿着した筆記具が種々提案されている。

しかしながら、いずれも上記外筒に対する芯押
出機構の固定が不安定であるために、操作時に上
記芯押出機構が抜け落ちたり、ガタ付きを起こ
し、回転を生ずるという欠点があつた。

ところで、カム収納筒体内に回転カム及び該回
転カムを摺動させるカム棒を収容させた芯押出機
構では、カム収納筒体が複雑な形状になるので、
コスト的にも、このカム収納筒体を合成樹脂で成
形せざるを得ない。しかし、合成樹脂で成形した
カム収納筒体は弾性を有するから、そのカム収納
筒体を合成樹脂にて成形されている外筒内に直に
圧入する構造では、次のような問題を生じる。

即ち、ボールペン等の筆圧はシヤープペン等の
それと比較して強いので、カム収納筒体を外筒内
に強く圧入しておかないと、筆記時に芯押出機構
が外筒内から抜け易い。だからと言つて、カム収
納筒体を外筒内に強く圧入しすぎると、外筒の弾
性締付力によつてカム収納筒体が強く圧迫されて
しまつて、カム収納筒体内の回転カムの摺動がス
ムーズに行われなもなつてしまい、芯押出機構の
操作性が非常に悪くなつてしまう。

この考案は上記欠点を解消し、芯押出機構の操
作性を悪くすることなく、芯押出機構を外筒内に
強固に固定することができるようにした芯押出機
構固定ユニツトを提供することを目的とする。

以下、この考案の一実施例について図面を参照
して説明する。

この考案の芯押出機構固定ユニツトを適用し
た、例えばボールペンの外筒１には、第１図の縦
断面図に示すように、その先端に嵌合固定された
先具（図示せず）と、内部に軸方向に摺動可能に
内装されたインキ収納用のパイプ２とが配置され
ている。

上記パイプ２の先端には、ボールペン芯（図示
せず）が嵌合され、また該パイプ２の先端から少
し後方に突設されたスプリング係止部（図示せ
ず）と上記先具との間にはスプリング（弾性体）
（図示せず）が弾着され、該パイプ２を後方に付
勢している。

上記パイプ２の後端には芯押出機構３が係合さ
れ、この芯押出機構３は公知のものであつて、第
２図の平面図に示すように、、カム収納筒体４と、
このカム収納筒体４内に収納された回転カム５
と、この回転カム５を摺動させるカム棒６とから
構成される。

上記カム収納筒体４の先端は第１図示のように
開口されていると共に、その後端は後述するユニ
ツト本体１５内に強固に係合され、また上記後端
には小径開口７が穿設され、段部８で上記カム棒
６の後方摺動範囲を規制している。

そして上記カム収納筒体４の内周面には第１
図、第６図〜第９図示のように、回転カム回動用
の回転付与部９が複数（この実施例では３つ）形
成されている。この回転付与部９は、回転カム５
の切換突起１０を周方向にすべり傾斜回転移動さ
せる第１、第２の傾斜面９ａ，９ｂと、この傾斜
面９ａ，９ｂの間に形成され、切換突起１０のす
べり傾斜回転移動を一時停止させる段部９ｃと、
カム棒６に突設された突部６ｂが摺動する突部摺
動溝９ｄ（突部６ｂは後述するカム溝９ｅにも摺
動するものが設けられている）と、回転する回転
カム５の切換突起１０が所定時に侵入し、軸方向
に後退摺動すると共に、切換突起１０を軸方向へ
押圧前進移動させるカム棒６の突部６ｂが摺動す
るカム溝９ｅとを有する。

上記回転カム５は、上記パイプ２の後端に外嵌
する形で、上記カム収納筒体４内に摺動自在に収
納されている。この回転カム５の外周面には上述
のように、軸方向に長く伸びた切換突起１０が突
設され、上記回転付与部９と噛合回転して上記パ
イプ２の押出、退没動作の切換を行う。

また、上記回転カム５の先端は外方へ向けて突
設された突部１１が上記カム収納筒体４の回転付
与部９の先端に係止され、その後方摺動範囲を規
制されると共に後端は上記カム棒６と係合してい
る。

