JPS6254853B2 - - Google Patents
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- JPS6254853B2 JPS6254853B2 JP27937384A JP27937384A JPS6254853B2 JP S6254853 B2 JPS6254853 B2 JP S6254853B2 JP 27937384 A JP27937384 A JP 27937384A JP 27937384 A JP27937384 A JP 27937384A JP S6254853 B2 JPS6254853 B2 JP S6254853B2
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Landscapes
- Sliding-Contact Bearings (AREA)
Description
<発明の目的>
産業上の利用分野
本発明はAl−Sn系軸受合金に係り、詳しく
は、マトリツクスにSi粒子が球状若しくはそれに
近い形状に析出され、しかも、高温高速・高負荷
運転時にもすぐれた耐焼付性、耐摩耗性ならびに
耐疲労性を有するAl−Sn系軸受合金に係る。 従来の技術 最近の自動車用エンジンは、小型化、小燃費、
高出力のものとなり、これにともなつて軸受にか
かる荷重が増加すると共に、潤滑油の温度が上昇
し、軸受の使用条件は苛酷化の一途をたどつてい
る。このため、従来例の多元系、Al系軸受合金
の表面にオーバレイメツキ等によりPb−Sn系等
の表面層が形成されたものでは、潤滑面の高温化
により疲労や焼付現象にみまわれ、使用に耐えら
れなくなつており、最近はオーバーレイメツキ等
の表面層を有しない軸受合金が求められている。
しかし、この種の軸受合金であつても、上記の如
き苛酷な条件であるため、必ずしも、安定した性
能を発揮できないのが現状である。 まず、表面にオーバーレイメツキ層を必要とす
る軸受はJIS H5402(10%Sn、0.75%Cu、0.5%
Ni、AlBal)や、JIS H5402(6%Sn、2.5%
Cu、1.0%Ni、AlBal)等のJIS規格、SAE780
(6%Sn、2%Si、1%Cu、0.5%Ni、0.1%Ti、
AlBal)等のSAE規格に示される如く、低Sn−Al
合金から成るものである。これら軸受の軸受面は
何れもPb−Sn系合金のオーバーレイメツキ層を
必要とする。しかし、これら軸受は、近年の高負
荷、高温の使用条件下ではメツキ層が摩滅して焼
付きに至り、使用に耐えられなくなつている。こ
れに対し、オーバーレイメツキ層を必要としない
軸受は、SAE783(20%Sn、0.5%Si、1.0%Cu、
0.1%Ti、AlBal)に示す如く、高Sn−Al合金か
ら成るものである。しかし、この様にSnが20%
程度の如く多く含まれる合金は硬度が低くAlマ
トリツクスが弱くなることから、高負荷に耐えら
れないのが現状である。 また、以前から、、Sn含有量の多少に拘らず、
Al−Sn系合金中にPbを添加して潤滑性を増進さ
せ、耐焼付性をもたせることが行なわれ、例え
ば、水野昴−著昭和29年日刊工業新聞社発行「軸
受合金」第139頁には、10%Sn、1.5%Cu、0.5%
Siを含むAl−Sn系合金中に3%Pbを添加するこ
とが記載されている。 また、PbとAlとはほとんど固溶しないため、
Pbの分散性を向上させるために、PbのほかにSb
を添加したAl−Sn系合金が特公昭52−12131号に
記載され、更に、Alマトリツクス強化のために
Crを添加したAl−Sn系合金が特公昭58−18985号
に記載されている。しかし、これらのAl−Sn系
合金は通常運転時の潤滑性の向上を目的として開
発されたもので、高負荷運転条件では十分な耐疲
労性を示さない欠点がある。この理由は、通常の
運転下に較べると、高負荷運転下の軸と軸受との
潤滑機構は根本的に相違するからである。 そこで、高負荷運転下の潤滑機構につき、基本
的な検討が行なわれ、その一つとしてAl−Sn系
合金中に粗大なSiを分散析出させたものが特開昭
58−64336号によつて提案されている。 この軸受は硬いSi析出物により切削力を持たせ
たものであつて、切削力を持つが故に、相手軸の
表面凹凸部が削られて平坦化し、軸受性能を向上
させるものである。すなわち、相手軸が球状若し
くは片状の黒鉛鋳鉄から成ることを前提とする場
合、相手軸の表面には、研摩加工時に脱落した黒
鉛粒子のあとに凹部が残り、この凹部周囲の硬く
加工硬化したバリやエツジ等の凸部が生成し、こ
れら凹凸部により高負荷運転時には異常摩耗が発
生する。しかしながら、上記の軸受では硬いSiの
析出物により切削力が付与されているために、相
手軸の凹凸部分は機械的に切削されて平坦化さ
れ、これ故に、異常摩耗や焼付きが起らない。 しかしながら、相手軸が黒鉛鋳鉄以外の場合に
は、高負荷運転のときに、かえつて粗大なSi析出
物によつて軸表面が不規則にけずられ、焼付きが
発生し、大きな障害がある。 発明が解決しようとする問題点 本発明は上記欠点の解決を目的とし、具体的に
は、従来例のAl−Sn軸受合金では潤滑性向上の
ためにSn量を高めたり、Pbを添加したり、更
に、Sbを添加してPbの分散性を高めても、高負
荷運転時には焼付きや異常摩耗等が発生し、ほと
