JP3140239B2 - スパナイズミシン糸 - Google Patents

スパナイズミシン糸

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JP3140239B2
JP3140239B2 JP05030519A JP3051993A JP3140239B2 JP 3140239 B2 JP3140239 B2 JP 3140239B2 JP 05030519 A JP05030519 A JP 05030519A JP 3051993 A JP3051993 A JP 3051993A JP 3140239 B2 JP3140239 B2 JP 3140239B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スパナイズミシン糸に
関し、さらに詳しくは、ミシン糸表層部のループ又はた
るみを形成するフィラメントの伸度が、マトリックスフ
ィラメントの伸度より高いスパナイズミシン糸に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、ミシン糸としては、木綿ミシ
ン糸、絹ミシン糸、合成繊維ミシン糸などが用いられて
いる。近年は、強力、染色堅牢度の面から合成繊維ミシ
ン糸が多く用いられるようになり、特にポリエステルフ
ィラメントミシン糸、ポリエステルスフミシン糸がその
主流となっている。ポリエステルフィラメントミシン糸
は、均一性、強力の面で優れているが、耐熱性に劣るの
で高速可縫性が悪いばかりか、解撚されやすくバック縫
可縫性も悪い。これに対し、ポリエステルスフミシン糸
は、毛羽が耐熱性を向上させ解撚を防止するので、高速
可縫性、バック縫可縫性に優れているが、均一性に劣
り、縫製中に毛羽が脱落すると言う欠点がある。
【0003】これらポリエステルフィラメントミシン
糸、ポリエステルスフミシン糸の欠点を改良したミシン
糸として、例えば特公昭62−38457号公報には、
ポリエステルフラメントを芯成分とし、ポリエステルス
フを鞘成分としたコアヤ−ンミシン糸が提案されてい
る。又、特開昭51−136947号公報には、合成繊
維マルチフィラメント糸を嵩高交絡して表層を起毛した
バルキーヤーンミシン糸が提案されている。
【0004】これらのミシン糸は、均一性、耐熱性、解
撚防止の面で確かに改良されている。しかし、いずれに
してもル−プ、毛羽を有している為に、これらミシン糸
を用いて縫製すると、ミシン糸が受ける張力や摩擦によ
りル−プ、毛羽が切断、脱落して、ミシンの針部、釜
部、押さえ部等に付着する。該付着毛羽にはミシン油が
しみこんで、そこを通るミシン糸を介して被縫製物を汚
染させるといった致命的な欠点があり、さらには加工コ
ストが高いという理由もあって、広く用いられるに至っ
ていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のような従来のミシン糸の欠点を改良し、各種ミシンで
の可縫性に優れ、かつ縫製時に毛羽の脱落が少なく、さ
らにミシン糸を細番手化して、パッカリングの発生を防
止することのできるミシン糸を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下撚を
有する複数本(n本)の単糸から構成されてなるミシン
糸であって、該単糸のうちの少なくとも1本以上(n−
1)本以下の単糸は、強度が4.0〜9.0g/deの
低伸度フィラメント(A)をマトリックスとし、該マト
リックスフィラメント(A)の伸度より20〜150%
高い伸度を有する高伸度フィラメント(B)が、ミシン
糸に対して5〜45重量%混繊された単糸よりなり、他
方残りの少なくとも1本以上(n−1)本以下の単糸
は、該マトリックスフィラメント(A)との伸度差が1
0%以下の伸度を有するフィラメントで構成された単糸
よりなり、かつ該高伸度フィラメント(B)の一部がミ
シン糸表層部でループ又はたるみを形成していることを
特徴とするスパナイズミシン糸が提供される。
【0007】本発明のミシン糸は、強度が4.0〜9.
