JPS629981B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電気接触ピンに関し、特にプリント回
路板のスルーホール部に機械的に固定し電気的に
接続するための電気接触ピンの取付部分の構造に
関する。

従来のこの種の電気接触ピンにおけるプリント
回路板のスルーホール部と接触する取付部分の構
造は、導電性バネ材料より成る金属板を切裂いて
曲げ加工を施したり（第１図ａ，同図ｂ参照）、
取付部分に中空穴を設け梁部を柔軟な構成（第２
図ａ，第２図ｂ参照）にしていた。しかしなが
ら、プリント回路板への電子部品の高密度実装化
を進める上でプリント回路板のスルーホール部の
穴径を小さくする必要があり、これに伴なつて電
気接触ピンの取付部を小さくすることが必要とな
つた。しかし、従来構造のこれらピンにおいて取
付部分を小形化することは切曲げ加工あるいは中
空穴の加工を困難にすると共に弾性変形に乏しい
脚部の機械的強度が弱くなり打込時に座屈変形を
引起すことがある。

しかるに、本発明の目的は、プリント回路板の
スルーホール部に機械的に固定する取付部分の構
造を小形化でき、かつ変位量の大なる弾力性を有
するように対向する少なくとも二辺に交互対向の
大小凹部を各々１つづつ設け、かつこれら大小凹
部の中心位置をほぼ一致させてその配列をアコー
デイオン形状とすることにより、小形で製造し易
く接続の安定した電気接触ピンを提供することに
ある。

本発明の電気接触ピンは、対向する二辺によつ
て形成される二対の端子対角部のうちの一方の端
子対角部のそれぞれに隣接して前記二辺上にそれ
ぞれ１つ設けた大径の第１の凹部と、これら第１
の凹部と中心位置をほぼ一致させて前記第１の凹
部の裏側にそれぞれ設けた小径の第２の凹部と、
前記一方の端子対角部をプリント回路板のスルー
ホール部に当接させ嵌合させるよう前記二対の端
子対角部のうちの他方の端子対角部に設けられた
面取り部とを備えた中間取付部を有することを特
徴とする。

次に、本発明の実施例について図面を参照して
説明する。

第３図ａは本発明による電気接触ピンの第１の
実施例を示す斜視図、第３図ｂはスルーホール部
に接続ピンを挿入した時の取付部分の断面図、第
３図ｃはスルーホールに挿入前の取付部分の断面
図である。

第３図ａ〜同図ｃを参照すると、本発明の第１
の実施例による電気接触ピンは、プリント回路板
のスルーホール部に嵌合固定できるように中間取
付部分１を有し、この取付部分１の互いに対向す
る二辺にはそれぞれ三角状の第１凹部２，３と三
角状の第２凹部１１，１２とが設けられている。
これら凹部は交互に対向配置され、第１凹部２，
３は第２凹部１１，１２より深さおよび幅寸法が
大きく設定されている。第１凹部２と第２凹部１
２とは中心位置がほぼ一致し、かつ第１凹部３と
第２凹部１１とは中心位置がほぼ一致している。
また、第１凹部２，３にそれぞれ隣接する端子コ
ーナ４，５をプリント回路板の導電性スルーホー
ル部８の内壁面に充分に当接させるために、端子
の反対側コーナつまり第２凹部１１，１２にそれ
ぞれ隣接するコーナには面取り部６，７が形成さ
れている。これにより、取付部分１がｘ軸，ｙ軸
方向に極めて弾力的に伸縮、首振り変形し得るア
コーデイオン形状の電気接触ピン９を構成してい
る。このように構成される電気接触ピン９は、プ
リント回路板のスルーホール部８に挿入前、第３
図ｃに示すように、その取付部分１の寸法はスル
ーホール部８の内径より相当大きい関係にある
が、スルーホール部８に挿入することによりアコ
ーデイオン形状の柔軟性によりｘ軸、ｙ軸方向の
弾力的な変形を行ないながら第３図ｂの位置関係
におさまり、スルーホール部８の損傷を招くこと
なく極めて軽荷重で挿入できる。また、スルーホ
ール部８の内径寸法の多少のバラツキにも対応可
能となる。

