JPS626893Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、横置式のエンジン−トランスミツシ
ヨン組合体の支持構造に係り、特にエンジンとト
ランスミツシヨンとが直列に接続された横置式の
エンジン−トランスミツシヨン組合体の支持構造
に係る。

横置式のフロントエンジンフロントドライブ車
に於ては、エンジンのローリング運動の慣性主軸
とタイヤの回転軸とが互に平行となり、タイヤの
回転によるトルク反力が直接エンジンのローリン
グ方向に作用する。このため、上述の如き型の車
輌に於ては、エンジンはエンジン自体の振動が車
体に伝わりにくいよう車体より支持されているこ
とに加えてタイヤの回転によるトルク反力が受止
められるよう支持されていることを要求される。

上述の如き要求が満たされないでエンジンが支
持されると、エンジンの振動が車体に伝わり、騒
音が発生したり乗り心地性が悪化し、また加速、
減速時の如くエンジンの駆動力が急変する場合に
エンジンがローリング運動し、車輌サージやしや
くり現象が発生してやはり乗り心地性が悪化す
る。

本考案は上述の如き要求を満たし、運動学上最
も合理的にエンジンとトランスミツシヨンとの組
合体を支持する支持構造を提供することを目的と
している。

かかる目的は、本考案によれば、エンジンとト
ランスミツシヨンとが直列に接続された横置式の
エンジン−トランスミツシヨン組合体の支持構造
にして、前記組合体をその軸線方向両端部に於て
該組合体のローリング運動の慣性主軸上にて支持
すると共に前記組合体を該組合体の重心を含み且
前記慣性主軸に直交する仮想平面内にある少くと
も一つの点にて車体より支持し、該点に於ける支
持は各々前記組合体と前記車体とに接続された枠
体を互いに接続して内側に室を構成するゴム状弾
性部材と前記室を室外に連通せしめる絞り孔及び
前記枠体の相対変位量を所定値以下に制限するス
トツパとを有する防振ゴム装置により行われるこ
とを特徴とする横置式のエンジン−トランスミツ
シヨン組合体の支持構造によつて達成される。

以下に添付の図を参照して本考案を実施例につ
いて詳細に説明する。

第１図は本考案による支持構造の一つの実施例
を示す概略平面図、第２図及び第３図は各々第１
図のＡ及びＢ矢視図である。図に於て、１はエン
ジンを、２はトランスミツシヨンを示しており、
該両者は直列に接続されており、車輌前部のエン
ジンルーム内に横置、即ちそのエンジンとトラン
スミツシヨンとの組合体３の軸線が車軸の軸線に
沿うよう、換言すれば車輌前後方向に対し直交す
るように配置されている。

組合体３はその軸線方向両端部に該組合体のロ
ーリング運動の慣性主軸Ｘと実質的に同心に支持
軸６，７を取付けられており、該支持軸６，７は
各々車体の一部を構成する枠体４の左右両側部に
防振ゴム装置８を介して取付けられている。

防振ゴム装置８の一つの実施例が第４図に示さ
れている。この防振ゴム装置８は、筒形防振ゴム
であり、互に同心に配置されたインナスリーブ９
とアウタスリーブ１０及びこの両スリーブ間に該
両者を接続すべく設けられたゴム層１１とからな
り、インナスリーブ９にて支持軸６、またアウタ
スリーブ１０にて枠体４に各々固定的に接続され
ている。この防振ゴム装置８はゴム層１１の上下
部に空洞部１２を有しており、ゴム層１１の図に
て上下方向、左右方向ならびに回転方向のばね力
を調整されている。

また組合体３はその重心を含み且前記慣性主軸
Ｘに直交する仮想平面内に位置し且組合体３の車
輌前後方向に見た両側に於て防振ゴム装置１３，
１４によりサポート部材５より支持されている。
サポート部材５は車輌の前後方向に延在し、その
上下両端にて枠体４に固定されている。