んど耐疲労性を示さないという、問題点を解決し
た軸受合金を提案する。 <発明の構成> 問題点を解決するための手段ならびにその作用 すなわち、本発明に係る軸受合金は、重量%
で、3〜35%Sn、0.1〜10%Pb、0.1〜6%Siなら
びに0.001〜0.05%Srを含んで、残余が実質的に
Alから成つて、しかも、このマトリツクス中にSi
粒子を球状、だ円状若しくはそれに近い形状に析
出させて成ることを特徴とする。 また、この軸受合金には、所望に応じて、0.1
〜4%Cu、1%以下のTi若しくは1%以下のB
のうちの少なくとも1種若しくは2種以上を添加
することができ、このようにしてAlマトリツク
スを強化し、軸受性能を一層向上させることがで
きる。 そこで、この手段たる構成ならびにその作用に
ついて説明すると、次の通りである。 まず、本発明に係るAl−Sn系合金は主成分と
して3〜35重量%(以下、単に%という。)の
Sn、0.1〜10%のPbならびに0.1〜6%のSiを含
み、このSiの粒子が球状若しくはだ円状化され、
この粒子がAlマトリツクス中に均一に分散され
ている。この際、Sn、Pb等の添加理由は主とし
て潤滑性、なじみ性の向上にあるが、主たる特徴
とするところは、Si粒子をAlマトリツクス中に球
状、だ円状、更には、少なくとも一部が丸味をお
びた形状に析出させ、そのSi粒子附近にSn−Pb
合金粒子を凝集させて、高温、高荷重下の潤滑性
を大巾に向上させることにある。 一般に、焼付現象はそれに達する過程が複雑で
多くの条件が相乗的に作用して達するため、一義
的に把握することは困難である。 しかしながら、表面にPb−Sn合金のオーバー
レイメツキを形成したCu−Pb系軸受合金は高荷
重運転下ではメツキ層が摩滅し焼付きに至るのに
対し、Al−Sn−Pb−Cu系合金軸受は表面にオー
バーレイメツキ層が形成されていないのにも拘ら
ず、焼付きに至らない現象が存在することに着目
し、両軸受の構造を比較検討した。すなわち、第
2図は表面にオーバーレイメツキ層を有する軸受
の一部の拡大断面図であり、第3図はAl−Sn−
Pb−Cu合金軸受の一部の拡大断面図である。第
2図から明らかな如く、この軸受は表面のオーバ
ーレイメツキ層1、軸受合金2ならびに裏金3か
ら成つて、このオーバーレイメツキ層1の全表面
によつて荷重が支持される。 これに対し、第3図に示す如く、Al−Sn−Pb
−Si−Cu系合金から成る軸受は合金層2と裏金
3とから成つて、この合金層2とマトリツクス中
に棒状や片状のSi粒子2aが析出している。従つ
て、この軸受では荷重は硬いSi粒子で支えられ、
しかも、Si粒子が上記の如く切削力を持つてい
る。 要するに、両者の差は面接触と点接触であり、
この差によつて潤滑、摩擦面の温度上昇において
決定的な相違となり、とくに、第2図の如き面接
触では、高速、高負荷条件下で摩擦面の温度は急
速に上昇するのに対し、第3図の如き点接触で
は、合金層2の表面と相手軸表面との間に間隙が
形成され、この間隙の油膜にはあまり大きな荷重
がかからないため、十分な潤滑が保持され、摩擦
面の温度上昇はおさえられる。 そこで、本発明者等はこれによる軸荷重の支持
が高荷重下の潤滑にきわめて有効であるという基
本的見地に立つて、その効果を最大限に生かすた
めの組成ならびに構造について研究し、本発明に
係る軸受合金を完成するに至つたのである。具体
的に示すと、本発明者等はAl−Sn−Pb−Si−Cu
系軸受合金におけるSiの析出形態に着目し、その
形態の潤滑面におよぼす効果について調査研究を
進めたところ、第1に、Siは融点が高い安定物質
であり、かつ、非金属的性質が強く、相手軸の主
成分のFeに20℃〜500℃程度の状態で接触して
も、全く拡散若しくは溶解を起さないことから、
軸荷重の点支持手段はSiがきわめて好適であるこ
とがわかつた。 第2に、相手軸を油膜を介し点支持する場合、
考え方において、Si粒子はそのビツカース硬さが
599にも達するほど硬く、しかも、化合物でない
ためもろさがなく、弾性に富み、急激な変動荷重
に耐えられることがわかつた。 しかしながら、Siは上記の如き性質を持つてい
るのにも拘らず、結晶性が強く、Alとの共晶析
出形態でも、板状若しくは棒状を呈し、軸受の製
造過程で圧延や熱処理を経ても、その形状はわず
かに変化する程度である。このため、Si粒子の析
出形態の制御を行なわない場合は第4図に示す如
く、マトリツクス2b中のSi粒子2aは板状若し
くは棒状化し、Si粒子2aから離れてSn−Pb合
金粒子2cが存在している。この状態であると、
硬いSi粒子のエツジによつて相手軸が削られてき
ずつけられ易く、かえつて、潤滑性が低下し、焼
付きが起こる。 この点から、本発明者等は潤滑性の飛躍的向上
のために、Si粒子から切削力を除去し、球状等の
如くエツジ部に丸味をおびさせるよう形態を制御
した。 すなわち、第1図は本発明の一つの実施例に係
る軸受合金の一部の拡大断面図であつて、第1図
に示す如く、マトリツクス2b中に分散析出する
Si粒子4は球状化し、この球状粒子4によつて点
接触の理想に近づけ、より潤滑性を高める。 また、高速かつ急激な高荷重がかけられても、
相手軸をきずつけることがない。 なお、このSi粒子の球状化は、Siが析出する共
晶点のAl合金液相の性質を改善することによつ
て達成でき、とくに、その添加元素として、Sr
