JP3969472B2 - 消火設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消火設備に係り、さらに詳しくは、消火水を送水する配管に排水機能を有する逆止弁を備えた消火設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スプリンクラ消火設備の連結送水配管や、消火栓の元弁の二次配管などにおいては、通水後の残水を排水するために自動排水弁が設けられている。この自動排水弁は、配管内の圧力によって開閉するように構成されていて、配管内の圧力が所定値より大きいときは閉じており、圧力がなくなったときは開放するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の自動排水弁は上記のように構成されているので、配管内の残圧がなくならない限り排水は不可能である。
このような問題を解決するために、配管に大気に開放された小孔を設けて減圧することも考えられるが、このようにすると、常時ある程度の捨て水が発生するため好ましくない。また、住宅等のスプリンクラ消火設備において、配管内に水停滞すると、ときとして生活用水にその停滞水(死に水)が混入するおそれがあり、好ましくない。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、通水後には残水を自動的に排水することにより、配管内に死に水がほとんど滞留することのない排水機能を有する逆止弁を備えた消火設備を提供することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る消火設備は、消火設備の配管に逆止弁を備えた消火設備において、前記逆止弁は、二次配管に接続される二次側接続部と、一次配管に接続される一次側接続部と、両接続部の間に形成された通水口と、配管内に流水がないときは前記通水口を閉塞する主弁体と、前記配管内に流水がないときは排水口を開放する排水弁とを有し、前記一次側接続部は、通水路を介して前記通水口と連通し、前記排水口は前記通水路の途中を大気に開放するように設けられ、前記主弁体が前記通水口を閉塞したときは該主弁体と連動して前記排水弁が前記排水口を開放するようにし、流水によって前記主弁体が前記通水口を開放したときは該主弁体と連動して前記排水弁が前記排水口を閉塞するように構成したものである。
【0006】
また、上記逆止弁の二次側にスプリンクラヘッドが設けられた配管を接続して、火災時に直ちにスプリンクラヘッドから放水できるように該配管内に充水し、前記逆止弁に一次側に常時は閉じられた作動弁を介して水道配管を接続し、該作動弁と前記逆止弁の一次側との間を大気に開放するようにしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る排水機能を有する逆止弁を備えた消火設備を集合住宅に実施した例を示す説明図である。
図において、1は水道配管(図示せず)に接続された給水本管、2は給水本管1から分岐し、給水栓2aを介して各住戸(または各階)に配管された給水管で、各住戸内の蛇口その他の給水栓(図示せず)が接続されている。3は各住戸ごとに給水管2に設けた減圧弁、4は同じくメータである。
【0008】
5は住戸外において給水管2から分岐したスプリンクラ消火設備用の立上り管で、上部には各住戸に配管された枝管6が接続されており、この枝管6には各住戸ごとに火災検知機能を有するスプリンクラヘッド7が接続されている。
8は立上り管5に接続され、常時は閉じられてモータ9により開閉する作動弁、10は作動弁8の下流側において立上り管5に接続された逆止弁である。以下、この逆止弁10の一例を図2により説明する。
【0009】
図2において、11はほぼ円筒状のハウジングで、上部にはめねじを有し二次配管に接続される二次側接続部12が設けられており、下部にはめねじからなる後述の連結部材15の接続部13が設けられている。
15は連結部材で、16は外周におねじを有しハウジング11の接続部13に接続される接続部であり、その中心部には凹部17が形成されており、さらに凹部17の中心部にはこれより小径で凹部17側に弁座19を有する通水口18が設けられている。20はめねじを有し一次配管に接続される一次側接続部で、下部が開口された通水路21を介して通水口18と連通している。
【0010】
22は主弁体で、連結部材15の接続部16に回動可能に、かつ、下方に回動時に凹部17内に収容しうるように軸支されており、下面には作動桿23が設けられている。
25は連結部材15の通水路21の下部開口部を閉塞し、ボルト31により固定されて通水路21を形成する閉塞部材で、排水管(図示せず)が接続される排水口26を備えている。27は通水路21側において排水口26の近傍に設けられた軸28に回動可能に支持された排水弁で、排水口26を開閉する弁体29と、この弁体29の反対側において所定の角度で一体的に、かつ主弁体22の作動桿23と対向して軸28に設けられた板状の作動片30とからなっている。
【0011】
