JPH046367Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《考案の分野》 この考案は、部品取付用クリツプの取付構造の
改良に関する。

《従来技術とその問題点》 例えば、ルーフガーニツシユ、各種ピラー類等
の自動車用内装部品を自動車のインナーパネルに
取付ける手段としては、樹脂成形体からなる内装
部品の裏面側にリブを突設しておき、このリブに
鉄製のクリツプを固定した後、このクリツプをイ
ンナーパネル側に形成された取付孔に弾性的に嵌
合させることにより、内装部品をインナーパネル
の側面に取付けるようにしている。

第３図、第４図は従来の部品取付用クリツプの
固定構造の一例を示すもので、図面において内装
部品の樹脂製基板１の裏面には、クリツプ２を装
着固定するための係止部３が一体に設けられてい
る。

この係止部３は、一対のガイド壁４，４と、こ
のガイド壁４，４の中央にそれより１段高く突設
されたリブ５と、リブ５の側方に形成されたスト
ツパ条片６，６とから構成されている。

一方、クリツプ２は弾性を有するバネ鋼等を略
Ｕ字状に曲成し、かつその両端には外方に折曲し
た係止片２ａ，２ａが形成されている。

さらに中央部を切り起こして膨出させ、外方に
拡開可能な弾性嵌合片２ｂ，２ｂが設けられ、こ
の弾性嵌合片２ｂ，２ｂが車体パネル７の取付孔
８に嵌合される。

ところで、上記クリツプ２を基板１に装着する
には、クリツプ２を係止部３の先端から挿通させ
ている。すなわち、クリツプ２自体のバネ性でリ
ブ５を挾持させつつ、このクリツプ２を所定位置
までスライドさせている。

なお、ガイド壁４，４にはその内側にクリツプ
抜け落ち防止用の係止用突条４ａ，４ａが設けら
れ、クリツプ２の係止片２ａ，２ａが上記係止用
突条４ａ，４ａに係止することにより、クリツプ
２の脱落を防止している。

さらに、上記クリツプ２の長さ寸法は、車体パ
ネル７に設けられた取付孔８の長さよりも通常短
く設定されており、クリツプ２のスライド方向の
位置ズレを吸収する構成になつている。

しかしながら、クリツプ２のスライド方向と直
交する方向（係止部の幅方向）に対するクリツプ
２の位置ズレについては、何等考慮されていない
のが実情である。

したがつて、基板１の係止部３に厳密な成形精
度が要求されるばかりか、相手部品である車体パ
ネルの取付孔についても同様の精度が要求され
る。

さらにクリツプ２を正確に位置決め、固定しな
ければならず、少しでも両者に誤差があつた場合
には、車体パネルへの装着は不可能になるなどの
不具合があるとともに、車体パネルと基板１との
間に熱伸縮率の差異により、基板１に変形が生じ
るという欠点も指摘されていた。

加えて、樹脂製基板１の裏面に形成される係止
部３の形状が複雑であり、その成形金型の型加工
ならびに型保守等が面倒であり、コストアツプに
つながる不利益も見逃せない。

しかも、係止部３に対するクリツプ２を確実に
取付るようにすれば、クリツプ２を挿通させる操
作が窮屈なものとなり、作業能率が低下する。逆
に、作業能率を向上させるために、クリツプ２の
挿通し易い構成にすれば、クリツプ２を確実に保
持することができず、車体パネルに内装部品を装
着した後、走行中の振動等により内装部品がガタ
つき、安定感が悪いとともに異音発生が生ずる等
の不具合があつた。

《考案の目的》 この考案は上述の事情に鑑みてなされたもの
で、本考案の目的とするところは、内装部品に装
着したクリツプの位置ズレが前後左右如何なる方
向に生じても、相手部品に取付ける際、これらの
位置ズレを効果的に吸収することができ、しかも
簡易な構造でありながら、クリツプを容易に内装
部品に装着することを可能にした内装部品取付用
クリツプの固定構造を提供することにある。

