JPS6261298B2

JPS6261298B2 -

Info

Publication number: JPS6261298B2
Application number: JP1574880A
Authority: JP
Inventors: Shuji Wakamatsu
Original assignee: Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Current assignee: Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date: 1980-02-12
Filing date: 1980-02-12
Publication date: 1987-12-21
Also published as: JPS56113255A

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕本発明は柿の脱渋及び鮮度保持方法に関する。〔従来の技術〕柿の渋を抜く方法としては従来からアルコール
で処理する方法が一般に採用されている。しかしながら、この方法では渋を抜くことはで
きるが柿の表面に黒斑点ができたり、柿が柔らか
くなり、長期保存ができない欠点があつた。この欠点を克服するため本発明者は先に柿を脱
酸素剤ともに密封することにより柿の渋を抜く方
法を提案した。しかし、この方法は長期間保存す
ると袋が膨れ、場合によつては破袋するという欠
点があり、十分満足できるものではなかつた。〔発明が解決しようとする問題点〕本発明の目的とするところは、柿の表面に黒斑
点を生ずることなく、柿の柔らかくなることな
く、また、保存袋が破袋したりすることなく柿の
長期保存を可能とする柿の脱渋及び鮮度保持方法
を提供することを目的とする。〔問題点を解決するための手段〕本発明者は前記の従来技術の問題点を解決すべ
く種々検討した結果本発明を完成するに至つた。すなわち、本発明は、柿を、鉄粉を主剤とする
脱酸素剤を通気性包材内に包装してなる包装体、
及び、アルカリ金属又は土類金属の酸化物又は水
酸化物を通気性包材内に包装してなる包装体とと
もに、実質的に非通気性の包材又は密閉容器に密
封することを特徴とする柿の脱渋及び鮮度保持方
法を提供するものである。本発明において、非通気性の包材内又は密閉容
器内に密封して柿の渋を抜くに際し、包材内の温
度を高くすると従抜きの速度は速くなり、温度を
低く、例えば５℃程度にすると渋抜きの速度は遅
くなるが、長期間固いまま保存できる。また渋が
抜けた後も固いままで保存できる利点がある。本発明において、脱酸素剤としては、鉄粉を主
剤とする任意の組成のものを用いることができ
る。これらのうち、特に、鉄及び電解質を含有す
るものが好ましい。この場合の電解質としては、
塩化ナトリウムが殊に好ましい。本発明では脱酸
素剤は通気性包材内に包装した包装体として用い
られる。通気性包材としては有孔ポリエチレンな
どで例示される有孔プラスチツクフイルムをラミ
ネートした包材が好ましい。本発明において、アルカリ金属又はアルカリ土
類金属の酸化物又は水酸化物としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等で例示されるアルカ
リ金属酸化物、酸化カルシウム、酸化バリウム等
で例示されるアルカリ土類金属酸化物、水酸化カ
ルシウム、水酸化バリウム等で例示されるアルカ
リ土類金属酸化物が好ましく、特に、水酸化カル
シウムが好ましい。これらの酸化物又は水酸化物
は単独、または２成分以上組み合わせて用いられ
る。これらの酸化物、水酸化物の使用量は、柿の
重量１Kg当たり0.005当量（アルカリ当量、以下
同じ）以上、特に0.01当量以上が好ましく、使用
量が少なくなると鮮度保持が困難となる。使用量
は目的保存期間により変化し、10日以上常温で保
存する場合、0.1当量以上必要とする。上記の酸
化物、水酸化物には必要に応じ活性炭、ゼオライ
ト、活性アルミナ、パーライト、珪藻土等で例示
される吸着剤、先填剤等の各種添加物を添加して
もよい。酸化物、水酸化物は通気性包材内に密封
して用いる。酸化物、水酸化物と脱酸素剤とが混
合すると、脱酸素剤の酸素吸収能が低下し酸素吸
収速度の低下もしくは酸素吸収の停止をもたらす
ので、酸化物、水酸化物は脱酸素剤と混合しない
ように別包装される。本発明において柿は実質的に非通気性の包材又
は密封容器に密封される。実質的に非通気性の包
材としては酸素透過度500c.c.／m²・24hrs・atm以
下、特に50c.c.／m²・24hrs・atm以下のものが好
ましい。例えば延伸ナイロン、ポリエステル、防
湿セロフアン、ポリ塩化ビニリデン、MXナイロ
ン、ポリ塩化ビニル、好ましくは各種ポリ塩化ビ
ニリデンコートフイルム（KOP，KON，
KPET，KDT等）、ビニロン、エチレン・ビニル
アルコール共重合物、アルミ箔、アルミ蒸着フイ
ルムなどであつて、酸素透過度が上記以下のもの
は好適に用いられる。かくして、本発明を実施するには柿と、前記の
脱酸素剤を通気性包材内に包装してなる包装体
と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物
又は水酸化物を通気性包材内に包装してなる包装
体とを、実質的に非通気性の包材又は密閉容器に
密封すればよい。本発明の貯蔵温度は、通常−２〜35℃、好まし
くは０〜20℃である。〔発明の効果〕本発明によれば、好適に柿の脱渋及び鮮度保持
ができるだけでなく、柿の表面に黒斑点を生じた
り、柿が柔らかくなつたり、また、保存袋が破袋
したりすることなく、柿の長期保存が可能であ
る。とくに保存温度と組み合わせて保存すれば、長
期間の鮮度保持ができる。以下に実施例を挙げて説明する。〔実施例〕実施例１柿（福島県産、みしらず柿）12個（約２Kg）
と、脱酸素剤包装体（エージレスＳ、三菱互斯化学
(株)製）27ｇと、水酸化カルシウム100部と充填剤30部との混合
物10ｇを、メツキン紙に有孔ポリエチレン（内
面）を張り合わせた袋に充填したもの、とを非通気性の包材（KOP／PE）に入れて密封
した。20℃と５℃とで保存し経日毎に開封、脱渋
進度、品質等を観察した。結果を第１表および第
２表に示す。比較例１水酸化カルシウムを充填した袋を用いない以外
は実施例１と同様にした。結果を第１表および第
２表に実施例１と併記する。比較例２柿（福島県産、みしらず柿）12個をクラフト紙
の袋に入れ、38％エタノール20mlを噴きかけ密封
した。実施例１と同様にして保存試験を実施し
た。結果を第１表および第２表に実施例１と併記
する。

