JPS6242001Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、土木建築構造物の床または屋根と
して用いる合成床版用プレキヤストパネルの改良
に関するものである。

近年、建設現場において、熟練労務者の不足、
工期の短縮、設計の標準化による経済性の追求な
どを理由として、従来の型枠を現場で組み、鉄筋
を配置し、コンクリートを打設するという作業を
少なくし、各種部材をできるだけ工場生産し、現
場ではそれを組立てるのみにする、いわゆるプレ
ハブ化が進められてきており、床または屋根に用
いる床版にあつても、リブスラブとか、有孔スラ
ブといつたプレキヤスト製品がすでに実用化され
ているが、これらの床版としての完成品は、梁な
ど支持材との接合部の構造的な一体性の点、ま
た、製品むらによる床版同志の目違いや、床面の
凹凸が生じやすい点、運搬や揚重に際し、重量が
嵩む点などの問題があり、普及がはばまれてい
る。

これらに代るものとして床版の断面のうち、下
方の一部のみをプレキヤストパネルとして工場生
産し、これを現場で型枠材を兼ねて、支持材上に
敷設し、必要に応じては該パネル上に鉄筋を配し
たのち、コンクリートをパネル上に打設し、硬化
後は下に敷いたプレキヤストパネルと一体となつ
て、荷重による曲げモーメントに耐えるようにし
た合成スラブ方式が提唱されている。

この方式によれば、前記の完全プレキヤスト床
版の問題点はすべて解消されるが、同時にプレキ
ヤストパネルの剛性が不足のため、あと打ち部の
強度が発現するまで仮設支保工を必要とするこ
と、リブスラブや有孔スラブのように空隙部を作
ることによる重量の軽減ができないこと、といつ
た欠点が存在する。

そこで、薄鋼板より製したおり曲げ成型体より
なる樋形鋼を多数並列に逆立ち配置し、該樋形鋼
の樋開口縁をコンクリート中に埋め込んだプレキ
ヤストパネルをば前記のプレキヤストパネルの代
替として用い、樋形鋼の前後端開口部を蓋してお
いてあと打ちコンクリートを行ない、剛性、強度
を落とすことなく重量を大幅に減ずることのでき
る中空スラブ形成手段が開発されている。

しかし、このものは未硬化のコンクリート中に
その樋開口縁を若干埋め込んでなる樋形鋼が、樋
開口縁での一体化と自己の剛性でもつて無支保工
を可能とするものであるため、樋形鋼の薄鋼板は
一定以上の厚みを必要とせねばならず鋼材の必要
量については、さほど軽減されることになるもの
ではなく、かつ、樋形鋼と下端筋とは一体性なく
分離しており、配筋材としての強度は全く独立に
働らくにすぎず、大きな値が奏し得るものではな
いこと、並びに、該樋形鋼は単に薄鋼板を屈曲成
型した表面平滑体で、あと打ちコンクリートとの
間の結合を促がす手段は何んら採られておらず、
コンクリートと樋形鋼とのせん断耐力について大
きな値が期し得ないという難点がある。

本案は叙上の難点を解消する改良手段を提供す
るものである。

以下、これを図にもとづいて詳細に説明する。

すなわち、本案は第１図に示す如く、予め樋形
鋼１…と下端筋２とを一体またシエアーキーによ
り間接的に接合してしまい、これに該樋形鋼１の
樋開口縁が埋まり込む高さまで並びに一定間隔ご
との樋形鋼１間にコンクリートを打ち込んでプレ
キヤストパネルＡを構成すると共に樋形鋼１の両
側壁面には予め例えばスタツドボルト３…の植立
によるシエアーコネクターを付設しておくことを
趣旨とするものである。尚、上述のシエアーキー
により間接的に接合する具体例としては、第６〜
９図に示される。

