JPS6233094B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、ジヤケツトチユーブカバーに係
り、詳細には、クラツチペダルのクラツチ切れ後
の底付感をなくし踏力の余韻をスムーズにし、か
つクラツチ切れ不良を防止するためクラツチペダ
ルを受ける緩衝停止部が形成されたジヤケツトチ
ユーブカバーに関するものである。

従来よりクラツチペダルは、思い切り強く瞬間
的にフルストローク位置まで踏み込む、その後
徐々に足を持上げ半クラツチ状態にして、エンジ
ン動力を車輪へと接続している。このようなクラ
ツチ切りには、フルストローク時に大きな底付感
をもつた反力を受ける。そこで、クラツチ切れ後
はカーペツト、フエルト等をつぶしながらそれら
の弾性を利用し、徐々にクラツチ切りの踏力を吸
収し底付感のない余韻を得る目的で、カーペツト
等をストツパーにしている。したがつてクラツチ
ペダルのフルストローク位置をカーペツト等の表
面をつぶした状態を見こんだ位置にセツトしてい
た。従来の具体例として、第１図〜第３図に示す
ようなものがある。即ち車体の運転席前部でダツ
シユパネル１をステアリングコラム２が貫通し、
ブラケツト３により支持されて取り付けられた部
位にジヤケツトチユーブカバー４がブラケツト３
に突設されたクリツプ９により取り付けられてい
る。符号１５及び１６はブラケツト３をダツシユ
パネル１に固定するボルトとナツトである。この
ジヤケツトチユーブカバー４はステアリングコラ
ム貫通孔６ａが穿設された膨出部６と、この膨出
部６の周囲に形成され、前述のクリツプ９が挿通
される長孔７ａが穿設されたフランジ７とからな
るカバー本体５と、このカバー本体５を取り付け
る際にフランジ７を押え、前述のクリツプ９を挿
通する長孔８ａが穿設された一対のコ字状押えプ
レート８とから構成されている。１０はインシユ
レータ、１１は表皮、１２はカーペツト、１３は
サービスマツト、１４はクラツチペダルである。

ここに、クラツチペダル１４のフルストローク
位置、すなわち、クラツチペダル１４を一杯に踏
み込んだときのクラツチペダル１４のアーム１４
ａの静止位置が急に大きな反力を受ける底付感を
なくすため、カーペツト１２又はサービスマツト
１３の表面、あるいはインシユレータ１０等を幾
分押し潰した状態におけるカーペツト１２又はサ
ービスマツト１３の表面ａ、すなわち、更に踏込
移動がほぼできない位置に設定されていた。クラ
ツチが切れた後、カーペツト１２又はサービスマ
ツト１３等をつぶしながら徐々にクラツチ切りの
踏力を吸収して底付感のない余韻を得るため、さ
らには確実にクラツチが切れるようにアーム１４
ａのクラツチ切れの位置ｂがフルストローク設定
位置ａから10〜30mmの位置に設定されていた。

しかしながら、このような設定の後、修理、交
換、掃除等によつてカーペツト１２やインシユレ
ータ１０等の個々のバラツキ及び組付バラツキに
よつて、あるいはユーザーが好みに応じてサービ
スマツト１３を２枚使用したりすることによつ
て、クラツチペダル１４がフルストローク位置ま
で踏み込めずクラツチペダル１４の底付感を受け
たり、踏み込み変位量が少なくなつたり、なくな
つたりするため、クラツチ切れ不良が生ずる恐れ
があつた。これは、半クラツチ状態を助長してク
ラツチ板の摩耗を早めていた。

また、一方クラツチ板が摩擦により擦り減るこ
とによつてクラツチが切れるまでの踏み込み量即
ちクラツチ切れ位置ｂが位置b′のように深くな
り、このためフルストローク位置ａも位置a′と深
くする必要がある。しかし、フルストローク位置
ａはすでに踏力を吸収させるようにカーペツト１
２などがつぶされた状態でセツトされており、こ
れ以上ほとんど踏み込み移動できないので、カー
ペツト１２等に底付きし不快な底付感を受けると
ともにクラツチ切れ不良が生ずる恐れがあつた。

この発明はこのような従来の問題点に着目して
なされたもので、カバー本体と押えプレートとの
少なくともいずれか一方に、クラツチ切れ後フル
ストロークに至る空間に踏み込まれたクラツチペ
ダル１４を受ける可撓性の緩衝停止部を配置形成
することにより上記問題点を解決することを目的
としている。

以下、この発明を図面に基づいて説明する。

第４図〜第７図はこの発明の第１実施例を示す
図である。まず、構成を説明すると、ジヤケツト
チユーブカバー２４はポリ塩化ビニル等の樹脂製
又はゴム製のカバー本体２５と、カバー本体２５
を押えて取り付ける金属製の押えプレート２７と
からなつている。