【表】

【表】第１表および第２表において、各試験項目の試
験方法および評価の判定は以下のとおりである。１渋味：下記の評価基準を基に３〜５人による官能検査
を行つた。４（−）：渋味なし。３（±）：渋味が口に残る。２（＋）：渋味中。１（＋＋）：渋味強。２食味：下記の評価基準を基に３〜５人による官能検査
を行つた。５：非常に良い。４：良い。３：やや良い。２：やや不良。１：不良。３着色：肉眼判定。５：着色秀。４：着色優。３：着色良。２：着色やや良。１：着色不良。４黒変果：肉眼判定。４：黒変果なし。３：黒変果少。２：黒変果中。１：黒変果多。参考例１酸素吸収能力100mlの脱酸素剤包装体「エージ
レスＳ−100」（商品名、内容物：３ｇ、主剤：鉄
粉、三菱互斯化学(株)製）と、炭酸ガス吸収能力500mlの炭酸ガス吸収剤包装
体「エージレスＣ−500」（商品名、内容物：３
ｇ、主剤：Ca（OH）₂、三菱互斯化学(株)製）と
を、 KON／PEのガスバリヤー性の袋（サイズ22×
30cm）に含水脱脂綿（袋内をRH90〜100％にする
ため）とともに入れ、さらに混合ガス（空気：
CO₂＝１：１）１を封入して密封後、25℃にて
保存し、経日的にO₂およびCO₂濃度を測定した。
実験は各３試料について行い、その平均値を測定
値とした。結果を第３表に示す。比較参考例１参考例１において、「エージレスＳ−100」と
「エージレスＣ−500」とを用いる代わりに、参考
例１で用いた「エージレスＳ−100」の内容物３
ｇと参考例１で用いた「エージレスＣ−500」の
内容物３ｇとを「エージレスＣ−500」用の包材
に同一充填包装した包装体を用いる以外は参考例
１と同様にして試験および測定を実施した。結果
を第３表に併記する。第３表で明らかなように、脱酸素剤と炭酸ガス
吸収剤とを別包装して用いた場合は好適に酸素吸
収、炭酸ガス吸収したのに対し、一方、脱酸素剤
と炭酸ガス吸収剤とを同一充填した場合は酸素吸
収速度が遅く、途中で酸素吸収が停止した。

【表】

Claims

【特許請求の範囲】

１柿を、鉄粉を主剤とする脱酸素剤を通気性包
材内に包装してなる包装体、及び、アルカリ金属
又はアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物を通
気性包材内に包装してなる包装体とともに、実質
的に非通気性の包材又は密閉容器に密封すること
を特徴とする柿の脱渋及び鮮度保持方法。