が有効であることを見出した。 また、Srを添加すると、Sn−Pb合金粒子2c
の析出形態が変化し、第1図に示す様にSiの球状
化粒子4にSn−Pb合金が隣接して存在する様に
なる。この構造は、従来例のもの(例えば、第4
図参照)に比して、潤滑性能を飛躍的に向上させ
る。 更に詳しく説明すると、第1図に示す構造の軸
受では、潤滑面がマトリツクス2bの表面から突
出するSi粒子4の先端部であり、しかも、Si粒子
と相手軸との間に油膜が介在し、流体潤滑が保た
れている。しかし、急激な変動荷重を受け、この
油膜が破れ、局部的に境界潤滑に達し、この時
に、Si粒子4の上面にSn−Pb合金のフイルムが
存在すれば、焼付きを防止でき、しかも、正常に
油膜が再生されて流体潤滑の状態にすみやかに復
帰することができる。このときにも、第1図に示
す構造であると、Si粒子4の近傍にSn−Pb合金
粒子2cが存在し、この合金が溶融状態でも親油
性があり、このため、油切れを起こしにくい。ま
た、相手軸とSi粒子との摩擦で、Si粒子が高温に
なつても、Sn−Pbの融解熱で熱吸収され、近傍
のマトリツクスのAl合金と相手軸との焼付きが
起りにくくなる。又、この時にも、第5図に示す
如く、Si粒子4に隣接するSn−Pb合金粒子2c
の少くとも一部が液相化しており、この液相2d
がSi粒子4の突出面に供給される。この供給量は
温度の上昇とともにふえて、Si粒子4の潤滑面に
は常にSn−Pbの液相2dが介在するため、オー
バーヒートを未然に防止できる。要するに、Si粒
子が球状化し、これにSn−Pb合金粒子2cが隣
接する構造は、境界潤滑状態(油膜が切れた)で
非常に有効であり、また、普通の流体潤滑状態で
も、硬いSi粒子4が相手軸に適切になじみかつや
わらかいSn−Pb合金層におおわれ、これがシヨ
ツクアブソーバー的な働きをする。 本発明を構成する主要成分の作用および添加量
範囲を説明する。 Sn:Snは潤滑を主目的として添加される元素で
あり、その添加量は用途に応じて決定され、高
負荷(荷重)設計の中で、荷重の大きいときに
はSn量を少なく、また、荷重の比較的小さい
ときにはSn量を多くする必要がある。また、
焼付条件によつても、Sn量は適宜決定される
ものであつて、3%以下では焼付きやすく、35
%以上では機械的性質が得られにくく、耐荷重
性がなくなる。 Pb:Pbは潤滑性、特に、耐焼付性を改善する元
素である。PbはSn相と1部Al基地中に分散
し、特に、潤滑性向上の効果を発揮するが、
0.1%以下では効果がなく、10%以上では均一
に分散することが困難となる。 Si:SiはAl基地中に硬質物として析出し、Al基地
を強化し、耐焼付性、耐摩耗性の向上に寄与す
る。その添加量は0.1%以下では効果が少な
く、6%以上では機械的性質、特に、伸びを減
じ、軸受性能を低下させる。 Sr:Siと作用し、Siの析出粒子の形状を丸みのあ
る形に析出させる作用があるが、0.001%以下
ではその作用が極めて少なく、また、0.05%以
上添加してもSiの改良効果は進まず、かえつ
て、軸受合金の伸び率は低下の傾向となる。 なお、すぐれた潤滑面を得るためには、Si粒子
や、Sn−Pb合金粒子を支持する強靭なAlマトリ
ツクスが必要で、このために、Cu、Ti若しくは
Bのうちの1種又は2種以上添加する。その際、
Cuは0.1〜4%であり、0.1%以下ではその効果が
なく、4%をこえるとAl2Cuの金属間化合物が析
出し、延性が阻害され材質がもろくなる。Ti、
Bはともに凝固時のSn−Pb合金の結晶粒を微細
化してSn−Pb合金粒子の分散、Si粒子の均一分
散を高める。更に、Snも3〜35%の範囲でPbも
0.1〜10%の範囲で適切な潤滑面が形成できる。 実施例 次に、実施例について説明する。 まず、第1表に示す組成のAl−Sn系合金を連
続鋳造により厚さ20mmの板状材として鋳造し、各
鋳造ビレツトの上下面を1.0mm面削し、続いて、
冷間圧延により2mmの厚さまで圧下した。この状
態で300〜350℃の熱処理を行なつてひずみを除去
し、その后純Alの薄い板を介して、裏当の鉄板
に圧着させて厚み1.50mmの軸受を得た。
は、マトリツクスにSi粒子が球状若しくはそれに
近い形状に析出され、しかも、高温高速・高負荷
運転時にもすぐれた耐焼付性、耐摩耗性ならびに
耐疲労性を有するAl−Sn系軸受合金に係る。 従来の技術 最近の自動車用エンジンは、小型化、小燃費、
高出力のものとなり、これにともなつて軸受にか
かる荷重が増加すると共に、潤滑油の温度が上昇
し、軸受の使用条件は苛酷化の一途をたどつてい
る。このため、従来例の多元系、Al系軸受合金
の表面にオーバレイメツキ等によりPb−Sn系等
の表面層が形成されたものでは、潤滑面の高温化
により疲労や焼付現象にみまわれ、使用に耐えら
れなくなつており、最近はオーバーレイメツキ等
の表面層を有しない軸受合金が求められている。
しかし、この種の軸受合金であつても、上記の如
き苛酷な条件であるため、必ずしも、安定した性
能を発揮できないのが現状である。 まず、表面にオーバーレイメツキ層を必要とす
る軸受はJIS H5402(10%Sn、0.75%Cu、0.5%
Ni、AlBal)や、JIS H5402(6%Sn、2.5%
Cu、1.0%Ni、AlBal)等のJIS規格、SAE780
