JPS6311224B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ピルフアープルーフ機能を備えたプ
ラスチツクキヤツプの製造方法に関するものであ
り、より詳細には、開封に際して、キヤツプ本体
の下方に橋絡部を介して設けられた環状体が、キ
ヤツプ本体と共に容器口部から取除かれるように
するために設ける弱化線の刻設を特定の位置関係
で行うようにしたプラスチツクキヤツプの製造方
法に関する。

従来、ピルフアープルーフ機能を備えたプラス
チツクキヤツプとして、天面と、天面の周縁から
垂下した筒状スカート部とを備え且つ該スカート
部の内周面には容器口部に係合するネジを有する
キヤツプ本体；該ネジ部の下方に橋絡部を残して
設けられたミシン状切目の周状の列；及び該ミシ
ン状切目の列の下方に橋絡部を介してキヤツプ本
体と一体に設けられ且つ内周面に内向きの係合用
突起が一定間隔をおいて周状に一体に設けられた
下方環状体から成るピルフアープルーフ機能を備
えたプラスチツクキヤツプが知られており（本出
願人の出願に係る特開昭56−74445号公報）、該公
報には、ピルフアープルーフ裾部（下方環状体）
に軸線方向に延びる少くとも１本の破断ライン
（弱化線）を形成することも示唆されている。

このプラスチツクキヤツプは、開封に際してピ
ルフアープルーフ裾部が容器口部に残留すること
なく、下方環状体を含む容器蓋の全体が容器口部
から離脱せしめることができるため、使用済容器
の再利用という見地から有用なプラスチツクキヤ
ツプとして認識されている。

しかしながら、このようなミシン状切目の列と
弱化線の両方をプラスチツクの成形と同時に刻設
すると、型抜きの際にミシン状切目や弱化線の部
分から破断が生じるため、このようなプラスチツ
クキヤツプを製造するには、ミシン状切目や弱化
線の部分からの破断を生じることなく型抜きがで
きるように金型を特殊なものに製作するか、ある
いは、キヤツプ成形後に二次加工としてミシン状
切目や弱化線を刻設するかのいずれかによらなけ
ればならない。

ところが、金型を特殊なものにすることは、キ
ヤツプの種類が多種に亘るため、経済的に極めて
不利であり、経済上、二次加工による方法を採ら
ざるをえないのが実情である。

一方、この弱化線の少なくとも１本は、下方環
状体の薄肉部に設けられていないと、開封に際し
て確実な破断が行い難いという問題点がある。し
たがつて、この弱化線の位置決めは技術上のネツ
クであり、二次加工によつてこれらの刻設を行う
試みは未だなされていないのが現状である。

本発明者等は、この弱化線の位置決めを容易
に、かつ確実に行う方法について研究を進めた結
果本発明に到達したものである。

従つて、本発明の目的は、ピルフアープルーフ
機能を備えたプラスチツクキヤツプの製造方法に
おいて、下方環状体に該設する弱化線の少なくと
も一方を、該下方環状体の薄肉部に確実に刻設し
うるように位置関係を定めた製造方法を提供する
にある。

本発明によれば、天面と、天面の周縁から垂下
した筒状スカート部とを備え、且つ該スカート部
の内周面には容器口部に係合するネジを有するキ
ヤツプ本体と、スカート部の下端の接続部を介し
てキヤツプ本体と一体に設けられ、且つ内周面に
内向きの係合用突起が一定間隔をおいて周状に一
体に設けられた下方環状体とをプラスチツクで一
体に成形した後、該接続部に橋絡部を残してミシ
ン状切目の周状の列を刻設することからなるピル
フアープルーフ機能を備えたプラスチツクキヤツ
プの製造方法において、 ミシン状切目の周状の列を少なくとも１個の巾
の広い橋絡部と残りの巾の狭い橋絡部とが形成さ
れるように刻設すると共に、前記下方環状体の外
周面に巾広橋絡部に近接するように少なくとも２
個のほぼ垂直の開栓時に破断可能な弱化線を、式 （ｎ＋１）Ｐ−ｔ＞Ｄ＞nP＋ｔ 式中、Ｐは係合用突起のピツチを表わし、Ｄは
２個の弱化線間の間隔を表わし、ｎは弱化線間の
係合用突起の数であり、ゼロ又は正の整数を表わ
し、ｔは係合用突起の付根の巾を表わす、 を満足する位置関係で刻設することを特徴とする
ピルフアープルーフ機能を備えたプラスチツクキ
ヤツプの製造方法が提供される。

本発明方法によつて製造されるプラスチツクキ
ヤツプを添付図面に示す具体例に基づき以下に説
明する。

本発明方法によつて製造されるプラスチツクキ
ヤツプの断面構造を示す第１図及び第２図におい
て、このキヤツプは、プラスチツクで一体に形成
されたキヤツプ本体１及び下方環状体２並びにこ
れらの間に介在するミシン状切目３の周状の列か
ら成つている。

