JPH0235020B2 - Allsnnpbkeijikukegokin - Google Patents

Allsnnpbkeijikukegokin

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JPH0235020B2
JPH0235020B2 JP20294285A JP20294285A JPH0235020B2 JP H0235020 B2 JPH0235020 B2 JP H0235020B2 JP 20294285 A JP20294285 A JP 20294285A JP 20294285 A JP20294285 A JP 20294285A JP H0235020 B2 JPH0235020 B2 JP H0235020B2
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alloy
bearing
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Masahito Fujita
Akira Oogawara
Takeshi Sakai
Toshihisa Oogaki
Takeshi Oosaki
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Priority to US06/906,009 priority patent/US4789607A/en
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Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明はAl−Sn−Pb系軸受合金に係り、詳し
くは、マトリツクス中に、球状、だ円状若しくは
先端が丸味をおびた形状のSi粒子が分散、析出さ
れ、しかも、高速・高負荷運転時にすぐれ、なか
でも、高温領域において耐疲労性、耐焼付性なら
びに耐摩耗性を有するAl−Sn−Pb系軸受合金に
係る。 従来の技術 最近の自動車用エンジンは、小型化、省燃費、
高出力のものとなり、これにともなつて軸受にか
かる荷重が増加すると共に、潤滑油の温度が上昇
し、軸受の使用条件は苛酷化の一途をたどつてい
る。従来例の多元系やAl系軸受のほとんどは、
軸受合金部分の表面にオーバーレイメツキ等によ
りPb−Sn系等の表面層を形成したものである。
しかし、この構造の軸受では、潤滑油の高温化に
より疲労や焼付現象にみまわれ、上記の苛酷な使
用条件に耐えられなくなつている。そこで最近
は、オーバーレイメツキ等によつて表面層が形成
されない軸受が求められている。しかしながら、
この種の軸受でも、上記の苛酷な使用条件では、
必ずしも安定した性能を発揮できないのが現状で
ある。 すなわち、表面にオーバーレイメツキ層を有す
る軸受は、一般的には、JIS H 5402、AJ−1
(10%Sn、0.75%Cu、0.5%Ni、AlBal)や、JIS
H 5402、AJ−2(6%Sn、2.5%Cu、1.0%Ni、
AlBal)等のJIS規格、SAE780(6%Sn、2%
Si、1%Cu、0.5%Ni、0.1%Ti、AlBal)等の
SAE規格に示される通り、その軸受合金部分は
Sn含有量が比較的少ない低Sn−Al合金から成つ
ているが、これら軸受合金部分の表面には更に
Pb−Sn系合金のオーバーレイメツキによつて表
面層が形成され、この表面層が軸受面を構成して
いる。しかし、これら軸受は、近年の高負荷、高
温の使用条件下では表面のオーバーレイメツキに
よる表面層が摩滅して焼付きに至り、使用に耐え
られなくつている。これに対し、表面にオーバー
レイメツキによつて表面層を形成しない軸受は
SAE 783(20%Sn、0.5%Si、1.0%Cu、0.1%Ti、
AlBal)に示される通り、その軸受合金部分がSn
含有量の多い高Sn−Al合金から成つている。し
かし、このようにSnが20%程度の如く多く含ま
れる合金は硬度が低く、Alマトリツクスが弱く
なるため、高負荷に耐えられない。 また、Sn含有量の多少に拘らずAl−Sn系合金
中にPbを添加して潤滑性を増進させ、耐焼付性
をもたせた軸受合金が例えば水野昴一著昭和29年
日刊工業新聞社発行「軸受合金」第139頁に記載
され、この軸受合金は10%Sn、1.5%Cu、0.5%Si
