JPS625777B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はガラス繊維を充填しているポリオレフ
イン製中空成形品およびその製造方法に関し、そ
の目的は耐熱性、機械的強度の優れたポリオレフ
イン製中空成形品を得ることにある。

一般にポリエチレンやポリプロピレンなどのポ
リオレフインを中空成形により製造した中空成形
品は、中空成形性、耐薬品性に優れ成形材料が安
価であることから多用されているが、その反面耐
熱性、機械的強度に劣る欠点がある。そこでポリ
オレフインにガラス繊維を充填して中空成形する
ことが試みられているが、通常の中空成形の場合
ポリオレフインに充填されたガラス繊維がパリス
ンの伸びを低下させ良好なパリスンを得ることが
困難であるとともに該パリスンの良好な膨張を阻
害することとなる。よつてパリスンを単に吹膨し
ても局部的な膨張や破裂を招き中空成形が困難と
なり、所望の中空成形品を得ることができなかつ
た。

本発明は上述の理由で従来中空成形が困難とさ
れていたガラス繊維を楔填してなるポリオレフイ
ン製中空成形品を提供するものである。

さらに詳述すればポリオレフインとガラス繊維
との混合物からなる層および該層と隣接する少な
くとも一層をポリオレフインにて形成してなる多
層状パリスンを共押出し、該多層状パリスンを吹
膨してなる製造方法に係り、得られたポリオレフ
イン製中空成形品は、従来のガラス繊維が充填さ
れていない同種のポリオレフイン製中空成形品に
比較しはるかに耐熱性、機械的強度の優れたもの
である。

以下本発明の一実施例を図面に基づき詳述す
る。

第１図Ａ，Ｂは本発明に係るポリオレフイン製
中空成形品の製造方法を示すもので、一方の押出
機１にてポリオレフインを、他方の押出機２にて
ポリオレフインとガラス繊維との混合物（以下混
合物という）を溶融混練する。それぞれの押出機
１，２内にて溶融混練された混合物とポリオレフ
インは共押出ダイ３に圧入供給され、共押出ダイ
３内の接合部４にて多層状に融着接合し、その先
端のダイフエイス５から多層状パリスン６として
共押出される。こうして押出された多層状パリス
ン６を分割形式の金型７にて挾持し、パリスン内
にノズル８より圧縮空気などの圧力流体を吹込み
パリスン６を吹膨して金型のキヤビテイ９に対応
した形状に成形される。ついで、成形品を冷却し
た後金型７を開放して余剰のバリを除去し、ガラ
ス繊維を充填してなるポリオレフイン製中空成形
品１０が得られる。

尚３層以上の多層構成からなるポリオレフイン
製中空成形品１０を製造する場合には、押出機を
適宜に増設してそれぞれの押出機を共押出ダイに
持続し多層状パリスンを押出すことにより得られ
るが、同種の層を例えばポリオレフインや混合物
を共押出ダイ内にて分岐させ３層以上の多層状パ
リスンとして押出すこともできる。

上述の製造方法にて得られたポリオレフイン製
中空成形品はポリオレフインとガラス繊維との混
合物からなる層および該層と隣接する少なくとも
一層をポリオレフインにて形成してなる２層ある
いはそれ以上の多層構成からなる。

本発明の製造方法はパリスンの伸びを低下させ
良好な吹膨を阻害するガラス繊維を、中空成形性
の優れたポリオレフインと混合し、該混合物を共
押出ダイ内にてポリオレフインと融着接合し、混
合物からなる層および該層と隣接する少なくとも
一層をポリオレフインにて形成してなる多層状パ
リスンとして共押出されるので、パリスンは均一
に吹膨し金型のキヤビテイに対応した形状に成形
することができる。本発明の製造方法にて得られ
たポリオレフイン製中空成形品は従来のガラス繊
維の充填されていないポリオレフイン製中空成形
品に比較し、はるかに耐熱性および引張強度、衝
撃強度などの機械的強度さらには寸法安定性に優
れており、自動車、電気製品、食品包装その他の
工業分野などに使用されるタンク、ダクト、ハウ
ジング類として広範囲に適用できるものである。