キヤツプ本体１は、天面４と天面の周縁から垂
下した筒状スカート部５とから成つており、この
スカート部の内周面には、容器口部（図示せず）
のネジと係合するメネジ６が設けられている。天
面４の内面側には接着或いは嵌込等の手段で設け
られたライナー乃至パツキング７があり、容器口
部との間に密封が行われるようになつている。

このネジ部６の下方に、橋絡部８を残してミシ
ン状切目３の周状の列が設けられ、下方環状体２
はこの橋絡部８を介してキヤツプ本体１と一体化
されている。

下方環状体２の内周面には、内向きの可撓性フ
ラツプ片の形の係合用突起９が一定間隔をおいて
周状に設けられている。添付図面に示す具体例に
おいては、フラツプ片９は可撓性があるように、
内方先端１０に向けて次第に高さが小さくなる形
状を有しており、上方端縁１１の傾斜よりも小さ
くなるようになつている。また、この具体例にお
いては、フラツプ片９の下方環状体２への付け根
１３はほぼ垂直状であり、しかもキヤツプの締結
旋回方向（矢印Ａ）に関して、付け根１３が先端
１０よりも先行するように、下方環状体内面に対
して、角度θの傾斜をなしている。かくして、キ
ヤツプの旋回締結に際しては、フラツプ片９が進
行方向に沿つて深く傾斜して、容易に容器口部の
あごの下に導入され、一方キヤツプの旋回開封に
際してはフラツプ片９があごに対してよく係合し
て橋絡部８の破断による開封が容易に行われるこ
とが了解されよう。

本発明によれば、下方環状体２の外周面に、複
数個のほぼ垂直の弱化線１４ａ，１４ｂを設け
る。本明細書において、弱化線とは、環状体の切
断すべき予定線に対して部分的に切断された線或
いは環状体の厚み方向の途中に達するように設け
られた切込み線或いはこれらの組合せを意味す
る。本発明においては、これら複数の弱化線１４
ａ，１４ｂの内少なくとも一方が、フラツプ片９
の付け根１３と重ならない位置関係（すなわち、
下方環状体の薄肉部）で設ける。

本発明では、このために、フラツプ片（係合用
突起）９のピツチをＰ、複数個の弱化線１４ａ，
１４ｂ間の間隔をＤ、フラツプ片（係合用突起）
９の付け根１３の巾をｔとしたとき、下記式 （ｎ＋１）Ｐ−ｔ＞Ｄ＞nP＋ｔ を満足する位置関係で複数個の弱化線１４ａ，１
４ｂを設ける。

これらの式を満足するように、複数個の弱化線
を設けることにより、一方の弱化線がフラツプ片
９の付け根１３の部分と重なり、従つて開封に際
して下方環状体２のこの部分での破断が困難にな
る場合でも、他方の弱化線はフラツプ片９の付け
根１３の部分に重ならずに薄肉部に形成され、そ
の結果として、開封に際して下方環状体２を弱化
線の位置で確実に破断し、下方環状体２をキヤツ
プ本体１と共に容器口部から取外すことが可能と
なる。

また、これらの弱化線１４ａ，１４ｂは開封に
際し、全ての橋絡部８が破断されるよりも先に破
断するものでなければならない。というのは、先
に全ての橋絡部８の破断が生じれば、下方環状体
２は弱化線１４ａ，１４ｂの所で破断することな
く、容器口部に残留するからである。このため、
少なくとも１個の巾の広い橋絡部１５と残りの巾
の狭い橋絡部８とが設けられ、この巾広橋絡部１
５に近接するように２本の弱化線１４ａ，１４ｂ
が設けられる。この巾広橋絡部１５の破断強度は
弱化線１４ａ，１４ｂの破断強度よりも大であ
り、しかも何れか一方の弱化線はフラツプ片９の
付け根１３と重ならない位置関係で設けられてい
るため弱化線での破断が容易に行われる。

本発明方法によつてえられるプラスチツクキヤ
ツプの別の態様を示す第４図において、フラツプ
片９の付け根１３ａは、下方環状体２に対して、
垂直方向に対してやや傾斜した状態で設けられて
おり、特にキヤツプの締結旋回方向に対して付け
根上部が付け根下部よりも先行するように設けら
れている。この構成では、フラツプ片９の付け根
１３ａの巾は、付け根が垂直である場合に比して
かなり大きくなるが、本発明方法によれば、弱化
線１４ａ，１４ｂの少なくとも一方がこの付け根
１３ａと重ならないように弱化線１４ａ，１４ｂ
を設けることができるようになる。

下方環状体２の容器口部からの取外しを容易に
するため、断面図によく示されるように、下方環
状体２はキヤツプ本体１よりもかなり薄肉に形成
されており、一方これらの中間に位置するミシン
状切目を設ける部分１６は下方環状体２よりも厚
肉に設けられている。また、下方環状体２の内径
はキヤツプ本体１の内径よりも大であつて、キヤ
ツプの旋回締結に際し、フラツプ片９がこの段差
部空間内に納まるようになつている。

本発明によれば、キヤツプ本体１及びフラツプ
片付き下方環状体２の成形は、プラスチツクス、
特にポリプロピレン、ポリエチレン、スチレン系
共重合体、アセタール樹脂、塩化ビニル系樹脂等
の射出成形又は圧縮成形等により一体に形成さ
れ、その後に、前記式に基づいた位置関係で成形
キヤツプをカツターと噛み合せることによりミシ
ン状切目及び弱化線の刻設を行うものである。