0g/deの低伸度のマトリックスフィラメント(A)
に、ループ又はたるみを形成する高伸度のフィラメント
(B)が混繊された単糸および該マトリックスフィラメ
ント(A)との伸度差が10%以下の伸度を有するフィ
ラメントで構成された単糸からなる。
【0008】該マトリックスフィラメント(A)は、ミ
シン糸のマトリックス成分であって、ミシン糸に必要な
強度、伸度等の特性を付与する。すなわち、マトリック
スフィラメント(A)は、より高強力で、より低伸度で
あることが望ましいが、技術面、コスト面から考えて、
強度は4.0〜9.0g/de程度、伸度は10〜40
%程度が適当である。なお、ミシン糸には、適度な曲げ
剛性が要求されるので、単繊維のデニールは2〜6de
程度であることが好ましい。また、ミシン糸には各種の
番手が必要なために、単糸のデニ−ルを限定することは
できないが、一般的には50〜300デニール程度が用
いられている。このような特性を満足するものとしてポ
リエステルフィラメントが好適に例示される。
【0009】一方、高伸度フィラメント(B)は、ミシ
ン糸の表層部にル−プ又はたるみを形成する成分であっ
て、その伸度が、前記マトリックスフィラメント(A)
の伸度より20〜150%高いことが極めて重要であ
る。
【0010】ミシン糸は、縫製中に張力(300〜80
0gと言われている)、摩擦等を受けるが、これらはミ
シン糸の基体から浮き出たル−プやたるみが強く受ける
ことになる。その結果、ループやたるみを形成している
単繊維は、容易に切断して脱落する。この現象を回避し
て毛羽等の脱落(これが被縫製物を汚染することは前述
の通りである)を防止する方法として、単繊維の強度を
大きくすることは、誰でもが容易に考え付くことであ
る。しかし、極めて細い単繊維の一本当たりの強力を大
きくすることには限界があり、ミシン糸が受ける張力や
摩擦に耐えうる強度を実現することは極めて困難であ
る。
【0011】この点について、本発明者等は鋭意研究の
結果、ミシン糸に用いる繊維は高強力、低伸度がよいと
されていた従来の知見を覆し、本発明のミシン糸の場
合、フィラメント(B)に限り、高伸度のものがよいこ
とを見出した。すなわち、該フィラメント(B)の伸度
を前記マトリックスフィラメント(A)のそれより高く
することにより、ミシン糸が張力を受けて伸ばされた場
合でも、高伸度フィラメント(B)は伸長して、マトリ
ックスフィラメント(A)より先に切断することはな
く、また実質的にほとんど切断しない。
【0012】なお、マトリックスフィラメント(A)
は、ミシン糸のコア部に配置されているので張力や摩擦
を受けにくく、かつ高強力であるために切断しにくい。
また、ミシン糸が局部的に張力や摩擦を受けたとして
も、それらを高伸度フィラメント(B)の伸度が吸収し
て、伸長はしても切断することは極めて少ない。さら
に、高伸度の繊維は摩耗にも強く、摩耗切断もしにく
い。
【0013】このような効果を発現させるためには、高
伸度フィラメント(B)の伸度は、マトリックスフィラ
メント(A)の伸度より20%以上高くすることが必要
がある。しかし、高伸度フィラメント(B)の伸度が、
マトリックスフィラメント(A)の伸度より150%を
越えて高い場合は、縫製中に受ける張力や摩擦により異
常に伸びた大きいル−プ、たるみが発生して、縫製品の
縫い目外観を損なうので不適当である。
【0014】高伸度フィラメント(B)の単繊維デニー
ルは、ループ又はたるみを形成するうえでは小さい方が
よく、縫製中の毛羽の脱落を防止するうえでは大きい方
がよいが、通常は、技術面、コスト面から考えて1〜3
デニールが適当である。また、高伸度フィラメント
(B)の強度は、大きいにこしたことはないが、高強度
であることが必須要件ではなく、1〜3g/de程度で
目的を達成することが可能である。そして、このような
特性を満足するものとしては、ポリエステルフィラメン
トの未延伸糸、低延伸倍率糸が好適に例示される。
【0015】本発明のミシン糸において、高伸度フィラ
メント(B)のミシン糸に対する混合率は、5〜45重
量%の範囲内にななければならない。高伸度フィラメン
ト(B)は、ミシン糸にループ、たるみを形成して、耐
熱性の向上、解撚防止に寄与する成分であって、この量
が5重量%未満の場合は、その効果が得られない。逆に
多すぎて45重量%を越えると、マトリックスフィラメ
ント(A)の割合が少なくなって、ミシン糸として必要
な高強力、低伸度が得られない。
【0016】本発明のミシン糸は、下撚を有する複数本
(n本)の単糸から構成される。この時、n本の単糸の
内の少なくとも1本以上(n−1)本以下の単糸は、マ
トリックスフィラメント(A)と高伸度フィラメント