カバー本体２５にはステアリングコラム貫通孔
２８ａが設けられた膨出部２８が形成され、膨出
部２８の図において左側にはクラツチペダル１４
を受ける矩形の受面２６ａが蛇腹状に膨出して形
成されており、膨出部２８と受面２６ａの周囲に
はクリツプ孔２９ａが開けられたフランジ２９が
形成されている。さらに、カバー本体２５には、
フランジ２９から膨出部２８のステアリングコラ
ム貫通孔２８ａに及ぶ切り込み２５ａが設けられ
ている。

カバー本体２５と押えプレート２７の少なくと
もいずれか一方、この実施例では、カバー本体２
５および押えプレート２７に関係するように踏み
込まれたクラツチペダル１４を受ける可撓性の緩
衝停止部２６が配置形成されており、この緩衝停
止部２６は、カバー本体２５に膨出して形成され
た受面２６ａと受面２６ａに組み付けられ負荷さ
れるクラツチ踏力荷重を緩やかに減少する弾発部
材とから構成されている。勿論、緩衝停止部２６
は押えプレートに係合させず単独に取り付けられ
ていてもよい。受面２６ａの図において上下の膨
出基端には、弾発部材を蛇腹内に組み付けて係止
させる組付穴２６ｂが穿設されている。組み付け
られる弾発部材としては、例えば図示のような板
バネ３０がある。この板バネ３０は細長い湾曲し
た基板３１と、その長手方向の両端部側方にそれ
ぞれ基板３１に対して同一方向に直角に曲げられ
た一対の係止片３２と、両端部の基板３１を挟ん
で互いに対称となる側部から基板３１の長手方向
に沿つて互いに他方の端部に向けて延出する一対
の付勢片３３とからなつている。板バネ３０は基
板３１の両端と一対の係止片３２で受面２６ａの
組付穴２６ｂの周辺に組み付けうるように形成さ
れ、一対の付勢片３３が受面２６ａと干渉したと
きにこれを押し上げるように付勢して形成されて
いる。

カバー本体２５のフランジ２９を押える一対の
押えプレート２７には、フランジ２９に穿設され
たクリツプ孔２９ａと整合するクリツプ孔２７ａ
が穿設されている。尚、押えプレート２７はフラ
ンジ２９を平均的に押えて車室内と車室外とのシ
ール性向上のため用いるものである。

このようなジヤケツトチユーブカバー２４が、
車体の運転席前部でダツシユパネル１をステアリ
ングコラム２が貫通し、ブラケツト３により支持
されて取り付けられた部位にダツシユパネル１に
固定されたノツチ付板クリツプ１９により取り付
けられている。ノツチを付けたこと及びパネル１
７を介在させたのは板クリツプ１９の挟着を保持
し、挟着されるインシユレータ１０等の厚みを一
定にするためである。この取付時において、受面
２６ａは、十分膨出した状態位置ｃのときα（α
は部品のバラツキ等を考慮して５〜15mmとするの
が望ましい。）だけ上方の位置ｂに、クラツチペ
ダル１４のクラツチ切れ位置が設定され、第７図
に示すように受面２６ａが十分圧縮された位置ｄ
のときでもクラツチペダル１４のフルストローク
位置ａは上方にβ（βはαと同じ５〜15mmが望ま
しい。）の余裕があるように緩衝停止部２６が形
成されている。すなわち、フルストロークの踏み
込み後でも緩衝停止部２６はβだけの撓み込み
代、踏み込み代を有している。

尚、符号15，16は従来例同様ブラケツト３をダ
ツシユパネル１に固定するボルトとナツトであ
る。

次に作用を説明する。

上記のように、クラツチペダル１４との所定位
置関係でジヤケツトチユーブカバー２４が取り付
けられた車両の走行中にギアをシフトする場合
に、クラツチペダル１４を踏み込むと、第６図に
おけるｂ点で完全にクラツチが切れ、αの分踏み
込むとアーム１４ａが受面２６ａと干渉すること
となる。さらに、受面２６ａが一対の付勢片３３
に干渉した後受面２６ａを押し上げている板バネ
３０のバネ力に抗して踏み込むと、大きな踏力も
そのエネルギーを吸収されつつ、受面２６ａの蛇
腹が徐々に圧縮され、フルストローク位置ａに達
するとクラツチペダル１４は不快な底付感を発生
することなく動かなくなる。しかし、緩衝停止部
２６の変形量は未だβだけ余分に残されている。