を含むとともに3%Pbを添加して成るAl−Sn−
Pb系合金である。 更に、Al−Sn−Pb系合金中にPbは、Alほほと
んど固溶しないためこのPbの分散性の向上のた
めにSbを添加したAl−Sn−Pb−Sb系合金が特公
昭52−12131号に記載され、この上に、Alマトリ
ツクス強化のためにCrを添加したAl−Sn−Pb−
Sb−Cr系合金が特公昭58−18985号に記載されて
いる。しかし、これらのAl−Sn−Pb系合金は通
常運転の潤滑性の向上を目的として開発されたも
ので、高負荷運転条件では十分な耐疲労性を示さ
ない欠点がある。この理由は、通常の運転下に比
べると、高負荷運転下の軸と軸受との潤滑機構は
根本的に相違するからである。 このところから高負荷運転下の潤滑機構と通常
運転下のそれとの相違点について基本的な検討が
行なわれ、この検討結果の一つとしてAl−Sn系
合金中に粗大なSiを分散析出させた軸受が特開昭
58−64336号によつて提案されている。 この軸受は硬いSi析出物により切削力を持たせ
たものであつて、切削力を持つが故に相手軸の表
面凹凸部が削られて平坦化し、軸受性能を向上さ
せるものである。更に詳しく説明すると、球状若
しくは片状の黒鉛を析出させた黒鉛鋳鉄から成る
相手軸の表面には、研摩加工時に脱落した黒鉛粒
子のあとに凹部が残り、この凹部周囲には硬く加
工硬化したバリやエツジ等の凸部が生成してい
る。従つて、上記の如きAl−Sn系、Al−Sn−Pb
系等の軸受合金では、これら凹凸部により高負荷
運転時には異常摩耗が発生し易い。これに対し、
上記の粗大なSiを分散析出させた軸受合金では、
硬いSiの析出物により切削力が付与されているた
めに、相手軸の凹凸部分は機械的に切削されて平
坦化され、これ故に、異常摩耗や焼付きが起らな
い。 しかしながら、相手軸が黒鉛鋳鉄以外の場合に
は、高負荷運転のときにかえつて粗大なSi析出物
によつて相手軸の表面が不規則にけずられ、焼付
きが発生し、大きな障害が生じる。 発明が解決しようとする課題 本発明は上記欠点の解決を目的とするが、具体
的には、Al−Sn−Pb系軸受合金において、潤滑
性向上のためにSnやPb等の含有量を高め、Alマ
トリツクスの強化のためにCr、Sb、Mn、Ni等
の元素を添加し、これらの元素によつてAlマト
リツクスの硬度を増加させるが、逆にこれら手段
によつてかえつてAl合金が脆弱になり、高負荷
運転時には殆んど高温化(100〜250℃)での耐疲
労性を示さないことになる。このところを本発明
においては、Alマトリツクス中に、だ円状、球
状若しくは先端が丸味をおびた形状のSi粒子を析
出させることにより解決し、このようにして耐焼
付性、耐摩耗性を向上させる。 課題を解決するための手段ならびにその作用 すなわち、本発明に係る軸受合金は重量%で、
3〜35%Sn、0.1〜11%Si、0.1〜10%Pb、Cu、
Mg若しくはZnのうちの1種または2種以上を単
味または合量で0.1〜2%、0.01〜0.3%Sr、Cr、
Mn、Fe、Ni、Co、Mo、Sb、V若しくはZrのう
ちの1種若しくは2種以上とTiとを合量で0.1〜
1%、残余が実質的にAlからなり、Alマトリツ
クス中に、球状、だ円状若しくは先端が丸味をお
びた形状のSi粒子が分散、析出したことを特徴と
する。 そこで、これら手段たる構成ならびにその作用
について更に詳しく説明すると、次の通りであ
る。 まず、本発明は高温状態における耐疲労性を高
めるために成されたものである。 すなわち、従来例においては、単に高融点元素
であるCr、Co、Ni等を添加し、高温強度を高
め、高温下で硬さが急激に低下することを防止す
ると共に、耐摩耗性を高めている。しかし、この
ように、Al−Sn−Pb系合金の高温状態における
耐疲労性を高めるためには、単に高融点元素を添
加して硬さを増加させることによつては達成でき
ず、かえつて、合金が脆弱になつて引張強度、伸
びならびに衝撃値が低下する。 この点について、本発明では、高温、高荷重下
の苛酷な条件に好適な軸受合金を提供するため
に、Srを必須成分として添加し、このSrを鋳造
時点でSiに作用させてSi結晶粒子の球状化若しく
はSi結晶粒子の一部を球状化、つまり、Si結晶粒
子の先端の丸味化を計り、更に、通常の条件の熱
処理によりこのSi結晶粒子の球状化若しくは丸味
化を高め、これにより、Al−Sn−Pb合金の引張
強度、伸びならびに衝撃強さを高める。 すなわち、一般的に云つて、耐疲労強さは材料