(6%Sn、2%Si、1%Cu、0.5%Ni、0.1%Ti、
AlBal)等のSAE規格に示される如く、低Sn−Al
合金から成るものである。これら軸受の軸受面は
何れもPb−Sn系合金のオーバーレイメツキ層を
必要とする。しかし、これら軸受は、近年の高負
荷、高温の使用条件下ではメツキ層が摩滅して焼
付きに至り、使用に耐えられなくなつている。こ
れに対し、オーバーレイメツキ層を必要としない
軸受は、SAE783(20%Sn、0.5%Si、1.0%Cu、
0.1%Ti、AlBal)に示す如く、高Sn−Al合金か
ら成るものである。しかし、この様にSnが20%
程度の如く多く含まれる合金は硬度が低くAlマ
トリツクスが弱くなることから、高負荷に耐えら
れないのが現状である。 また、以前から、、Sn含有量の多少に拘らず、
Al−Sn系合金中にPbを添加して潤滑性を増進さ
せ、耐焼付性をもたせることが行なわれ、例え
ば、水野昴−著昭和29年日刊工業新聞社発行「軸
受合金」第139頁には、10%Sn、1.5%Cu、0.5%
Siを含むAl−Sn系合金中に3%Pbを添加するこ
とが記載されている。 また、PbとAlとはほとんど固溶しないため、
Pbの分散性を向上させるために、PbのほかにSb
を添加したAl−Sn系合金が特公昭52−12131号に
記載され、更に、Alマトリツクス強化のために
Crを添加したAl−Sn系合金が特公昭58−18985号
に記載されている。しかし、これらのAl−Sn系
合金は通常運転時の潤滑性の向上を目的として開
発されたもので、高負荷運転条件では十分な耐疲
労性を示さない欠点がある。この理由は、通常の
運転下に較べると、高負荷運転下の軸と軸受との
潤滑機構は根本的に相違するからである。 そこで、高負荷運転下の潤滑機構につき、基本
的な検討が行なわれ、その一つとしてAl−Sn系
合金中に粗大なSiを分散析出させたものが特開昭
58−64336号によつて提案されている。 この軸受は硬いSi析出物により切削力を持たせ
たものであつて、切削力を持つが故に、相手軸の
表面凹凸部が削られて平坦化し、軸受性能を向上
させるものである。すなわち、相手軸が球状若し
くは片状の黒鉛鋳鉄から成ることを前提とする場
合、相手軸の表面には、研摩加工時に脱落した黒
鉛粒子のあとに凹部が残り、この凹部周囲の硬く
加工硬化したバリやエツジ等の凸部が生成し、こ
れら凹凸部により高負荷運転時には異常摩耗が発
生する。しかしながら、上記の軸受では硬いSiの
析出物により切削力が付与されているために、相
手軸の凹凸部分は機械的に切削されて平坦化さ
れ、これ故に、異常摩耗や焼付きが起らない。 しかしながら、相手軸が黒鉛鋳鉄以外の場合に
は、高負荷運転のときに、かえつて粗大なSi析出
物によつて軸表面が不規則にけずられ、焼付きが
発生し、大きな障害がある。 発明が解決しようとする問題点 本発明は上記欠点の解決を目的とし、具体的に
は、従来例のAl−Sn軸受合金では潤滑性向上の
ためにSn量を高めたり、Pbを添加したり、更
に、Sbを添加してPbの分散性を高めても、高負
荷運転時には焼付きや異常摩耗等が発生し、ほと
んど耐疲労性を示さないという、問題点を解決し
た軸受合金を提案する。 <発明の構成> 問題点を解決するための手段ならびにその作用 すなわち、本発明に係る軸受合金は、重量%
で、3〜35%Sn、0.1〜10%Pb、0.1〜6%Siなら
びに0.001〜0.05%Srを含んで、残余が実質的に
Alから成つて、しかも、このマトリツクス中にSi
粒子を球状、だ円状若しくはそれに近い形状に析
出させて成ることを特徴とする。 また、この軸受合金には、所望に応じて、0.1
〜4%Cu、1%以下のTi若しくは1%以下のB
のうちの少なくとも1種若しくは2種以上を添加
することができ、このようにしてAlマトリツク
スを強化し、軸受性能を一層向上させることがで
きる。 そこで、この手段たる構成ならびにその作用に
ついて説明すると、次の通りである。 まず、本発明に係るAl−Sn系合金は主成分と
して3〜35重量%(以下、単に%という。)の
Sn、0.1〜10%のPbならびに0.1〜6%のSiを含
み、このSiの粒子が球状若しくはだ円状化され、
この粒子がAlマトリツクス中に均一に分散され
ている。この際、Sn、Pb等の添加理由は主とし
て潤滑性、なじみ性の向上にあるが、主たる特徴
とするところは、Si粒子をAlマトリツクス中に球
状、だ円状、更には、少なくとも一部が丸味をお
びた形状に析出させ、そのSi粒子附近にSn−Pb
合金粒子を凝集させて、高温、高荷重下の潤滑性
を大巾に向上させることにある。 一般に、焼付現象はそれに達する過程が複雑で
多くの条件が相乗的に作用して達するため、一義
的に把握することは困難である。 しかしながら、表面にPb−Sn合金のオーバー
レイメツキを形成したCu−Pb系軸受合金は高荷
重運転下ではメツキ層が摩滅し焼付きに至るのに
対し、Al−Sn−Pb−Cu系合金軸受は表面にオー
バーレイメツキ層が形成されていないのにも拘ら
ず、焼付きに至らない現象が存在することに着目
し、両軸受の構造を比較検討した。すなわち、第
2図は表面にオーバーレイメツキ層を有する軸受
の一部の拡大断面図であり、第3図はAl−Sn−
Pb−Cu合金軸受の一部の拡大断面図である。第
2図から明らかな如く、この軸受は表面のオーバ
ーレイメツキ層1、軸受合金2ならびに裏金3か