つぎに、部品のバラツキ又は組付バラツキが生
じた場合あるいは、クラツチ板が摩擦により擦り
減り、クラツチ切れ位置が異つた場合について説
明する（ここで、クラツチ切れ位置が図において
上方に移る場合についてはクラツチの切れ不良が
起こることはないので、説明を省略する。）。この
場合には、クラツチ切れ位置ｂがフルストローク
位置ａに近づいた位置となるわけである。すなわ
ち、クラツチペダル１４は受面２６ａと干渉して
クラツチ切れ位置に達するのであるが、緩衝停止
部２６の変形許容範囲はフルストローク位置ａを
超えても更に余分量βが設定されているので、ク
ラツチペダル１４は阻止されることなくフルスト
ローク位置a′まで踏み込まれる。あるいは、厚い
カーペツトにかえたり、マツトを追加したりし
て、フルストローク位置ａを確保するため緩衝停
止部２６の変形量を大きくしなければならなくて
も余裕寸法βでこれを吸収できる。従つて、緩衝
停止部２６が緩衝作用を果し、底付き感もなく確
実にクラツチが切れ、しかる後受面２６ａは第６
図で示す元の位置に、クラツチペダル１４は同図
実線で示す元の位置に復帰することとなる。

第８図には、この発明の第２実施例を示す。

この実施例では、緩衝停止部３６をコ字状の押
えプレート３７に設けたことが前記第１実施例と
は異なる。図において膨出部２８の左方の押えプ
レート３７の中央部から立ち上げられ、折曲され
て膨出部２８側へ延出されて緩衝停止部３６が形
成されている。緩衝停止部３６にはクラツチペダ
ル１４を受ける受面３６ａが形成され、この受面
３６ａに負荷されるクラツチペダル１４の踏込荷
重を受面３６ａ及び立ち上げ部位３６ｂで二点鎖
線で示す如く可撓して受けるように形成されてい
る。この緩衝停止部３６が可撓する範囲は前記第
１実施例と同様である。

その他の構成及び作用については、前記第１実
施例と同様であるので、その説明を省略する。

尚、緩衝停止部３６の立ち上げ部位３６ｂ及び
受面３６ａの延出方向は上記に限定されないこと
は言うまでもない。

以上、説明してきたようにこの発明によれば、
ジヤケツトチユーブカバーをカバー本体と押えプ
レートとの少なくともいずれか一方に、踏み込ま
れたクラツチペダルとクラツチ切れ後に接し、踏
み込みストローク迄踏力を吸収しつつ移動し、該
フルスストローク位置でも更に移動可能にした可
撓性の緩衝停止部が配置形成した構成としたた
め、部品のバラツキや組付バラツキ等による誤差
や踏力が緩衝停止部により吸収されるので不快な
底付感を受けることもなくクラツチ切れ不良の生
ずる心配もない。またクラツチ切れの位置が変化
しても、カーペツトやサービスマツトが邪魔にな
ることなくクラツチペダルをフルストローク位置
まで踏み込めるので、同様に底付感もなくクラツ
チ切れ不良が生ずる心配もない。さらに、フルス
トローク設定位置の設定に余裕ができるので、工
場ラインでの組付精度を差程厳しくする必要がな
くなるという効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は、従来例のジヤケツトチユー
ブカバーを示し、第１図は同ジヤケツトチユーブ
カバーの運転席前部への取付部位を示す斜視図、
第２図は同ジヤケツトチユーブカバーの斜視図、
第３図は同ジヤケツトチユーブカバーを取り付け
た状態を示す一部断面した説明図、第４図〜第７
図は、この発明に係るジヤケツトチユーブカバー
の第１実施例を示し、第４図は同ジヤケツトチユ
ーブカバーの斜視図、第５図は緩衝停止部に組み
付けられる弾発部材としての板バネの斜視図、第
６図は同ジヤケツトチユーブカバーを取り付けた
状態を示す断面説明図、第７図は第６図と同様
で、クラツチペダルを踏み込んだ状態を示す断面
説明図、第８図はこの発明の第２実施例に係るジ
ヤケツトチユーブカバーの斜視図である。 １…ダツシユパネル、２…ステアリングコラ
ム、１４…クラツチペダル、２５…カバー本体、
２６，３６…緩衝停止部、２７，３７…押えプレ
ート、３０…板バネ（弾発部材）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ステアリングコラムのダツシユパネルに取り
   付けられた部位を覆うカバー本体と、該カバー本
   体を取り付ける押えプレートとからなるジヤケツ
   トチユーブカバーにおいて、 前記カバー本体と前記押えプレートとの少なく
   ともいずれか一方に、踏み込まれたクラツチペダ
   ルとクラツチ切れ後に接し、踏み込みフルストロ
   ーク迄踏力を吸収しつつ移動し、該フルスストロ
   ーク位置でも更に移動可能にした可撓性の緩衝停
   止部が配置形成されたことを特徴とするジヤケツ
   トチユーブカバー。