JPS632913Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車における変速機の操作装置、特
にフロントエンジンフロントドライブ車（FF車）
用変速機に適したワイヤ式変速操作装置に関す
る。

一般に、変速機におけるギヤの切換えは、該変
速機におけるコントロールロツドを運転席に設け
たチエンジレバーの操作によつてセレクト動作及
びシフト動作させることにより行われる。

然して、上記チエンジレバーと変速機とが離れ
て配置されるFF車用変速機においては、該チエ
ンジレバーと変速機におけるコントロールロツド
とをリンク機構を介して連動させるのであるが、
その場合に、該リンク機構はチエンジレバーから
のセレクト動作とシフト動作とからなる複雑な動
作を伝達しなければならないため、構造が著しく
複雑なものとなる。また、変速機がエンジンと一
体的に車体に弾性支持される関係で、該変速機に
リンク機構を介して連結されたチエンジレバーを
車体に直接支持させることができず、変速機から
突設された支持部材に支持させなければならな
い。そのため、該チエンジレバーと変速機との間
の変速操作装置の構造が一層複雑化する。

このような問題に対しては、例えば特開昭53−
59168号公報によつて、トランスミツシヨンにお
けるコントロールシヤフト（コントロールロツ
ド）とハンドレバー（チエンジレバー）とをワイ
ヤで連動させるようにした「ワイヤ式トランスミ
ツシヨンコントロール機構」に関する発明が提案
されている。この発明によれば、従来のリンク機
構式の場合における上記の如き問題が解消される
が、変速機内部の変速操作機構が大幅に変更され
ることが予想される。また、ワイヤ式連動機構が
一般的に有する操作力伝達の曖昧さが問題とな
り、自動車用変速機の場合、チエンジレバー操作
の節度感或いは軽快さの欠如といつた操作フイー
リング上の問題を生じる。上記発明は、この問題
に対してワイヤの両端部近傍に首振り手段を設け
ることによつて対処しようとしているが、かかる
手段によつて良好な操作フイーリングを得ること
が困難であり、しかも該手段を設けることによつ
て構造が再び複雑化する。

本考案は、従来における上記のような実情に対
処するもので、変速機とチエンジレバーとをワイ
ヤを介して連動させる構造が簡素な機構を実現す
ることを主目的とするものである。また、ワイヤ
を介することによる操作フイーリングの悪化を極
めて簡素な構成で防止することを補助的な目的と
し、これにより、構造が簡素であり且つ操作フイ
ーリングに優れて、特にFF車用変速機に適した
変速操作装置を実現する。

即ち、本考案は、コントロールロツドの軸芯回
りの回動と軸方向の移動とによつて変速部材のセ
レクトとシフトとを行う変速機において、ベース
プレートに支持された支軸にスライド及び回動可
能に嵌合され且つ上記コントロールロツドに係合
されてスライド及び回動のいずれか一方によりコ
ントロールロツドを回動させ且つ他方により該ロ
ツドを軸方向に移動させるクランク部材と、該ク
ランク部材に係合され且つチエンジレバーの操作
によつて夫々ワイヤを介してクランク部材を夫々
スライド及び回動させる第１、第２レバーとを備
えたことを特徴とする。そして、本考案の実施態
様はクランク部材のスライド及び回動動作を上記
チエンジレバーの操作に対応するように規制すべ
く、該クランク部材に設けた突起を上記ベースプ
レートに設けた案内溝に係合させたことを特徴と
する。このような構成によれば、ワイヤ式連動機
構を用いることによる長所が活かされ且つ欠点が
解消された変速操作装置が実現され、上記目的が
達成される。

尚、特開昭56−42822号公報によれば、上記案
内溝を設けたベースプレートに相当するセレクタ
制御板を備えた「伝動装置ギヤセレクタ」に関す
る発明が開示されているが、これはワイヤ式連動
機構を採用するものではなく、本考案とは趣旨を
異にする。

以下、本考案を図面に示すFF車用変速機につ
いての実施例に基づいて説明する。

第１図は変速機における変速操作部を示すもの
で、該操作部には、ケース１に軸芯回りの回動及
び軸方向の移動が可能に支持されたコントロール
ロツド２と、ケース１に軸方向に移動可能に支持
されたシフトロツド３とが平行に配設されてい
る。上記コントロールロツド２には、１，２速用
シフトフオーク４と３，４速用シフトフオーク５
とが遊嵌合され、また、シフトロツド３には５速
用シフトフオーク６と後退速用シフトアーム７と
が固着嵌合されている。