ら成つて、このオーバーレイメツキ層1の全表面
によつて荷重が支持される。 これに対し、第3図に示す如く、Al−Sn−Pb
−Si−Cu系合金から成る軸受は合金層2と裏金
3とから成つて、この合金層2とマトリツクス中
に棒状や片状のSi粒子2aが析出している。従つ
て、この軸受では荷重は硬いSi粒子で支えられ、
しかも、Si粒子が上記の如く切削力を持つてい
る。 要するに、両者の差は面接触と点接触であり、
この差によつて潤滑、摩擦面の温度上昇において
決定的な相違となり、とくに、第2図の如き面接
触では、高速、高負荷条件下で摩擦面の温度は急
速に上昇するのに対し、第3図の如き点接触で
は、合金層2の表面と相手軸表面との間に間隙が
形成され、この間隙の油膜にはあまり大きな荷重
がかからないため、十分な潤滑が保持され、摩擦
面の温度上昇はおさえられる。 そこで、本発明者等はこれによる軸荷重の支持
が高荷重下の潤滑にきわめて有効であるという基
本的見地に立つて、その効果を最大限に生かすた
めの組成ならびに構造について研究し、本発明に
係る軸受合金を完成するに至つたのである。具体
的に示すと、本発明者等はAl−Sn−Pb−Si−Cu
系軸受合金におけるSiの析出形態に着目し、その
形態の潤滑面におよぼす効果について調査研究を
進めたところ、第1に、Siは融点が高い安定物質
であり、かつ、非金属的性質が強く、相手軸の主
成分のFeに20℃〜500℃程度の状態で接触して
も、全く拡散若しくは溶解を起さないことから、
軸荷重の点支持手段はSiがきわめて好適であるこ
とがわかつた。 第2に、相手軸を油膜を介し点支持する場合、
考え方において、Si粒子はそのビツカース硬さが
599にも達するほど硬く、しかも、化合物でない
ためもろさがなく、弾性に富み、急激な変動荷重
に耐えられることがわかつた。 しかしながら、Siは上記の如き性質を持つてい
るのにも拘らず、結晶性が強く、Alとの共晶析
出形態でも、板状若しくは棒状を呈し、軸受の製
造過程で圧延や熱処理を経ても、その形状はわず
かに変化する程度である。このため、Si粒子の析
出形態の制御を行なわない場合は第4図に示す如
く、マトリツクス2b中のSi粒子2aは板状若し
くは棒状化し、Si粒子2aから離れてSn−Pb合
金粒子2cが存在している。この状態であると、
硬いSi粒子のエツジによつて相手軸が削られてき
ずつけられ易く、かえつて、潤滑性が低下し、焼
付きが起こる。 この点から、本発明者等は潤滑性の飛躍的向上
のために、Si粒子から切削力を除去し、球状等の
如くエツジ部に丸味をおびさせるよう形態を制御
した。 すなわち、第1図は本発明の一つの実施例に係
る軸受合金の一部の拡大断面図であつて、第1図
に示す如く、マトリツクス2b中に分散析出する
Si粒子4は球状化し、この球状粒子4によつて点
接触の理想に近づけ、より潤滑性を高める。 また、高速かつ急激な高荷重がかけられても、
相手軸をきずつけることがない。 なお、このSi粒子の球状化は、Siが析出する共
晶点のAl合金液相の性質を改善することによつ
て達成でき、とくに、その添加元素として、Sr
が有効であることを見出した。 また、Srを添加すると、Sn−Pb合金粒子2c
の析出形態が変化し、第1図に示す様にSiの球状
化粒子4にSn−Pb合金が隣接して存在する様に
なる。この構造は、従来例のもの(例えば、第4
図参照)に比して、潤滑性能を飛躍的に向上させ
る。 更に詳しく説明すると、第1図に示す構造の軸
受では、潤滑面がマトリツクス2bの表面から突
出するSi粒子4の先端部であり、しかも、Si粒子
と相手軸との間に油膜が介在し、流体潤滑が保た
れている。しかし、急激な変動荷重を受け、この
油膜が破れ、局部的に境界潤滑に達し、この時
に、Si粒子4の上面にSn−Pb合金のフイルムが
存在すれば、焼付きを防止でき、しかも、正常に
油膜が再生されて流体潤滑の状態にすみやかに復
帰することができる。このときにも、第1図に示
す構造であると、Si粒子4の近傍にSn−Pb合金
粒子2cが存在し、この合金が溶融状態でも親油
性があり、このため、油切れを起こしにくい。ま
た、相手軸とSi粒子との摩擦で、Si粒子が高温に
なつても、Sn−Pbの融解熱で熱吸収され、近傍
のマトリツクスのAl合金と相手軸との焼付きが
起りにくくなる。又、この時にも、第5図に示す
如く、Si粒子4に隣接するSn−Pb合金粒子2c
の少くとも一部が液相化しており、この液相2d
がSi粒子4の突出面に供給される。この供給量は
温度の上昇とともにふえて、Si粒子4の潤滑面に
は常にSn−Pbの液相2dが介在するため、オー
バーヒートを未然に防止できる。要するに、Si粒
子が球状化し、これにSn−Pb合金粒子2cが隣
接する構造は、境界潤滑状態(油膜が切れた)で
非常に有効であり、また、普通の流体潤滑状態で
も、硬いSi粒子4が相手軸に適切になじみかつや
わらかいSn−Pb合金層におおわれ、これがシヨ
ツクアブソーバー的な働きをする。 本発明を構成する主要成分の作用および添加量
範囲を説明する。 Sn:Snは潤滑を主目的として添加される元素で
あり、その添加量は用途に応じて決定され、高
負荷(荷重)設計の中で、荷重の大きいときに
はSn量を少なく、また、荷重の比較的小さい
ときにはSn量を多くする必要がある。また、
焼付条件によつても、Sn量は適宜決定される
