JPS627862Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はデイスクブレーキの摩擦パツド支持装
置に関するものである。

［従来の技術］ 従来のデイスクブレーキでは、摩擦パツドを交
換する際にキヤリパを外さなければならないの
で、キヤリパの液圧シリンダ装置とマスタシリン
ダ装置とを接続する配管に悪影響を与える。ま
た、摩擦パツドを支持する支持部材が制動円板に
向つて突出する配置となつているので、外側摩擦
パツド即ち制動円板の前記液圧シリンダ装置と反
対側に配される摩擦パツドの摩耗量だけ余分に、
内側摩擦パツドすなわち液圧シリンダ装置と同じ
側の摩擦パツドに前記支持部材に対する案内部を
必要とし、内側摩擦パツドが厚く、それだけ重く
なる。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案の目的は上述の問題を解消するために、
摩擦パツド支持部が軽量に作られていて、しかも
摩擦パツドがガタなく案内支持されるとともに、
交換が容易なデイスクブレーキの摩擦パツド支持
装置を提供することにある。

［問題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案の構成はキ
ヤリパが制動円板の周縁を跨ぐ天壁面中央部に、
制動円板と直角方向に延びる切欠溝を設けるとと
もに案内ピンを支持し、摩擦パツドの裏金の周縁
中央部から突出させた突片を前記切欠溝の内部で
前記案内ピンに摺動可能に支持し、前記天壁面の
周方向両端面および前記切欠溝の一壁面と前記摩
擦パツドの周縁との間に、前記摩擦パツドに前記
案内ピンを中心とする回転力を付与する板ばねを
介装したものである。

［作用］ １対の摩擦パツド３が突片２ａをキヤリパ８の
切欠溝７ｃにおいて案内ピン９に対称に支持され
るので、摩擦パツド３の厚さと同寸とすることが
できるとともに、支持構造が簡略化されるので、
軽量であり、交換が容易になる。

キヤリパの天壁面の両端面（案内面７ｂ）およ
び切欠溝７ｃの一壁面（側壁面７ａ）と、摩擦パ
ツド３の裏金２の周縁の両端部（突片２ｂ）およ
び突片２ａとの間に、板ばね１４を介装したこと
により、摩擦パツド３が案内ピン９を中心として
回転力を受け、一方の端部（突片２ｂ）が一端面
（案内面７ｂ）に強く押し付けられて摩擦パツド
３の振動を抑える。

［考案の実施例］ 本考案を実施例に基づいて説明する。第１図に
示すように、デイスクブレーキは制動円板１３の
両側に配される１対の摩擦パツド３と、制動円板
１３の一部周縁を跨ぎ制動円板１３と直角な方向
に摺動可能に図示してない車体側へ支持されるキ
ヤリパ８とからなつている。摩擦パツド３は裏金
２に結合されており、この裏金２は摩擦パツド３
よりも周縁中央部から上方へ突出する突片２ａに
ピン穴が設けられ、１本の案内ピン９に外挿され
る。案内ピン９はキヤリパ８の両側壁部に挿通さ
れ、かつ抜け止めピン４によつて係止される。キ
ヤリパ８は一側壁部にシリンダ１０を一体に備え
ており、これにシールリング１２を介して嵌装し
たピストン１１の外端部が一方の摩擦パツドの裏
金２に衝合する。キヤリパ８の他側壁部には、二
股状に分れかつ他方の摩擦パツドの裏金２の背面
に衝合する反力片１を一体に備えている。

本考案によれば、第２図に示すようにキヤリパ
８が制動円板１３を跨ぐ天壁面７について、制動
円板１３の周方向両端側に摺動案内面７ｂを構成
し、中央部分に大きな切欠溝７ｃを設け、この切
欠溝７ｃに臨むように前述した案内ピン９を配置
する。一方、摩擦パツドの裏金２の周縁両端部に
は、摩擦パツド３の周縁よりも径外方に突出する
突片２ｂを設け、これを板ばね１４を介して前記
案内面７ｂに衝合するとともに、裏金２の周縁中
央部から外方へ突出しかつ案内ピン９に外挿され
る突片２ａの側縁部を、板ばね１４を介して切欠
溝７ｃの一壁面７ａに衝合させる。