また、コントロールロツド２上には、該ロツド
２の回動及び軸方向の移動によつてシフトフオー
ク４，５及びシフトロツド３を選択的に移動させ
るゲート機構８が備えられている。このゲート機
構８は、第２図に示すように、コントロールロツ
ド２に固着嵌合されて該ロツド２と一体的に回動
及び軸方向に移動するコントロールレバー９と、
その外側に嵌合されて該コントロールレバー９な
いしコントロールロツド２と一体的に回動する
が、ボルト１０によつて軸方向の移動を阻止され
たインターロツクスリーブ１１とから構成されて
いる。そして、上記１，２速用及び３，４速用シ
フトフオーク４，５に一体のアーム４ａ，５ａに
形成された凹部４ｂ，５ｂと、シフトロツド３に
固着嵌合された後退速用シフトアーム７のボス部
に一体の突片７ａに形成された凹部７ｂとがコン
トロールレバー９の回動方向に並んで配置され、
該レバー９がコントロールロツド２とともに回動
した時に、該レバー９の先端が上記各凹部４ｂ，
５ｂ，７ｂのいずれか１つに係合する。そして、
その状態でコントロールロツド２が軸方向に移動
すれば、コントロールレバー９が係合した凹部に
対応するシフトフオーク４，５又はシフトロツド
３のうちの１つがコントロールロツド２と同方向
に移動する。この時、インターロツクスリーブ１
１が凹部４ｂ，５ｂ，７ｂのうちのコントロール
レバー９に係合していない凹部に係合し、該凹部
に対応するシフトフオーク４，５又はシフトロツ
ド３の移動を阻止する。

然して、上記コントロールロツド２の回動（セ
レクト動作）及び軸方向の移動（シフト動作）
は、運転席に備えられたチエンジレバー（図示せ
ず）の操作により、２本の遠隔操作ワイヤ１２，
１３、これらのワイヤ１２，１３によつて夫々揺
動されるセレクトレバー１４及びシフトレバー１
５、並びに両レバー１４，１５によつて駆動され
るクランク部材１６を介して行われる。このクラ
ンク部材１６は、第１図及び第３〜５図に示すよ
うにケース１内に固定されたコ状のベースプレー
ト１７に両端部を支持された支軸１８にスライド
及び回動可能に嵌合されていると共に、該クラン
ク部材１６の側面には、支軸１８に直交する方向
の一対の突片からなる第１係合部１６ａと、支軸
１８に平行な一対の突片からなる第２係合部１６
ｂと、更に円筒状の第３係合部１６ｃとが設けら
れている。そして、第１係合部１６ａには上記セ
レクトレバー１４に軸１４′を介して結合された
操作レバー１４″が係合されて、セレクトレバー
１４がワイヤ１２によつて第４図Ａ−Ａ方向に揺
動された時にクランク部材１６がA′−A′方向に
スライドし、また第２係合部１６ｂには、上記シ
フトレバー１５に軸１５′を介して結合された操
作レバー１５″が係合されて、シフトレバー１５
がワイヤ１３によつて第１図Ｂ−Ｂ方向に揺動さ
れた時にクランク部材１６がB′−B′方向に回動
する。更に第３係合部１６ｃには、上記コントロ
ールロツド２に固着嵌合されたロツドエンド１９
に一体の球状突起１９ａに係合されていることに
より、第５図に示すようにクランク部材１６の
A′−A′方向のスライドによつてコントロールロ
ツド２がA″−A″方向に回動（セレクト動作）し、
且つ第１図に示すようにクランク部材１６の
B′−B′方向の回動によつて該コントロールロツ
ド２がB″−B″方向に移動（シフト動作）する。
尚、上記２つの軸１４′と１５′とはケース１を貫
通しており、そのケース内方端部に操作レバー１
４″，１５″が、ケース外方端部にセレクトレバー
１４、シフトレバー１５が夫々固定されている。
以上の構成に加えて、上記ベースプレート１７に
おける支軸１８に平行な面には王字状の案内溝１
７ａが形成されていると共に、該溝１７ａにクラ
ンク部材１６の側面に設けられたピン１６ｄが係
合されている。この案内溝１７ａは図示しないチ
エンジレバーの操作軌跡に対応する形状を有し
て、クランク部材１６のスライド及び該スライド
経路の上端部、中間部及び下端部から両側への回
動を案内し、それ以外の方向ないし位置への動作
を阻止する。