《考案の構成と効果》 上記目的を達成するために、本考案は、内装部
品の裏面側に装着されるクリツプの嵌合片が車体
パネルの取付孔に圧入嵌合されて、内装部品が車
体パネルに取着されるようにした内装部品取付用
クリツプの取付構造において、 前記内装部品の裏面には、クリツプの挿入方向
に沿つて条設されたリブと、このリブの両側に形
成されたアリ溝状のガイドレールが形成される一
方、上記クリツプは、リブ上縁に当接する取付部
と、取付部のほぼ中央にこの取付部と一体に膨出
形成させた弾性嵌合片と、取付部の両側に形成さ
れ、ガイドレール下面に当接する両側フランジ部
とからなり、上記クリツプがリブの上縁ならびに
ガイドレールの下面間で上下側から挾持されると
ともに、クリツプの幅が、ガイドレールの内径よ
り小さく設定されていることにより、上記クリツ
プがその幅方向に沿つて移動可能に装着されてい
ることを特徴とする。

すなわち、本考案によれば、クリツプの取付部
の下側がリブの上縁に当接し、かつ取付部の両側
フランジ部がガイドレール下面に当接して、クリ
ツプの取付部がリブならびにガイドレール下面と
の間で上下側から挾持されているとともに、この
クリツプの幅がガイドレールの幅よりも小さく設
定されているため、クリツプがガイドレール内で
その幅方向に移動可能であるから、従来から行な
われていた、クリツプの挿入方向に沿う位置ズレ
吸収に併せて、クリツプの挿入方向と直交する方
向の位置ズレをも確実に吸収することができるた
め、内装部品取付時の安定性を図ることができ、
加えて、車体パネルと内装部品との間の熱収縮率
の差異によつて生じる変形歪をも、このクリツプ
の移動により吸収することができる。

また、本考案にあつては、クリツプのバネ性を
利用し、クリツプの幅方向両側を下側に押えつけ
てガイドレールの内面に当接させつつ、取付部下
面をリブ上縁に沿わせてガイドレール内にこのク
リツプを挿入すればよいものであるから、クリツ
プを内装部品裏面に容易に取付けることができる
利点があるとともに、従来の係止部の形状に比べ
て、アリ溝状のガイドレールと単純なリブを条設
するという簡易な構造であるので、型加工ならび
に型保守等が簡素化され、コストダウン等につな
がる等の効果もある。

《実施例の説明》 以下、本考案に係る部品取付用クリツプの固定
構造の一実施例を第１図、第２図に基いて詳述す
る。

第１図は本考案の全体構造を示す斜視図であ
り、第２図は車体パネルに対して内装部品を取付
けた状態を示す断面図である。

図面において、符号１０はルーフガーニツシ
ユ、各種ピラー等の内装部品の基板であり、通常
合成樹脂の射出成形により成形されている。上記
基板１０の裏面１０ａには、アリ溝状のガイドレ
ール１１が一体的に形成されており、かつこのガ
イドレール１１の間に３条のリブ１２がクリツプ
の挿入方向に沿つて条設されている。

なお、図中符号１３は、上記ガイドレール１１
内のアリ溝を示し、１４はガイドレール１１上面
中央に沿つて形成されている開口を示す。

そして基板１０の裏面に固定されるクリツプ１
５は、バネ鋼等を適宜形状に折曲形成して得られ
るが、このクリツプ１５は、基板１０側に取付け
られるほぼフラツトな取付部１６と、この取付部
１６の幅方向両端を上方に向け折曲し、かつその
先端を取付部１６と平行に延在させた両側フラン
ジ部１７と、この取付部１６のほぼ中央を上側に
向け膨出状に形成した弾性嵌合部１８とからな
る。