の引張強さ、伸び、衝撃強さ、組織的構造等起因
するものであつて、単に軸受成分の添加によつて
は解決できないとされているが、本発明ではSr
によつて鋳造時にSi結晶粒子の球状化をはかり、
この球状化をSrによつて熱処理時に更に高める
のである。 なお、本発明は、Srの添加によつて機械的特
性の低下を防止することができるので、添加元素
として上記の如き高融点元素をAl−Sn−Pb系合
金に添加しても、高温下での機械的特性を急激に
低下させることがない。このような本発明の特徴
は高温、高荷重下で疲労試験を行なつた結果、疲
労強度の向上が認められたことでも裏付けること
ができる。 次に、以上の如くAlマトリツクス中に、球状
若しくは先端は丸味をおびた形状のSi粒子を析出
させると、高温、高負荷条件に適合し表面性能が
著しく高められた軸受面が得られる。 一般的に、焼付現象はそれに達するため、一義
的に把握することは困難であると云われている。
しかし、表面にPb−Sn合金のオーバーレイメツ
キによる表面層を具えるCu−Pb系合金の軸受は
高荷重運転下ではこのメツキの表面層が摩滅し焼
付きに至る。これに対し、Si、Cuを含むAl−Sn
−Pb系合金から成つて、表面にオーバーレイメ
ツキによる表面層が形成されていない軸受におい
ては焼付きに至らない。 このところ本発明者等は着目し、両軸受を構造
的に比較検討した。すなわち、第3図は表面にオ
ーバーレイメツキによる表面層(以下、単にオー
バーレイメツキ層という。)を有する軸受の一部
の拡大断面図であり、第4図はAl−Sn−Pb合金
であつて、表面にオーバーレイメツキ層がなく、
しかも、Si、Cu等を含む軸受の一部の拡大断面
図である。第3図から明らかな如く、この軸受は
表面のオーバーレイメツキ層4、合金層5ならび
に裏金6から成つて、このオーバーレイメツキ層
4の全表面によつて軸荷重が支持される。これに
対し、第4図に示す如く、Al−Sn−Pb系合金で
Si、Cu等を含む軸受は合金層5の裏金6とから
成つて、この合金層5のマトリツクス中に棒状や
片状のSi粒子2が析出している。従つて、この軸
受では相手軸の荷重は硬いSi粒子2支えられ、し
かも、Si粒子が上記の如く切削力を持つている。 要するに、両者の差は面接触と点接触であり、
この差によつて潤滑、摩擦面の温度上昇において
決定的な相違となつている。つまり、第3図に示
す軸受のように、面接触では高速、高負荷条件下
で摩擦面の温度は急速に上昇するのに対し、第4
図に示す軸受のように点接触では、合金層5の表
面と相手軸表面との間に間隙が形成され、この間
隙の油膜にはあまり大きな荷重がかからないた
め、十分な潤滑が保持され、摩擦面の温度上昇は
おさえられる。 更に進んで、本発明者等は、第4図に示す如き
点接触による軸荷重の支持が高荷重下の潤滑にき
わめて有効であるという基本的見地に立つて、そ
の効果を最大限に生かすための組成ならびに構造
について研究し、本発明に係る軸受合金を完成す
るに至つたものである。 具体的に示すと、本発明者等はAl−Sn−Pb系
合金にあつて、SiやCu等を含む軸受合金におけ
るSiの析出形態に着目し、その形態の潤滑面にお
よぼす効果について調査研究を進めたところ、 第1に、Siは融点が高い安定物質でありかつ非
金属的性質が強く、相手軸の主成分のFeに200℃
〜500℃程度の高温状態で接触しても、全く拡散
若しくは溶解を起さないことから、軸荷重の点支
持手段はSiがきわめて好適であることがわかつ
た。 第2に、相手材を油膜を介し点支持する場合、
Si粒子はそのビツカース硬さが599にも達するほ
ど硬く、しかも、Si粒子は化合物でないためもろ
さがなく、弾性に富み、急激な変動荷重に耐えら
れることがわかつた。 しかしながら、Siは上記の如き性質を持つてい
るのにも拘らず結晶性が強く、Alとの共晶析出
形態でも板状若しくは棒状を呈し、その後の圧延
や熱処理を経ても、その形状はわずか変化する程
度である。このため、Si粒子の析出形態の制御を
鋳造時から行なわない場合は、第5図に示す如く
合金層でマトリツクス1中にSi−Pb合金粒子と
ともに析出するSi粒子2は板状若しくは棒状化す
る一方、これらSi粒子2から離れてSn−Pb合金
粒子3が存在することになる。この状態である
と、硬いSi粒子2のエツジによつて相手軸が削ら
れてきずつけられ易く、かえつて潤滑性が低下
