JPS624206Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は座席、特に自動車の座席に内蔵する腰
椎支持装置に関する。

座席に着座した場合腰椎が押圧されると背筋を
伸すことができ、姿勢が良くなると共に上半身が
楽に支持されることになるので特に自動車の座席
に腰椎支持装置を内蔵する時は運転者の疲労が半
減され運転が快適に行えることになる。

そのため従来は腰椎を支持するために自動車の
座席には腰椎に当接する腰椎支持装置を内蔵して
いたが、この支持装置は単に腰椎部のみを支持す
るだけでその支持圧を変化させることはできず、
腰椎の支持は確実には行えない欠点がある。

一方、バツクシートの腰椎当接部の押し出し度
合即ち、腰椎支持圧を着座者の体格、好みに応じ
て可変でき腰椎部の支持が行える腰椎支持装置が
提案されている（例えば実開昭50−28006号公
報）。これは、フレームに固定されたクランプに
バネが張設されて、そのバネのクランプ張設部よ
り延長された屈曲端末部を傾斜状カム等から成る
押圧手段により押圧して、バネの中間部を前方へ
膨曲させるように構成されている。従つてこの技
術は、バネの延長端末を押圧するとグリツプに張
設された点からバネにトーシヨンが加わり前方へ
湾曲状に膨曲するが、バネのトーシヨンだけの変
化なので膨曲率が弱く着座者の腰椎部に充分な押
圧力をあたえることができなかつた。

そこで本考案は腰椎当接部の押し出し度合即ち
腰椎支持圧を着座者の体格、好みに応じて可変で
き腰椎部の支持が十分に行える腰椎支持装置を提
共するものである。

以上の目的を達成するために本考案の要旨とす
るところはバツクフレームの一側部の下部に固定
され内側斜め方向に傾斜して凹曲円弧状の案内部
が形成された支持枠と、該支持枠に上記案内部に
沿つて移動可能に支持される可動板と中間部前方
へ円弧状に膨曲されて両端部が前方へ所要角度で
曲げられたはねあげ部を設けた多屈曲線状スプリ
ングとを有し、該スプリングの一端のはねあげ部
を上記可動板に固着すると共に他端のはねあげ部
を上記バツクフレームの他側部下部に固定された
固定板に固着し、かつ上記可動板を上記バツクフ
レームの一側部に備えたカムを有する操作部材に
より案内部に沿つて移動操作し、上記スプリング
の膨曲率及び反発力を共に大きく変化させて成
り、バツクシートの腰椎当接部の硬さを調整し得
るようにした自動車等の座席に於ける腰椎支持装
置に存する。

以下本考案の実施例を図面について説明する。
第１図は自動車等の座席Ｓを示し、図において
Sbはバツクシート、Scはクツシヨンシートでバ
ツクシートSbの下部に本考案装置が内蔵され
る。

第２図は座席ＳのバツクシートSbの内部構造
を示し、図において１はバツクフレームで金属管
材により両側フレーム部１ａ，１ｂ、上方フレー
ム部１ｃ及び下方フレーム部１ｄが一体的に連続
して枠状に形成されている。このバツクフレーム
１の両側フレーム部１ａ，１ｂには側板２ａ，２
ｂが固定され、この側板２ａ，２ｂ間の上半部に
通常の如くＳ字状スプリング等の帯状弾性体３が
複数平行に架張され、この下半部に本考案の腰椎
支持装置が設置されている。

この腰椎支持装置Ａの一実施例を第３図及び第
４図について詳細に説明する。バツクフレーム１
の一側フレーム部１ａの下部に状の支持枠４が
相対して固着され、この支持枠４の両側面５，
５′には内側斜め方向に傾斜する凹曲円弧案内部
６，６′が形成されている。この支持枠４に可動
板７が略内外方向に円弧状に移動自在に取付けら
れる。即ち可動板７の両端縁には上述の凹曲円弧
状案内部６，６′に対応して突子８ａ，８ｂ，８
a′，８b′が夫々突設されてこの突子８ａ〜８b′を
凹曲円弧状案内部６，６′に係合させることによ
り、可動板７は凹曲円弧状案内部６，６′に沿つ
て略内外方向に円弧状に移動され、またこの可動
板７の前面側には切起し係止片７ａ，７ｂが突設
されている。

この可動板７の前端縁に対応してカム９が配さ
れ、このカム９は所要間隔で巾方向の係合隆起縁
９a₁，９a₂，９a₃，９a₄…を有し、ブツシユ１０
を介して軸１１により一方の側板２ａに軸支され
ており、軸１１の外端に固着されたハンドル１２
を操作することにより、可動板７の前端縁に当接
して回動される。このカム９の回動により可動板
７は内方へ押圧移動され、この際周面の係合隆起
縁９a₁…が可動板７の前端縁中央部に形成された
凹部１３に係合される。

また、他側フレーム部１ｂには上述の如く一側
フレーム部１ａに設置された、可動板７と対向し
て、固定板１４が固着されており、この固定板１
４には切起し係止片１４ａ，１４ｂが対設されて
いる。