すなわち、第６図，第７図は樋形鋼１のフラン
ジ部１ａに押抜きプレート７の加工，スタツドボ
ルト８の植立の加工を施こし、該フランジ部１ａ
と直交する下端筋２を該プレート７の曲げにより
抱き込み、鋼線９による結束にて、プレート７、
スタツドボルト８を介しての把持による接合例を
示し、ａ図は取合関係説明図，ｂ図は接合部を示
す。

又、第８図，第９図は樋形鋼１のフランジ部１
ａに切り曲げプレート１０の加工，スタツドボル
ト８′の植立の加工を施こし、該フランジ１ａに
並行にする下端筋２を該プレート１０の曲げによ
る抱き込み、鋼線９による結束にて、プレート１
０、スタツドボルト８′を介しての把持による接
合例を示し、ａ図は取合関係説明図，ｂ図は接合
部を示す。

第２図は叙上構成の本案のプレキヤストパネル
Ａのあと打ちコンクリートを行つてスラブを形成
した態様を示し、図中４は必要に応じて配設する
を良しとする上端筋を示す。

叙上の如き構成とすることにより樋形鋼１と下
端筋２とは一体の配筋として働らくのでその強度
は極めて大となると共に樋形鋼１両側壁面および
後述の第４図，第５図に示す如く必要に応じて上
面に付設されたシエアーコネクターによりあと打
ちコンクリートと樋形鋼１との間の結合が促がさ
れ完成した床版としてのせん断耐力も極めて強固
なものとなるし、かつ、一定間隔ごとの樋形鋼１
間に打設されたコンクリート部はリブとなつてパ
ネルに剛性を付与するため、この分だけ樋形鋼１
における設計厚の負担は軽減され、はるかに薄化
し得、さらには、相乗効果でもつて全断面有効に
樋形鋼１が働らくものである。

なお、シエアーコネクターは第１〜第３図にお
けるスタツドボルト３に限定されるものではな
く、第４図に示す如く、鉄筋シエアーコネクター
５…の溶接合、又は、第５図に示す如くあと打ち
コンクリートが芯材１の内空部に侵入することの
ない大きさの切り込みつき絞り型のスリツトエン
ボス６…あるいは単なる絞り型のエンボスとして
も良いものである。

この場合、前記二者と異なり溶接等の取付け作
業が無い点が有利となる。尚第４図，第５図の例
では樋形鋼１の両側壁面のみでなく上面にもシエ
アーコネクターを付設してコンクリートとの一体
化をより一層強めている。

【図面の簡単な説明】

図は本案の実施態様を示し、第１図は本案プレ
キヤストパネルの合成床版の縦断面図、第２図
は、これのあと打ちコンクリートを行つた態様の
縦断面図、第３図は本案構成要部材の一実施態様
を示す斜視図、第４図Ａ，Ｂ並びに第５図Ａ，Ｂ
は同部材の他の実施態様における斜視図と断面
図、第６図〜第９図は樋形鋼と下端筋との間接的
接合の具体例の説明図である。 符号の簡単な説明、１……樋形鋼、２……下端
筋、Ａ……プレキヤストパネル、３……スタツド
ボルト、４……上端筋、５……鉄筋シエアーコネ
クター、６……スリツトエンボス。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 少なくともその両側壁面にシエアーコネクタ
   ーを付設した樋形鋼１と下端筋２とを一体化す
   ると共に該樋形鋼１の樋開口縁が埋まり込む高
   さまで並びに一定間隔ごとの樋形鋼１間にコン
   クリートを打ち込んでなることを特徴とする合
   成床版用プレキヤストパネル。 (2) シエアーコネクターをスタツドボルト３とし
   たことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項に記載の合成床版用プレキヤストパネル。 (3) シエアーコネクターを鉄筋シエアーコネクタ
   ー５としたことを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項に記載の合成床版用プレキヤスト
   パネル。 (4) シエアーコネクターを切り込みつき絞り型の
   スリツトエンボス６としたことを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項に記載の合成床版
   用プレキヤストパネル。 (5) シエアーコネクターを絞り型のエンボスとし
   たことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項に記載の合成床版用プレキヤストパネル。