尚、上記ロツドエンド１９には周方向に３本の
凹溝１９ｂ……１９ｂが設けられていると共に、
スプリング２０に付勢されたボール２１がいずれ
か１つの凹溝１９ｂに係合されて、コントロール
ロツド２の軸方向の移動を中立位置及びその両側
のシフト位置に位置決めするように図られてい
る。

上記の構成によれば、図示しないチエンジレバ
ーの操作時に、先ずワイヤ１２及びセレクトレバ
ー（操作レバー１４″）を介してクランク部材１
６がA′方向にスライドすることにより、コント
ロールロツド２がA″方向にセレクト動作（回動）
される。そのため、ゲート機構８におけるコント
ロールレバー９がシフトフオーク４，５又はシフ
トロツド３における凹部４ｂ，５ｂ，７ｂのいず
れか１つに係合される。次いで、上記クランク部
材１６がワイヤ１３を介して揺動されるシフトレ
バー１５（操作レバー１５″）によつてB′方向に
回動されれば、コントロールロツド２がB″方向
にシフト動作（軸方向の移動）されて、上記各凹
部４ｂ，５ｂ，７ｂのうちのコントロールレバー
９に係合した凹部に対応するシフトフオーク４，
５又はコントロールロツド３がコントロールロツ
ド２と同方向に移動される。これにより、移動し
たシフトフオーク又はシフトロツドとその移動方
向に対応する変速歯車が伝動状態となり、当該変
速機の変速比が決定される。

然して、上記クランク部材１６のスライド及び
回動動作に際しては、該部材１６に立設されたピ
ン１６ｄがベースプレート１７に形成された案内
溝１７ａに案内される。そのため、該クランク部
材１６の移動方向や移動量等が確実に規制され
て、コントロールロツド２のセレクト及びシフト
動作が的確に行われると共に、これらをチエンジ
レバーによりワイヤ１２，１３を介して操作する
にも拘らず、該チエンジレバーの操作が節度感の
あるものとなる。

以上のように本考案によれば、従来の変速機の
変速操作装置の主要な構成部分をそのまま生かし
てワイヤ式連動機構を成立させたので、その構成
が簡単であり、従来品の改良も容易である。また
ワイヤ式連動機構を用いたから、従来のリンク機
構式のものに比べて連動機構自体の構造が簡素化
されると共に、チエンジレバーを直接車体に支持
することが可能となつて該レバーの支持機構も簡
素化される。また、自動車の四輪駆動化に際し
て、変速機に新たな駆動ユニツトが付加された場
合にも、ワイヤを迂回させるだけで大幅な設計変
更を要することなく対処することができる。特に
本考案の実施例によれば、ワイヤ式連動機構を採
用した場合の操作フイーリング悪化の問題が、ク
ランク部材を支持するベースプレートに案内溝を
設け且つ該溝にクランク部材に立設した突起を係
合させるだけの極めて簡素な構成で解消される。
これにより、構造が簡素で且つ操作性に優れた変
速操作装置が実現される。

尚、本考案変速操作装置は、チエンジレバーと
変速機とが離れて位置するFF車用変速機に特に
適するが、FR車用変速機についても同様に適用
することができるものである。また、変速機内に
おけるシフトフオークの配置、ゲート機構等につ
いては、実施例に示す構成に限らず、公知の他の
構成であつてもよい。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
平面図、第２図は第１図−線による拡大断面
図、第３図は要部の拡大斜視図、第４図は第１図
−線による同要部の拡大断面図、第５図は第
４図−線による断面図である。 ２……コントロールロツド、１２，１３……ワ
イヤ、１４……第１レバー（セレクトレバー）、
１５……第２レバー（シフトレバー）、１６……
クランク部材、１６ｄ……突起（ピン）、１７…
…ベースフレート、１７ａ……案内溝、１８……
支軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コントロールロツドの軸芯回りの回動及び軸方
   向の移動によつて変速部材のセレクトとシフトと
   を行う変速機において、変速機のケース内にスラ
   イド及び回動可能に支持され且つ上記コントロー
   ルロツドに係合されてスライド及び回動のいずれ
   か一方によりコトロールロツドを回動させ且つ他
   方により該ロツドを軸方向に移動させるクランク
   部材と、ケースを貫通する２つの軸の各ケース内
   方端部に取り付けられてクランク部材をスライ
   ド、回動操作する第１、第２操作レバーと、両軸
   の各ケース外方端部に取り付けられたレバーに
   夫々連結された２本の遠隔操作ワイヤとを備えた
   ことを特徴とする変速機のワイヤ式変速操作装
   置。