JPS6246919Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、たとえば自動車の後部ドアの開
閉、あるいはその他機器の開閉に使用されるよう
な緩衝装置に関する。

従来、この種の緩衝装置は、第１図に示すよう
にピストンロツド１の先端に、適当な空間を置い
て設けられたピストン２と、その空間に移動可能
に装着されたシールリング３がダンパーケース４
内に摺動自在に嵌装され、圧縮時には第１図に想
像線で示すように、シールリング３がピストン２
の後部鍔５側に接し、その後部鍔５とダンパーケ
ース４との隙間を塞ぎ、封入ガスやオイル等の緩
衝媒体はほとんど矢印に示すようにピストンの前
部鍔６とダンパーケース４との隙間を通り、ピス
トン後部鍔５の大径オリフイス７へ流れる。この
場合、ピストンの前部鍔６に設けた多数の小径オ
リフイス８には径が小さいためほとんど流れな
い。

反対に伸長時にはシールリング３がピストン２
の前部鍔６側に接し、その前部鍔６とダンパーケ
ース４との隙間を塞ぎ、緩衝媒体は矢印に示すよ
うに大径オリフイス７および後部鍔５とダンパー
ケース４との隙間よりピストン２に設けた小径オ
リフイス８に流れ、これらオリフイス７，８によ
つてそれぞれ減衰力を発生させている。

しかし、伸長時においては、圧縮された緩衝媒
体の反力に対する急激なピストンロツドの伸びを
抑えるべく多数の小径のオリフイスに設けている
ものの、小径のためにそのいくつかに緩衝媒体中
に含まれる摺動粉やゴミ等が集中移動して詰まり
やすく、安定した緩衝機能を阻害するおそれがあ
つた。

そこでこの考案は、緩衝媒体とともに流動する
異物に着目して小径オリフイスに異物が詰まるこ
とがないようにした緩衝装置の提供を目的とする
ものである。

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて詳
述する。

図面は、各種機器の開閉に使用される小型の緩
衝装置を示し、これは第２図〜第４図に示すよう
に、ダンパーケース１１に摺動自在に嵌装される
ピストンロツド１２の先端にピストン１３および
シールリング１４を装着して構成されるものであ
つて、ピストン１３は軸方向の中間部を小径に
し、この小径部を挟む両側をそれぞれ大径部にし
た段付き筒体に設けられ、これら大径部の各々の
周面とダンパーケース１１の内周面間に緩衝媒体
流通用の隙間を作り、これら隙間の後部側を第１
周面通路１５とし、前部側を第２周面通路１６と
して設ける。さらに、第１周面通路１５側に相当
する大径部端面には周方向に４個の大径オリフイ
ス１７……を等分して横貫し、ピストン１３の内
孔にピストンロツド１２の先端部を挿通し、その
ピストンロツド１２の先端をカシメてピストン１
３を固着する。

また、ピストン１３の両大径部対向面間には小
径部に相当する空間部１８が形成され、この空間
部１８には大径のシールリング１４が、軸方向に
移動可能に遊嵌されるものであつて、このシール
リング１４は外周面がダンパーケース１１の内周
面と周接し、その接触部分での緩衝媒体の流通を
シールし、伸縮作動に伴い適宜ピストンの前後側
に移動してシールする役目をする。

そして、ピストンロツド１２の先端には、その
端面より軸方向に向けてやや大径のオリフイス連
通路１９をピストン１３の後部側相当位置まで穿
設するとともに、その内方端部にはさらに細孔の
小径オリフイス２０を軸方向に穿孔して設ける。
そしてこの小径オリフイス２０の内方端部と連通
し、かつピストンロツド１２の直径方向に貫設し
たロツド通路２１を設ける。このロツド通路２１
は両開口面がピストン１３の後部内周面にそれぞ
れ対向して設けられ、その開口面と対向するピス
トン１３の内周面には周溝２２を刻設している。

このように構成された緩衝装置を使用すれば、
ピストンロツドの圧縮工程時は第２図に示すよう
に、ダンパーケース１１内の緩衝媒体が第２周面
通路１６、空間部１８および大径オリフイス１７
を流通してピストンの後部側に導びかれ、この際
の大径オリフイス１７を通通する際にその圧縮に
適した所定の減衰力が発生し、円滑で安定した緩
衝作用が得られる。

一方、伸長工程時は第３図に示すように、緩衝
媒体が周溝２２、ロツド通路２１、小径オリフイ
ス２０およびオリフイス連通路１９を流通してピ
ストン１３の前部側に導びかれ、この小径オリフ
イス２０の通過時に伸長工程に適した減衰力が発
生し、円滑で安定したピストンロツドの伸長作動
が得られる。

この際、緩衝媒体内に仮に摺動金属粉やゴミ等
の異物が混入していても周溝２２によつて捕捉さ
れるため、小径オリフイス２０は目詰りを起こす
ことがなくなる。

第５図および第６図はこの考案の他の実施例を
示し、これは周溝３２を径方向に設けたものであ
つて、この周溝３２はピストン３３の内周面後端
部に刻設した周方向の内周溝３２ａと、これと連
通すべく放射状に刻設したスリツト３２ｂとの組
合せによつて設ける。このように周溝３２は適宜
任意形状に設けても上記周溝と同様の作用効果を
得ることができる。

この考案は上述のごとく、ピストンロツドとピ
ストンとの簡単な組合せによつて小径オリフイス
に対する目詰り防止用の周溝を形成でき、この周
溝により緩衝媒体とともに移動する異物は伸縮作
動時に捕捉され、小径オリフイスの目詰りが解消
されて、常に安定した性能のよいピストンの伸縮
作動とその緩衝機能が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の緩衝装置の伸縮状態を示す要部
縦断面図、第２図はこの考案の一実施例における
緩衝装置の圧縮状態を示す要部縦断面図、第３図
はその伸長状態を示す要部縦断面図、第４図は第
２図のＡ−Ａ断面図、第５図はこの考案の他の実
施例における緩衝装置の圧縮状態を示す要部縦断
面図、第６図はそのピストンを示す側面図であ
る。 １２……ピストンロツド、１３，３３……ピス
トン、１９……オリフイス連通路、２０……小径
オリフイス、２１……ロツド通路、２３，３２…
…周溝、３２ａ……内周溝、３２ｂ……スリツ
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 減衰力発生用の大径オリフイスおよびシールリ
   ングを備えたピストンをピストンロツドを介して
   ダンパーケース内に摺動自在に嵌装し、そのピス
   トンの伸縮時にシールリングがピストンとダンパ
   ーケースとの隙間を閉じて減衰力を発生するよう
   にした緩衝装置において、前記ピストンロツドの
   先端と連通する小径オリフイスをこのピストンロ
   ツドの内方に開口して設け、この小径オリフイス
   の内方先端部に連通してピストンロツドの直径方
   向に貫設したロツド通路の開口面をピストン内周
   面の後部側に対向して設けるとともに、その対向
   するピストンの内周面には周溝を刻設したことを
   特徴とする緩衝装置。