JPS6233084Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はエンジンのカバーにおける騒音低減
構造に関する。

エンジンに装着するオイルパン、シリンダヘツ
ドカバー、フロントカバー等のカバーは、一般に
板金プレスやアルミ鋳造により形成しているが、
これらのカバーはエンジンの振動が伝えられるた
め、振動して騒音を発生するという問題があり、
特に、上記カバーの平面部が激しい膜振動をして
高レベルの騒音を発生するという問題がある。

そこで、近年、上記問題を解決するエンジンの
カバーにおける騒音低減構造として、カバーに設
けた同一巾を有するスリツトにダンピング材を密
に装填して、このダンピング材により振動を減衰
させて、振動、騒音を低減させるようにしたもの
が提案されている（実開昭56−85050号）。

ところで、上記カバーのスリツトに装填するダ
ンピング材はスリツトの周辺部に密着させて、シ
ール性を確保する必要がある。もし、上記シール
性が不十分であると、オイルパンにおいてはオイ
ルの漏洩を招来し、シリンダヘツドカバーにおい
ては動弁系から飛散したオイルの漏洩を招来し、
フロントカバーにおいてはタイミングギヤ等から
飛散したオイルの漏洩を招来する。

このため、従来、スリツトにダンピング材を焼
き付けて、シール性を確保するようにしたものが
あるが、このような焼き付けによるものは、製造
工程が複雑になるという欠点がある。また、前述
の特開昭56−85050号に記載されているように、
同一巾を有するスリツトにスリツト周辺部を内外
側から挾持する縁部を備えたダンピング材を密に
嵌合するようにした構造のものは、製造工程は簡
単であるが、スリツトとダンピング材とのスリツ
トの長手方向の摩擦力によつて、ダンピング材の
スリツトの長手方向両端部における弾性が阻害さ
れて、スリツトの両端の周辺部とダンピング材と
の当接力が弱いため、この部分のシール性が悪い
という欠点を有する。

そこで、この考案は、上記欠点を除去すべくな
したもので、エンジンに装着するカバーに設けた
スリツトの長手方向の両端部を中央部よりも拡大
して形成すると共に、上記スリツトにスリツト周
辺部をカバーの内外側からら挾持する縁部を備え
たダンピング材を密に嵌合して装着することによ
り、上記拡大したスリツトの長手方向の両端部で
スリツトとダンピンング材との間の長手方向の摩
擦力の影響を軽減して、スリツトの長手方向の両
端部とダンピング材との間の当接力を確保して、
十分なシール性を保持し得るエンジンのカバーに
おける騒音低減構造を新規に提供することを目的
としている。

以下、この考案を図示の実施例により詳細に説
明する。

第１図において、１はエンジン、２はエンジン
１に装着するカバーの１例としてのオイルパンで
あつて、上記オイルパン２の上端外周に形成した
装着部としてのフランジ３はエンジン１の下面５
に密着させて、ボルト６，６……により固定して
いる。

上記オイルパン２の上端近傍には、上記フラン
ジ３に沿つて全周に渡り複数のスリツト７，７，
……を互いに一定間隔をあけて穿設している。上
記スリツト７の長手方向の両端部７ａ，７ａは、
その中央部７ｂよりも拡大させて、略円形状に形
成している。上記スリツト７には、その形状に対
応して両端部８ａ，８ａが中央部８ｂよりも略円
形状に拡大したゴム等の振動減衰性の大きい材料
からなるダンピング材８を密に嵌合して装着して
いる。上記ダンピング材８は第３図に示すよう
に、オイルパン２の内側に位置する装置を容易に
するための断面弧状部９とオイルパン２の外側に
位置する断面長方形状部１０との間に、スリツト
７の周辺部１１に密に嵌合する溝１２を備え、そ
の溝１２を形成する縁部１３と１４でスリツト７
の周辺部１１を密に挾んでいる。

上記構成のエンジンのカバーにおける騒音低減
構造によれば、エンジン１からオイルパン２に伝
わつてきた振動はスリツト７に密に充填したダン
ピング材８によつて減衰され、オイルパン２の平
面部１６，１６，１６，…の振動は低減され、平
面部１６，１６，１６，…から発生する騒音は低
減される。

また、ダンピング材８の中央部８ｂは、第２図
中矢印Ｘ方向の弾性により、スリツト７の中央部
７ｂの周辺部１１に密着する。また、ダンピング
材８の両端部８ａ，８ａが拡大しており、かつス
リツト７の長手方向の両端部７ａ，７ａが拡大し
ているため、スリツト７の中央部７ｂの周辺部１
１とダンピング材８の中央部８ｂとの間にスリツ
ト７の長手方向への摩擦力が生じても、ダンピン
グ材８の両端部８ａ，８ａは第２図中の矢印Ｙに
示す全方向への弾性を有して、スリツト７の長手
方向の両端部７ａ，７ａの周辺部１１に密着す
る。

上記実施例はダンピング材８に設けた溝１２を
スリツト７の周辺部１１に嵌合しているため、ダ
ンピング材８をスリツト７に容易に装着できる上
に、ダンピング材８のシール性を向上できる。

また、上記実施例はオイルパン２の上端近傍
に、フランジ部３に沿つて、ダンピング材８を装
着するスリツト７を形成しているため、エンジン
１の振動がオイルパン２の平面部１６，１６，…
に伝わるのを最大限遮断でき、振動、騒音を効果
的に減衰できる。

上記実施例では、スリツト７をフランジ部３に
沿つて、横方向に設けたが縦方向に設けてもよ
く、また、スリツトとダンピング材の両端部の形
状は上記実施例に限定されない。

以上の説明で明らかなように、この考案は、エ
ンジンに装着するカバーに設けたスリツトの長手
方向の両端部を中央部よりも拡大して形成すると
共に、上記スリツトにスリツト周辺部をカバーの
内外側から挾持する縁部を備えたダンピング材を
装着しているので、ダンピング材をスリツトに容
易に装着できるとともにスリツトの長手方向の両
端部とダンピング材との間の当接力を十分に確保
でき、ダンピング材のシール性を向上することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の断面図、第２図
は第１図の一部拡大図、第３図は第２図の−
線断面図である。 １…エンジン、２…オイルパン、７…スリツ
ト、８…ダンピング材、１１…周辺部、１３，１
４…縁部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 エンジンに装着するカバーにスリツトを設け、
   そのスリツトにスリツト周辺部をカバーの内外側
   から挾持する縁部を備えたダンピング材を密に嵌
   合して装着してなるエンジンのカバーにおける騒
   音低減構造において、 上記スリツトの長手方向の両端部を中央部より
   も拡大させて形成していることを特徴とするエン
   ジンのカバーにおける騒音低減構造。