JPS6247486B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、乗用車体に田植作業機の機体を支持
リンク機構を介して昇降可能に連結した乗用型田
植機に関し、とくに圃場の凹凸に敏感に応答し、
フロートの表土追従性をよくしたものでありなが
ら、田植作業機の機体、植込体、苗載せ台などの
振動を低減させ得るようにした自動昇降制御装置
を設けた乗用型田植機に関するものである。

〔従来の技術〕

前述したような乗用型田植機において、圃場の
耕盤の凹凸に伴い乗用車体が上下動すると、田植
作業機の機体下方に揺動自在に設けたフロートの
接地圧が変化し、この変化に応じ、前記支持リン
ク機構と乗用車体との間に介装した油圧シリンダ
機構が作動して前記機体を昇降させ、フロートの
接地圧をほぼ一定にするようにし、植付深度をほ
ぼ一定にするようにした自動昇降制御装置が一般
に知られている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

このような装置において、前記支持リンク機構
をスプリングによつて乗用車体側に支持すること
により、圃場の凹凸に敏感に応答してフロートの
表土に対する追従性を向上させることが考えられ
るが、スプリングの振動で田植作業機の機体が振
動し、これに伴つてフロートの接地圧変化が生じ
油圧シリンダが伸縮して機体がいつまでも振動し
苗の植付深さが不安定となり、また、植込体の機
械振動を増幅したり、苗載せ台の振動が大きくな
つてこれに載せられている苗を圧縮したりし、植
付作業に不具合を生ずることがある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、前述のような事情に鑑みてなされた
もので、支持リンク機構をスプリングによつて乗
用車体側に支持すると共に、乗用車体と支持リン
ク機構との間にダンパ機構を介装し、フロートの
接地圧の変動によつて油圧シリンダ機構が作動し
て、フロートの接地圧がほぼ一定状態に制御され
る自動昇降制御装置が設けられたことを特徴とす
るものである。

〔作 用〕

上記の構成により、油圧シリンダ機構の伸縮に
より田植機の機体が昇降されて、スプリングの振
動が機体に伝達するのをダンパ機構によつて吸収
し、機体の昇降を適正に行い、苗の植付深さをほ
ぼ一定にし、また、植込体や苗載せ台に大きな振
動を与えない。

〔実施例〕

以下、図面を参照して本発明の一実施例を具体
的に説明する。

図面において、符号１は乗用車体で、この車体
１の後方に支持リンク機構２を介して田植作業機
３の機体４が連結されている。乗用車体１は、
前、後輪５，６を備え、前部にエンジン７が搭載
され、かつ中央部に運転席８が設けられて乗用走
行するようになつている。

田植作業機３は、前記機体４の下方にフロート
９が設置され、フロート９の後部がピン１０によ
り機体４に回動自在に枢支され、フロート９の前
部が伸縮自在なリンク機構１１により上下動可能
に機体４に取付けられ、機体４に設けた植込体１
２が苗載せ台１３に載置されたマツト状の苗を１
株ずつ切出して圃場の表土へ植付けるようになつ
ている。

また、自動昇降制御装置１４は、乗用車体１の
後部に突出した支持部材１５と前記支持リンク機
構２との間に油圧シリンダ機構１６が介装されて
いる。すなわち、油圧シリンダ機構１６のシリン
ダ１７が支持部材１５に前後方向に揺動自在に枢
支され、油圧シリンダ機構１６のピストンロツド
１８に設けた段１９上に下方から支持リンク機構
２の左、右上部リンク２２間に架設した受部材２
０が支持されている。前記ピストンロツド１８の
段１９より上方の小径部２１が受部材２０に遊挿
されてその上方に延び、小径部２１の上端部には
ばね受部材２３が固定され、このばね受部材２３
と受部材２０との間にスプリング２４が若干圧縮
された状態で介装されている。前記シリンダ１７
は切換弁２５を介して油圧ポンプおよびタンク
（ともに図示せず）と接続され、切換弁２５はフ
ロート９の昇降によつて圧縮伸長される前記リン
ク機構１１によつて切換作動されるようになつて
いる。