(B)とからなるものであり、残りの少なくとも1本以
上(n−1)本以下の単糸は実質的にマトリックスフィ
ラメント(A)との伸度差が10%以下の伸度を有する
フィラメントからなり、高伸度フィラメント(B)を含
まないものである。
【0017】前記伸度差が10%を越える場合には、ミ
シン糸に張力が加わった際、一方のフィラメントのみに
応力が集中してミシン糸の切断等が発生する。また、マ
トリックスフィラメント(A)との伸度差が10%以下
の伸度を有するフィラメントとは、マトリックスフィラ
メント(A)自身をも含むものとする。
【0018】すなわち、本発明は高伸度フィラメント
(B)を一部の単糸のみに混繊することにより、細番手
ミシン糸の提供を可能にしたのである。
【0019】前記の理由をさらに詳しく説明する。細番
手ミシン糸を得るためには、ミシン糸を構成する単糸の
デニールを小さくしなければならない。しかし、フィラ
メントのデニールを小さくする程、フィラメント製造時
の生産性が悪くなって、コストが高くなり、さらにミシ
ン糸加工工程での取扱が難しくなる。従って、フィラメ
ントの細デニール化には限界がある。2種のフィラメン
トを混繊した単糸の細デニール化はさらに難しく、全て
の単糸に高伸度フィラメント(B)を混繊したのでは、
細番手のミシン糸は得られず、本発明の目的が達成出来
ない。すなわち、複数本の単糸の一部の単糸にのみ高伸
度フィラメント(B)を混繊することで、ミシン糸の細
番手化を可能とするのである。
【0020】本発明において、マトリックスフィラメン
ト(A)と高伸度フィラメント(B)が混繊された単糸
のデニールは、高伸度フィラメント(B)を含まない単
糸のデニールより大きいことが望ましい。このように構
成することにより、ミシン糸の細番手化が可能となる。
【0021】例えば、マトリックスフィラメント(A)
と高伸度フィラメント(B)のデニールをそれぞれDと
すると、マトリックスフィラメント(A)と高伸度フィ
ラメント(B)を混繊した単糸1本と、高伸度フィラメ
ント(B)を含まない、マトリックスフィラメント
(A)のみからなる単糸1本とで構成された2子(2本
の単糸からなる)ミシン糸のデニールは約3Dとなる。
これに対して、両単糸が共にマトリックスフィラメント
(A)と高伸度フィラメント(B)の混繊糸の場合は、
ミシン糸のデニールは約4Dとなり、前者のミシン糸の
方が、約1D分(1/4)細番手化されることになる。
【0022】さらに、本発明において、マトリックスフ
ィラメント(A)と高伸度フィラメント(B)が混繊さ
れた単糸のデニールが、高伸度フィラメント(B)を含
まない単糸のデニールより大きい場合、マトリックスフ
ィラメント(A)と高伸度フィラメント(B)が混繊さ
れた単糸の下撚数(ミシン糸の場合は一般にS方向)
は、高伸度フィラメント(B)を含まない単糸の下撚数
より少なく、かつ上撚数(ミシン糸の場合は一般にZ方
向)より少なくすることが好ましい。このような撚構造
にすることにより、両単糸のデニール差が見掛けの太さ
として均衡し、ミシン糸の外観が良好なものとなる。実
際の撚数は特に限定されないが、下撚数は各単糸のデニ
ールに大体比例した値が好適である。
【0023】本発明のミシン糸は、表層部にループ又は
たるみを有するが、その形状は特に限定されるものでは
ない。一般には、ミシン糸の見掛けの直径の0.2〜
1.0倍程度の浮き上がった形状のループ又はたるみ
が、5個/cm程度存在することが好ましい。
【0024】本発明のミシン糸のループ又はたるみを形
成させる方法も、特に限定されない。例えば、マトリッ
クスフィラメント(A)と高伸度フィラメント(B)を
引き揃えて施撚する際に、両フィラメント間に張力差、
フィード差等を与えてマトリックスフィラメント(A)
よりも高伸度フィラメント(B)を長くして糸長差
(0.5〜10%程度が好適)を生ぜしめ、ループ又は
たるみを形成させる方法、一般にツーフィードタスラン
と称される方法で、高伸度フィラメント(B)のフィー
ド量をマトリックスフィラメント(A)より多くして、
ループ又はたるみを形成させる方法、高伸度フィラメン
ト(B)よりもマトリックスフィラメント(A)の熱収
縮を大きくして、ミシン糸の加工工程中の熱(例えば染
色時の染色温度等)を利用して収縮差を生じせしめて、
ループ又はたるみを形成させる方法等が好適に用いられ
る。
【0025】
【作用】本発明のスパナイズミシン糸は、マトリックス
成分のフィラメント(A)および高伸度フィラメント
(B)を含まない単糸が、ミシン糸として必要な強力、
伸度、曲げ剛性を維持するように働き、ミシン糸の表層
部にループ又はたるみを形成している高伸度フィラメン
