JPS6242076Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、一側の吊元側が戸枠に蝶着される開
き戸における沓摺部の密閉構造に関するものであ
る。

今日、吊元側が戸枠に蝶着されることによつて
開閉する所謂開き戸においては、戸枠の左右及び
上枠部を対応する開き戸周縁部に接当せしめるこ
とによつて密閉しているが、沓摺部（下枠部）を
上記他枠部同様、床面から突出せしめて開き戸下
端縁部を接当せしめることで密閉するようにした
場合、沓摺部の突出が邪魔であつて、開口部を出
入りする際に人がつまずいたり、台車の円滑な走
行が阻害されたりして好ましくない。そこで、従
来沓摺部を床面と面一状にし、開き戸が閉塞する
ことに連動して気密部材が下動し、沓摺部での密
閉を行なうようにしたものであるが、このものは
気密部材が弾機によつて下方に付勢されており、
開き戸が閉塞した際に、気密部材に設けた戸車が
凹溝に落込むと共に弾機による付勢力を受けて垂
直方向に下動することによつて密閉するようにな
つている。したがつてこのものは、開き戸の開閉
作動時においても常に弾機による付勢力を受ける
ため、開閉作動が重くなつてしまうという欠点が
ある許りでなく、これをホテルの客室等の場合に
おいてしばしばみられるように、新聞等の差込物
をこの沓摺部から差込む場合、差込物を下降して
いる気密部材に押当てただけでは不充分であつ
て、気密部材を別途部材によつて持上げてからで
なければ差込物を差込むことができないという欠
点があり、従つてさらにこれらの点を改良しなけ
ればならないという問題があつた。

本考案は、上記の如き実状に鑑みこれらの欠点
を一掃することができる開き戸における沓摺部の
密閉構造を提供することを目的としたものであつ
て、吊元側が蝶着された開き戸の下フレーム下方
に配設せしめた左右幅方向に長い気密部材に、開
き戸の開閉作動時に床面上を転動する車体を設
け、かつ床面には開き戸の閉鎖位置で車体が落込
む凹溝を設けると共に、上記気密部材を、軸芯が
左右水平方向を向き、開き戸の一方の面板側に設
けた揺動支軸を介して前後方向に偏位する状態で
上下揺動自在に軸支して、開き戸が閉鎖位置に達
し車体が凹溝に落込むことで気密部材が自重降下
し、他方の面板側上方への退避を許容する状態で
床面に接当して沓摺部の気密を行なうべく構成し
たことを特徴とするものである。

そして本考案は、この構成によつて、沓摺部を
気密部材によつて密閉することができるものであ
りながら、開き戸の開閉作動が何ら重くなること
なく、しかも新聞等の差込物を簡単かつ確実に差
込むことができるようにしたものである。

次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。図面において、１はは吊元側が図示しない蝶
番によつて回動自在に蝶着された開き戸であつ
て、床面Ｆに対して間隙ａを存しているが、該開
き戸１の下フレーム２の下方には空隙部３が形成
されている。４はこの空隙部３に配設される円筒
状鋼管からなる気密部材であつて、該気密部材４
の端部には、軸芯が開き戸１の開閉移動方向に対
応する様左右水平方向を向いた車体５が回動可能
に取付けられていると共に、この車体５を囲み、
かつ遊端部が開き戸１の内側面に近接するように
設定された略コ字状の側部閉鎖板６が設けられて
いる。７は気密部材４の両端近くに先端部が固着
された揺動支軸であつて、該揺動支軸７の基端部
は開き戸１の一方の面板１ａに固定された軸受ブ
ラケツト８に、その揺動軸芯が左右水平方向に向
くよう揺動自在に軸支されている。そして気密部
材４は、開き戸１の開閉作動時において車体５が
床面Ｆを転動している際には床面Ｆから離間して
いるが、開き戸１が閉鎖し、車体５が床面Ｆに形
成した凹溝１０に落込むことによつて自重回動で
降下して床面Ｆに接当し、沓摺部の密閉をするよ
うになつているが、本考案では、この気密部材４
の自重回動は、揺動支軸７の軸芯位置よりも下側
で行ない、気密部材４の軸芯が第２図に示す如く
O₁からO₂位置に円弧状に偏位して開き戸１の前
後方向の偏位量ｘを存し、この下降状態で気密部
材４は一方の面板１ａから他方の面板１ｂ側上方
への退避ができるようになつている。

