JPS62643B2

JPS62643B2 -

Info

Publication number: JPS62643B2
Application number: JP57125560A
Authority: JP
Inventors: Tatsuro Hayashibara
Original assignee: Iwatani Corp
Current assignee: Iwatani Corp
Priority date: 1982-07-19
Filing date: 1982-07-19
Publication date: 1987-01-08
Also published as: JPS5914745A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は魚肉練製品罐詰またはレトルト魚肉練
製品に関する。従来より、魚肉練製品の罐詰化が長い間望まれ
ているにもかかわらず、品質の良好な魚肉練製品
罐詰は得られていなかつた。これは、既存の魚肉
練製品を単に罐詰にしただけでは、罐詰製造時の
加熱殺菌処理により、魚肉練製品の有する特性、
すなわちアシ、コシ、色、風味等が損なわれてし
まうからである。魚肉練製品、例えばかまぼこ、竹輪、半片等に
必要な物性には次のようなものがある。テクスチヤーのしつかりしたきめの細かい生
地を有するものであること。ヂエリー強度（アシ）が高いこと。風味、色等が変化しにくいこと。上記〜の物性を有する魚肉練製品を得るた
めに、従来より種々の方法が開発されており、品
質の優れた魚肉練製品が次々と提供されてきてい
る。ところが、これら魚肉練製品を罐詰化した場
合、罐詰製造時に行なう高温加熱殺菌処理によ
り、罐詰にされた魚肉練製品のテクスチヤーがも
ろくなり、アシの劣化が起こる等、物性が著しく
低下してしまい、商品価値のある魚肉練製品罐詰
を得ることができなかつた。また、最近では種々
のレトルト食品が開発されその手軽さにより需要
が急増しているが、魚肉練製品については上述し
たと同じくレトルト殺菌時の加熱処理が原因で良
好な品質のレトルト製品が得られていなかつた。本発明は、魚肉練製品原料に特定の品質改良剤
を添加することにより魚肉練製品原料中の保水性
の向上をはかり、これによつて罐詰製造時または
レトルト製品製造時の加熱条件を緩和し、これに
より物性の劣化を起こさない魚肉練製品罐詰また
はレトルト包装品を提供することを目的とするも
のである。本発明の罐詰またはレトルト包装品は、魚肉練
製品原料に２価の金属イオンまたはそれからなる
塩と、糖類と糖類の脂肪酸エステルとからなる保
水剤を添加して得られる魚肉練製品を内容物とし
て有することを特徴とするものである。練製品は、原料魚肉及び調味料、でん粉等の他
の添加物ならびに水を加え、擂潰してスラリー化
しゾル状物とし、これを加熱処理して、生成する
ゾル化物中に網状構造を形成することにより得ら
れる。物性としては、弾力のあるゼリー状のもの
である。ところが、この練製品を罐詰化し、高温
殺菌処理すると、網状構造の組織が破壊され、ヂ
エリー強度が弱くなり、したがつて添加物（でん
粉、水、調味料等）が分離してしまう。このため
罐詰を開けたときには、内容物である練製品はす
でに弾力性を失ない、場合によつては形が崩れた
りして、商品としての価値が全くなくなつてい
た。本発明は、従来と同じ魚肉練製品原料を使用
し、これに保水効果の優れた品質改良剤として、
２価金属イオンまたはそれからなる塩、糖類及び
糖類の脂肪酸エステルを添加することにより、魚
肉練製品原料中の水分量を高め、これにより加熱
時の熱伝導率を向上させ、罐詰またはレトルト殺
菌の加熱時間短縮をはかることによつて前記欠点
を解消したものである。練製品原料中に添加される保水剤は、２価の金
属イオンまたはそれからなる塩、糖類及び糖類の
脂肪酸エステルからなる。金属イオンとしては例
えばMg⁺⁺、Ca⁺⁺が好ましく、具体的には炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、又はこれらの混合
物として添加される。糖類は、ブドウ糖のような
単糖類、シヨ糖、麦芽糖のような二糖類、グリセ
リン、ソルビツト、キシリツト、マンニツトのよ
うな糖アルコールを含むものであり、また糖類の
脂肪酸エステルとしては、上述した糖類と炭素原
子数11〜18個の脂肪酸（例えば、ラウリン酸、オ
レイン酸、リノリン酸、ステアリン酸など）との
エステル、例えばシヨ糖ラウレート、シヨ糖ステ
アレート（シユガーエステル）、ソルビタンラウ
レート、ソルビタンステアレート等である。上記の２価金属イオンまたはそれからなる塩、
糖類及び糖類の脂肪酸エステルは、原料魚肉を擂
潰しスラリー化して肉糊状のゾル状物を調製する
際に添加することが好ましい。各成分は同時に添
加しても、また別々に添加してもよい。上記保水剤を添加することにより、原料魚肉の
スラリー化段階で魚肉蛋白（アクトマイオシ
ン）、２価の金属イオン、糖類及び糖類の脂肪酸
エステルと原料魚肉に含有される水分との間に物
理的及び化学的な水和現象が起こり、アクトマイ
オシンの溶出と相俟つて物理的、化学的に安定し
た非常に親和力に富む均質な蛋白粒子のゾル状物
を形成することができる。したがつて、このゾル
状物を加熱処理（蒸し工程）によりゲル化した場
合、網目構造の組織が非常に緻密になり、テクス
チユアーのしつかりした、ヂエリー強度の高いゲ
ル化物（練製品）が得られる。また、上記各成分
は原料魚肉中の水分との親和性が非常に強いので
原料中に多量の水分を含有させることができ、し
かも網目構造がしつかりしているため、この網目
内に水分を確実に保持させることができる。この
ため、通常の魚肉練製品原料に比較して10〜20％
増の加水が可能となる。したがつて、練製品の熱
伝導率が向上するので、罐詰化またはレトルト化
した後の加熱殺菌条件を従来の練製品を使用した
場合に比較して緩和することができ、加熱による
組織劣化が少なくなり、上述の効果と相俟つて、
より一層の品質向上がはかられる。また、上記各
成分は高温処理によつても分解しないため、後述
の罐詰化またはレトルト製品化のときの加熱殺菌
（通常100〜120℃）によつてもその効果を維持す
ることができる。また、保水剤によつて水分が網
目構造内にしつかり保持されることにより、練製
品の色移りが防止されるという効果を有する。本発明で使用可能な原料魚肉は、通常用いられ
ているものでよく、これらは例えばスケソウダ
ラ、グチ、エソ、サメ等を常法にしたがつて製造
することにより得られる。本発明では、さらに、罐詰化またはレトルト化
する際の高温加熱殺菌で練製品が褐変しないよう
に、褐変の原因となる多糖類（みりん、砂糖、酒
類等）を原料中から除去し、代りに高温に耐える
糖類を使用する。本発明で使用する糖類として
は、例えばソルビツト等である。本発明では、また、練製品に風味を出させるた
め、罐詰化またはレトルト化に適した調味料及び
オイルを加える。オイルは飽和脂肪酸が安定であ
るので好ましいが、不飽和脂肪酸も勿論使用する
ことができる。不飽和脂肪酸の場合には、酸素に
よる反応で酸敗を起こすおそれがあるが、罐詰化
に際して真空巻締を行なうのでこの酸敗は十分に
避けることができる。好ましいオイルの例は、ラ
ード、パーム油等である。調味料は通常使用され
るものでよい。この調味料は、カニ足を製造する
のに使用するエキスパウダーも含むものである。本発明で好ましい魚肉練製品の各成分配合例
は、原料魚肉（スリミ）100重量部、２価の金属
イオン0.5〜1.7重量部、糖0.02〜0.07重量部、糖
類の脂肪酸エステル0.02〜0.08重量部、でん粉５
〜10重量部、オイル２〜５重量部、卵白６〜12重
量部、その他調味料２〜５重量部、水分45〜80重
量部である。上記成分割合の練製品組成物は、常法によりゲ
ル化して所定の練製品に製造する。練製品として
は、カマボコ、半片、竹輪、カニ足等、広範囲の
種類のものが製造可能である。得られた練製品を例えば次のようにして罐詰化
する。板付蒲鉾１対（例えば紅白）を別々にパー
チメントペーパーで包装し４号罐に詰め、真空巻
締をおこなう。罐詰化した後に、加熱殺菌を100〜120℃、40〜
60分行なう。罐詰内部には予め少量の水を添加し
ておき、加熱により発生する蒸気でさらに殺菌効
果を上げるとよい。次に、本発明による罐詰練製品について実施例
及び従来の練製品を用いた罐詰製品との比較例を
用いて説明する。なお、本発明が以下に示す例に
限定されないことは勿論である。実施例１下記表１に示す配合例Ａ〜Ｃの原料組成物か
ら、常法にしたがつて練製品（板付蒲鉾）Ａ、
Ｂ、Ｃを製造する。

