JPS6234335Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、主として横置式FF車用変速機の
変速操作機構に関するもので、特にセレクト操作
系の連結構造に関するものである。

この種の変速操作機構におけるシフトレバーの
セレクト操作方向の動きを、車両の前後方向の動
きに変換するのは、フロアシフト形式のシフトレ
バーと、このシフトレバーのセレクト操作に連動
するセレクトベルランクとの組み合わせによつて
行つている。ところが、シフトレバー側とベルク
ランク側との連結部には、その操作に伴つて上下
ならびに前後方向への相対的な変化が生じる。こ
の変位による相互の干渉を避けるために、上下方
向に関してはベルクランクを移動させ、前後方向
に関しては相互の連結部に別部材を設けて、この
部材を摺動させていた。この手段では、シフトレ
バー側とベルクランク側との連結部の部品点数が
増加して複雑となるばかりか、ベルクランクの上
下方向への移動をなすための支点部が摩耗しやす
く、この摩耗に伴うガタがシフトレバーのセレク
ト操作に悪影響をおよぼすおそれがあつた。

このような従来の事情にかんがみて、本考案
は、部品点数の増加を避けてシフトレバーとセレ
クトベルクランクとの上下、左右方向への干渉を
吸収し得るセレクト操作系の連結構造の提供を、
その目的とするものである。

次に、本考案の構成を、図面で示す実施例に従
つて詳細に説明する。

まず、エンジン横置形式のFF車用変速機にお
けるシフトレバーとこれに続く変速操作機構の一
部を表した第１図および第２図において、車両用
ボデイに固定されるシフトレバーリテーナ１の直
立片１ａには、シフトレバーサポート２が、この
直立片１ａに固定された支持ピン３の軸芯まわり
に回転可能に支持されている。このシフトレバー
サポート２には、その上方に向かつて延びるアー
ム４と、下方に延びるサポートレバー９とがそれ
ぞれ一体に形成されている。上記アーム４の上端
部には、シフトレバー５のボス部６が、このアー
ム４に固定されたピン７の軸芯まわりに回転し得
るように支持されている。そして、このボス部６
には下方へ延びるシフテイングレバー８が一体に
形成されている。

すなわち、いまシフトレバー５を車両の前後方
向である第１図の矢印方向へシフト操作すると、
シフトレバー５はシフテイングレバー８と共に前
記シフトレバーサポート２のアーム４に対し、ピ
ン７の軸芯まわりに回動操作される。また、シフ
トレバー５を車両の左右方向である第２の矢印方
向へセレクト操作すると、シフトレバー５はリテ
ーナ１の直立片１ａに対し、シフトレバーサポー
ト２のアーム４およびサポートレバー９と共に支
持ピン３の軸芯まわりに回動操作される。なお、
第１図、第２図の符号１５はシフトレバーノブを
示している。

上記リテーナ１の一部にはセレクトベルクラン
ク１１が、第３図からも明らかなようにこのリテ
ーナ１に立てられたピン１４の軸芯を回転中心と
して回転し得るように配設されている。このベル
クランク１１はシフトレバー５の前述したセレク
ト操作に伴うサポートレバー９の動きに連動して
回転操作されるものである。そこで、サポートレ
バー９とベルクランク１１との連結構造につい
て、さらに詳細に説明すると、このサポートレバ
ー９の下端部には下向き開放のコ字形をした連結
溝１０が形成されている。つまり、この連結溝１
０は、その下面ならびに車両の前後方向（第１図
の左右方向）に関する面がそれぞれ開放されてお
り、残る両側内面１０ａは平面状に形成されてい
る。一方、上記の連結溝１０に対し、リテーナ１
の直立片にあけた窓を通じて係合されるべき前記
ベルクランク１１の先端球形部１２には、ゴムや
合成樹脂等の素材よりなるスライデイングブツシ
ユ１３が球面嵌合されている。このブツシユ１３
の外周各面は、それぞれ平面状に形成されている
のであるが、特に両側外面１３ａは上記連結溝１
０の両側内面１０ａと対応した平面をなし、この
溝１０に対して摺動可能に嵌合されている。