ものであつて、3%以下では焼付きやすく、35
%以上では機械的性質が得られにくく、耐荷重
性がなくなる。 Pb:Pbは潤滑性、特に、耐焼付性を改善する元
素である。PbはSn相と1部Al基地中に分散
し、特に、潤滑性向上の効果を発揮するが、
0.1%以下では効果がなく、10%以上では均一
に分散することが困難となる。 Si:SiはAl基地中に硬質物として析出し、Al基地
を強化し、耐焼付性、耐摩耗性の向上に寄与す
る。その添加量は0.1%以下では効果が少な
く、6%以上では機械的性質、特に、伸びを減
じ、軸受性能を低下させる。 Sr:Siと作用し、Siの析出粒子の形状を丸みのあ
る形に析出させる作用があるが、0.001%以下
ではその作用が極めて少なく、また、0.05%以
上添加してもSiの改良効果は進まず、かえつ
て、軸受合金の伸び率は低下の傾向となる。 なお、すぐれた潤滑面を得るためには、Si粒子
や、Sn−Pb合金粒子を支持する強靭なAlマトリ
ツクスが必要で、このために、Cu、Ti若しくは
Bのうちの1種又は2種以上添加する。その際、
Cuは0.1〜4%であり、0.1%以下ではその効果が
なく、4%をこえるとAl2Cuの金属間化合物が析
出し、延性が阻害され材質がもろくなる。Ti、
Bはともに凝固時のSn−Pb合金の結晶粒を微細
化してSn−Pb合金粒子の分散、Si粒子の均一分
散を高める。更に、Snも3〜35%の範囲でPbも
0.1〜10%の範囲で適切な潤滑面が形成できる。 実施例 次に、実施例について説明する。 まず、第1表に示す組成のAl−Sn系合金を連
続鋳造により厚さ20mmの板状材として鋳造し、各
鋳造ビレツトの上下面を1.0mm面削し、続いて、
冷間圧延により2mmの厚さまで圧下した。この状
態で300〜350℃の熱処理を行なつてひずみを除去
し、その后純Alの薄い板を介して、裏当の鉄板
に圧着させて厚み1.50mmの軸受を得た。
【表】
これら軸受のうちで、供試材No.1、2は比較材
で、供試材No.3〜7は本発明に属するものであ
る。これらは、何れも13%Sn、3%Siを含み、
供試材No.1は更に潤滑性を高めるために1.5%Pb
を添加し、同時にAlマトリツクスを強化するた
めに1.0%Cuを加えた。供試材No.2はPbの分散と
マトリツクス強化のためにSbを1.5%加えた。供
試材No.3以下はSrを0.03%添加してSiを球状化さ
せたもので、この中で、1.0%Cuを添加しマトリ
ツクスを強化したものが供試材No.4、結晶粒を微
細化しSn−Pb合金粒子の分散と、マトリツクス
強化をねらつたものが供試材No.5、その両方を添
加したものが供試材No.6、供試材No.7にはPb添
加量の下限値を加えた。 これらの各供試材は、軸受として使用される常
温〜200℃までの機械的な性質を見るために、常
温(25℃)、50℃、100℃、150℃、200℃、250℃
の6条件下での引張り度と伸びの試験を行なつた
ところ、第6図ならびに第7図に示す関係が得ら
れた。なお、各供試材は裏金を機械加工により削
除してAl−Sn合金部分のみとし、形状はJIS
Z2201の5号に示すものとした。 これらの結果から、引張り強度は各比較材(供
試材No.1、2)に比べると、5〜8Kg/mm2程度、
本発明に係る合金(供試材No.3〜7)の方がどの
温度においても強度が優つているのがわかる。ま
た、各比較材のSi粒子が片状、棒状なのに反し、
本発明のものはSi粒子が球状化し、Sn−Pb合金
粒子がその近傍に存在する組織であつて、このSi
粒子の析出形態の差により本発明では応力集中が
起こりにくく、強度が出ることがわかる。 なお、上記のところで、150℃〜200℃の高温域
でもあまり強度低下が著しくないのも高荷重高速
下で使われるベアリング合金としてはすぐれた性
質である。これに対し、伸びは強度と反比例する
のが常であるが、供試材No.2、No.4以外は15%以
上の伸びを示した。又、高温における急激な軟化
がないため、本発明合金は適度な伸びと強度を有
することがわかる。 次に、これらの供試材の表面の摩擦性能を知る
ために、鈴木式摩擦摩耗試験材を用いて試験し、
その試験条件は次の通りであつた。 面 圧 10Kgf/cm2〜100Kgf/cm2まで15分毎に
10Kgf/cm2づつStep upさせる。 マサツ速度 4m/sec 相手材 S45C、硬さHRC=55 面アラサ0.8〜1.0S 使用オイル SAE、20w−40 油 温 100℃±5℃ この結果を示すと、第8図に示す通りであつ
た。これによれば、Siの球状化がいかにその潤滑
に帰与しているかが知られ、供試材No.6では100
Kgf/cm2の面圧に対して摩擦係数が0.15という低
いレベルになつていることがわかる。これに対
し、比較材の供試材No.1、2は100Kgf/cm2の面
圧下でも焼付くことはないが、摩擦係数が3.1及
び2.9と高い値であり、このように本発明に係る
合金は、表面性能に特にすぐれていることがわか
る。 次に、実際に、各供試材をベアリング形状に加
工し、最終的なベアリング性能をチエツクするア
ンダーウツド疲労試験を行なつたところ、第9図
の通りの結果が得られた。これは実際のエンジン
の条件とほぼ同じようにベアリングをコンロツド
のハウジングに固定し、軸に偏心荷重をかけて、
以下の条件で耐久テストを行ない、焼付かずにそ
