JPS6234060Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、スプリンクラーへの給水に使用し
て便利な非常用自動水流切換弁に関するものであ
る。

建築物の室内に設置されるスプリンクラーの給
水回路は、一般の水道と全く別個に設けられるの
が通例である。

このため、既設の建物にスプリンクラーを設置
する場合、給水回路も新たに設けなければなら
ず、多くの設備費用が必要になるため、スプリン
クラーが火災防止に有効であることがわかつてい
ても、その設置が進んでいないのが現状である。

また、スプリンクラーを設置した場合、常時圧
力水の供給を維持しておかなければならないが、
各スプリンクラーへの圧力水供給の有無は確認が
困難であり、十分な安心感を得ることができない
ものである。

この考案は、上記のような点にかんがみてなさ
れたものであり、既設水道配管をスプリンクラー
への給水に利用でき、スプリンクラーの設置が極
めて廉価な設備費用で行なえ、しかも給水が常時
確認できる自動水流切換弁を提供するのが目的で
ある。

この考案の構成は、一端に給水口と、他端に非
常流出口と、途中に通常流出口が設けられた弁本
体内に可動弁を、給水口側と非常流出口側間にお
いて移動自在となるように組込み、この可動弁を
通常流出口と非常流出口の連通を阻止する遮断部
と、給水口側に位置するとき給水口と通常流出口
を導通させ、非常流出口側に位置するとき給水口
と非常流出口を導通させる通水口と、非常流出口
側にあるとき給水口と通常流出口の導通を遮断す
る阻水部とで形成され、前記遮断部に給水口と非
常流出口を連通させる小孔を設け、通常は可動弁
を自重で給水口側に位置させて通常流出口からの
み水を流出させ、非常流出口側の圧力低下による
可動弁の移動で、非常流出口側からの流出が生じ
るようにしたものである。

以下、この考案を添付図面の実施例に基づいて
説明する。

第１図乃至第３図に示す第１の例において、弁
本体１は円筒形に形成され、一方の端部に水道管
２と接続する給水口３が、他方の端部にスプリン
クラーの配水管４と接続する非常流出口５が、中
間部に炊事、風呂、洗面所、便所等への一般使用
配管６に接続する通常流出口７が設けられ、その
内部に一方の端部が閉鎖された円筒状の可動弁８
が、給水口３側と非常流出口５側間において所定
ストローク移動自在となるように組込まれてい
る。

上記可動弁８は、第１図に示す給水口３側に位
置するとき、通常流出口７と非常流出口５の連通
を阻止する遮断部９と、給水口３と通常流出口７
を導通きせる通水口１０と、第３図のように非常
流出口５側に位置するとき、給水口３と通常流出
口７の導通を遮断する阻水部１１とで形成され、
前記遮断部９には給水口３に非常流出口５を連通
させる小孔１２が設けられている。

上記可動弁８は、通常小孔１２により給水口３
側と非常流出口５側の水圧を等しくし、自重によ
り第１図の如く給水口３側に位置し、給水口３と
通常流出口７を通水口１０で導通させ、通常流出
口７からの取水が自由に行なえる。

また、非常流出口５側に接続したスプリンクラ
ーが火災の発生により作動し、この流出口５から
水が流出すると、可動弁８の遮断部９を挾んで非
常流出口５側の圧力が低下し、給水口３からの圧
力水の押圧とによつて可動弁８は非常流出口５側
に移動する。

第２図は可動弁８の非常流出口５側への移動途
中を示し、阻水部１１が通常流出口７と給水口３
の連通を遮断し、この時点で水圧のすべてが可動
弁８を非常流出口５側へ押圧するように作用す
る。

第３図は可動弁８が非常流出口５側へ完全に移
動した状態を示しており通水口１０が給水口３と
非常流出口５を導通させ、阻水部１１が通常流出
口７を閉じ、給水のすべてがスプリンクラーに流
出することになる。

図示の場合、弁本体１の内部に、可動弁８を給
水口３側に押圧するばね１３を縮設し、切換弁を
垂直だけでなく、上下逆や水平、斜めに配置して
使用することができるようにしている。

また、弁本体１の非常流出口５側の端部には可
動弁８の移動により作動する検出器１４が設けら
れ、火災発生により可動弁８が非常流出口５側に
移動すると、可動弁８でピン１５を押して接点を
閉じ、ブザーやベルを鳴らしたり監視室に通報
し、また、水道管２に設けたポンプを起動し、圧
力水の水圧を上げて消火散水がより効率よく行な
えるようにしている。

