JPS6244453Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電子顕微鏡において、試料を光軸と直
交する方向から挿入するタイプ（サイドエントリ
ータイプ）の試料移動装置に関する。

斯かるサイドエントリータイプにおける試料移
動装置としては第１図に示す様な構造のものが広
く使用されている。

図中、１は電子顕微鏡の鏡筒、２は該鏡筒１の
壁に回転可能に挿入された傾斜体で、その軸心が
電子線光軸Ｚと交叉する様に置かれており、又該
傾斜体２の内側には球体軸受３を介して保持筒４
が同芯状に、しかも回動且つ移動可能に挿入され
ている。該保持筒４の内側には試料ホルダー５が
同芯状に移動可能に挿入されている。該試料ホル
ダー５の一端（真空側）は対物レンズの上磁極
（図示せず）と下磁極６との間に挿入され、又光
軸Ｚと交叉する部分に試料７が装着されている。
８は前記保持筒４を球体軸受３を中心にして回動
させることにより試料７を試料ホルダー５の軸心
と直交する方向（Ｙ方向）に水平移動させるため
の押しネジで、傾斜体２に螺合されている。又該
押しネジの反対側にはこの押しネジと保持筒との
係合を常に維持するためのスプリング９が設けて
ある。

１０は前記鏡筒１の壁に移動可能に貫通，保持
された駆動棒で、該駆動棒は前記傾斜体２の軸心
の延長線上におかれ、且つ光軸Ｚを中心にして試
料ホルダー５の鏡筒１への挿入位置と反対側に置
かれる。又該駆動棒の真空側は連結棒１１を介し
て前記試料ホルダー５の先端に連結されている。
この連結棒１１の試料ホルダー５と駆動棒１０と
の夫々の連結点１２及び１３部分において例えば
ピポツト，ピポツト軸受が用いられ、連結棒１１
が試料ホルダー５及び駆動棒１０に対して夫々自
由に傾動（回動）できる様に係合されている。１
４は該連結棒１１を常に駆動棒１０側に押し付け
るためのスプリングで、試料交換のために試料ホ
ルダー５を図中右方向に移動して保持筒４からぬ
き出した際、連結棒１１が駆動棒１０から外れる
のを防止する役目を果し、該スプリング１４は駆
動棒１０に固定された案内筒１５に保持されてい
る。

一方前記駆動棒１０の大気側には鏡筒１に回動
自在に保持されたテコ体１６の一端が係合されて
いる。前記テコ体１６の他端には鏡筒１に螺合さ
れた押しネジ１７が係合されている。従つて該押
しネジ１７を回して前後させると、テコ体１６を
介してその前後移動が駆動棒１０に伝達されるた
め、連結棒１１及び試料ホルダー５が軸心方向
（Ｘ方向）に移動し、試料７がＸ方向に移動す
る。その結果、押しネジ８と１７とを任意に操作
することにより試料７を任意方向に水平移動させ
ることができる。一方傾斜体２を回せば、球体軸
受３を介して保持筒４及び試料ホルダー５が回転
するため、試料７を傾斜させることができる。尚
図示しないが試料ホルダー５を球体軸受３を中心
にして紙面に対して垂直方向に首振運動させ、試
料７を光軸Ｚ方向に移動させるための押しネジが
傾斜体２に螺合されている。又前記保持筒４と試
料ホルダー５及び鏡筒１と駆動棒１０との夫々の
間にはキー及びキー溝が設けてあつて、試料ホル
ダー及び駆動棒の回転は阻止してある。

斯かる従来装置においては、試料７をＹ方向に
移動せしめる際の試料ホルダー５の首振運動をス
ムーズに行うために、試料ホルダー５と駆動棒１
０との間に連結棒１１を介在せしめているので、
耐振性に弱く、外部振動の影響を受けやすい。

本考案は斯様な点に鑑み、耐振性の向上をはか
ることを目的とするもので、以下第２図に基づき
詳説する。

第２図は本考案の要部を示す拡大断面図であ
り、第１図と同一番号は同一構成要素を示す。

即ち本実施例においては案内筒１５の内側に連
結棒１１を遊嵌させる穴１８を有したゴム製のシ
ール用仕切板１９を設置し、この仕切板１９によ
り仕切られた室２０に例えば粘度の高いグリース
２１を充填させたことに特徴がある。前記連結棒
１１には仕切板１９に接触した鍔部２２が設けて
あり、この鍔部とシール用仕切板との接触部にお
いてグリース２１が漏れるのを防止している。又
前記案内筒１５と駆動棒１０との接続にあたつて
も図示しないがパツキングを用いたり或はロー付
等を施すことによりグリース２１が漏れない様に
構成してある。

斯くして連結棒１１を粘度の高いグリース２１
内で動かそうとした場合、グリースの粘性抵抗，
せん断抵抗により動きに逆らう力が発生する。こ
の様に連結棒の動きに逆らう力が発生すると何等
の力が発生しないもの（従来の様に連結棒を真空
中で動かす構成）に比べて見掛上の剛性が著しく
増し、その結果耐振性が向上するため、外部振動
に対して強い試料移動装置を提供することができ
る。

尚、前述の説明では連結棒１１の一部分をグリ
ース内に配置させたが、これに限定されることな
く、案内筒１５を連結棒１１よりも長くして連結
棒全体を案内筒内に収納するようにすると共に、
仕切板１９及び鍔部２２の位置を連結棒の右側端
部に移すことにより連結棒の略全体をグリース内
に配置させても良い。

又、駆動棒１０と案内筒１５とは別々に構成し
たが、一体に構成してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す平面断面図、第２図は本
考案の要部を示す拡大断面図である。 １……鏡筒、５……試料ホルダー、７……試
料、１０……駆動棒、１１……連結棒、１２及び
１３……連結点、１４……スプリング、１５……
案内筒、１６……テコ体、１８……穴、１９……
仕切板、２０……室、２１……グリース、２２…
…鍔部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸心が電子線光軸と直交するようにおかれ且つ
   光軸と直交した平面内で鏡筒１に対して回動可能
   に取り付けられた保持筒４と、該保持筒内に移動
   可能に挿入され且つ試料７を保持した試料ホルダ
   ー５と、前記保持筒を回動させて試料を試料ホル
   ダーの軸心と直交する方向に移動させるための手
   段と、光軸を中心にして前記試料ホルダーの挿入
   位置と反対側におかれた駆動体１０と、該駆動体
   と前記試料ホルダーの先端とを連結し且つ夫々の
   連結点において互いに回動できるように係合され
   た連結棒１１と、前記試料を移動させるため前記
   駆動体を試料ホルダーの軸心方向に移動させる手
   段と、前記連結棒の一部あるいは全部を収納する
   ように前記駆動体に設けられた案内筒１５と、前
   記連結棒が前記駆動体から外れるのを防止するた
   めに該連結棒と前記案内筒との間に介在させた弾
   性体１４とを備え、前記連結棒に鍔２２を設ける
   と共に、前記連結棒の動きを阻害しないように前
   記鍔に接触する環状のシール用仕切板１９を前記
   案内筒内面に設け、該シール用仕切板と鍔と案内
   筒とで囲まれた室２０内に粘性物質２１を充填し
   たことを特徴とする電子顕微鏡等における試料移
   動装置。