板ばね１４は切欠溝７ｃの内面に係合され、両
端が案内面７ｂと裏金２の突片２ｂとの間に臨
み、摩擦パツド３のガタ付きを防止するようにな
つている。

シリンダ１０の内部へ圧液を供給すると、ピス
トン１１は第１図において左方へ移動し、右側の
摩擦パツド３を制動円板１３の右側面に押し付け
る。一方、液圧反力によつてキヤリパ８が図示し
てない車体側の案内部材に沿つて右方へ移動し、
反力片１が左側の摩擦パツド３を制動円板１３の
左側面に押し付けて制動力を発生する。ブレーキ
作用時、１対の摩擦パツド３の裏金２の突片２ａ
が案内ピン９に沿つて案内され、同時に突片２ｂ
が案内面７ｂに衝合する板ばね１４に沿つて案内
され、摩擦パツド３のガタ付きが板ばね１４によ
つて抑えられる。摩擦パツド３と制動円板１３と
の摩擦係合によつて、制動円板１３の矢印Ｘ方向
の回転に対して、摩擦パツド３は案内ピン９を中
心として第２図において時計方向の回転力を受け
るが、この回転力は板ばね１４を介装された突片
２ｂと案内面７ｂとの衝合によつて阻止される。

シリンダ１０の内部の液圧を解放すると、ブレ
ーキが解除され、摩擦パツド３は制動円板１３と
の摩擦振動に伴つて制動円板１３から離れる。

本考案によれば、摩擦パツド３の裏金２が制動
円板１３の径外方部分で、すなわち突片２ａで案
内ピン９によつて支持されているので、１対の摩
擦パツド３が使用限界に達しても案内部から脱落
する恐れはなく、したがつて、従来のように内側
摩擦パツド（第１図で右側の摩擦パツド）を特別
に厚く構成する必要がなく、重量軽減にも役立
つ。

摩擦パツド３は案内ピン９を外せば容易に下方
へ引き抜くことができ、摩擦パツド交換のために
キヤリパ８を取り外す必要がない。

裏金２の突片２ａがキヤリパ８の天壁面に設け
た制動円板１３の軸方向に延びる切欠溝７ｃの一
壁面７ａに衝合されているので、ブレーキ作用時
摩擦パツド３に作用する周方向の力が前記一壁面
７ａで支持され、案内ピン９に加わる曲げ応力に
対する強度負担を軽くするのに役立つ。

［考案の効果］ 本考案は上述のように、キヤリパが制動円板の
周縁を跨ぐ天壁面中央部に、制動円板と直角方向
に延びる切欠溝を設けるとともに案内ピンを支持
し、摩擦パツドの裏金の周縁中央部から突出させ
た突片を、前記切欠溝の内部で前記案内ピンに摺
動可能に支持し、前記天壁面の周方向両端面およ
び前記切欠溝の一壁面と前記摩擦パツドの周縁と
の間に、前記摩擦パツドに前記案内ピンを中心と
する回転力を付与する板ばねを介装したものであ
るから、この構成により、 (a) １対の摩擦パツド３は突片２ａをキヤリパ８
の切欠溝７ｃにおいて案内ピン９に支持される
ので、摩擦パツド３の厚さと同寸とすることが
できるとともに、支持構造が簡略化されるの
で、軽量であり、交換が容易になる。

(b) また、キヤリパの天壁面の両端面（案内面７
ｂ）および切欠溝７ｃの一壁面（側壁面７ａ）
と、摩擦パツド３の裏金２の周縁の両端部（突
片２ｂ）および突片２ａとの間に、板ばね１４
を介装したことにより、摩擦パツド３が案内ピ
ン９を中心として回転力を受け、一方の端部
（突片２ｂ）がキヤリパの一端面（案内面７
ｂ）に強く押し付けられて摩擦パツド３の振動
を抑える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るデイスクブレーキの摩擦
パツド支持装置の正面断面図、第２図は第１図の
線−による側面断面図である。 ２：裏金、２ａ：突片、３：摩擦パツド、７：
天壁面、７ａ：壁面、７ｂ：案内面、７ｃ：切欠
溝、８：キヤリパ、９：案内ピン、１０：シリン
ダ、１１：ピストン、１３：制動円板、１４：板
ばね。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 キヤリパが制動円板の周縁を跨ぐ天壁面中央部
   に、制動円板と直角方向に延びる切欠溝を設ける
   とともに案内ピンを支持し、 摩擦パツドの裏金の周縁中央部から突出させた
   突片を前記切欠溝の内部で前記案内ピンに摺動可
   能に支持し、 前記天壁面の周方向両端面および前記切欠溝の
   一壁面と前記摩擦パツドの周縁との間に、前記摩
   擦パツドに前記案内ピンを中心とする回転力を付
   与する板ばねを介装したことをことを特徴とする
   デイスクブレーキの摩擦パツド支持装置。