この考案の第１の例は上記のような構成であ
り、通常の状態では第１図に示すように、自重と
ばね１３で可動弁８は給水口３側に位置し、小孔
１２を介して給水口３側と非常流出口５を同圧に
連通させている。

この状態で火災が発生し、スプリンクラーの弁
が開いて水が噴出すると、非常流出口５側の圧力
が低下し、可動弁８は第２図の状態から第３図の
ように、非常流出口５側に移動し、給水口３から
の水はすべて非常流出口５に流出し、スプリンク
ラーからの散水が維持され、同時に検出器１４が
オフとなり、警報が発せられることになる。

この状態は、スプリンクラーの放水を止めるま
でか、給水を止めるまで変らないと共に、通常流
出口７からの流出は停止する。

また、可動弁８の非常流出口５側への移動は、
通常流出口７から風呂や炊事、洗面などに水を使
用していても発生することになる。

次に第４図と第５図に示す第２の例は、可動弁
に揺動構造を採用したものであり、前記第１の例
と同一部分は同一符号を付して説明する。

弁本体１の途中を、通常流出口７と反対側の位
置に設けた軸２１を中心とする円弧状に屈曲さ
せ、可動弁８を軸２１に枢止した遮断部１２と、
この遮断部１２の先端から連なつて、弁本体１の
大径側内周面に摺接する弧状の阻水部１１と、阻
水部１１の上端に設けた通水口１０と、遮断部９
に設けた小孔１２とで形成され、前記第１の例の
可動弁８が軸方向に移動するのに対し、この第２
の例の可動弁８は、軸２１を中心とする回動によ
り、通常流出口７と非常流出口５の切換えを行な
うものである。

また、検出器１４は軸２１に取付けたスイツチ
レバー２２の揺動により接点がオン、オフするよ
うになつている。

以上のように、この考案によると、一方の端部
に給水口と他方の端部に非常流出口が設けられ弁
本体の途中に通常流出口を設け、この弁本体の内
部に可動弁を組込み、通常可動弁は給水口と通常
流出口を連通し、非常流出口側の圧力低下により
通常流出口を閉鎖して給水口と非常流出口を連通
するようにしたので、風呂や洗面、浴室、トイレ
等の一般使用給水路をスプリンクラーの給水回路
に兼用することができるようになり、スプリンク
ラー設置に要する配管の設備経費を大幅に削減で
き、スプリンクラーの設置が容易に行なえるよう
になる。

また、風呂、洗面、浴室、トイレ等の既設給水
配管を用いてスプリンクラーへの給水が行なえる
ので、ホテル、旅館、病室などのスプリンクラー
の設置に特に適しており、風呂等で水を使用して
いても火災発生時には自動的に切換わるので、ス
プリンクラーへの給水は確実になり、火災の初期
消火が実現できる。

さらに、非常流出口の開放と同時に通常流出口
を遮断するので、給水口からの全水量をスプリン
クラーに供給することができ、消火に必要な水量
を確実に供給することができ、しかも弁本体内に
可動弁を組込んだ構造であるため、構造が簡単で
作動が正確である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る切換弁の第１の例を示
す縦断面図、第２図は同上の可動弁が移動途中に
ある状態を示す縦断面図、第３図は同じく可動弁
が切換位置にある状態の縦断面図、第４図は第２
の例を示す縦断面図、第５図は同上の可動弁が切
換位置にある状態の縦断面図である。 １は弁本体、３は給水口、５は非常流出口、７
は通常流出口、８は可動弁、９は遮断部、１０は
通水口、１１は阻水部、１２は小孔、１３はば
ね、１４は検出器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一方の端部に給水口と他方の端部に非常流出口
   が設けられた弁本体の途中に通常流出口を設け、
   この弁本体の内部に可動弁を給水口側と非常流出
   口側間において所定ストローク移動自在となるよ
   うに組込み、この可動弁が、通常流出口と非常流
   出口の連通を阻止する遮断部と、給水口側に位置
   するとき給水口と通常流出口を導通させ、非常流
   出口側に位置するとき給水口と非常流出口を導通
   させる通水口と、非常流出口側にあるとき給水口
   と通常流出口の導通を遮断する阻水部とで形成さ
   れ、前記遮断部に給水口と非常流出口を連通させ
   る小孔が設けられている非常用自動水流切換弁。