上記カム棒６は先端で上記回転カム５と係合
し、上記カム収納筒体４内にその一部を摺動自在
に挿着され、他方、後端はノツク動作を行うノツ
ク受台１２が嵌合されている。そして上記カム棒
６は第１図、第６図、第８図示のように突設され
た段部６ａが上記カム収納筒体４の段部８と係合
することによつてカム棒６の後方摺動範囲が規制
されている。

次に、この芯押出機構３のパイプ２繰り出し動
作について説明する。

まず、パイプ２の退没状態では、パイプ２の後
端を嵌合している回転カム５は、第６図、第７図
示のように、その切換突起１０がカム溝９ｅ内に
入り込んでいるので、最も後方位置に位置してい
る。次に、ノツク受台１２（消しゴム受兼用ノツ
ク受台）をノツクすると、カム棒６が前進してい
き、それに伴つてカム棒６の突部６ｂが突部摺動
溝９ｄ、カム溝９ｅを前進し、このカム溝９ｅ内
を前進する突部６ｂが切換突起１０を押圧前進さ
せる。そして、この切換突起１０は、第６図に示
すカム溝９ｅ内を筆記具の先端方向へ移動してい
き、カム溝９ｅの先端内壁９ｅ１を越え、第１の
傾斜面９ａまで移動させる。次に、図示しないパ
イプ２を後方付勢するスプリングの後方付勢力に
よつて、この切換突起１０は第１の傾斜面９ａを
回転傾斜しながら第８図示のように、段部９ｃで
一時停止され、パイプ２の突出状態となる。そし
て次のノツクによつて、同様の動作によつて切換
突起１０は段部９ｃを越え、第２の傾斜面９ｂを
回転移動し、カム溝９ｅ内に入り込み、元の状態
に戻る。

尚、第１図中、１３は消しゴム受、１４は消し
ゴムである。

以上の如く構成された芯押出機構３はユニツト
本体１５によつて上記外筒１内に強固に嵌合固定
されている。上記ユニツト本体１５は、第１図示
のように、ほぼ円筒形状をなす金属で形成されて
いる。そしてユニツト本体１５の内部は、上記カ
ム棒６を摺動自在に挿通する後端側の小径孔で形
成された嵌合孔１６と、上記カム収納筒体４の後
端を外嵌する前端側の大径孔で成された嵌合孔１
７とが穿設され、該嵌合孔１７の周壁には内方に
向けて係止突起１８が突設され、該カム収納筒体
４の周壁に喰込係合している。

また、ユニツト本体１５の外周面は、先端から
ほぼ中央まで小径部１９と、ほぼ中央部から後端
までの大径部で形成された外周嵌合部２０とに形
成され、この外周嵌合部２０は上記外筒１の内壁
に圧入嵌合されている。

さらに上記外周嵌合部２０の後端外縁部には外
方に向けて係止突起２１が突設され、プラスチツ
ク等の合成樹脂で成形された上記外筒１の内壁に
強固に喰込嵌合している。

次にこの考案の組立操作、作用について述べ
る。

まず組立時においては上記芯押出機構３と上記
ユニツト本体１５を予め嵌合し、ユニツト化した
後、上記外筒１内に圧入嵌合するだけで該本体１
５は上記外周面の外周嵌合部２０と係止突起２１
との双方によつて該外筒１の内壁に強固に嵌合固
定され、芯押出機構３の組立作業は極めて簡単に
終了する。

また、上記ユニツト本体１５は極めて簡単かつ
コンパクトな構造なので、上記消しゴム受台兼用
ノツク受台１２との間に大きな空間部を設けるこ
とができるので、大きなノツク部を取ることがで
きる。

第２図ａの側面図、第２図ｂの正面図は、上記
ユニツト本体１５の他の実施例を示し、上記外周
面の外周嵌合部２０に軸方向に伸びた多数の溝２
２を刻設したものであり、該溝２２が上記外筒１
の内壁に喰込嵌合して両者は極めて強固に固定さ
れる。

第３図の縦断面図も上記ユニツト本体１５の他
の実施例を示し、上記外周面の外周嵌合部２０に
軸方向と垂直に周溝２３を穿設したものであり、
上記実施例と同様に外筒１の内壁と嵌合できる。