【表】得られた練製品Ａ、Ｂ、Ｃを４号罐にそれぞれ
充てんし、水15mlを加えて密閉後、温度120℃、
時間40分で加熱殺菌する。６ケ月間、37℃の恒温
室で保存後、各罐を開けると、内容物である練製
品Ａ、Ｂ、Ｃは、いずれも外観上何らの異変もな
く、良好な色、ツヤを保つていた。また、これらの練製品を食すると、いずれも弾
力性がありシコシコした歯ごたえで、味もまろや
かであつた。実施例２（レトルト包装品）レトルトシートを用い、実施例１の配合例Ａか
らなる練製品を適当な形にして真空包装し、温度
130℃、時間10分で加熱殺菌する。得られたレトルト製品を６ケ月間37℃の恒温室
で保存後開封したところ、内容物である練製品は
実施例１と同様の優れた物性を維持していた。比較例下記配合割合の既存練製品（板付蒲鉾）を製造
する。魚肉原料（スリミ） 100重量部食塩 3.5 バレイシヨデンプン５コーンスターチ５みりん５卵白６砂糖５調味料４防腐剤 0.8 加水 60 得られた練製品を罐詰化し、温度100〜120℃で
殺菌時間60〜90分間で加熱殺菌する。製造直後、
開罐したところ、内容物である練製品は形が崩
れ、褐変が生じていた。３ケ月、37℃恒温室で保
存後、開罐したところさらに、形崩れ、褐変が進
んでいた。試験例下記表２に示す配合例の原料組成物から練製品
〜及びＡを製造する。

【表】

【表】得られた練製品〜及びＡをそれぞれ４号罐
で罐詰化し、温度120℃、時間40分で加熱殺菌を
行なつた。その後37℃恒温室で３ケ月間保存す
る。罐詰化直後及び３ケ月保存後の罐詰を開罐
し、内容物を調べる。結果を次の表３に示す。

【表】上記記載から明らかなように、本発明魚肉練製
品罐詰またはレトルト練製品は、長期間の保存に
も何ら物性を劣化することなく良好な品質を保つ
ことができる。特に、本発明罐詰製品は国内は勿
論、輸出用としても広く需要が期待されるもので
ある。

Claims

【特許請求の範囲】

１原料に、２価の金属イオンもしくはそれから
なる塩、糖類及び糖類の脂肪酸エステルからなる
保水剤を添加して得られる魚肉練製品を内容物と
する罐詰またはレトルト包装品。