JPS6238457B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ポリエステルミシン糸、特に、ラン
ジエリー、薄地ブラウス、高級スーツ、コート類
を縫製するに適した細くて、しかも外観に優れ、
かつ縫製性能の高いポリエステルミシン糸に関す
る。

従来より、ポリエステルミシン糸は、強力、染
色堅牢度において優れているが、ポリエステルフ
イラメント糸からなる長繊維ミシン糸は、耐熱性
に劣り、そのため縫製性能が劣る欠点があり、
又、ポリエステルステープルフアイバーからなる
短繊維ミシン糸は耐熱性において優れてはいる
が、ヤングモジユラスが小さいために目飛びが起
り易い欠点があり、縫製性能に問題があつた。

そのため、最近では、ポリエステルマルチフイ
ラメント糸を芯成分とし、ポリエステルステープ
ルフアイバーを鞘成分とした、ポリエステルコア
スパン糸のミシン糸が提案されているが、前記ラ
ンジエリー、薄地ブラウス等の縫製に必要な細く
て均一な太さがあり、かつ優れた外観を有するコ
アスパン糸を得ることが出来ず、末だ実用化され
ていない。

本発明の目的は、かゝる従来の問題点を解消
し、細くて、且つ均斉で良好な外観を有する縫製
性能に優れたミシン糸を提供することである。

即ち、本発明は、糸条デニールが30〜110デニ
ールのポリエステルマルチフイラメント糸を芯成
分とし、単繊維デニールが、0.5〜0.8デニールの
極細のポリエステルステープルフアイバーを鞘成
分として構成されたコア・スパン糸からなるミシ
ン糸であつて、該ポリエステルフイラメント糸と
ポリエステルステープルフアイバーとが下記(1)〜
(3)式を満足するポリエステルミシン糸にある。

50＜ｘ＋ｙ＜150 …(1) 0.2＜ｙ／ｘ＜1.0 …(2) 20＜ｙ＜50 …(3) 〔但し、ｘはポリエステルマルチフイラメント
糸の糸条デニールを、 ｙは、コア・スパン糸を構成するポリエステル
ステープルフアイバーのトータルデニールを表わ
す。〕 以下、本発明を詳細に説明する。

本発明に使用するポリエステルマルチフイラメ
ント糸は、その太さ（糸条デニール）が30〜110
デニールの範囲にあることが必要であつて、該デ
ニールが30デニール未満では、高いヤング・モジ
ユラスを有し、強力が大であるミシン糸が得られ
ず、又、該デニールが110デニールを超えるもの
では、充分、細いコア・スパン糸が得られない
か、若しくは、芯成分と鞘成分との構成比率が(2)
式を満足しない結果、鞘成分による充分な被覆が
得られないようなコア・スパン糸となつて、その
均斉度や、外観が不良となり好ましくない。

次に、同じく、本発明に使用するポリエステル
ステープルフアイバーは、の単繊維デニールが
0.5〜0.8デニールの範囲にあることが必要であつ
て、該単繊維デニールが0.5デニール未満のもの
は、コア・スパン糸製造上、その取扱い性が低下
し、又、0.8デニールを超えるものでは、芯成分
を被覆する性能が低下し、好ましくない。即ち、
芯成分のポリエステルフイラメント糸が前記範囲
の太さを有するものである場合には、鞘成分であ
るポリエステルステープルフアイバーの単繊維
は、上記範囲にあることが、優れた被覆性、作業
上の取扱性を有するのである。

さらに、該ポリエステルフイラメント糸とポリ
エステルステープルフアイバーとが前記(1)〜(3)式
を満足することによつて、優れた性能を有するミ
シン糸を可能にするコア・スパン糸となるのであ
る。

即ち、該コア・スパン糸は前記のポリエステル
フイラメント糸とポリエステルステープルフアイ
バーにより構成されるが、その太さは(1)式の範囲
にある必要がある。該ポリエステルステープルフ
アイバーは、前記の如く、作業上の取扱性、芯成
分の被覆性からその単繊維デニールの範囲が限定
されるが、かゝる繊維を鞘成分とするコア・スパ
ン糸としては、芯成分と鞘成分の両成分のデニー
ルが(1)式の範囲のとき本発明の目的とするミシン
糸を可能にするコア・スパン糸が得られるのであ
つて、コア・スパン糸を構成する鞘成分の被覆が
高速縫製に耐えるものであるためには、(2)式が満
足されていることが必要である。さらに、(1)式を
満足するようなポリエステルステープルフアイバ
ーの量としては(3)式の範囲にあることが必要なの
である。要は、コア・スパン糸を構成するポリエ
ステルフイラメント糸とステープルフアイバーと
が、(1)〜(3)式を満足するごとく有機的に組合され
て、はじめて本発明の目的であるミシン糸を可能
にするコア・スパン糸となるのである。