そして、乗用車体１が圃場の耕盤の凹部に行
き、フロート９が接地圧を増して押上げられる
と、リンク機構１１の圧縮によつて切換弁２５が
作動し、シリンダ１７の下端部に圧油が供給さ
れ、ピストンロツド１８が伸長されてその段１９
が受部材２０を押上げ、支持リンク機構２を第１
図の反時計方向に回動させることにより、田植作
業機３の機体４はフロート９に加わる押上げ力が
解消されるまで上昇する。乗用車体１が耕盤の凸
部に行き、フロート９の接地圧が減じ、その自重
でフロート９が下降すると、リンク機構１１の伸
長によつて切換弁２５が逆作動し、シリンダ１７
の上端部に圧油が供給され、ピストンロツド１８
が圧縮されて支持リンク機構２が第１図の時計方
向に回動し、前記機構４はフロート９の接地圧が
所定圧に達するまで下降する。

従つて、フロート９の接地圧に応じて田植作業
機３の機体４が自動的に昇降し、フロート９の接
地圧が一定化すると共に、植込体１２による苗の
植付深度も一定化する。田植作業機３の機体４が
上昇する際には、ピストンロツド１８の段１９で
受部材２０を支持してスプリング２４のばね力に
関係なく機体４が上昇するが、機体４が下降する
際には、ピストンロツド１８の段１９が下降し、
かつばね受部材２３を介してスプリング２４が受
部材２０を押下げるので、支持リンク機構２に作
用している重力とスプリング２４の圧縮反力とに
よつて機体４が速やかに下降し、従つて、フロー
ト９の圃場の凹凸に対する応答が敏感であり、か
つ表土に対するフロート９の追従性もよい。

さらに、乗用車体１の支持部材１５と支持リン
ク機構２の上部リンク２２との間には油圧シリン
ダ機構１６と平行にオイルダンパ機構２６が介在
され、そのシリンダ２７が支持部材１５に、ピス
トンロツド２８が上部リンク２２にそれぞれ枢支
され、ピストンロツド２８はオイルによる適宜の
抵抗を受けつつ伸縮されるようになつている。

このように構成されたオイルダンパ機構２６
は、油圧シリンダ機構１６の作動による田植作業
機３の機体４の昇降に伴つて、ピストンロツド２
８がオイルの抵抗を受けつつ伸縮するので、前記
スプリング２４の圧縮伸長に伴う機体４の昇降時
の振動を減衰させ、機体４の振動を防止してフロ
ート９の接地圧をほぼ一定にし苗の植付深さをほ
ぼ一定にすることができる。

なお、本発明において、スプリングの取付手段
は、前記実施例の構成に限られることなく、支持
リンク機構を乗用車体側に支持するものであれ
ば、適宜の構成にすることができる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明の乗用型田植機
は、自動昇降制御装置を設け、スプリングによつ
て支持リンク機構を乗用車体側に支持し、圃場の
凹凸に敏感に応答し、フロートの表土追従性がよ
いものでありながら、ダンパ機構を有することに
より、前記スプリングの振動による田植作業機の
機体の振動を減衰させることができ、従つて、機
体の無用な振動を防止してフロートの接地圧をほ
ぼ一定状態にして苗の植付深さを安定させ、植込
体や苗載せ台の振動に起因する植付作業の不具合
を除去できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例による植付部深度制
御装置を備えた乗用型田植機の概略側面図、第２
図は同要部の拡大説明図である。 １…乗用車体、２…支持リンク機構、３…田植
作業機、４…機体、５，６…前、後輪、７…エン
ジン、８…運転席、９…フロート、１０…ピン、
１１…リンク機構、１２…植込体、１３…苗載せ
台、１４…自動昇降制御装置、１５…支持部材、
１６…油圧シリンダ機構、１７…シリンダ、１８
…ピストンロツド、１９…段、２０…受部材、２
１…小径部、２２…上部リンク、２３…ばね受部
材、２４…スプリング、２５…切換弁、２６…オ
イルダンパ機構、２７…シリンダ、２８…ピスト
ンロツド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 乗用車体に田植作業機の機体を支持リンク機
   構を介して昇降可能に連結し、乗用車体と前記支
   持リンク機構との間に油圧シリンダ機構を介装
   し、前記機体下方に揺動自在に設けたフロートの
   接地圧変化に応じ、前記油圧シリンダ機構を作動
   させて前記機体を昇降させるようにしたものにお
   いて、 支持リンク機構をスプリングによつて乗用車体
   側に支持すると共に、乗用車体と支持リンク機構
   との間に振動減衰用のダンパ機構を介装し、フロ
   ートの接地圧の変動によつて油圧シリンダ機構が
   作動して、フロートの接地圧がほぼ一定状態に制
   御される自動昇降制御装置が設けられた乗用型田
   植機。