し、焼付きが起こる。 この点から、本発明において潤滑性の飛躍的向
上のために、Si粒子から切削力を除去する上か
ら、球状化の如くエツジ部に丸味をおびさせるよ
うな形態に制御する。 すなわち、第1図は本発明の一つの実施例に係
る軸受合金の一部の拡大断面図であつて、第1図
に示す如く、合金層において、そのマトリツクス
1中に分散析出するSi粒子2は粒状化し、この球
状Si粒子2によつて点接触の理想に近づけ、より
潤滑性を高め且つ耐摩耗性を高めることができ
る。また、高速かつ急激な高荷重がかけられて
も、相手軸をきずつけることがない。また、Siが
球状化しているため、マトリツクス中の切欠効果
がなく、強度的にも安定したマトリツクスを得る
ことができ、耐摩耗性にも優れる。 このSi粒子の粒状化は、Srの添加によつてSiが
析出する共晶点のAl合金液相の性質を改善する
ことによつて達成でき、更に、その後の熱処理に
おいて、その条件が通常条件であつてもSrによ
つて球状化が高められる。 更に、Srの添加によつてSn−Pb合金粒子3の
析出形態が変化し、第1図に示すようにSiの粒状
化粒子2にSn−Pb合金3がより隣接して存在す
るようになる。この構造は、従来例のもの(例え
ば、第5図参照)に比して、潤滑性能を飛躍的に
向上させる。 また、以上のように表面性能を構造的に解決す
るほか、Alは熱に対して感受性が強く、150℃を
すぎると、Hv10以下まで軟化して強度が失なわ
れるため、マトリツクスの高温での強化をはかる
必要があり、このところから、Cu、Mg、Zn、
Cr、Mn、Fe、Ni、Co、Mo、Sb、Ti、V、Zr
を添加する。 すなわち、これら添加元素のうちで、Cu、
Mg、ZnはAlと固溶してAlマトリツクスを硬化
させる。これらが0.1〜2%の範囲であると、一
部が固溶し残部が析出し、そのバランスによつて
Alマトリツクスが強化され、とくに、Cu、Mg若
しくはZnのうち1種または2種以上を単味又は
合量で0.1〜2%添加する。 また、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Sb、Ti、
V、Zrは析出硬化型のマトリツクス強化元素で
あつて、これら強化元素によつて高温での強度を
向上させるときには、Cr、Mn、Fe、Ni、Co、
Mo、Sb、V、Zrのうちの1種または2種以上と
更にTiとを添加し、その添加量を合量で0.1〜1
%添加する。 更に、このように析出硬化型強化元素を添加す
ることに併せて、Cu、Mg若しくはZnのうちの1
種又は2種以上を単味若しくは合量で0.1〜2%
添加し、これら元素の固溶によつて強度を向上さ
せる。 以上の通り、本発明においては、単に従来のよ
うに素地強化元素を添加するだけでなく、これら
強化元素とともにSrを添加し、硬さのみでなく、
引張強度を従来より向上させ、耐疲労性を高め、
高荷重運転下での軸受性能の向上をはかるもので
あるが、その機構とともに各成分組成について説
明すると、次の通りである。 第1図に示す構成の軸受では、軸荷重をささえ
る潤滑面はマトリツクス1の表面から突出するSi
粒子2の先端部であり、しかも、Si粒子と相手軸
との間に油膜が介在し、流体潤滑が保たれてい
る。しかし、急激な変動荷重を受け、この油膜が
破れ、局部的に境界潤滑に達し、この時に、Si粒
子2の上面にSn−Pb合金のフイルムが介在すれ
ば、焼付きを防止でき、しかも、正常に油膜が再
生されて流体潤滑の状態にすみやかに復帰するこ
とができる。このときにも、第1図に示す構造で
あると、Si粒子2の近傍にSn−Pb合金粒子3が
存在し、この合金は溶融状態でも潤滑面と親和性
があり、このため、油切れを起こしにくい。ま
た、相手軸とSi粒子との摩擦で、Si粒子が高温に
なつても、Si−Pbの融解熱で熱吸収され、近傍
のマトリツクスのAlの合金と相手軸との焼付き
が起こりにくくなる。又、この時にも第2図に示
す如く、Si粒子2に隣接するSn−Pb合金粒子3
の少なくとも一部が液相化しており、この液相3
aがSi粒子2の突出面に供給される。この供給量
は温度の上昇とともにふえて、Si粒子2の潤滑面
には常にSn−Pbの液相3aが介在するため、オ
ーバーヒートを未然に防止できる。要するに、Si
粒子2が球状化し、これにSn−Pb合金粒子3が
隣接する構造は、境界潤滑状態(油膜が切れた)
で非常に有効であり、また、普通の流体潤滑状態
でも、硬いSi粒子2が相手軸に適切になじみ、か