第４図縦断面図も上記ユニツト本体１５の他の
実施例を示し、上記外周面の外周嵌合部２０に軸
方向と垂直に多数の溝２２を刻設すると共に、上
記前端側の嵌合孔１７の周壁に内方に向けて係止
突起１８を突設したものであり、芯押出機構３と
外筒１とを強固に嵌合固定する。

尚、上記外周嵌合部２０の溝２２、周溝２３等
は上記実施例に限定されることなく、ヘリカル状
曲線状等、外筒１の内壁と有効に嵌合できればそ
の形状を問わない。

第５図の縦断面図は上記ユニツト本体１５の他
の実施例を示し、上記前端側の嵌合孔１７の周壁
の一部を内方に向けて切起し部（係止突起）２４
を突設したものであり、芯押出機構３と強固に嵌
合できる。

以上記載のようにこの考案の芯押出機構固定ユ
ニツトは、ユニツト本体を芯押出機構に予め嵌合
させてユニツト化し、そのユニツトをユニツト本
体によつて外筒内に圧入により嵌合させて、芯押
出機構を外筒内に組立てるものであるが、その際
ユニツト本体を嵌合孔によつてカム収納体の外周
に嵌合させて、その嵌合孔内の係止突起で係止さ
せるので、芯押出機構とユニツト本体とを極めて
簡単にユニツト化することができ、そのユニツト
をユニツト本体によつて外筒内に圧入する際に、
芯押出機構がユニツト本体内から不測に脱落する
ことがないので、外筒内への芯押出機構の組立て
作業を容易に行える。しかも、ユニツト本体を金
属によつて構成して、その外周に設けた外周嵌合
部及び係止突起を合成樹脂にて成形されている外
筒内に圧入させて喰込嵌合させるようにしたの
で、ユニツト本体によつて芯押出機構を外筒内へ
強固に固定することができる。従つて、筆記時に
芯押出機構が外筒内から抜け落ちるような不都合
が全く発生せず、安全性が極めて高い。そして、
ユニツト本体を金属によつて構成したことによつ
て、外筒の弾性締付力によつてそのユニツト本体
が強く圧迫されても、その強い圧迫力がカム収納
筒体には何等伝達されない。従つて、その強い圧
迫力がカム収納筒体内の回転カムの摺動に悪影響
を及ぼすことが全くなく、回転カムの摺動を常に
スムーズに行うことができるので、芯押出機構の
操作性が非常に良くなる等の極めて優れた効果が
ある。

尚、この考案は前述した実施例で示したボール
ペンに限定されることなく、ボールペン等の筆記
具全般に適用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案をボールペンに適用した場合
の縦断面図、第２図ａはこの考案の一実施例の芯
押出機構固定ユニツトの側面図、第２図ｂは同正
面図、第３図から第５図は同縦断面図、第６図、
第８図は芯押出機構の動作説明図、第７図は第６
図のイ−イ線断面図、第９図は第８図のロ−ロ線
断面図。 １……外筒、２……パイプ、３……芯押出機
構、４……カム収納筒体、５……回転カム、６…
…カム棒、１５……ユニツト本体、１７……嵌合
孔、１８……内周の係止突起、２０……外周嵌合
部、２１……外周の係止突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂製の外筒１と、この外筒１内に収納さ
   れ、回転カム５を収納したカム収納筒体４、該回
   転カム５を摺動させるカム棒６とを有する芯押出
   機構３と、外周側で上記外筒１に嵌合すると共に
   内周側で上記芯押出機構３を嵌合し、該芯押出機
   構３を該外筒１に固定する略円筒状金属製のユニ
   ツト本体１５と、このユニツト本体１５の内周面
   に形成され、上記カム収納筒体４の外周を外嵌す
   る嵌合孔１７と、この嵌合孔１７の内壁に内方に
   向けて突設され、上記カム収納筒体４の外周に係
   合する係止突起１８と、上記ユニツト本体１５の
   外周面に形成され、上記外筒１の内周面に圧入嵌
   合する外周嵌合部２０と、この外周嵌合部２０に
   外方に向けて突設され、上記合成樹脂製の外筒１
   の内周面に喰込嵌合する係止突起２１とを備えた
   芯押出機構固定ユニツト。