前側の防振ゴム装置１３は第５図に良く示され
ている。防振ゴム装置１３は、一方の枠体として
作用するケース２２と該ケース２２内にて層状に
形成されその周縁にて該ケースに接続されたゴム
状弾性部材としてのゴム層１５とを有し、ゴム層
１５の中央部に接続された他方の枠体としてのス
トツパ２０にてリンク１６により組合体３に固定
的に接続され、ケース２２にて接続金具１７を介
してサポート部材５に固定的に接続されている。
ケース２２とゴム層１５とは互に共働して室１８
を郭定しており、この室１８は絞り孔としての小
孔１９を経て大気中に開放され、該小孔１９を経
て室１８に空気が出入するようになつている。ま
た、防振ゴム装置１３にはケース２２とゴム層１
５とがその貫層方向に所定量以上変位することを
防止するためにストツパ２０と所定間隔をおいて
対向するストツパ２１がケース２２に一体にが設
けられている。防振ゴム装置１３はゴム層１５の
内部摩擦によつて振動の減衰を行ない、また小孔
１９を経て室１８に出入する空気の粘性抵抗によ
り振動の減衰を行なうようになつている。この防
振ゴム装置１３はゴム層１５のばね定数と小孔１
９の大きさを調節されることにより全体としての
ばね定数を振動の振幅に応じて変化し、例えば第
６図のグラフに示されている如く、小振幅域に於
ては比較的小さいばね定数を、大振幅域に於ては
比較的大きいばね定数を示し、エンジンの微振動
を有効に減衰し、またエンジンとサポート部材の
間の大きい相対変位を有効に抑制する。また防振
ゴム装置１３はストツパ２０と２１とによるスト
ツパ作用により組合体３とサポート部材５との間
の非常に大きな動きを阻止するようになつてい
る。尚、ストツパ２０はケース２２の底部に当接
することによりストツパ２１とは反対の方向のス
トツパ作用も行う。

エンジンとトランスミツシヨンとの組合体のロ
ーリング運動の慣性主軸はローリング運動の慣性
モーメントが最少になる軸、換言すればローリン
グ運動時に最も動きが少ない軸線であり、このよ
うに動きの少ない部位にて前記組合体を車体より
支持することは運動学上最も合理的であり、前記
組合体のローリング運動時にその支持部に大きい
荷重が作用することがない。また組合体はその重
心を含み且前記慣性主軸に直交する仮想平面内に
ある部位にて前記ローリング運動を受止めるよう
支持されているから、組合体はその支持部にてロ
ーリング運動を運動学上合理的に規制され、組合
せ体がローリング運動しても該組合体がねじれる
ようにしてローリング運動することがない。

以上に於ては、本考案を特定の実施例について
詳細に説明したが、本考案は上述の実施例に限ら
れるものではなく、本考案の範囲内にて他の種々
の実施例が可能であることは当業者にとつて明ら
かであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による横置式のエンジン−トラ
ンスミツシヨン組合体の支持構造の一つの実施例
を示す概略平面図、第２図及び第３図は各々第１
図のＡ及びＢ矢視図、第４図及び第５図は各々防
振ゴム装置の実施例を示す概略構成図、第６図の
防振ゴム装置の特性を示すグラフである。 １……エンジン、２……トランスミツシヨン、
３……組合体、４……枠体、５……サポート部
材、６，７……支持軸、８……防振ゴム装置、９
……インナスリーブ、１０……アウタスリーブ、
１１……ゴム層、１２……空洞部、１３，１４…
…防振ゴム装置、１５……ゴム層、１６……リン
ク、１７……接続金具、１８……室、１９……小
孔、２０，２１……ストツパ、２２……ケース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンとトランスミツシヨンとが直列に接続
   された横置式のエンジン−トランスミツシヨン組
   合体の支持構造にして、前記組合体をその軸線方
   向両端部に於て該組合体のローリング運動の慣性
   主軸上にて車体より支持すると共に前記組合体を
   該組合体の重心を含み且前記慣性主軸に直交する
   仮想平面内にある少なくとも一つの点にて車体よ
   り支持し、該点に於ける支持は各々前記組合体と
   前記車体とに接続された枠体を互いに接続して内
   側に室を構成するゴム状弾性部材と前記室を室外
   に連通せしめる絞り孔及び前記枠体の相対変位量
   を所定値以下に制限するストツパとを有する防振
   ゴム装置により行われることを特徴とする横置式
   のエンジン−トランスミツシヨン組合体の支持構
   造。