ト(B)が、縫製中に受ける張力、摩擦、解撚等に対し
てマトリックスフィラメント(A)を保護するように作
用する。
【0026】さらに、本発明のスパナイズミシン糸は、
ミシン糸の表層部にループ又はたるみを形成する高伸度
フィラメント(B)を、ミシン糸を構成する単糸の一部
にのみ混繊し、混繊した単糸の使用割合を少なくするこ
とにより、ミシン糸の細番手化を可能にする。
【0027】また、一部の単糸にのみ該高伸度フィラメ
ント(B)を混繊すると、各単糸間のデニール差のため
に、ミシン糸の外観が悪化する。しかし、高伸度フィラ
メント(B)が混繊された単糸の下撚数を、高伸度フィ
ラメント(B)を含まない単糸の下撚数より少なく、か
つ上撚数より少なくすることで、ミシン糸外観を損なう
こと無く、ミシン糸の細番手化を可能にする。
【0028】すなわち、マトリックスフィラメント
(A)と高伸度フィラメント(B)が混繊された太デニ
ールの単糸のみが、上撚(下撚と方向が逆)を施す時
に、一旦下撚が解撚された後、下撚数と上撚数の差だけ
上撚方向に加撚され、単糸が引締められて細くなる。一
方の高伸度フィラメント(B)を含まない単糸は、上撚
を施す時に、下撚数と上撚数の差が少ないため下撚はほ
ぼ解撚されて、無撚に近い状態となり細くはならない。
その結果、両単糸のデニール差が見掛けの太さとして均
衡し、ミシン糸の外観が改良される。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0030】
【実施例1〜3及び比較例1、2】 1.フィラメントの製造 (1)極限粘度 [η] =1.0のポリエチレンテレフタ
レートを2500m/分の紡糸速度で紡糸した後、85
℃の加熱ローラーを用いて、2.4倍に延伸して50d
e/24filの、高強度(7.0g/de)・低伸度
(17%)ポリエステルフィラメント(A)を得た。 (2)実施例1、比較例1では、極限粘度 [η] =0.
6のポリエチレンテレフタレートを2500m/分で紡
糸して、低倍率で延伸し、表1に示す伸度を有する50
de/24filのポリエステルフィラメント(B)を
得た。また、実施例2、3及び比較例2では、上記ポリ
エチレンテレフタレートを種々の紡糸速度で紡糸して、
表1に示す伸度を有する50de/24filのポリエ
ステルフィラメント(B)を得た。
【0031】2.単糸の製造 (1)表1の各ポリエステルフィラメント(B)を3%
オーバーフィード、ポリエステルフィラメント(A)を
0.5%オーバーフィードで合糸しつつ、空気インター
レースノズルを用いて、圧空圧1.0kg/cm2 の条
件で58個/mの交絡を付与し、得られた各糸条に40
0T/m(S方向)の撚を施して、表層部にループ、た
るみを有する各単糸(a)を得た。 (2)ポリエステルフィラメント(A)に900T/m
(S方向)の撚を施して、単糸(b)を得た。
【0032】3.ミシン糸の製造 単糸(a)と各単糸(b)を引き揃えて、700T/m
(Z方向)の撚を施して得た糸条を、チーズ状で染色
(130℃×60分)した後、シリコン系のミシン糸用
油剤を3.0%付与して、各ミシン糸を製造した。得ら
れた各ミシン糸の評価結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1および2に示すミシン糸の高速可縫性
は、本縫1本針ミシンを用い、4000rpmの速度、
ミシン針#14でT/Rサージ4枚を縫製して、ミシン
糸の切断が多発した場合は×、全く切断しなかった場合
は○で示した。また、○- は、ごく僅かに切断が起こっ
たことを示す。バック縫可縫性は、本縫1本針ミシンを
用い、2000rpmの速度、ミシン針#11でバック
方向にT/Rサージ1枚を30cm縫製して、ミシン糸
の切断が多発した場合は×、全く切断しなかった場合は
○で示した。また、○- は、ごく僅かに切断が起こった
ことを示す。
【0035】パッカリングは、本縫1本針ミシンを用
い、3500rpmの速度、ミシン針#11でT/Cブ
ロード1枚を縫製して、パッカリングが良好である場合
を○、不良である場合を×で示した。
【0036】毛羽の脱落は、ミシンの釜部を清掃した
後、高速可縫性と同条件で20m縫製して、釜部の毛羽
付着程度が多い場合を×、少ない場合を○で示した。
【0037】縫目の外観は、高速可縫性と同条件で縫製
した縫製布を観察して、良好である場合を○、不良であ
る場合を×で示した。また○- はやや不良であることを
示す。
【0038】表1に示す通り、本発明による実施例1〜
3のミシン糸は、細番手で高速可縫性、バック縫可縫性
に優れ、パッカリングの発生、毛羽の脱落が少なく、縫
目の外観も良好である。
