JPS6243125Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は合成樹脂製のクリツプを介して２部材
を係止する係止構造に関するものである。

例えば自動車において、モールやグリル等をボ
デーパネルに固着する場合、合成樹脂製のクリツ
プが用いられている。クリツプは一般に基板を有
し、この基板を取付部材たるモール等に係止せし
め、弾発性を有するクリツプを被取付部材たるボ
デーパネルの穴に圧入してその形状復元力で穴に
係止せしめ、もつてモール等をボデーパネルに固
着する構造となつている。

ところで、クリツプを予め取付部材に固定して
おくと、クリツプの位置と被取付部材の穴の位置
が合致しないことがあり、無理にクリツプを被取
付部材の穴に押込むとクリツプが破損することが
ある。また、金属製のボデーパネルと合成樹脂の
モール等とは熱膨脹係数が異なるために温度変化
で両者にズレが生じ、このためクリツプが傷むこ
とがある。

そこで第１図に示すようにクリツプ１の基板２
を係止する取付部材４の支持部５を長穴状とした
り、また被取付部材のクリツプ挿入穴を長穴状と
してクリツプと、取付部材ないしは被取付部材の
相対移動を許す構造としたものがあるが、基板２
と長穴との接触面積が小さいためガタが生じやす
く、また上記のズレが発生すると接触部に応力が
集中して破損が生じやすい。

そこで本考案は、取付部材と被取付部材とのズ
レを吸収することができ、かつ係止状態が安定な
クリツプを有する係止構造を提供することを目的
とするものである。

しかして本考案はクリツプの基板の左右の上端
および下端よりそれぞれ上方向および下方向に山
形をなす弾性係止腕を横方向へ延出せしめ、一
方、取付部材の裏面には所定位置に、断面Ｌ字形
で取付部材面との間に直線状の溝を形成し、長さ
が左右の弾性係止腕の頂点間距離よりも短かく、
左右の弾性係止腕の基端間距離よりも長い上下１
対の支持部を対向せしめて形成し、該支持部間に
上記弾性係止腕を嵌入して支持部の左右両端面で
左右の係止腕をその根元側の傾斜面で係止せし
め、上記クリツプを被取付体の穴に圧入係止せし
める構造としたものである。

以下、本考案の詳細を第２図ないし第７図に示
す実施例により説明する。

第２図は合成樹脂のクリツプを示すもので長方
形の基板２の中央からはクリツプ１が突出してい
る。クリツプ１は全体として先細りの円錐状で二
つに分岐しており、これにより径方向の変形が可
能である。根元部には溝状の小径部１１が形成し
てある。

基板２の左右の上端からは上方向へ山形に突出
する弾性係止腕３ａ、３ｂが左右方向へ延出して
いる。また左右の下端からは下方向へ山形に突出
する弾性係止腕３ｃ、３ｄが左右方向へ延出して
いる。クリツプ１、および係止腕３ａ、３ｂ、３
ｃ、３ｄを有する基板２は合成樹脂の一体成形品
である。

一方、第３図に示すように板状の合成樹脂製取
付部材４はその裏面には所定位置に、断面Ｌ字形
で直線状の上下１対のクリツプ支持部５ａ、５ｂ
を有し、支持部５ａ、５ｂと取付部材面との間に
は溝５１ａ、５１ｂが形成される。これ等支持部
５ａ、５ｂの長さは、左右の弾性係止腕３ｃ、３
ｂおよび３ｃ、３ｄの頂点間距離よりも短かく、
基端間距離よりも長い長さとしてある。そしてそ
の支持部５ａ、５ｂ間には弾性係止腕３ｃ、３ｃ
および３ｂ、３ｄを対向方向に撓ませつつ一方の
側から嵌入することにより基板２が係止せしめら
れる。このとき第３図、第４図に示すように各弾
性係止腕３ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄはこれ等の頂点
よりも根元側の傾斜面において支持部５ａ、５ｂ
の左右端面で係止せしめられるようにしてある。

このようにして取付部材４に係止せしめられた
クリツプ１の先端に第５図に示すように金属製の
被取付部材６のクリツプ挿通穴６１が対向せしめ
られる。そして次に第６図、第７図に示すように
クリツプ１をその変形性によりクリツプ挿通穴６
１に圧入し、穴６１がクリツプ１の根元小径部１
１に至ると先端部が形状復元し、被取付部材６と
クリツプ１とは結合される。これにより取付部材
４はクリツプ１を介して被取付部材６に係止され
るのである。

しかして本考案の係止構造では、弾性係止腕３
ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄは、その山形に突出する頂
点より根元側の傾斜面にて取付部５ａ、５ｂの左
右両端面に係止されているので、該端面は弾性係
止腕を変形せしめつつ傾斜面を滑動し、クリツプ
１は取付部材４に対し円滑に相対移動できる。従
つて、クリツプ１と被取付部材６の穴６１との位
置が多少ずれていても位置調整が可能であり、ま
た取付状態において、熱変形等で被取付部材６と
取付部材４間にズレが生じてもクリツプ１と取付
部材４との相対移動により吸収される。そして特
に本考案の係止構造では、取付部材４の支持部５
ａ、２ｂの端面がクリツプ基板２の弾性係止腕３
ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄの根元側の傾斜面と係合
し、従つて係止腕３ａ、３ｂおよび３ｃ、３ｄは
それぞれ取付部材４の裏面の所定位置に形成され
た支持部５ａおよび５ｂをその両側から狭むよう
な状態で係止されているので、クリツプ１は予め
取付部材４の裏面の所定位置に容易に組付けられ
るとともに、ガタのない極めて安定した係止状態
が得られるのである。

また、本考案の係止構造は構造が簡易であつて
係止作業も容易である。

なお、本考案のクリツプの複数を用いてモール
等を車両ボデーに係止する場合には、モールの中
央の１個所にはモールとボデーの相対移動を許さ
ない従来タイプのクリツプを位置決め用として用
いた方がよい。

本考案は、特に自動車においてボデーパネルへ
合成樹脂部材を係止する場合に適用して極めて有
効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のクリツプによる係止構造を示す
図、第２図ないし第７図は本考案の実施例を示す
もので、第２図はクリツプの斜視図、第３図はク
リツプを取付部材に係着した状態を示す図、第４
図は第３図の−線に沿う断面図、第５図はク
リツプを被取付部材の穴に挿入する直前の状態を
示す図、第６図はクリツプを介して取付部材およ
び被取付部材が結合された状態を示す図、第７図
は第６図の−線に沿う断面図である。 １……クリツプ、２……基板、３ａ，３ｂ，３
ｃ，３ｄ……弾性係止腕、４……取付部材、５
ａ，５ｂ……支持部、６……被取付部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂よりなるクリツプの基板を取付部材に
   係止せしめクリツプを被取付部材の穴に圧入係止
   せしめる係止構造において、上記基板の左右の上
   端および下端よりそれぞれ上方向および下方向に
   山形を成す弾性係止腕を横方向へ延出せしめ、取
   付部材の裏面には所定位置に、断面Ｌ字形で取付
   部材面との間に直線状の溝を形成し、長さが左右
   の弾性係止腕の頂点間距離よりも短かく、基端間
   距離よりも長い上下一対の支持部を相対向せしめ
   て形成し、上記弾性係止腕を上記両支持部間に嵌
   入して各弾性係止腕をその根元側の傾斜面におい
   て上記支持部の左右端面に係止せしめ、上記クリ
   ツプを被取付部材の穴に圧入係止せしめて取付部
   材を被取付部材に固定せしめてなるクリツプを有
   する係止構造。