本発明方法によつてえられるプラスチツクキヤ
ツプの更に別の態様を示す第５図においては、係
合用突起として前述した可撓性のフラツプ片に代
えて、可撓性のない突起９ａが設けられており、
この場合には薄肉の下方環状体２が可撓性であ
り、キヤツプの締結時に変形することで、突起９
ａと容器口部のあごとの係合が行われる。この具
体例では、係合用突起９ａの下側テーパー面１７
のテーパー角度を小さくして締結時に容器あご部
への挿入を容易にし、一方上側テーパー面１８の
テーパー角度を大きくして、開封時にあご部から
のスツポ抜けを防止するようにしている。

本発明方法によつてえられるプラスチツクキヤ
ツプは、優れたピルフアープルーフ機能を有し、
しかもキヤツプの全ての部分を容器口部から取外
し得るため、使用済み容器の再利用の見地から有
用なものであり、そのようなプラスチツクキヤツ
プを容易に、又正確に製造しうる本発明は、成形
工程を能率化した点で優れたものである。

実施例 ポリプロピレンから成形されたピルフアープル
ーフ機能を備えたキヤツプに、ミシン状切目の周
状の列と、２本のほぼ垂直な弱化線を刻設する例
について説明する。

キヤツプの外径：29.8mm 係合用突起のピツチ（Ｐ）：3.0mm 係合用突起の付根の巾（ｔ）：0.4mm 弱化線の間隔内に入る係合用突起の数（ｎ）を
２とし、これを式（ｎ＋１）Ｐ−ｔ＞Ｄ＞nP＋
ｔに代入すると、 （ｎ＋１）Ｐ−ｔは（２＋１）×3.0−0.4＝8.6mm nP＋ｔは２×3.0＋0.4＝6.4mm となる。したがつて、この式から弱化線の巾は、
6.4mmよりも大きく、8.6mmよりも小さい巾を選択
すればよいことになる。

次いで、前記ミシン状切目と弱化線の刻設方法
について簡単に説明する。

刻設装置は、キヤツプ供給域、切断域、排出域
からなり、供給域においては、キヤツプを空気流
の如き手段で倒立状態で切欠きを有するターレツ
ト板に供給する。このターレツト板は時計方向に
回転しながら、切断域へキヤツプを搬送する。切
断域においては、該ターレツトと反対方向に回転
する、キヤツプを収容しうる形状の切欠きを有す
る回転円板上にキヤツプが送り込まれ、キヤツプ
内には、上方から下降してきた切断刃を受け入れ
る溝を備えた内側切断具が挿入され、回転しなが
ら外周に設けられた切断刃によつて前記ミシン状
切目と弱化線が刻設される。弱化線の巾は８mmに
固定した。このようにして刻設した弱化線は、少
くともそのいずれか一方は、係合用突起に重なる
ことがなく、下方環状体の薄肉部に形成されてい
た。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明方法によつてえられるキヤツプ
の１例の断面図であり、第２図は、第１図のキヤ
ツプの下面図であり、第３図は第１図のキヤツプ
の下方環状体を拡大して示す部分展開図であり、
第４図及び第５図は本発明方法によつてえられる
他のキヤツプの例を示す断面図である。 １はキヤツプ本体、２は下方環状体、３はミシ
ン状切目、４は天面、５は筒状スカート部、６は
ネジ部、８は橋絡部、９はフラツプ片、１３は付
根、１４ａ，１４ｂは弱化線、１５は巾広橋絡部
を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 天面と、天面の周縁から垂下した筒状スカー
   ト部とを備え、且つ該スカート部の内周面には容
   器口部に係合するネジを有するキヤツプ本体と、
   スカート部の下端の接続部を介してキヤツプ本体
   と一体に設けられ、且つ内周面に内向きの係合用
   突起が一定間隔をおいて周状に一体に設けられた
   下方環状体とをプラスチツクで一体に成形した
   後、該接続部に橋絡部を残してミシン状切目の周
   状の列を刻設することからなるピルフアープルー
   フ機能を備えたプラスチツクキヤツプの製造方法
   において、 ミシン状切目の周状の列を少なくとも１個の巾
   の広い橋絡部と残りの巾の狭い橋絡部とが形成さ
   れるように刻設すると共に、前記下方環状体の外
   周面に巾広橋絡部に近接するように少なくとも２
   個のほぼ垂直の開栓時に破断可能な弱化線を、式 （ｎ＋１）Ｐ−ｔ＞Ｄ＞nP＋ｔ 式中、Ｐは係合用突起のピツチを表わし、Ｄは
   ２個の弱化線間の間隔を表わし、ｎは弱化線間の
   係合用突起の数であり、ゼロ又は正の整数を表わ
   し、ｔは係合用突起の付根の巾を表わす、 を満足する位置関係で刻設することを特徴とする
   ピルフアープルーフ機能を備えたプラスチツクキ
   ヤツプの製造方法。