このように構成される可動手段の可動板７と固
定板１４との間にＳ字状スプリング等の多屈曲線
状スプリング（以下弾性体と伝う）１５が架張さ
れる。即ちこの弾性体１５は両端はねあげ部１５
ａ，１５ｂが第５図に示すように前方へ所定角度
θで屈曲されており、この弾性体１５を、両端は
ねあげ部１５ａと１５ｂを夫々可動板７と固定板
１４の前面の係止片７ａ，７ｂと１４ａ，１４ｂ
に、中間部１５ｃが前方へ弧状に膨曲されるよう
に係止固定することにより可動板７と固定板１４
間に架張して本例装置Ａが構成される。

次に以上のように構成される本例装置Ａの動作
について説明する。通常状態においては可動板７
と固定板１４との間に架張された弾性体１５は第
３図及び第５図に実線で示す如く前方にやや膨曲
された状態に位置されている。ここでハンドル１
２により軸１１を介してカム９を回動させ、この
回動によりその大径部が可動板７の前端縁に当接
されることにより可動板７は後方へ押圧され支持
枠４の両側面５，５′の凹曲円弧状案内部６，
６′に沿つて円弧状に内方へ移動される。

この可動板７の内方への移動により、弾性体１
５の可動板７に対する一方のはねあげ部１５ａは
斜め後方へ移動即ち第５図においてはねあげ部１
５ａの屈曲角度θは一定で下方へＸ、内方へＹの
間隔だけ移動され、また他方のはねあげ部１５ｂ
は固定板１４に固定されているため移動されず、
そのため弾性体１５は中間部１５ｃが通常の膨曲
状態から更に膨曲されてばね定数が増大され、座
席ＳのバツクシートSbの腰椎支持部分の押し出
し量が変わると共にその支持部分の硬さが変えら
れて腰椎支持部の押圧力が調整される。

この動作においてカム９をその係合隆起縁部９
a₁…を可動板７の前端縁の凹部１３に順次係合さ
せるように回動することにより弾性体１５の中間
部１５ｃの膨曲度合を順次段階的に変えることが
でき、またこの係合により膨曲調節後のカム９の
不要の回動が防止され、弾性体１５の所要膨曲状
態が保持される。

なお、カム９は周面に隆起縁部のないものを用
いてもよく、また各部材の形状、操作機構等は本
考案の要旨を逸脱しない範囲で多くの変化変更が
可能であることは勿論である。

本考案は叙上の如く構成したので前述の従来装
置（実開昭50−28006号公報）に比べ以下の効果
を有する。

(1) 腰椎部を支持するスプリングは一端屈曲部が
可動板に固着され、他端屈曲部が固定板に固着
されているので可動板の内外方向の円弧状移動
により膨曲率及び反発力が効率よく変化され腰
椎部の硬さ調整が確実に行なわれることにな
る。

即ち、可動板がカムを有する操作部材の操作
により支持枠に対して内方へ円弧状に移動され
るとスプリングの端部の屈曲角度が一定でも可
動板のスプリング固着面の角度が変化するため
スプリングは中間部分が前方へ膨曲されると共
に可動板の内方への移動によりスプリングの架
張支持間隔が縮小（弧の弦が短縮）され、従つ
て弧状に前方へ大きく膨曲されることになり、
この両作用の相乗効果としてスプリングの膨曲
率及び反発力が効果的に変化し、腰椎支持部分
の押出し、硬さ調整が確実に行なえる。

(2) 動作においてスプリングは可動板に固着され
て間接的に押圧操作されるので安定して確実に
動作され、しかもスプリングの他端部はバツク
フレームに固定された固定板に固着するため組
付作業の作業性が良好となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置を適用した自動車等の座席
の斜視図、第２図は本考案装置を備えたバツクフ
レームの斜視図、第３図は第２図における一部省
略した−線拡大断面図、第４図は本考案装置
の可動部分の分解斜視図、第５図は弾性体の変化
状態を示す説明図である。 図中Ｓは座席、Sbはバツクシート、１はバツ
クフレーム、１ａ，１ｂは両側フレーム部、４は
支持枠、７は可動板、９はカム、１４は固定板、
１５はスプリング、１５ａ，１５ｂはスプリング
屈曲端部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バツクフレームの一側部の下部に固定され内側
   斜め後方方向に傾斜して凹曲円弧状の案内部が形
   成された支持枠と、該支持枠に上記案内部に沿つ
   て移動可能に支持される可動板と、中間部が前方
   へ円弧状に膨曲されて両端部が前方へ所要角度で
   曲げられたはねあげ部を設けた多屈曲線状スプリ
   ングとを有し、該スプリングの一端はねあげ部を
   上記可動板に固着すると共に他端はねあげ部を上
   記バツクフレームの他側部下部に固定された固定
   板に固着し、かつ上記可動板を上記バツクフレー
   ムの一側部に備えたカムを有する操作部材により
   案内部に沿つて移動操作し、上記スプリングの膨
   曲率及び反発力を共に大きく変化させるようにし
   て成り、バツクシートの腰椎当接部の硬さを調整
   し得るようにしたことを特徴とする自動車等の座
   席における腰椎支持装置。