このように構成される電気接触ピン９を多層プ
リント回路板１０のスルーホール部８に挿入した
時の状態が第４図ａおよび第４図ｂに示されてい
る。上述したように、極めて弾力的に変形し得る
中間取付部分１を有する電気接触ピン９は一枚の
基体から成る通常のプリント回路板に適用しても
充分に所望の機能を果たすが、第４図ａおよび第
４図ｂに示すような構造の多層プリント回路板１
０に適用した場合、特に、有効性を発揮し得る。
つまり、ここに示すような多層プリント回路板１
０は、通常上層１０ａ、中間層１０ｂおよび下層
１０ｃを通通したスルーホール部８を有し、上層
１０ａおよび下層１０ｃの各々のスルーホール表
面位置に設けられた幅寸法150μｍ程度のランド
部８ａを介して導体パターン８ｂをスルーホール
に接続する上に、中間層１０ｂに導体パターン８
ｃを形成して内壁寸法20〜30μｍ程度のスルーホ
ールへの接続を成す。このようなプリント回路板
１０のスルーホール部８に伸縮、首振り弾性変形
に乏しい電気接触ピンを挿着すると、薄いスルー
ホールの内壁面に大きな力が作用して導体パター
ン８ｃとの接続部にダメージを与え切断を生じる
ことになる。しかしながら、上述したような弾力
性に富むこの発明による電気接触ピン９の適用に
よりこの問題をも回避できる。

また、第５図および第６図は本発明による電気
接触ピンの第２および第３の実施例を示す取付部
分の断面形状であり、それぞれ接触ピンの対向す
る二辺に交互対向配置の角状第１凹部２″，３″と
角状第２凹部１１″，１２″、および半円状第１凹
部２，３と半円状第２凹部１１，１２と
を設けた場合である。これらもスルーホール部８
に挿入された時は矢印方向の押圧力を受けて弾性
変形してスルーホール部８に機械的且つ電気的に
接触する。なお、電気接触ピン９の取付部分１の
対向する他の二辺に適度な凹部を設けて弾性変形
をさらに促進する実施も可能である。

上に述べたこの発明の電気接触ピンは、単品に
てプリント回路板に用いても、また多ピンコネク
タの接触子として組込んで用いてもよい。

本発明は以上説明したように、ピンの取付部分
に伸縮、首振り弾性変形を行なう変形量の大なる
アコーデイオン構造を採用することにより、プリ
ント回路板への軽負荷挿入を行なうことができ
る。また、これによりプリント回路板のスルーホ
ール部の径寸法誤差を補償した良好な係合を成し
得る上に、スルーホール部の損傷をこれの厚さ寸
法に拘らず回避できる。さらに、プレスによる圧
潰加工などにより容易に製造可能であり、生産性
を向上することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａおよび第１図ｂ、第２図ａおよび第２
図ｂは従来の電気接触ピンの例を示す構成図、第
３図ａ〜第３図ｃは本発明による電気接触ピンの
第１の実施例を示す構成図、第４図ａは第１の実
施例の電気接触ピンを多層プリント回路板のスル
ーホール部に挿入した図、第４図ｂは同プリント
回路板のスルーホール部を説明する図、第５図、
第６図は本発明の第２、第３の実施例を示す構成
図である。 １……取付部分、２，３……三角状第１凹部、
２″，３″……角状第１凹部、２，３……半円
状第１凹部、４，５……端子コーナ、６，７……
面取り部、８……スルーホール部、９……電気接
触ピン、１０……プリント回路板、１１，１２…
…三角状第２凹部、１１″，１２″……角状第２凹
部、１１，１２……半円状第２凹部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 対向する二辺によつて形成される二対の端子
   対角部のうちの一方の端子対角部のそれぞれに隣
   接して前記二辺上にそれぞれ１つ設けた大径の第
   １の凹部と、これら第１の凹部と中心位置をほぼ
   一致させて前記第１の凹部の裏側にそれぞれ設け
   た小径の第２の凹部と、前記一方の端子対角部を
   プリント回路板のスルーホール部に当接させ嵌合
   させるよう前記二対の端子対角部のうちの他方の
   端子対角部に設けられた面取り部とを備えた中間
   取付部を有することを特徴とする電気接触ピン。