この弾性嵌合部１８の両側には、一対の係止爪
１９が切り起こされ、この係止爪１９により車体
パネル２０に設けた取付孔２１内に弾性嵌合され
る。

そして、このクリツプ１５を内装部品の基板１
０に取付けるに当たつては、第１図中矢印で示す
ようにクリツプ１５の取付部１６をガイドレール
１１内のアリ溝１３内に挿入すればよいが、実際
の挿入作業に当たつては、取付部１６をリブ１２
の上縁に沿わせ、かつクリツプ１５の両側フラン
ジ１７を下側に押圧させた状態でガイドレール１
１の内面（実際には図中符号１１ａで示す基板１
０と平行な面）に当接させてフランジ１７の一方
端に形成したストツパ片１７ａがガイドレール１
１の端部に突き当たる所まで挿入させればよく、
また、フランジ１７の他方端には抜止め片１７ｂ
が形成され、このクリツプ１５が不用意に脱落し
ない構成になつている。。

なお、上記クリツプ１５の弾性嵌合部１８の寸
法（図中符号ａで示す）と車体パネル２０の取付
孔２１の寸法（図中符号ｂで示す）との関係は、
ａ＜ｂであるため、第１図中Ｘ軸方向のクリツプ
１５の位置ズレを吸収することは従来から行なわ
れている。

さらに本願にあつては、第１図中Ｙ軸方向に沿
うクリツプ１５の位置ズレ吸収について、第２図
で明らかなように、クリツプ１５の幅（第２図中
符号ｃで示す）が、ガイドレール１１の内径（第
１，２図中符号ｄで示す）より小さく設定されて
いるため、クリツプ１５はガイドレール１１内で
その幅方向に沿つて移動可能である。したがつ
て、第１図に示すＹ軸方向に沿うクリツプ１５の
位置ズレも吸収可能となる。

このように本願の内装部品取付用クリツプの固
定構造にあつては、Ｘ軸，Ｙ軸の両方向ともにク
リツプの位置ズレ吸収が可能であり、内装部品と
車体パネル２０との取付公差を吸収できるばかり
か、内装部品と車体パネル２０との間の熱伸縮率
の差異により、内装部品側が変形したとしても、
この変形歪をクリツプ１５が移動することによ
り、吸収することができ、内装部品の変形を未然
に防止することができる。

さらにこの実施例にあつては、クリツプ１５の
取付部１６の下面のほぼ中央ラインにクリツプ挿
入方向に沿つて凹部２２が形成され、頂度この凹
部２２が中央のリブ１２ａと嵌まり合うことによ
り、このガイドレール１１内の適切位置にクリツ
プ１５をセンタリングする構成になつている。な
お、この実施例にあつては、弾性嵌合部１８の先
端が先細に形成され、内装部品の車体パネル２０
に対する取付作業性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第２図は本考案に係る部品取付用
クリツプの固定構造の一実施例を示すもので、第
１図は全体構造を示す分解斜視図、第２図は取付
構造を示す縦断面図、第３図は従来例を示す部品
取付用クリツプの全体構造を示す分解斜視図、第
４図は同じく従来例を示す部品取付用クリツプの
取付状態を示す縦断面図である。 １０……ベース基板、１１……ガイドレール、
１２……リブ、１３……アリ溝、１４……開口、
１５……クリツプ、１６……取付部、１７……両
側フランジ部、１８……弾性嵌合部、１９……係
止片、２０……車体パネル、２１……取付孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 内装部品の裏面側に装着されるクリツプの嵌合
   片が車体パネルの取付孔に圧入嵌合されて、内装
   部品が車体パネルに取着されるようにした内装部
   品取付用クリツプの取付構造において、 前記内装部品の裏面には、クリツプの挿入方向
   に沿つて条設されたリブと、このリブの両側に形
   成されたアリ溝状のガイドレールが形成される一
   方、上記クリツプは、リブ上縁に当接する取付部
   と、取付部のほぼ中央にこの取付部と一体に膨出
   形成させた弾性嵌合片と、取付部の両側に形成さ
   れ、ガイドレール下面に当接する両側フランジ部
   とからなり、上記クリツプがリブの上縁ならびに
   ガイドレールの下面間で上下側から挾持されると
   ともに、クリツプの幅が、ガイドレールの内径よ
   り小さく設定されていることにより、上記クリツ
   プがその幅方向に沿つて移動可能に装着されてい
   ることを特徴とする内装部品取付用クリツプの固
   定構造。