次に、上記のように構成した逆止弁10の作用を説明する。定常状態(流水のない状態)では、主弁体22は自重により下方に回動して凹部17内に収容され、下面が弁座19に密着して通水口18を閉塞している。
一方、主弁体22の回動によって下降した作動桿23は、排水弁27の作動片30を押圧して弁体29を反時計回り方向に回動させ、排水口26を開放して主弁体22の一次側、つまり通水路21を大気に開放する。
【0012】
いま、例えば火災の発生により作動弁8が開放して加圧された水道水が連結部材15の通水路21に送られると、図3に示すように、その水圧により主弁体22が矢印a方向に回動して通水口18を開放し、水道水を通水口18からハウジング11内を経て二次側に送水する。
また、主弁体22が矢印a方向に回動すると、作動桿23が排水弁27の作動片30から離れるため、排水弁27は自重及び作動桿30に加わる水圧によって時計回り方向に回動し、弁体29により排水口26を閉塞する。これにより、水道水は漏れることなく一次側から二次側へ送られる。
【0013】
火災が鎮火して水道水の送水が停止すると、主弁体22は自重により反矢印a方向に回動して通水口18を閉塞する。このとき、作動桿23が排水弁27の作動片30を押圧して弁体29を反時計回り方向に回動させ、排水口26を開放して一次側を大気に開放する。
これにより、二次側の水は主弁体22により逆流が阻止され、また、一次側に残存する水の大部分は排水口26から排出される。
【0014】
再び図1において、31は住戸外に設置された制御装置で、スプリンクラヘッド7からの火災信号を受信し、これに基いて作動弁8のモータ9に制御信号を出力する。また、この制御装置31は各住戸に設けた住戸受信機(図示せず)に火災信号その他の信号を送信する。
【0015】
次に、上記のような逆止弁10を備えた集合住宅におけるスプリンクラ消火設備の作用について説明する。
初期状態においては、制御装置31を操作し又は手動により作動弁8を開放し、給水管2内の水道水を立上り管5から作動弁8、主弁体22により通水口18が開放された逆止弁10を経て枝管6に送水し、枝管6まで充水されたときは作動弁8を閉止する。これにより、逆止弁10に流れる水流がなくなり、主弁体22を押し上げる水圧がなくなるので逆止弁10の主弁体22が閉塞され、作動弁8までは圧力水(水道水)が、また、逆止弁10の二次側から枝管6まではほぼ無圧状態の水道水がそれぞれ充水される。そして、作動弁8と逆止弁10の一次側との間は、前述のように逆止弁10の排水弁27により排水口26が開放されて管内の大部分の水が排出され、大気に開放される。
【0016】
ある住戸で火災が発生すると、その火炎や熱気流によってスプリンクラヘッド7に設けた火災検知部が火災を検知して火災信号を制御装置31に送信する。また、これと同時あるいはこれより若干遅れてスプリンクラヘッド7が作動して枝管6内の水(消火用水)を放出する。
火災信号を受信した制御装置31は、これに基いてモータ9に制御信号を送って作動弁8を開放し、給水管2から加圧された水道水(消火用水)を逆止弁10を介して枝管6に送水し、スプリンクラヘッド7から放出して消火する。
このとき、逆止弁10の主弁体22は、前述のように消火水の水圧によって通水口18を開放し、排水弁27は排水口26を閉塞している。
【0017】
火災が鎮火すると、制御装置31を操作して作動弁8を閉止し、消火用水の送水を停止する。これにより、逆止弁10の主弁体22は、前述のように通水口18を閉塞して二次側の立上り管5及び枝管6内に充水された消火水の逆流を阻止し、また、排水弁27によって排水口26が開放され、一次側の残水の大部分は排水口26から排水される。
【0018】
上記のように構成した本実施の形態によれば、流水があると逆止弁10の主弁体22が通水口18を開放して排水弁27が排水口26を閉じるので、一次側の消火用水を漏れることなく二次側に送水することができる。また、流水がなくなれば、主弁体22が通水口18を閉塞して排水弁27が排水口26を開放するので、二次側の消火用水の逆流を防止すると共に、配管内の残水が排水されるので、配管内に残留した死に水が生活用水に混入するおそれがない。
【0019】
また、主弁体22が逆止弁10の機能を有するため、二次側の配管内に充水して湿式状態にすることができるので、火災時に直ちにスプリンクラヘッド7から放水することができる。
さらに、このような逆止弁10を有する配管系の場合、なんらかの理由で逆止弁10が一時的に開放されると、逆止弁10の二次側の水が一次側に入り込むことがあるが、本実施の形態によれば、このような場合、作動弁8が閉じており、二次側の水は排水口26から排水されるため、給水管2に入り込むおそれはない。すなわち、二次側の配管を湿式状態にしても、二次側配管内の水が一次側の水道水に混入するのを確実に防止することができる。
【0020】
[実施の形態2]
図4は本発明の要部をなす逆止弁の実施の形態2の説明図である。図において、35はほぼL字状のハウジングで、一次側の接続口36及び二次側の接続口37を備えており、両接続口36,37の間には縮径された通水口38が形成され、通水口38の二次側には弁座39が設けられている。40は通水口38の直下に設けられた下部が拡径された排水口である。