の性能を維持した時間の長さで評価するテストで
ある。 面 圧 600Kgf/cm2 回転数 4000r.p.m/分 相手軸材質 FCD 70、アラサ0.8〜1.5S 使用オイル 20w−40(SAE) 油 温 150℃±10℃ なお、そのテスト時間の上限は250時間とし
た。 この最終チエツクによつても本発明合金の耐久
時間は160〜250時間と比較材にくらべてすぐれた
値を取つている。このように潤滑面の構成とその
潤滑機構に着目して開発された本発明合金は、高
負荷、高速運転におけるAl合金軸受として推奨
されたものである。 Pbの少ないNo.7供試材は、第9図に示すよう
に160時間で焼付いたが、比較材より耐久性は優
れており、本発明による性能向上効果はある。
Pbは本発明の作用効果を十分に発揮する上に0.1
〜10%を含む必要がある。 <発明の効果> 以上詳しく説明した通り、本発明は、重量%
で、3〜35%Sn、0.1〜10%Pb、0.1〜6%Siなら
びに0.001〜0.05%Srを含んで、残余が実質的に
Alから成つて、しかも、このマトリツクス中にSi
粒子を球状、だ円状若しくはそれに近い形状に析
出させて成ることを特徴とするものである。 従つて、マトリツクス中にSi粒子が球状、だ円
状若しくはそれに近い形状に析出させて成ること
を特徴とするものであるから、上記の如く潤滑性
にすぐれ、軸受合金としてきわめて良好であり、
引張り強度、伸び等の機械的性質もきわめて良好
である。
で、供試材No.3〜7は本発明に属するものであ
る。これらは、何れも13%Sn、3%Siを含み、
供試材No.1は更に潤滑性を高めるために1.5%Pb
を添加し、同時にAlマトリツクスを強化するた
めに1.0%Cuを加えた。供試材No.2はPbの分散と
マトリツクス強化のためにSbを1.5%加えた。供
試材No.3以下はSrを0.03%添加してSiを球状化さ
せたもので、この中で、1.0%Cuを添加しマトリ
ツクスを強化したものが供試材No.4、結晶粒を微
細化しSn−Pb合金粒子の分散と、マトリツクス
強化をねらつたものが供試材No.5、その両方を添
加したものが供試材No.6、供試材No.7にはPb添
加量の下限値を加えた。 これらの各供試材は、軸受として使用される常
温〜200℃までの機械的な性質を見るために、常
温(25℃)、50℃、100℃、150℃、200℃、250℃
の6条件下での引張り度と伸びの試験を行なつた
ところ、第6図ならびに第7図に示す関係が得ら
れた。なお、各供試材は裏金を機械加工により削
除してAl−Sn合金部分のみとし、形状はJIS
Z2201の5号に示すものとした。 これらの結果から、引張り強度は各比較材(供
試材No.1、2)に比べると、5〜8Kg/mm2程度、
本発明に係る合金(供試材No.3〜7)の方がどの
温度においても強度が優つているのがわかる。ま
た、各比較材のSi粒子が片状、棒状なのに反し、
本発明のものはSi粒子が球状化し、Sn−Pb合金
粒子がその近傍に存在する組織であつて、このSi
粒子の析出形態の差により本発明では応力集中が
起こりにくく、強度が出ることがわかる。 なお、上記のところで、150℃〜200℃の高温域
でもあまり強度低下が著しくないのも高荷重高速
下で使われるベアリング合金としてはすぐれた性
質である。これに対し、伸びは強度と反比例する
のが常であるが、供試材No.2、No.4以外は15%以
上の伸びを示した。又、高温における急激な軟化
がないため、本発明合金は適度な伸びと強度を有
することがわかる。 次に、これらの供試材の表面の摩擦性能を知る
ために、鈴木式摩擦摩耗試験材を用いて試験し、
その試験条件は次の通りであつた。 面 圧 10Kgf/cm2〜100Kgf/cm2まで15分毎に
10Kgf/cm2づつStep upさせる。 マサツ速度 4m/sec 相手材 S45C、硬さHRC=55 面アラサ0.8〜1.0S 使用オイル SAE、20w−40 油 温 100℃±5℃ この結果を示すと、第8図に示す通りであつ
た。これによれば、Siの球状化がいかにその潤滑
に帰与しているかが知られ、供試材No.6では100
Kgf/cm2の面圧に対して摩擦係数が0.15という低
いレベルになつていることがわかる。これに対
し、比較材の供試材No.1、2は100Kgf/cm2の面
圧下でも焼付くことはないが、摩擦係数が3.1及
び2.9と高い値であり、このように本発明に係る
合金は、表面性能に特にすぐれていることがわか
る。 次に、実際に、各供試材をベアリング形状に加
工し、最終的なベアリング性能をチエツクするア
ンダーウツド疲労試験を行なつたところ、第9図
の通りの結果が得られた。これは実際のエンジン
の条件とほぼ同じようにベアリングをコンロツド
のハウジングに固定し、軸に偏心荷重をかけて、
以下の条件で耐久テストを行ない、焼付かずにそ
の性能を維持した時間の長さで評価するテストで
ある。 面 圧 600Kgf/cm2 回転数 4000r.p.m/分 相手軸材質 FCD 70、アラサ0.8〜1.5S 使用オイル 20w−40(SAE) 油 温 150℃±10℃ なお、そのテスト時間の上限は250時間とし
た。 この最終チエツクによつても本発明合金の耐久
時間は160〜250時間と比較材にくらべてすぐれた
値を取つている。このように潤滑面の構成とその
潤滑機構に着目して開発された本発明合金は、高