第２図および第３図は本発明のポリオレフイン
製中空成形品の一実施例を示すものである。第２
図において１０ａは内層１１を表面処理してなる
ガラス繊維とポリオレフインの混合物にて形成し
外層１２をポリオレフインにて形成した２層構成
のポリオレフイン製中空成形品である。第３図に
おいて１０ｂは中間層１３を表面処理してなるガ
ラス繊維とポリオレフインとの混合物にて形成し
内層１４、外層１５をポリオレフインにて形成し
た３層構成のポリオレフイン製中空成形品であ
る。

本発明は上記の実施例に限定されるものではな
く例えば中間層をポリオレフインにて形成し、内
層、外層を混合物にて形成した３層構成にしても
よい。

本発明にて使用される混合物はポリオレフイン
10〜95重量％ガラス繊維５〜90重量％、好ましく
はポリオレフイン20〜80重量％ガラス繊維20〜80
重量％である。

本発明にて使用されるガラス繊維はトリエトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシランなどにて表
面処理するのがポリオレフインとの親和性を向上
するために好ましく、またガラス繊維の平均長さ
は0.05〜30mm好ましくは0.2〜20mmであり0.05mm未
満の場合は本発明の目的とするポリオレフイン製
中空成形品の機械的強度が得られず、30mmを越え
る場合は成形時のパリスン押出および吹膨が困難
となる。

本発明においてポリオレフインとは低、中およ
び高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレ
ン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン１
などから選ばれた少なくとも一種及び／または前
記ポリオレフインと不飽和カルボン酸またはその
誘導体、酢酸ビニルなどのビニル化合物から選ば
れてなる少なくとも一種を共重合してなる例えば
アイオノマ−などの変性ポリオレフインである。

本発明においてはポリオレフインとガラス繊維
との混合物にて形成してなる層および該層と隣接
する少なくとも一層をポリオレフインにて形成し
てなるものであるが、さらに塩化ビニル、ナイロ
ン、ABS、ポリカ−ボネート、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど
中空成形が可能な熱可塑性プラスチツクと共押出
し、３層以上の多層に構成してもよい。

本発明は上記の構成からなるものであるが、本
発明に係るポリオレフイン製中空成形品の各層に
は必要に応じ紫外線防止剤、安定剤、滑剤、酸化
防止剤、着色剤などを公知の方法に従つて配合し
てもよい。

尚耐熱性の要求される面例えばそれが外面に要
求される場合は、外層を混合物にて形成するのが
好ましく、また混合物からなる層の表面はガラス
繊維により粗面化するので、平滑性の要求される
面例えばそれが外面に要求される場合は、外層を
表面外観性の優れたポリオレフインあるいはその
他の熱可塑性プラスチツクにて形成するのが好ま
しい。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ，Ｂは本発明に係るポリオレフイン製
中空成形品の製造方法を示す一部破断略図、第２
図、第３図は本発明に係るポリオレフイン製中空
成形品の一実施例を示す一部破断正面図であり、
第２図は２層構成の中空成形品、第３図は３層構
成の中空成形品を示す。 １，２：押出機、３：共押出ダイ、４：接合
部、６：パリスン、７：金型、１０，１０ａ，１
０ｂ：ポリオレフイン製中空成形品、１１：内
層、１２：外層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ガラス繊維を充填してなるポリオレフイン製
   中空成形品において、ポリオレフイン10〜95重量
   ％と繊維平均長さ0.05〜30mmのガラス繊維５〜90
   重量％との混合物からなる層および該層と隣接す
   る少なくとも一層を、ポリオレフインにて形成し
   てなる２層あるいはそれ以上の多層構成にしたこ
   とを特徴とするポリオレフイン製中空成形品。 ２ ポリオレフイン10〜95重量％と繊維平均長さ
   0.05〜30mmのガラス繊維５〜90重量％との混合物
   およびポリオレフインをそれぞれの押出機内にて
   溶融混練した後共押出ダイに圧入供給し、ダイフ
   エイスよりポリオレフインとガラス繊維との混合
   物からなる層および該層と隣接する少なくとも一
   層をポリオレフインにて成形してなる２層以上の
   多層状パリスンを共押出し、ついで多層状パリス
   ンを吹膨することを特徴とするポリオレフイン製
   中空成形品の製造方法。