JPS624729Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は４輪駆動車、特に乗用車やトラツク等
の４輪駆動自動車に装着され、２輪駆動状態と４
輪駆動状態との切り換えを行う４輪駆動自動車用
トランスフアに関する。

〔従来の技術〕

従来、変速機と一方の車輪伝動軸を連結する一
方の駆動軸と、該一方の駆動軸と平行的に配設さ
れるとともに他方の車輪伝動軸と連結した他方の
駆動軸と、前記一方の駆動軸と他方の駆動軸とを
係脱自在に連結するクラツチとを備え、悪路走行
時に前記クラツチを係合することによつて自動車
の４輪全てに駆動力を伝達して悪路走行性能を向
上する４輪駆動自動車用トランスフアが提案され
ている。

しかし従来の４輪駆動自動車用トランスフアは
前記クラツチに歯車式クラツチ（ドグクラツチ）
を用い、該歯車式クラツチの噛み合いで２輪駆動
状態と４輪駆動状態の切り換えを行つています
が、歯車式クラツチは解放状態で係合すべき２軸
間に回転数差が生じている状態からの係合作動を
円滑に行うことが非常に困難であるために、２輪
駆動時の旋回走行中あるいは何れかの車輪がスリ
ツプしているときなど前記両車輪伝動軸に回転差
が生じている走行状態における４輪駆動への切り
換えを円滑に行うことが困難であり、これらの切
り換えは前記両伝動軸に回転数差のない停車時あ
るいは直進走行時に限定され、操作性の点で好ま
しいものではなかつた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は乗用車あるいはトラツク等の４輪駆動
自動車用トランスフアにおいて、旋回走行中ある
いは何れかの車輪にスリツプが生じているような
両伝動軸間に回転数差が生じている走行中におい
ても２輪駆動状態と４輪駆動状態の切り換えを行
うことのできる４輪駆動自動車用トランスフアの
提供を目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の４輪駆動自動車用トランスフアは、変
速機と一方の車輪伝動軸を連結する一方の駆動軸
と、該一方の駆動軸と平行的に配設されるととも
に他方の車輪伝動軸と連結した他方の駆動軸と、
前記一方の駆動軸と同心的に配設されるスリーブ
と、該スリーブと前記他方の駆動軸を連結する連
結機構と、前記変速機と前記連結機構の間に前記
一方の駆動軸と同心的に配設されて前記スリーブ
と前記一方の駆動軸を係脱自在に連結する油圧式
湿式摩擦クラツチとを備えることを特徴とする。

〔作用及び考案の効果〕

本考案の４輪駆動自動車用トランスフアは、一
方の駆動軸と他方の駆動軸とを係脱自在に連結す
るクラツチを油圧式湿式摩擦クラツチとしている
ので、旋回走行中あるいは何れかの車輪にスリツ
プが生じているような両伝動軸間に回転数差が生
じている走行中においても２輪駆動状態と４輪駆
動状態の切り換えを行うことができ、しかも他方
の駆動軸と連結機構を介して連結したスリーブを
一方の駆動軸と同心的に配設し、一方の駆動軸と
前記スリーブとを係脱自在に連結する油圧式湿式
摩擦クラツチを変速機と連結機構の間に一方の駆
動軸と同心的に配設しているので、変速機と油圧
式湿式摩擦クラツチを同軸的に隣接して配置で
き、変速機のオイルポンプから油圧式湿式摩擦ク
ラツチに作動油を供給するための油路の配設や潤
滑油の供給を容易に行うとともにこれらの油を変
速機のオイルパンに円滑に帰還させることができ
るので、乗用車あるいはトラツク等の４輪駆動自
動車用のトランスフアとして要求される優れた搭
載性および高速走行時の耐久性を備える。

〔実施例〕

つぎに本考案を図に示す一実施例に基き説明す
る。

Ｅは自動車のエンジン、１は該エンジンに隣接
され、本実施例では自動変速される変速機、１１
はトランスミツシヨンケース、１２はトランスミ
ツシヨンケース１１の底下に装着されたオイルパ
ン、２は上記変速機１の後部に配置され、トラン
スフアケース２１内に収納されている４輪駆動用
トランスフアであり、後輪伝動軸３１に連結した
一方の駆動軸３、該一方の駆動軸３と平行的に配
設されるとともに前輪伝動軸４１に連結した他方
の駆動軸４、上記一方の駆動軸３と同心的に配設
され且つトランスフアケース２１にベアリング５
１，５２を介して回転自在に支持された駆動スリ
ーブ５、該スリーブ５と上記他方の駆動軸４を連
結する連結機構６、上記変速機１と連結機構６の
間に一方の駆動軸３と同心的に配設されてスリー
ブ５と一方の駆動軸３を係脱自在に連結する油圧
式湿式摩擦クラツチ７からなる。