この構成において、シフトレバー５のセレクト
操作により、先に述べたようにサポートレバー９
がシフトレバーサポート２の支持ピン３を回転中
心として回動操作される。このサポートレバー９
の動きが上記のスライデイングブツシユ１３を通
じてベルクランク１１に伝えられ、その結果、ベ
ルクランク１１がそのピン１４を回転中心として
回転操作される。このときのサポートレバー９と
ベルクランク１１との連結個所の動きをみると、
サポートレバー９が支持ピン３を回転中心として
回動するには、このレバー９の連結溝１０とベル
クランク１１の先端球形部１２とが、第２図で示
す範囲で上下方向へ相対的に変位することが必要
である。また、ベルクランク１１がピン１４を回
転中心として回動するには、上記連結溝１０と先
端球形部１２とが、第３図で示す範囲で左右方向
へ相対的に変位することが必要である。これらの
上下、左右方向の相対的は変速量は、サポートレ
バー９における連結溝１０の両側内面１０ａに対
し、ベルクランク１１の先端球形部１２に取りつ
けられたスライデイングブツシユ１３の両側外面
１３ａが第２図に示す位置から下方向へ相対的に
摺動し、かつ同時に第３図で示す位置から右方向
へ相対的に摺動することによつて吸収され、これ
ら相互間の干渉を逃がすこととなる。

なお、前記シフトレバー５のシフトアンドセレ
クト操作に伴うシフテイングレバー８ならびにセ
レクトベルクランク１１の動きは、図示しないデ
ユアル・プツシユプル・ケーブルによる車両の前
後方向（第１図の左右方向）の動きとしてそれぞ
れ変速機（図示しない）に伝達されるのである。
このケーブルの採用により、例えばセレクト操作
時におけるシフテイングレバー８の左右方向の動
きは、ケーブルの可撓性によつて吸収されるので
ある。

以上のように本考案は、サポートレバーに下向
き開放のコの字形をした連結溝を形成するととも
に、この連結溝の両側内面を平面に形成する一
方、ベルクランクの先端球形部に球面嵌合させた
スライデイングブツシユの両側外面を上記連結溝
の両側内面に対応させて平面に形成したことによ
り、シフトレバーのセレクト操作時にはサポート
レバーの連結溝に対してセレクトベルクランクの
上記スライデイングブツシユが相対的に二方向に
摺動し、もつて簡単な構造であるにもかかわら
ず、上記サポートレバーとセレクトベルクランク
との間の干渉をこの一個所によつて逃がすことが
できる。

しかも、上記の連結溝を下向き開放のコの字形
としたことによつて、この連結溝の内部に外部か
ら異物が侵入してそこに蓄積されるといつたこと
が防止され、もつて上記スライデイングブツシユ
の摺動抵抗を常に適性に維持し、このスライデイ
ングブツシユの異常磨耗といつたような不都合を
未然に回避することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はシフト
レバーとこれに続く変速操作機構の一部を表した
一部破断の側面図、第２図は第１図の右側からみ
た一部破断の背面図、第３図はセレクトベルクラ
ンクの平面図である。 ２……シフトレバーサポート、３……支持ピ
ン、５……シフトレバー、９……サポートレバ
ー、１０……連結溝、１０ａ……両側内面、１１
……セレクトベルクランク、１２……先端球形
部、１３……スライデイングブツシユ、１３ａ…
…両側外面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボデイ側のシフトレバーリテーナに対し、支持
   ピンによつて回転自在に支持されたシフトレバー
   サポートに一体的に形成され、かつシフトレバー
   のセレクト操作によつて前記支持ピンの軸芯まわ
   りに回転操作されるサポートレバーと、このサポ
   ートレバーの動きに連動して変速機にセレクト動
   作を伝えるセレクトベルクランクとを備え、前記
   サポートレバーに下向き開放のコ字形をした連結
   溝を形成するとともに、この連結溝の両側内面を
   平面に形成する一方、前記ベルクランクの先端球
   形部に球面嵌合させたスライデイングブツシユの
   両側外面を前記連結溝の両側内面に対応させて平
   面に形成し、サポートレバーがそのセレクトリタ
   ーン位置からセレクト方向へ回動操作されると、
   前記ブツシユの両側外面が連結溝の両側内面に対
   して互いに直交する二方向へ摺動するように嵌合
   させたことを特徴とする歯車変速機におけるセレ
   クト操作系の連結構造。