尚、図中、９は気密部材４が上動した際におい
て軸受ブラケツト８との干渉を防ぐために形成し
た溝、また１１は開き戸１に張設した鉛板であつ
て、放射能遮蔽用に使用できるものである。さら
に、前記側部閉鎖板６は、気密部材４の下動時
に、凹溝１０からの通気をなくすべく凹溝１０の
縁部に沿つて形成されている。

叙述の如く構成された本考案の実施例におい
て、開き戸１は、閉鎖した場合を除き、車体５が
床面Ｆを転動する状態になつているが、これを閉
鎖せしめると、車体５が凹溝１０に落込んで気密
部材４が下動して床面Ｆに接当し、沓摺部を密閉
することとなる。

この様に、本考案では、開き戸１の閉鎖に連動
して気密部材４による沓摺部の自動的な密閉を行
なうことができるものであるが、この気密部材４
は、該気密部材４と平行な左右水平方向を向いた
揺動支軸７を軸芯として前後方向への偏位を伴な
いながら上下揺動するものであるので、このもの
を例えばホテルの出入口に、揺動支軸７が軸支さ
れる一方の面板１ａを室外側に位置せしめるよう
建付けることによつて、開き戸１の閉鎖時におい
て、室外側（廊下側）から新聞等の差込物を差込
む場合に、差込物を室外側から気密部材４に当て
てそのまま他方の面板１ａ側に向け押込めば、該
気密部材４は揺動支軸７を軸芯として室内側上方
に向けて揺動することとなり、従つて、気密部材
４によつて沓摺部を気密できるようにしたもので
ありながら、差込物の差込みを簡単かつ確実に行
なうことができる。

しかもこの気密部材４は、開き戸１の開閉作動
時には車体５が床面Ｆ上を転動すると共に、自重
降下を利用するものであるので、開き戸１の開閉
が弾機を用いた従来のものの如く重くなつてしま
うようなことが全くない。

以上要するに、本考案は、叙述の如く構成され
たものであるから、開き戸の閉鎖と共に車体が凹
溝に落込むことによつて気密部材が降下して床面
に接当し、沓摺部の密閉を行なうものでありなが
ら、気密部材の降下は、自重によるものであるの
で、開き戸の開閉作動が、弾機を用いた従来のも
のの如く重くなつてしまうようなことはない。し
かも気密部材は、上記降下した状態において、一
方の面板側から他方の面板側上方への退避ができ
るよう、左右水平状の揺動支軸に軸支されている
ので、新聞等の差込物を一方の面板側から気密部
材に押当てることで、気密部材を容易に上方に退
避せしめ得て差込物の差込みを簡単かつ確実に行
なうことができ、従つて、沓摺部の気密を行なう
気密部材を設けたものであつても、何ら支障なく
差込物の差込みができることとなるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る開き戸における沓摺部の
密閉構造の一実施例を示したものであつて、第１
図は開き戸の要部水平断面図、第２図は開き戸の
開放状態を示す要部縦断面図、第３図は開き戸の
閉鎖状態を示す要部縦断面図である。 図中、１は開き戸、１ａ，１ｂは面板、２は下
フレーム、３は空隙、４は気密部材、５は車体、
６は側部閉鎖板、７は揺動支軸、８は軸受ブラケ
ツト、９は切欠、１０は凹溝、１１は鉛板であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吊元側が蝶着された開き戸の下フレーム下方に
   配設せしめた左右幅方向に長い気密部材に、開き
   戸の開閉作動時に床面上を転動する車体を設け、
   かつ床面には開き戸の閉鎖位置で車体が落込む凹
   溝を設けると共に、上記気密部材を、軸芯が左右
   水平方向を向き、開き戸の一方の面板側に設けた
   揺動支軸を介して前後方向に偏位する状態で上下
   揺動自在に軸支して、開き戸が閉鎖位置に達し車
   体が凹溝に落込むことで気密部材が自重降下し、
   他方の面板側上方への退避を許容する状態で床面
   に接当して沓摺部の気密を行なうべく構成したこ
   とを特徴とする開き戸における沓摺部の密閉構
   造。