負荷、高速運転におけるAl合金軸受として推奨
されたものである。 Pbの少ないNo.7供試材は、第9図に示すよう
に160時間で焼付いたが、比較材より耐久性は優
れており、本発明による性能向上効果はある。
Pbは本発明の作用効果を十分に発揮する上に0.1
〜10%を含む必要がある。 <発明の効果> 以上詳しく説明した通り、本発明は、重量%
で、3〜35%Sn、0.1〜10%Pb、0.1〜6%Siなら
びに0.001〜0.05%Srを含んで、残余が実質的に
Alから成つて、しかも、このマトリツクス中にSi
粒子を球状、だ円状若しくはそれに近い形状に析
出させて成ることを特徴とするものである。 従つて、マトリツクス中にSi粒子が球状、だ円
状若しくはそれに近い形状に析出させて成ること
を特徴とするものであるから、上記の如く潤滑性
にすぐれ、軸受合金としてきわめて良好であり、
引張り強度、伸び等の機械的性質もきわめて良好
である。
第1図は本発明の一つの実施例に係る軸受合金
の一部の拡大断面図、第2図ならびに第3図は従
来例の軸受の一部の各拡大断面図、第4図は第3
図の軸受の軸受合金の一例の拡大断面図、第5図
は第1図に示す軸受合金の潤滑機構の説明図、第
6図は本発明に係るものと比較材との温度と引張
り強さとの関係を示すグラフ、第7図は第6図と
同様に比較材と対比した温度と伸びとの関係を示
すグラフ、第8図は第6図と同様に比較材と対比
した荷重と摩擦係数との関係を示すグラフ、第9
図は第6図と同様に比較材と対比した各供試材の
耐久時間を示すグラフである。 符号1……オーバーレイメツキ層、2……軸受
合金層、2a……従来のSi粒子、2b……マトリ
ツクス、2c……Sn−Pb合金粒子、2d……Sn
−Pb液相、3……裏金、4……本発明のSi粒
子。
の一部の拡大断面図、第2図ならびに第3図は従
来例の軸受の一部の各拡大断面図、第4図は第3
図の軸受の軸受合金の一例の拡大断面図、第5図
は第1図に示す軸受合金の潤滑機構の説明図、第
6図は本発明に係るものと比較材との温度と引張
り強さとの関係を示すグラフ、第7図は第6図と
同様に比較材と対比した温度と伸びとの関係を示
すグラフ、第8図は第6図と同様に比較材と対比
した荷重と摩擦係数との関係を示すグラフ、第9
図は第6図と同様に比較材と対比した各供試材の
耐久時間を示すグラフである。 符号1……オーバーレイメツキ層、2……軸受
合金層、2a……従来のSi粒子、2b……マトリ
ツクス、2c……Sn−Pb合金粒子、2d……Sn
−Pb液相、3……裏金、4……本発明のSi粒
子。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で、3〜35%Sn、0.1〜10%Pb、0.1〜
6%Siならびに0.001〜0.05%Srを含んで、残余
が実質的にAlから成つて、しかも、このマトリ
ツクス中にSi粒子を球状、だ円状若しくはそれに
近い形状に析出させて成ることを特徴とするAl
−Sn系軸受合金。 2 重量%で、3〜35%Sn、0.1〜10%Pb、0.1〜
6%Siならびに0.001〜0.05%Srを含むと共に、
0.1〜4%cu、1%以下Ti若しくは1%以下Bの
うちの少なくとも1種若しくは2種以上を含有
し、残余が実質的にAlから成つて、しかも、こ
のマトリツクス中にSi粒子を球状、だ円状若しく
はそれに近い形状に析出させて成ることを特徴と
するAl−Sn系軸受合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27937384A JPS61153255A (ja) | 1984-12-27 | 1984-12-27 | Al−Sn系軸受合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27937384A JPS61153255A (ja) | 1984-12-27 | 1984-12-27 | Al−Sn系軸受合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61153255A JPS61153255A (ja) | 1986-07-11 |
JPS6254853B2 true JPS6254853B2 (ja) | 1987-11-17 |
Family
ID=17610242
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2619469B2 (ja) * | 1987-04-13 | 1997-06-11 | 昭和電工株式会社 | スプリングリテーナ |
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JPH0813072A (ja) * | 1994-07-01 | 1996-01-16 | Toyota Motor Corp | アルミニウム合金軸受 |
-
1984
- 1984-12-27 JP JP27937384A patent/JPS61153255A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61153255A (ja) | 1986-07-11 |
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