つ、やわらかいSn−Pb層におおわれ、これがシ
ヨツクアブソーバー的な働きをする。 なお、上記の通り各元素の限定理由を示すと、
次の通りである。 まず、強靭なAlマトリツクスを形成する元素
のうちでCu、Mg、Zn等の範囲を0.1〜2%とす
るのは、2%を越える添加であると、析出量が多
くなつて、かえつてもろくなるからであり、ま
た、0.1%以下であると、マトリツクスの強度が
損なわれるからである。 一方、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Sb、V、
ZrとTiの添加量を0.1〜1%にするのは、この範
囲であると、軸受に耐疲労性を付与できるが、1
%を越える添加では化合物が粗大化してしまい、
かえつて、その靭性を劣化させてしまうからであ
る。また、0.1%以下であると、その添加効果が
なく、軸受としての耐疲労性が保持できないから
である。 更に、Sn3〜35%、Pb0.1〜10%の範囲である
と、適切な潤滑面が形成できる。すなわち、Sn
が35%をこえると、適当な硬度が保持できず、3
%以下では潤滑性能が劣化する。また、Pbが10
%をこえると、Snとの関連性から、Sn−Pb粒子
のほかに、粗大化されたPb粒子のみの析出量が
多くなり、軸受強度がかえつて劣化する。また、
Siは耐焼付性、耐摩耗性の向上に有効で0.1〜11
%まで添加することで十分この潤滑構造を維持で
きる。この際、Siが11%をこえると、靭性が失な
われ、0.1%以下ではこの添加効果がない。 また、SrはSiの形状を球状に制御し、更に、
Sn−Pb粒子をSi粒子近傍に析出させるもので、
きわめて有効な元素である。しかし、Srが0.01%
未満であると、このような添加効果がなく、0.3
%超の添加は、鋳造時に巣を発生しやすくなりか
えつて問題をおこす。 実施例 次に、本発明に実施例について説明する。 実施例 1 まず、第1図に示す組成のAl−Sn系幾受合金
を連続鋳造により厚さ上下面を1.0mm面削し、続
いて、冷間圧延により2mmの厚さまで圧下した。
この状態で300〜350℃の熱処理を行なつてひずみ
を除去し、その後、純Alの薄い板を介して裏金
の鉄板に圧着させて厚み1.50mmの軸受を得た。 これらの軸受のうちで供試材No.1〜5はSrを
含まない従来例の供試材であり、No.6〜20は本発
明の実施例に係るもので、13%Sn、2.0%Pb、3.0
%Si、0.03%SrのほかにCu、Mg、Zn、Cr、Mn、
Fe、Co、Ni、Mo、Sbをそれぞれ添加し、結晶
粒微細化のためにTiを少量添加したものである。 これらの各供試材は軸受として使用される常温
及び200℃の機械的性質を見るために、引張強度、
伸びならびに硬さの試験を行ない、これを第2表
に示した。なお、各供試材は裏当金を機械加工に
より削除してAl−Sn合金部分のみとし、試験片 の形状はJIS z 2201の5号に示すものとした。 これらの結果から、供試材No.6〜20は従来材に
比べ高温(200℃)における強度低下が少なく、
Cu、Mg、Zn及びCr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、
Sb、Ti、V、Zrの添加効果がうかがえる。すな
わち、Siの球状化及びマトリツクス強化が相剰さ
れて硬さや強度が改善されたものと考えられる。
高温での総合的な機械的性質は向上したと言え
る。 次に、供試材の耐焼付性と耐摩耗性を知るため
に鈴木式摩擦摩耗試験機を用いて試験し、その試
験条件は次の通りであつた。 マサツ速度 4m/sec 相手材 S45C、硬さHRC=55面アラサ0.8〜1.0S 使用オイル SAE、20w−40 油 温 150±50℃ 焼付荷重 100Kg/cm2から10Kg/cm2Stepで焼付き
に至るまで15分間に面圧を上げてゆき、焼付き
をおこした面圧を焼付荷重とする。 耐摩耗性 一方、耐摩耗性をみるために100Kg/
cm2一定で6時間試験し、その後の重量変化をみ
る。 この結果を第2表に示す。 これによれば、供試材6〜20の何れも従来材に
比べ良好な耐焼付性、耐摩耗性を示しており、
Sr及びマトリツクス強化元素添加により表面性
能も向上していることがわかる。すなわち、本発
明に係る合金はすぐれた潤滑機構を有しているこ
とを示している。 次に、実際に、各供試材を半円筒ベアリング製
品形成に加工し、最終的なベアリングの疲労テス