上記連結機構６は、上記スリーブ５にスプライ
ン嵌合された一方のスプロケツト６１と他方の駆
動軸４にスプライン嵌合されると共にチエーン６
３で上記一方のスプロケツト６１に駆動連結され
た他方のスプロケツト６２とからなる。

上記湿式摩擦クラツチ７は、上記スリーブ５に
嵌着された環状のクラツチシリンダ７１と、該ク
ラツチシリンダ７１内の側壁がわに挿設された環
状のピストン７２と、クラツチシリンダ７１の開
口がわ内周壁７１ａにスプライン嵌合された複数
のセパレータデイスク７３と、一方の出力軸３に
スプライン嵌合されたクラツチドラムハブ７４
と、該ハブ７４に溶接されたクラツチドラム７５
と、クラツチドラム７５の外周壁にスプライン嵌
合されると共にセパレータデイスク７３と交互に
重なるよう配されたクラツチデイスク７６とで構
成される。

上記油圧式湿式摩擦クラツチ７のクラツチシリ
ンダ７１とピストン７２とで形成される油圧サー
ボの油室７７へは、変速機のオイルポンプから作
動油給排切換弁（いずれも図示せず）を介した作
動油が、トランスフアケース２１およびスリーブ
５に形成された油路８を経て給排される。

またクラツチシリンダ７１のチエツクバルブ７
８から排出される作動油および一方の駆動軸３の
内に形成された油路３１等から供給される潤滑油
は、トランスミツシヨンケース１１に形成された
油路１３を介してオイルパン１２内に円滑に帰還
する。

上記トランスフアは、後輪２輪駆動で走行中に
おいて、運転席に設けたレバーなどの操作で給排
切換弁を作動させ油室７７へ作動油を供給するこ
とによりピストン７２が図示左方に動かされてセ
パレータデイスク７３とクラツチデイスク７６と
を徐々に圧接せしめて油圧式湿式摩擦クラツチ７
が係合される。この係合はセパレータデイスク７
３とクラツチデイスク７６との滑りを伴つてなめ
らかに行われるので係合時の衝撃は少なく、自動
車の旋回走行中あるいは何れかの車輪にスリツプ
が生じているような両伝動軸間に回転数差が生じ
ている走行中においてもスムーズになされる。ま
た走行中における４輪駆動から２輪駆動への切換
えも油室７７の給排により円滑になされる。

【図面の簡単な説明】

第１図は４輪駆動自動車の駆動系を示す概略
図、第２図は本考案の４輪駆動自動車用トランス
フアの断面を示す。 図中、１……変速機、２……４輪駆動自動車用
トランスフア、３……一方の駆動軸、４……他方
の駆動軸、５……スリーブ、６……連結機構、７
……油圧式湿式摩擦クラツチ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 変速機と一方の車輪伝動軸を連結する一方の
   駆動軸と、該一方の駆動軸と平行的に配設され
   るとともに他方の車輪伝動軸と連結した他方の
   駆動軸と、前記一方の駆動軸と同心的に配設さ
   れるスリーブと、該スリーブと前記他方の駆動
   軸を連結する連結機構と、前記変速機と前記連
   結機構の間に前記一方の駆動軸と同心的に配設
   されて前記スリーブと前記一方の駆動軸を係脱
   自在に連結する油圧式湿式摩擦クラツチとを備
   えることを特徴とする４輪駆動自動車用トラン
   スフア。 ２ 前記連結機構は前記スリーブに連結した一方
   のスプロケツトと、前記他方の駆動軸に連結し
   た他方のスプロケツトと、前記一方および他方
   のスプロケツトを連結するチエーンとを有する
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項に記載の４輪駆動自動車用トランスフア。 ３ 前記油圧式湿式摩擦クラツチは前記スリーブ
   に固着された環状のクラツチシリングと、該ク
   ラツチシリンダ内に挿設されるとともにクラツ
   チシリンダと油室を形成するピストンとを有
   し、前記スリーブはトランスフアケースに回転
   自在に支持されるとともにトランスフアケース
   の油路から前記油室に作動油を供給する油路が
   形成されていることを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第１項に記載の４輪駆動自動車用ト
   ランスフア。