JPS6238849Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は緊急ステアリング回路の油圧源を利
用して緊急制動を可能にした緊急ブレーキ装置に
関する。

従来建設機械のような主として大型の車両には
油圧式の緊急ブレーキ装置が搭載されている。こ
の緊急ブレーキ装置としては、主回路とブレーキ
チヤンバの間に設けた緊急ブレーキバルブにより
主回路からの圧力を遮断すると同時に、緊急ブレ
ーキ用リザーバより圧力をブレーキチヤンバへ供
給して緊急ブレーキを作動させる方式や、トラン
スミツシヨンから導入した油圧により開放してい
るブレーキを、緊急ブレーキバルブの操作ととも
に上記油圧をドレンして、ブレーキに内装したば
ねの力により緊急制動する方式などが公知であ
る。しかし前者の方式では例えば緊急ブレーキバ
ルブとブレーキチヤンバの間の管路が破損したよ
うな場合、緊急ブレーキが作動しない不具合があ
る。また後者の方式はエンジンが回転していない
とトランスミツシヨンに圧力が発生しないため、
ブレーキの開放が困難であり、このため緊急停止
後車両の移動が不能となつたり、まただね圧を利
用して制動するため、左右ブレーキのばね圧にバ
ラツキがあると、緊急制動した場合ブレーキが片
効きとなつて危険であるなどの不具合があつた。

この考案はかかる不具合を改善する目的でなさ
れたもので、緊急ステアリング回路の油圧源より
油圧を導入して緊急制動を可能とした緊急ブレー
キ装置を提供して、主ブレーキ回路が破損しても
車両を安全に停止できるようにしたものである。

以下この考案を図示の一実施例について詳述す
る。図において１は図示しない車両のフロントブ
レーキ、２は同リヤブレーキで、夫々次のブレー
キ主回路により作動する。すなわちコンプレツサ
３により加圧された空気圧はリザーバタンク４及
び５に蓄圧されており、ブレーキペダル６ａによ
るブレーキバルブ６またはリターダブレーキバル
ブ２６の操作とともにリレバルブ７及び８を介し
てブレーキチヤンバ９及び１０へ流入し、ここで
制動油圧を発生する。ブレーキチヤンバ９，１０
で発生した制動油圧は夫々フロントブレーキ１及
びリヤブレーキ２へ供給されてこれらブレーキ
１，２を制動するようになつている。

一方１１は緊急ステアリング回路で、緊急時操
作する緊急ステアリングスイツチ１２を有してお
り、この緊急ステアリングスイツチ１２にリレス
イツチ１３が接続されていて、緊急ステアリング
スイツチ１２のオンとともに励磁されるようにな
つている。上記リレスイツチ１３の接点１３ａに
は電動機１４及び電源２５が接続されていて、接
点１３ａのオンとともに電動機１４が油圧ポンプ
１５を駆動し、油圧を電磁弁１６を介してステア
リング回路１７へ供給するようになつている。ま
た上記緊急ステアリングスイツチ１２には逆電阻
止用のダイオード１８を介して緊急ブレーキスイ
ツチ１９が接続されており、この緊急ブレーキス
イツチ１９をオンにすると、上記電磁弁１６が切
換えられて、油圧ポンプ１５からの油圧を管路２
０へ流入させる。管路２０は途中にチエツク弁２
１及びアキユムレータ２２が接続されていて、管
路２０に発生した油圧を蓄圧し、一度作動した緊
急ブレーキは運転室（図示せず）側で緊急ブレー
キスイツチ１９をオフにしても解除されないよう
になつていると共に、油圧ポンプ１５からの油圧
は減圧弁２３により主ブレーキ回の制動油圧まで
減圧された後ダブルチエツク弁２４を介してリヤ
ブレーキ２へ供給されるようになつている。

しかして平常運転時の制動は、主ブレーキ回路
に設けたブレーキバルブ６またはリターダブレー
キバルブ２６をペダル６ａ，２６ａにより操作す
ることにより、リザーバタンク５内の空気圧をフ
ロントブレーキ１及びリヤブレーキ２のブレーキ
チヤンバ９，１０へ夫々供給することにより行
う。また走行中ステアリング回路１７や主油圧源
の故障などにより、ステアリング操作が不能にな
つた場合は、緊急ステアリングスイツチ１２をオ
ンすると、リレスイツチ１３もオンして電動機１
４が油圧ポンプ１５を駆動し、油圧をステアリン
グ回路１７へ供給するため、ステアリング操作が
行なえるようになる。

一方主ブレーキ回路の故障などにより通常の制
動が不能になつた場合は、緊急ブレーキスイツチ
１９をオンする。これによつて電磁弁１６がポジ
シヨンｂに切換えられると同時に、リレスイツチ
１３がオンし、電動機１４が回転して油圧ポンプ
１５が駆動される。油圧ポンプ１５より吐出され
た油圧は電磁弁１６のポジシヨンｂより管路２０
へ流入し、さらに減圧弁２３によりブレーキ主回
路の制動油圧にまで減圧された後リヤブレーキ２
内へ流入して緊急制動を行うと共に、管路２０に
流入した油圧はアキユムレータ２２に蓄圧される
ため、一度緊急ブレーキを作動させると、運転室
側で緊急ブレーキスイツチ１９をオフにしても、
アキユムレータ２２内の圧力で制動状態が保持さ
れる。従つて緊急停止後車両を移動する場合はア
キユムレータ２２のドレンバルブ２２ａを開放し
て圧力を抜き出し、制動状態を解除すればよい。

この考案は以上詳述したように、緊急ステアリ
ング回路の油圧源を利用して緊急ブレーキを作動
させるようにしたことからブレーキ主回路が故障
しても車両を安全に停止することができる。また
アキユムレータを設けて緊急制動状態を保持する
ようにすれば、運転室側からの操作で緊急制動状
態が解除できず、ブレーキ主回路故障のまま誤つ
て車両を走行させるなどの虞がないと共に、アキ
ユムレータ内の圧力を抜くことにより緊急制動状
態を解除できるため、緊急停止後の車両の移動も
容易に行なえる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示す回路図であ
る。 １はフロントブレーキ、２はリヤブレーキ、６
はブレーキバルブ、９，１０はブレーキチヤン
バ、１１は緊急ステアリング回路、１５は油圧ポ
ンプ、１６は電磁弁、１９は緊急ブレーキスイツ
チ、２０は管路、２１はチエツク弁、２２はアキ
ユムレータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ブレーキ主回路に設けられたリザーバ４，５内
   の圧力を、ブレーキバルブ６の開放とともにフロ
   ントブレーキ１及びリヤブレーキ２の各ブレーキ
   チヤンバ９，１０へ供給して制動油圧を発生さ
   せ、この制動油圧により各ブレーキ１，２を制動
   すると共に、上記ブレーキ主回路と別に緊急ステ
   アリング回路１１を具えたものにおいて、上記緊
   急ステアリング回路１１の油圧ポンプ１５を、緊
   急ブレーキスイツチ１９によりオンする電磁弁１
   ６を介してリヤブレーキ２へ接続してなる緊急ブ
   レーキ装置。