【0039】これと比較して、フィラメント(B)とフ
ィラメント(A)の伸度差が20%未満の場合(比較例
1)は、ループ、たるみを形成するフィラメントの破断
による毛羽の脱落が多い。逆に、伸度差が150%を越
える場合(比較例2)は、縫製中にループ、たるみが異
常に伸ばされて、縫目外観が悪化する。
【0040】
【実施例4】実施例2において、フィラメント(A)に
代えて、極限粘度 [η] =1.0のポリエチレンテレフ
タレートを2500m/分の紡糸速度で紡糸した後、8
5℃の加熱ローラーを用いて2.4倍に延伸して得た、
50de/24fil、伸度20%(チーズ染色後の伸
度22%)のフィラメントを用いて単糸(b)得た以外
は実施例2と同様に実施した。
【0041】
【実施例5、6及び比較例3〜5】実施例2において、
フィラメント(A)とフィラメント(B)の混繊割合を
表2に示すように変更し(両フィラメントのデニールの
合計が100deとなるようにして、各フィラメントの
デニールを変更した)、その他は実施例2と同様にして
ミシン糸を作成し、評価を行なった。なお、比較例5で
は、実施例2の単糸(a)を2本引き揃えて撚糸した他
は、実施例4と同様にしてミシン糸を作成し、評価し
た。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2に示す通り、本発明による実施例5及
び6のミシン糸は、細番手で高速可縫性、バック縫可縫
性に優れ、パッカリングの発生、毛羽の脱落が少なく、
縫目の外観も良好であるが、フィラメント(B)の含有
率が5%未満の場合(比較例3)は、本発明の効果が得
られず、高速可縫性、バック縫可縫性が悪い。逆に45
%を越える場合(比較例4)は、ミシン糸として必要な
高強力、低伸度が得られず、高速可縫性が悪化する。ま
た、比較例5では、ミシン糸を構成する全ての単糸がフ
ィラメント(B)を含むために、ミシン糸が細番手にな
らず、パッカリングが不良であり、さらに、フィラメン
ト(B)の混合率が多過ぎてミシン糸の強度が小さく、
可縫性が悪い。
【0044】
【実施例7】実施例2において、フィラメント(B)を
含む単糸(a)の下撚数を900T/m(S方向)とし
た他は、実施例2と同様にしてミシン糸を作成し、評価
した。ループ、たるみを形成するフィラメント(B)を
含む単糸(a)(デニールが大きい)も、フィラメント
(B)を含まない単糸(デニールが小さい)も下撚数が
同じで、かつ上撚数より多いために、撚構造のバランス
がとれず、実施例2と比較して、高速可縫性、バック縫
可縫性及び縫目外観が若干劣っていた。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、可縫性に優れ、縫製中
の毛羽の脱落が少なく、しかも、細番手化が可能でパッ
カリングの発生の少ないミシン糸を提供することができ
る。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下撚を有する複数本(n本)の単糸から
    構成されてなるミシン糸であって、該単糸のうちの少な
    くとも1本以上(n−1)本以下の単糸は、強度が4.
    0〜9.0g/deの低伸度フィラメント(A)をマト
    リックスとし、該マトリックスフィラメント(A)の伸
    度より20〜150%高い伸度を有する高伸度フィラメ
    ント(B)が、ミシン糸に対して5〜45重量%混繊さ
    れた単糸よりなり、他方残りの少なくとも1本以上(n
    −1)本以下の単糸は、該マトリックスフィラメント
    (A)との伸度差が10%以下の伸度を有するフィラメ
    ントで構成された単糸よりなり、かつ該高伸度フィラメ
    ント(B)の一部がミシン糸表層部でループ又はたるみ
    を形成していることを特徴とするスパナイズミシン糸。
  2. 【請求項2】 前記高伸度フィラメント(B)を含む単
    糸のデニールが、前記高伸度フィラメント(B)を含ま
    ない単糸のデニールよりも大きい、請求項1記載のスパ
    ナイズミシン糸。
  3. 【請求項3】 前記高伸度フィラメント(B)を含む単
    糸の下撚数が、前記高伸度フィラメント(B)を含まな
    い単糸の下撚数より少なく、かつ上撚数より少ない、請
    求項2記載のスパナイズミシン糸。
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CN1316084C (zh) * 2001-08-16 2007-05-16 帝人株式会社 长丝机用缝纫纱

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