JPS6234034Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車両用デイスクブレーキ装置におけ
るインシユレータの取付装置に関し、特に組付簡
単で、かつ位置決めされしかも摩擦パツド交換時
に組忘れが生じないインシユレータの取付装置に
関するものである。

周知の如く、車両用デイスクブレーキ装置にお
いては、インシユレータが車輪と一体に回転する
デイスクに圧接する摩擦パツドと、この摩擦パツ
ドの裏板と当接するキヤリパの内側壁との間に介
在されている。そして、制動作動によつて生じる
制動熱をインシユレータによつて遮断し、キヤリ
パに伝達されるのを極力抑え、制動熱によつて作
動液の温度が上昇することがないようにしてい
る。

ところが、このインシユレータは、摩擦パツド
の裏板に嵌合する等の手段によつて取付けられて
いるので、摩耗した摩擦パツドを新規な摩擦パツ
ドと交換する時に、インシユレータを取り外して
新規な摩擦パツドに付代えなければならず、組付
に手数を要するとともに、インシユレータの組忘
れが生ずる等の不具合がある。

本考案はかかる実情を背景にしてなされたもの
で、摩擦パツドの裏板とキヤリパの内側壁との間
に配置されるインシユレータを、デイスクを跨ぐ
キヤリパのブリツジ部天井部に係止されるパツド
スプリングで保持するようになしたことを特徴と
している。

そして本考案の目的は、インシユレータがパツ
ドスプリングとともにキヤリパに組付けられ、組
付が簡単で、かつ位置決めされしかも摩擦パツド
の交換時に摩擦パツドを取外してもインシユレー
タはキヤリパに保持されており、インシユレータ
の新規な摩擦パツドの付代えの手数を要せず、位
置決めができまたインシユレータの組忘れが生じ
ない車両用デイスクブレーキ装置におけるインシ
ユレータの取付装置を提供するにある。

以下、図面により本考案の一実施例を詳細に説
明する。

車輪と一体に回転するデイスク１の両面には、
一対の摩擦パツド２，３が配置されている。キヤ
リパ４は車体に固定されたブラケツト５に、デイ
スク軸方向に移動可能に支持され、作動部４ａと
反力部４ｂがブリツジ部４ｃにより連結して一体
に成形されている。そして、このブリツジ部４ｃ
はデイスク１および両摩擦パツド２，３を跨ぎ、
作動部４ａにはピストン６がシリンダ７に摺動可
能に設けられている。このピストン６は合成樹
脂、例えばフエノール樹脂等で成形されており、
その先端部にはインシユレータ８が嵌合または接
着によつて設けられている。

マスタシリンダ（図示せず）を操作してシリン
ダ７に圧液を供給すれば、ピストン６はその圧液
によつて前進し、作動部４ａ側の摩擦パツド２を
押動してデイスク１の一側面に圧接する。一方こ
の作動によりキヤリパ４がピストン６と反対方向
に移動し、デイスク１の他側に配置された摩擦パ
ツド３をデイスク１に圧接する反力部４ｂは、イ
ンシユレータ９を介して摩擦パツド３の裏板３ａ
の背面に当接している。

前記両摩擦パツド２，３は、その裏版２ａ，３
ａを、キヤリパ４にデイスク軸と平行に抜差し可
能に設けられた一対のハンガーピン１０，１０に
貫通して、デイスク軸方向に摺動可能に吊持され
ている。そして、キヤリパ４のブリツジ部４ｃの
天井部４ｄには、この摩擦パツド２，３をデイス
ク１の中心方向へ押圧保持するパツドスプリング
１１が係止されている。

このパツドスプリング１１は、第５図に示す如
くデイスク１の回入および回出方向でブリツジ部
４ｃの天井部４ｄ方向へ傾斜して延出し、摩擦パ
ツド２，３の裏板２ａ，３ａの上部を押圧する一
対のパツド押圧部１１ａ，１１ａと、天井部４ｄ
にデイスク軸方向に形成されたリブ部４ｅを挾む
爪部１１ｂと、作動部４ａ内側壁上部に係止する
下方へ屈曲した係止爪１１ｃと、反力部４ｂの内
側壁上部に係止する段状に屈曲した係止爪１１ｄ
とから構成されている。

そして、反力部４ｂの内側壁と摩擦パツド３の
裏板３ａの背面との間に介在された前記インシユ
レータ９は、第４図に示す如く板状に形成され、
その上方中央部に係合孔９ａが穿設されており、
この係合孔９ａに前記段状の係止爪１１ｄを押通
してキヤリパ４に吊持される。

このインシユレータ９の組付は、まずその係合
孔９ａにパツドスプリング１１の係止爪１１ｄを
押通し、パツドスプリング１１をキヤリパ４のブ
リツジ部４ｃに下方から押し込んで組付けるとき
に、同時に組付けられる。そして、摩擦パツド
２，３をハンガーピン１０，１０により吊持する
と、インシユレータ９はこの肩部９ｂ，９ｂがハ
ンガーピン１０，１０の下側に当接し位置決めさ
れ、反力部４ｂの内側壁と摩擦パツド３の裏板３
ａとの間に介在した状態でパツドスプリング１１
により吊持される。

そして、繰り返しの制動によつて、摩擦パツド
２，３が摩擦して新規な摩擦パツドと交換すると
きは、ハンガーピン１０，１０を抜き、摩擦パツ
ド３を取り外しても、インシユレータ９はパツド
スプリング１１により吊持されたままである。こ
のように、摩擦パツドの交換の際に、摩擦パツド
３とともにインシユレータ９が外れることがない
から、摩擦パツドを交換する毎にインシユレータ
９をキヤリパ４に組付けたり、新たな摩擦パツド
に付代え組付ける必要がなく組付の手数を省くこ
とができるとともに、組忘れが生じない。

なお、本考案のインシユレータ９は第６図に示
すように、摩擦パツド裏板と略同形状とし、ハン
ガーピン挿通孔９ｃ，９ｃを一対設け、これをハ
ンガーピン１０，１０に挿通することにより位置
決めするようにしてもよい。

前記のように本考案は、摩擦パツドの裏板とキ
ヤリパの内側壁との間に配置されるインシユレー
タを、キヤリパのブリツジ部、天井部に係止され
るパツドスプリングで保持するようになしたか
ら、インシユレータはパツドスプリングの組付け
と同時に組付けられ組付が簡単である。また摩擦
パツドを取り外してもパツドスプリングによつ
て、キヤリパに吊持されているから、摩擦パツド
の交換ごとにインシユレータをキヤリパに組付け
たり、新たな摩擦パツドに付代えたりすることが
なく組付作業が容易で、しかもインシユレータの
組忘れのおそれがない等の効果を有している。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は正面図、第２図は第１図の−断面図、第３
図は第２図の−断面図、第４図はインシユレ
ータの斜視図、第５図はパツドスプリングの斜視
図、第６図はインシユレータの他の実施例を示す
斜視図である。 ２，３は摩擦パツド、２ａ，３ａは裏板、４は
キヤリパ、４ａは作動部、４ｂは反力部、４ｃは
ブリツジ部、９はインシユレータ、１１はパツド
スプリングである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 摩擦パツドの裏板とキヤリパの内側壁との間に
   配置されるインシユレータを、デイスクを跨ぐキ
   ヤリパのブリツジ部天井部に係止されるパツドス
   プリングで保持するようになしたことを特徴とす
   る車両用デイスクブレーキ装置におけるインシユ
   レータの取付装置。