トを行なつたところ、第2表に示す結果を得た。
これは実際のエンジンの条件とほほ同じようにベ
アリングをコンロツドに固定し、軸に偏心荷重を
かけて、以下の条件で耐久テストを維持した時間
の長さで評価するテストである。 面 圧 600Kgf/cm2 回転数 4000r.p.m 相手材料 FCD70、アラサ0.8〜1.5S 使用オイル SAE20w−40 油 温 150℃±5℃ なお、このテスト時間の上限は300時間とし、
N=5の平均値を第2表に示した。この結果、何
れも比較例の従来材に比べ長い耐久時間を示して
おり、本発明に係る合金はすぐれた耐疲労性を示
している。
【表】
【表】 一方、従来例No.2の合金と更にSrを0.03%添加
した場合(供試材No.6)におけるSiの形態の変化
を示すと、第6図ならびに第7図の通りであつ
た。すなわち、第6図ならびに第7図は従来例の
合金と本発明に係る合金の顕微鏡組織を示す写真
の模式図であつて、とくに、それぞれの試料をSi
粒の形状がわかるように深くエツチングし、電子
顕微鏡を用いて撮影したものである。この写真の
模式図から明確に解るように、Srの添加によりSi
が粒状化しているのがわかる。 実施例 2 本発明に係る軸受合金が高融点金属等をAlマ
トリツクスの強化剤として添加して、合金の脆弱
化を改善する効果があるか否かを確認するため、
代用特性として衝撃値を測定し、Srの添加作用
により改善効果を実験によつて求めた。 実験の供試材として、実施例1の第1表に示す
従来例であるSrを含まないNo.5と本発明に係る
ものであるNo.6にて比較実験を行なつた。 実験はJIS z 2242、シヤルピー衝撃試験方法
にて3号試験片(n=5)を作成して行なつた。 実験の結果、従来材は平均値0.84Kg・m/cm2
あつたが、本発明に係るものは平均値2.90Kg・
m/cm2であり、明らかに本発明に係る軸受合金は
Sr添加による改善効果が認められた。 <発明の効果> 以上詳しく説明した通り、本発明は重量%で、
3〜35%Sn、0.1〜11%Siならびに0.1〜10%Pbを
含むほか、Cu、Mg若しくはZnのうちの1種また
は2種以上を単味または合量で0.1〜2%含み、
しかも、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Sb、V
若しくはZrのうち少なくとも1種若しくは2種
以上とTiとを合量で0.1〜1%を含有し、残余が
実質的にAlから成るAl−Sn系軸受合金において、
0.01〜0.3%のSrの添加しこのマトリツクス中に
Si粒子を、球状、だ円状若しくは先端が丸味をお
びた形状に析出させて成るものである。 この構成による本発明軸受合金は極めて潤滑性
に優れ、かつ、100〜250℃の高温における機械的
性質が極めて良好であり、高負荷運転による使用
条件の苛酷さに十分に耐える軸受合金である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一つの実施例に係る軸受合金
の一部の拡大断面図、第2図は第1図に示す軸受
合金の潤滑機構の説明図、第3図ならびに第4図
は従来例の軸受の一部の各拡大断面図、第5図は
第4図の軸受合金と一部の拡大断面図、第6図は
従来例に係る軸受合金の組織を示す顕微鏡写真の
模式図、第7図は本発明に係る軸受合金の組織を
示す顕微鏡写真の模式図である。 符号1……マトリツクス、2……Si粒子、3…
…Sn−Pb合金粒子、3a……Sn−Pb液相、4…
…オーバーレイメツキ層、5……軸受合金層、6
……裏金。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 重量%で、3〜35%Sn、0.1〜11%Si、0.1〜
    10%Pb、Cu、Mg若しくはZnのうちの1種また
    は2種以上を単味または合量で0.1〜2%、0.01
    〜0.3%Sr、Cr、Mn、Fe、Ni、Co、Mo、Sb、
    V若しくはZrのうちの1種若しくは2種以上と
    Tiとを合量で0.1〜1%、残余が実質的にAlから
    なり、Alマトリツクス中に、球状、だ円状若し
    くは先端が丸味をおびた形状のSi粒子が分散、析
    出したことを特徴とするAl−Sn−Pb系軸受合
    金。
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