【0021】
41は開閉弁で、ほぼ球形状に形成されて弁座39の二次側に位置する主弁体であるチャッキ弁42と、ほぼ円錐状に形成されて排水口40の下方に位置する排水弁43と、チャッキ弁42と排水弁43を一体的に連結するロッド44とによって構成されている。
【0022】
上記のように構成した本実施の形態においては、常時はチャッキ弁42が自重により下降して弁座39に密着し、通水口38を閉塞して一次側と二次側を遮断している。また、このチャッキ弁42と一体的に連結された排水弁43は下降して排水口40を開放し、一次側を大気に開放している。
【0023】
火災の発生により一次側に加圧された水道水(消火用水)が送水されると、図5に示すように、チャッキ弁42はその水圧によって上昇して通水口38を開放すると共に、排水弁43が上昇して排水口40を閉塞する。これにより、一次側の消火用水は漏水することなく、通水口38を経て二次側に送水される。
火災が鎮火して消火用水の送水が停止すると、チャッキ弁42は自重により下降して弁座39に着座すると共に、排水弁43が下降して排水口40を開放する。これにより、二次側に充水された消火用水の逆流を防止すると共に、一次側の残水を排水口40から排水し、一次側を大気に開放する。
本実施の形態においてはも、実施の形態1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0024】
上記の説明では、本発明に係る消火設備を集合住宅のスプリンクラ消火設備に実施した場合を示したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、消火栓の元弁の二次配管等、他の消火設備にも実施することができる。
また、火災検知機能を有するスプリンクラヘッドを用いた場合を示したが、火災感知器とスプリンクラヘッドとを別々に設置してもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明に係る消火設備は、消火設備の配管に、この配管内に流水がないときは通水口を閉塞する主弁体と、配管内に流水がないときは排水口を開放する排水弁とを有し、流水によって主弁体が通水口を開放したときはこの主弁体と連動して排水弁が排水口を閉塞するように構成した逆止弁を備えたので、配管内に流水がなくなりしだい配管内の水を排水することができ、圧力によって開閉される自動排水弁に比べて優れた効果が得られる。
【0026】
また、上記の逆止弁の二次側に、スプリンクラヘッドが設けられた配管を接続して該配管に充水し、逆止弁の一次側に、常時は閉じられた作動弁を介して水道管を接続したので、一次側の消火用水を漏れることなく二次側に送水することができ、また、二次側に充水された消火用水の逆流を防止すると共に、配管内の残水が排水されるので、配管内に残留した水が生活用水に混入するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る排水機能を有する逆止弁を備えた消火設備を集合住宅に実施した例を示す説明図である。
【図2】 図1の逆止弁の縦断面図である。
【図3】 図2の逆止弁の作用説明図である。
【図4】 実施の形態2に係る逆止弁の説明図である。
【図5】 図4の逆止弁の作用説明図である。
【符号の説明】
1 給水本管、2 給水管、5 立上り管、6 枝管、7 スプリンクラヘッド、8 作動弁、10 逆止弁、11,35 ハウジング、15 連結部材、18,38 通水口、19,39 弁座、21 通水路、22,42 主弁体、23 作動桿、25 閉塞部材、26 排水口、27,43 排水弁、29 弁体、30 作動片、44 ロッド。

Claims (2)

  1. 消火設備の配管に逆止弁を備えた消火設備において、
    前記逆止弁は、二次配管に接続される二次側接続部と、一次配管に接続される一次側接続部と、両接続部の間に形成された通水口と、配管内に流水がないときは前記通水口を閉塞する主弁体と、前記配管内に流水がないときは排水口を開放する排水弁とを有し、
    前記一次側接続部は、通水路を介して前記通水口と連通し、前記排水口は前記通水路の途中を大気に開放するように設けられ、
    前記主弁体が前記通水口を閉塞したときは該主弁体と連動して前記排水弁が前記排水口を開放するようにし、流水によって前記主弁体が前記通水口を開放したときは該主弁体と連動して前記排水弁が前記排水口を閉塞するように構成したことを特徴とする消火設備。
  2. 前記逆止弁の二次側にスプリンクラヘッドが設けられた配管を接続して、火災時に直ちにスプリンクラヘッドから放水できるように該配管内に充水し、前記逆止弁に一次側に常時は閉じられた作動弁を介して水道配管を接続し、該作動弁と前記逆止弁の一次側との間を大気に開放することを特徴とする請求項1記載の消火設備。
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