第１図は、かゝるポリエステルフイラメント糸
と、ステープルフアイバーとのデニール範囲を示
す図であつて、横軸にポリエステルフイラメント
糸のデニールを、縦軸にステープルフアイバーの
トータルデニールをそれぞれとつたものである。

第１図に示したＡの範囲に入る組合せのものを
用いた場合に、本発明の目的を達成することが出
来るものである。

本発明のミシン糸は、かゝるコア・スパン糸か
らなるものであるが、例えば、第２図に示すよう
に３本子の合撚糸等にしてミシン糸とするもので
ある。

第２図は、本発明の実施態様であるミシン糸の
断面を示す断面図であつて、ポリエステルマルチ
フイラメント糸１の周囲に、極細のポリエステル
ステープルフアイバー２を配したコア・スパン糸
３本を合撚したものである。

又、前記コア・スパン糸は、公知の方法により
得られるものでよく、例えば、粗紡機のフロント
ローラに前記ポリエステルマルチフイラメント糸
を供給して、鞘成分となるポリエステルステープ
ルフアイバーと合流せしめ被覆撚回せしめて得る
ことが出来る。

以上のようにして得らる本発明のミシン糸は、 従来のポリエステルフイラメント糸からなる
ミシン糸と比較して、ミシン糸の周囲が、紡績
糸の構造になつているため空冷効果に優れ、高
熱による溶融等のトラブルを防止し、縫製性能
が高い。即ち、ポリエステルフイラメント糸の
ミシン糸の場合、ミシン回転数4500rpm程度で
溶融切断するのに対して、本発明のミシン糸で
は、5000r.p.m程度の高速縫製を行つても、ト
ラブルが発生しない。

芯成分に、ポリエステルフイラメント糸を使
用しているため、ヤング・モジユラスが、従来
のポリエステル短繊維ミシン糸に比して、大で
ミシンによる縫製時のループ形成性に優れ、目
飛びのない良好な縫製が可能である。

本綿繊維ミシン糸に比し、強度、外観が良好
である。

ポリエステルマルチフイラメント糸を芯とし
木綿繊維を鞘とするコアスパンミシン糸に比
し、外観、染色堅牢度に優れ、しかも一浴染色
が可能であるという利点を有する。

従来提案されているポリエステル繊維のコア
スパン糸を用いたミシン糸に比し、細糸で、且
つ外観良好で、ランジエリー、薄地ブラウス、
高級スーツ、コート等の高級縫製が可能にな
り、縫製仕上品の外観を著しく高めることがで
きる。

次に本発明の実施例を示す。

〔実施例〕

芯成分としてポリエステルマルチフイラメント
糸（70デニール／24フイラメント）と単糸デニー
ル0.5デニール、繊維長32mm、トータルデニール
35デニールのポリエステルステープルフアイバー
を用いトータルデニール105デニール、撚数
S960t／ｍのコアスパン糸を作り、これを二本合
せてZ860t／ｍの撚糸を作り、分散染料により130
℃、60分チーズ染色を施した後、シリコン系スト
レートオイルを糸重量に対して3.5％付与した。
この糸は極めて均斉度向上で良好で、且つ優れた
外観を示した。

可縫性として： 本縫；ポリエステル／レーヨン混のサージ４枚
を重ねて縫製するに当り針DB×１＃によ
り5000r.p.mの速度で１分間以上の連続縫
製が可能であつた。

環縫；３本針フラツトシーマーによりポリエス
テル100％のトリコツト２枚重ねを縫製す
るに当り5000r.p.m.の速度で１分間以上の
連続縫製が可能であつた。この際目飛びは
なかつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に使用するポリエステルフイ
ラメント糸と、ポリエステルステープルフアイバ
ーとの組合せ範囲を示す図、第２図は、本発明の
実施態様であるミシン糸の断面を示す断面図であ
る。 １…ポリエステルフイラメント糸、２…ポリエ
ステルステープルフアイバー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 30〜110デニールの太さを有するポリエステ
   ルマルチフイラメント糸を芯成分とし、単繊維デ
   ニール0.5〜0.8デニールのポリエステルステープ
   ルフアイバーを鞘成分として構成され、且つ、該
   ポリエステルマルチフイラメント糸とポリエステ
   ルステープルフアイバーとが下記(1)〜(3)式を満足
   するコア・スパン糸からなることを特徴とするポ
   リエステルミシン糸。 50＜ｘ＋ｙ＜150 …(1) 0.2＜ｙ／ｘ＜1.0 …(2) 20＜ｙ＜50 …(3) 〔但し、ｘは、ポリエステルマルチフイラメン
   ト糸の糸条デニールを、 ｙは、コア・スパン糸を構成するポリエステル
   ステープルフアイバーのトータルデニールを表わ
   す。〕