JPS629440Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、トンネル掘削坑道の壁面のアンカ
ボルト打設箇所を漏水止めするための止水装置に
関するものである。

トンネル掘削坑道の１次覆工施行によつて地山
に吹付けられた薄いコンクリート層には、その天
井付近の壁面に止水シートが展張された上で、鉄
筋コンクリートによる２次覆工が引続き施行され
る場合があるが、上記２次覆工の際の鉄筋の壁面
への取付手段には、上向きに止水シートを貫通さ
せて地山に打込まれたアンカボルトを利用してい
る。

ところで、このような構造において、地山の表
面から常に湧水が溢出していることから、地山・
コンクリート層の夫々のアンカ打込孔ならびに止
水シートのアンカ通し孔と、ボルト周面との間の
わずかな隙間を通り抜けた溜水が坑内に漏水する
ので、漏水を完全に遮断するためには、アンカボ
ルトの周辺を壁面から出た箇所でシールする必要
があり、そのシール手段として、従来は、止水シ
ートの取付けに当たり、アンカ打込孔に空隙にコ
ーキング材等を挿入した上で、止水シートをアン
カボルトに掛け、更に、シートを座金で押え付け
た後にパツキングを塗る等の面倒な手間をかけて
いた。

このように従来は、アンカボルト周辺のシール
のために２工程の取付作業の手間を要していた。

本考案は、上記シールのための面倒な手先作業
を省くためになされたものであつて、すなわち、
本考案の目的は、上記アンカボルト打込箇所周辺
の止水シートのアンカ通し孔からの漏水を簡単な
手間で確実に止水する止水装置を提供することに
ある。

以下、図示の一実施例に基づいて本考案を説明
する。

第１図ないし第３図に示すように、本考案の実
施例に用いるシール具１は、ホルダ２と、同ホル
ダ２内に嵌填装されたシール体３とにより形成さ
れていて、上記ホルダ２は、鋼板製のカツプ形を
なし、その底板の中心には、後述するアンカボル
ト６が通る貫通孔２ａが開けられており、底板の
外周にはフランジが形成されている。

また、厚手円板形のシール体３は、ゴム質、エ
ラストマ質、不織布等の中に公知の水膨張性樹脂
が練り込まれて形成された水膨張性材より成り、
かつシール体３の中心には、上記貫通孔２ａに連
通する貫通空部３ａが形成され、該シール体３
は、上記フランジの端面の内部に該フランジの端
面から突出されない状態で嵌填装されている。

しかしてこのシール体３は、水分の吸収により
体積が約20倍に膨張する特性を具えている。

このように構成された実施例のシール具１は、
漏水に起因して水ぬれした場合に、シール体３が
ホルダ１のフランジ端面から膨出すると共に、貫
通孔３ａの径が狭まることから、ホルダ１の上面
が外部の壁面に当たつている組付状態では、該壁
面との間が水密にシートされ、かつ、貫通孔３ａ
にアンカボルト６が貫通している組付状態では、
該アンカボルト６の周面との間が水密にシールさ
れる。

ここで、上記のシール具１が介装されたトンネ
ル坑道の止水構造につき、第４図を参照して説明
する。

上述したように、薄いコンクリート層４が吹付
けられた地山５の天井部には、アンカボルト６が
打込まれると共に、コンクリート層４の表面に接
して展張された止水シート７は、アンカボルト６
に介装されたシール具１のシール体３の表面と、
コンクリート４壁面との間に挟まれている。

しかして、シール具１は、平座金８を介し、ボ
ルト６に螺合する固定ナツト９によつて天井側に
緊締されている。

上記の構成によると、止水シート７上に地山５
側からの漏水が溜ると、該溜水は、止水シート７
のボルト孔からアンカボルト６を伝わつて水膨張
性のシール体３を、上面と内面側に膨張させ、シ
ール体３と止水シート７との間、およびシール体
３とボルト６との間でシールされることにより、
坑内への浸水が確実に防止されている。

また、シール具１の装着時には、水膨張性シー
ル体３はシール具１のホルダ２の内部に収納され
た非膨張状態にあり、従つて、アンカボルト６及
び止水シート７の外面に無理な力が加わらず、そ
の装着作業は極めて容易でしかも確実である。

以上述べたように、本考案に係るトンネル工事
用止水装置によれば、そのシール具１の装着時に
は、水膨張性のシール体３は、カツプ形ホルダ２
のフランジの端面の内部に非膨張状態で収納され
ていることから、アンカボルト６に楽に遊挿させ
て止水シート７の外面に密着させた状態で容易且
つ確実に現場で装着させることが出来る実用上優
れた効果があり、漏水後に始めて上記水膨張性の
シール体３がアンカボルト６の外周と止水シート
７の外面の側に膨張して止水させることが出来る
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に用いるシール具の一実施例
を示す斜視図、第２図は、同側断面図、第３図
は、第１図の分離図、第４図は、上記シール具を
使用したトンネル掘削坑道の止水構造を示す断面
概要図である。 １……シール具、２……ホルダ、２ａ……貫通
孔、３……シール体、３ａ……貫通空部、６……
アンカボルト、７……止水シート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トンネル掘削坑道の壁面に沿つて張設された止
   水シート７と、前記止水シート７を貫通して前記
   壁面に打設されたアンカボルト６と、中央の貫通
   部を介して前記アンカボルト６の突出部に外装さ
   れたシール具１と、アンカボルト６の突出部に螺
   装されてシール具１を止水シート７に押圧固定さ
   せる固定ナツト９と、を具備し、前記シール具１
   は、底板の中央に貫通孔を有し、該底板の外周に
   はフランジが形成されたホルダ２と、該ホルダ２
   のフランジの端面の内部に該フランジの端面から
   突出されない状態で嵌填装され中央には前記貫通
   孔に連通する貫通空部が形成されている水膨張性
   材より成るシール体とにより形成され、そのシー
   ル体の側を前記止水シート７に向けて固定されて
   いることを特徴とするトンネル工事用止水装置。